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清水裕友 山口 S級S班
漢の走り

性格からなのか、ネガティブな発言が多かった清水裕友だが、大宮記念が終わり、川崎の全日本選抜から急に変わった。それまでは「軽い下痢気味」、「車の出が悪い」、「俺の実力はこんなもん…」など、勝っても大きな事は言わなかった。そこが盟友・松浦悠士との違い。ただ、全日本選抜の前検日は「練習の手応えもあったし、今回はかなり仕上がっている。自分でも楽しみ」と、いつになく自信ある表情で我々の前に現れた。これは、何か心境の変化があったのかもしれない。詳しく、本人に確認出来なかったのだが、決勝こそ不発だったが、川崎全日本選抜は超抜の動きだった。松浦でさえ、「今回の裕友のデキでは、俺が前だと邪魔になるだけ」と、言わしめたほどだった。
玉野記念in広島でも、松浦とのタッグで全国のファンを沸かせた。「俺と松浦さんの関係で言えば、本当は前を回った方が1着を取るのがベスト。ただ、どうしても、後ろを回った方が成績は良い。だから、全日本選抜の準決で、松浦さんに差されずのワンツーは嬉しかった。あれは快心のレース」。 基本的に、この2人の前後はシリーズで変える事はない。玉野記念は異例のケースだった。「初日特選は、松浦さんがホームバンクの記念だし脚を試したいと言ったから前回り。その前後を決める段階で、決勝に乗った時は俺が前と決めてあった」。 そして、その決勝戦は中四国地区から5人乗り並びが注目された。結果は清水に松浦。太田竜馬に取鳥雄吾、岩津裕介に分かれた。もし、中国結束の時は清水、取鳥、松浦、岩津と、オフレコにしたい様な事を清水は僕らに話してくれた。 準決でも、本当は太田竜馬に競り覚悟で行きたかったが、自力を選択。松浦にも相談に行き「俺なら競る」と言われた様だが、地元記念の柏野の顔を立てた。最終的に太田の番手を大坪功一に手渡したが「まだ頭に血が上っています!」と書いて下さいと、感情をむき出しにした。
競輪の魅力は人間臭さだし、共鳴できるコメントだった。何か、ファンの人にも、清水に惹かれて欲しいのは、この部分。 決勝が終わって「また、2段駆けにやられた…。全日本選抜の郡司浩平さんもそうだし、いつもこれが負けパターン(苦笑)。力勝負をやりたいと思っているけど、少し考えないと。でも、取鳥君の成長とか、中四国の地区のレベルアップを肌で感じた大会で楽しかった。そして、松浦さんの優勝にも少しは貢献出来たので」。 脇本雄太や新田祐大が戻ってくるまでは、清水と松浦の連係は競輪界で一番のブランド。漢の走りをやるのが清水の魅力であるし、精神的なたくましさも加わり、更に人気は上昇するだろう。


玉野in広島競輪場より