月刊競輪WEB|KEIRIN.JP
直送!競輪場便り
加倉正義 福岡 S級2班
これぞベテランのテクニック!
加倉の老練テクニックに磨きがかかっている。2月の小倉FIシリーズは初日こそ予選を外して敗者戦回りとなったが、そこからは巻き返しの一手を次々と打った。
2日目は林慶次郎マーク。先行した林に続くと、絶妙な車間を切って別線に仕掛けの間合いを取らせない。林の駆け方がうまかったと言えばそれまでだが、じっとにらみを利かす加倉に別線がひるんでいたようにも見えた。差し込みにいったが2着。ただ、すんなり先行の林が相手だったのでこれは仕方がない。
最終日は上田尭弥マーク。鐘前からのカマシに対応し、ホームでは内をすくわれる恐れもあったが難なくいなし、バックからは車間を空ける余裕まであった。最後は楽々と寸前差し。いま、九州地区でもっとも伸び盛りの上田を交したものだから気分もいいはずだ。
林や上田だけではなく、若い自力選手は加倉が後ろにいると気が引き締まるという。それは決してプレッシャーではなく、しっかりと先手を取り自分の持ち場をまっとうすれば、あとはすべて仕事をしてくれるから、だという。
 以前に林は「加倉さんは何でもしてくれるのでこっちも思い切って先行できるし、しなきゃいけないという気持ちになる」と話していた。加倉は若手を乗せる走りができるのだ。 とはいえ、年齢を重ね調子の波をキープする難しさがあるという。
「僕らの年齢って、急激に成績や体の具合が落ちることはあっても急激に上向くことはない。その上向きもどうかってところ。だから普段から意識するのは、今後長くやるために下がる幅を狭める練習や体調管理ですね」
そう話すが、前期はS級1班の点数を取る事を目指し、取れそうな位置まで点数を押し上げるなど、ベテランはまだまだどん欲で元気いっぱいだ。今年の5月で50歳を迎えるが、「60歳までは走りたい」と常日頃から口にする加倉にとっては単なる通過点に過ぎない。


小倉競輪場より