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直送!競輪場便り
比嘉真梨代 沖縄 L1 114期
ひょんな出会いから輪界入りした"ド天然"島人ガール
 某大学でOLをしていた頃に、「シェイプアップしたくて(照)」とジム通いを始めた。それが人生を変える大きな転機になった。
 そのジムには競輪選手も数名通っていた。
「そこで競輪選手に初めて会いました。それである選手に『バンクを一周乗って、プロテインを飲むだけ。午前中で終わっちゃう。それが競輪選手の仕事。ねっ、楽だろ?』って言われて、確かに!って興味を持ったんです。完全に騙されましたけどね(笑)」

 その"ある選手"とは、タイトルホルダーの佐藤慎太郎だった。
「聞いていた話とは全然違ったけど(笑)。でも多くの方が面倒を見てくれたし、大学で働きながら選手を目指すことにしたんです」
 とはいえ、競輪の知識は当時ほとんどなかった。
「慎太郎さんが強い人、ってことも知らなかったんです。よく面倒を見てくれるおもしろい人、って感じで…(笑)」
 競輪学校に受験する前に、ウィキペディアで"佐藤慎太郎"を調べたようで「こんなすごい人だったんだ!って、めっちゃビックリしました」と笑って当時を振り返った。
 無事に競輪学校に合格し、2018年7月に113期生としてデビューしてから2年が経過した。
ここまでは自慢の瞬発力を武器に、飛びつきやマーク戦主体の走りで安定した成績を残している。
11月に行われるガールズ フレッシュクイーンにも選出されており、順調な滑り出しといえよう。
好成績を収められている最大の要因について本人は、「本当に周りの環境や人に恵まれているから」だと強調する。
「私は(自転車の)経験もなければセンスもない。でもこれだけやれているのは、周りの人のおかげなんですよ」と誇らしげに話す。地元の沖縄はもちろん、各地へ出稽古に行き、そこで収穫を得てくることもしばしば。特に、同じ年の松尾智佳を頼って出向いた松山は、比嘉にとって特別な場所だ。
「デビューした年から毎年お世話になってます。行くたびにみんなが良くしてくれるんです。今年もコロナの影響で(沖縄に)帰れず、3カ月滞在させてもらいました。そこでみなさんが練習を見てくれたりセッティングを出してくれたりした。そのおかげで段々と成績も良くなってきました」
 10月上旬の時点でまだ優勝はないが、9月の防府決勝では小林優香に迫って惜しくも準優勝。
「(防府で)初めて(小林)優香と一緒に走って、ちゃんと付いていけた。しかも抜けそうな感じがあって一瞬"優勝だー!"って思ったんですけどね(笑)。それでも(2年かけて)脚力は上がってきたのかなって手ごたえはつかめました」と優勝も手の届くところまできている。
 優勝した暁には2つの目標を達成したいと考えているようだ。ひとつは「賞金袋を持って松山に行くこと」だという。
「本当にお世話になっているし、今の私があるのも松山の方々の力が大きい。みんな待っていてくれているので、早く御礼をしに行きたいです」
 そしてもう一つは"先輩を黙らせること"。
「私は、これからも少しずつ少しずつ力を付けて成長していければ、いつか結果も出るかなって思ってるんです。でも屋良(朝春)さんからは『のんびりしてたら、どんどんオバサンになるぞ』って言われていて(苦笑)。なるべく早く優勝して、屋良さんを黙らせたいんです(爆笑)」と語気を強めた。
「地元の友達と遊ぶこと」が息抜きという島人女子は「いつもレース後の楽しみを作っておくんです。開催が終わったら〇〇へ行こう、と決めて、そのために仕事を頑張ってます。だいたいダイビングとか海へ行くことが多いですね。海、大好きなので」と地元の沖縄をこよなく愛している。

「コロナが落ち着いたらみなさんぜひ沖縄に来てください。10月とか11月がオススメですよ。あっ、サングラスを忘れないように。あと、"ニフェーデービル"(沖縄の言葉で、ありがとうの意)を流行らせたいので、全国でどんどん使ってくださいね(笑)」
 周りを笑顔にする"ド天然の愛されキャラ"比嘉真梨代――。
 彼女に関わる全ての人が"比嘉真梨代 初優勝達成"という見出しが踊る日を、心待ちにしている。


泡瀬自転車競技場発