月刊競輪WEB|KEIRIN.JP
直送!競輪場便り
川藤幸大 熊本 A級3班
待望の初勝利から飛躍を狙う
中学、高校とバレーボールに明け暮れた川藤幸大。父は川藤康雄(65期、2013年引退)の元競輪選手で2世レーサーのひとりだ。競輪選手を目指すきっかけは、意外にも父の進めではなかった。「バレーボールをやっていたが、プロになることは難しかった。そんな時に通っていたジムのトレーナーに競輪学校の受験を進められた」。
以降は幾度と競輪学校入所への試験に挑戦した。最初はバレーボールで鍛えた跳躍力を垂直跳び試験に生かすことも考えて適正試験突破を目指した。しかし、背筋力の試験に苦戦して4回の適正試験受験は失敗に終わった。その後は元競輪選手の父に協力を仰ぎ、最後は技能試験を一回で突破して競輪選手への道を掴んだ。
競輪学校時代の在校成績は70人中62位と下から数えた方が早い。1着はおろか、2着1回、3着3回と苦い思い出であることは間違いない。デビュー後もなかなか調子が上がらず、活躍する同期とは大きく突き放された。そんな矢先の今年の9月に、地元の熊本バンクで練習中に落車し、左鎖骨を負傷した。「バイクに引っ張ってもらって、スピードの乗っていた4角で前輪のタイヤが外れた。その瞬間以降の落車したことろからの記憶はない。気づいた時には病院のベッドで寝ていた」。結果がなかなか出なかった時期でもあり、目が覚めた時には選手を辞めることも考えたという。しかし、次の日には復帰に向けてトレーニングのスケジュールを考えていたと振り返る。
約2カ月の長期欠場を余儀なくされたが、けがも順調に回復し12月10日の別府競輪場にて再出発。初戦は踏まされる展開になり大敗を喫したが、翌日の一般戦では待望の初勝利を挙げた。「年内に決めたいとは思っていたが、こんなに早く1着が取れるとは思っていなかった」。レース内容としてはラインで決着とはならず悔しそうな表情も見せたが、ほっとした表情で笑顔も見られた。これでいつも厳しく応援してくれている父にもよろこんでもらえるだろう。「活躍する同期へすぐに追いつくことは無理。それでもいつかはS級で戦えるようになれれば」と、この1勝を機に着々と次なるステージを目指す。


別府競輪場より