特定の選手にスポットライトをあて、1年を通してインタビューしていく新感覚連載「トップランナー」。その記念すべき第1号選手・脇本雄太選手の第2弾。前回のインタビューから3ヶ月。その間に近畿でのビッグレースが続き、本人も並々ならぬ覚悟と決意を持って臨んだものの、結果は共に準決勝敗退。前半戦はまさかのビッグ優出0という結果に終わってしまったが、果たして、後半戦の巻き返しはあるのだろうか─。
後半戦のビッグレースは全て優出するくらいのつもりで!
気が付けば、もう6月も終了し、2013年の前半戦が終了した。4月の時点で脇本は「思っていた成績を残せなかった」と3月までの3ヶ月間を振り返ったが、そこから3ヶ月が経った今、自身の前半戦について、「自分自身、少しずつですけど成長はしてるのかなっていう感じはあるんですけど、それに対して結果が付いてこないというか。正直、モヤモヤしたものがあった」と語る。事実、FIでは3度の優勝があるものの、ことビッグレースに関しては目立った成績を残せずに終わってしまった。とくに、地元開催となった共同通信社杯、岸和田で開催された高松宮記念杯と、近畿のビッグレース2連戦では共に準決勝敗退してしまった。
「もちろん、近畿でビッグレースが続くっていうのはそうそうあることじゃないですし、まして、そのうちの1開催は地元ですからね。地元でのビッグレースなんて、この先選手を続けていく上であと何回あるか分からない中で、そのチャンスをモノにしたいっていう気持は強かったんですけど…」
これまで福井のエースは長きに渡って市田佳寿浩が張ってきた。しかし、その市田が3月のいわき平記念での落車の影響により長期欠場を余儀なくされ、「地元エース」の看板は脇本に託された。
「今までは地元の記念やビッグレースでは必ず市田さんと一緒だったので、自分が地元のエースっていう経験がなかったし、かなりのプレッシャーでしたよ。プレッシャーを感じるということは、それだけ地元ファンや関係者の方に期待されていたっていうことの裏返しでもある訳で、決勝に乗れなかったことで、その期待に応えられなかったのはすごく悔しかったです。ただ、前向きに考えれば、そういう強いプレッシャーの中で走るっていう『経験』をすることが出来たので、それはこれからの僕の競輪人生においてはかなりのプラスになったんじゃないのかなと思います。精神的にだいぶ成長できたと思いますし」
悔しさが全くない訳ではないが、その悔しさを糧とし、しっかりと前を向く。それでも、昨年4度のビッグレース優出を果たしたトップ選手の不調を心配するファンは多い。
「ビッグレースで1度も優勝できなかったことに関しては、さすがに焦りは感じますよね(苦笑)。昨年はけっこう(ビッグの決勝に)乗ってましたし、前半戦でせめて1回くらいは乗っておきたかったっていうのが正直なところですね。それがほとんど準決勝で敗退してしまいましたから…。やっぱり、ビックレースの決勝に乗れていないっていう気持ちの焦りが仕掛けにも影響してしまった部分が多少はあったのかなと。このままだと、どんどん悪い方向に進んでしまいかねないので、(ビッグの決勝に)乗るんだという強い気持ちはしっかりと持ちつつ、その中でもしっかりと冷静に組み立てられる様にしていきたいですね」
そう語り、後半戦での巻き返しを誓う脇本。後半戦最初のGIは弥彦競輪場で7月12日から開催される寬仁親王牌。2010年にGI初出場で初優出を果たした思い出の開催から脇本の快進撃がスタートする。
「まずは、7月に寬仁親王牌があるので、そこに向けて体を仕上げることが当面の目標っていうことになりますね。その上で、とにかく後半戦はビッグレースの決勝に乗るっていうことですよね。そういう意味でも、後半戦最初のGIでもある寬仁親王牌で勢いを付けたいっていうのもあるので、すごく大事な開催にはなりそうかなと。それに、そろそろグランプリ出場権をかけた賞金ランキングも気になりはじめる頃ですし。その為にも、これからのビッグレースは全て決勝に乗るくらいのつもりで臨んでいかないとダメだと思うので。やっぱり、去年、ああいう形(賞金獲得額10位)でグランプリ出場を逃してしまったので、今年こそはっていうのがありますから」
昨年果たせなかった大きな夢、グランプリ出場。その為にはGIタイトル奪取が最も明確な方法であることには変わりはないが、獲得賞金額での出場権奪取も立派な方法の1つ。タイトル奪取でグランプリに出場するにせよ、獲得賞金で出場するにせよ、後半戦のビッグレースはコンスタントに優出することが絶対条件。その為の準備(練習)も抜かりはない。
「練習に関しては、合宿を踏まえて色々と考えながらやっていますね。地元で練習するだけじゃなくて、環境を変えるっていうこともしながらね。この間は京都まで行って村上(義弘)さんたちと一緒に練習もしましたし。そうやってすごく刺激のある練習も出来ていますし、市田さんが8月に復帰する予定みたいで、寬仁親王牌が終わった後に一緒に合宿をしようっていう計画を立てているところで、また市田さんと一緒に練習することも大きな刺激になるんじゃないのかなと。なので、後半戦は自分の中で楽しみな部分がかなりありますね」
市田の復活という朗報も加わり、ますます加速していくであろう「ワッキートレイン」。ファンの期待を乗せて夢の超特急が競輪界を駆け抜ける。
「スタイル的には今までと変わらず、先行主体の組み立ての中で、結果を残すべきところでは、しっかりと勝ちを意識してファンの皆さんの期待に応えていきたいと思います。前半戦は車券的にもだいぶ迷惑をかけてしまったと思うので(苦笑)、後半戦は1つでも多く1着を取れる様に頑張りますので、応援よろしくお願いします」