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下条未悠 富山 118期
「3つの誓い」で高みを目指す
 169センチの恵まれた体格には、未来への期待が詰まっている。中学時代から自転車に乗り始め、富山・氷見高3年だった2018年インターハイでは、この年から正式種目となった女子500メートルタイムトライアルで準V。鳴り物入りで日本競輪選手養成所へ入所した。卒業記念レースは決勝6着だったが、在校5位でプロの世界へ。8月の西武園、10月の岐阜とすでに2度の優勝歴がある。本格デビューとなった7月の地元・富山では高木真備に続き決勝2着、9月の地元戦でも児玉碧衣に食らい付いて準Vと、上位に伍して戦える力を証明。11月30日から行われた和歌山競輪F2「チャリオンカップ」には小倉「ガールズグランプリトライアル」を走り終えたばかりの小林莉子、成田可菜絵が参戦したが、徹底先行で売り出し中の下条もV候補の1人に挙げられていた。
 とりわけ今回は、勝負駆けの気持ちで臨んだ。来年4月に行われる「ガールズフレッシュクイーン(FQ)」の選考期間が、12月まで。下条はボーダー付近にいるため、年末まで少しでも競走得点の上積みがほしいところ。「やっぱりFQには出たい。9月に名古屋で落車したが、最近体調も戻ってきた。この時期の和歌山は風が強いらしいですが、『行ったもん勝ち』ですよね」と強気のアピール。その言葉通り、初戦も打鐘で先頭に立ったが、番手飛び付きから早めにまくった増茂るるこに沈められて4着。「風がもうちょっと弱かったら掛かったけど、そこが難しいところですね。藤巻(絵里佳)さんの追い上げがなかったら、ペースに入れられたと思う。明日もいつも通り欲張らず、スタイルを変えずに戦いたい」。すると、2戦目は2番手で周回、打鐘で先行態勢を築くと、徐々にピッチを上げていく。3番手から鋭く踏み込んだ小林には屈したが、2着に粘って決勝に進んだ。「(スタートを取った)大谷(杏奈)さんの前に入るか迷ったけど、誰も仕掛けてこなかったし打鐘から踏んだ。昨日の反省は生かせた。まくられても、小林さんを目標にして追いかけられた」と、納得した表情だった。
 決勝は同型の岩崎ゆみこを封じてまたも打鐘先行。直線で末脚を欠き、番手に入っていた小林に踏み込まれて5着に終わったが、自分のレースを貫いたのは価値がある。「10月の松阪のミッドナイトで一緒になった、中嶋(里美)さんと話して、駆け方が変わった。中嶋さんも自力で戦っている人なので、参考になった。先行をしているからといって、自分に力が付いたという実感はない。いずれガールズで打鐘先行といえば下条、のイメージを付けたい。でも、焦らず、落ち着いて、自分らしく。この3本柱でいきたいです」。今は出切るのに脚を使わず、最終ホームでスタンディングしてペースを上げ、押し切るのが勝ちパターン。目先の結果も大事だが、1年後、3年後の自分を確立するために―これからも恐れず風を切る。


和歌山競輪場より