インタビュー

 高松宮記念杯競輪で、2013年日本選手以来2年振りにGI決勝に乗った佐藤慎太郎選手。高松宮記念杯競輪直前の宇都宮記念でも優勝し、好調だ。
その好調の理由と、今後目指していきたいことを語ってもらった。
「ギアが軽い方が練習の成果を出せる気はしますね」
-宇都宮記念優勝と2年ぶりのGI決勝と続いていますが、近況の調子はいかがでしょうか?
「練習もいい感じで出来ていますし、調子は上がってきていますね」
-今年からギア規制されましたが、その影響は?
「やはりギアが軽い方が練習の成果を出せる気はしますね。自分が仕上げていけば、それだけレースで成果が出せるって感じです。ギアが重い時はどれだけ自分が調子よくても展開に左右されることが大半だったので、それが、ギアが軽くなって、ある程度、展開が不利になっても自分の調子がよければ突っ込むタイミングだったり、チャンスがありますからね」
-見ていても、いい感じで動いていますよね。
「そうですね、大ギアの競輪時はスピードが出過ぎていて追走技術がどうのっというのじゃなかったんで。そうじゃなくて、ある程度、技術であったりとかそういうものが活きてくる競輪に戻ったのかなと思います」
-競輪らしい競輪になりつつある感じですね。
「競輪らしいというのはそれぞれ感じ方があると思いますけど、僕にとってはよかったかなと思います」
-佐藤選手といえば、東日本大震災があって、そこから今までは振り返ってどうでしたか?
「それまでのリズムがガラっと変わったので、練習環境もそうですし、今まで競輪だけに集中してやってきていたことが、他のことも考えながらっていう、最初の頃はそんな感じでしたね。その中でどうやって対応していくかってことだと思っています」
-そこが噛み合って、今は問題なく出来ている感じですか。
「そうですね、でも、震災がどうのっていうよりも、大ギアの影響が大きかったですね。大ギアの時はちょっと展開待ちみたいなところがあって、練習のモチベーションもあがりにくかったですね。心のどこかに展開待ちだよねみたいな感じがあるので、ちょっと仕上げていってもみたいなのが、どこかにあったんですよ、たぶん。意識しているわけではないけど、そういうところあったのかなと今思うとあります。
 こちらのラインが先行してくれても、一発カマシが決まってしまったり、捲ってきたら、それを止めてっていうのは難しかったですからね、止められないスピードで来るので。そうするとやっぱり展開待ちみたいになってしまって、他力本願ではないですけど、自分の力だけではどうにも出来ないのかなと諦めみたいなのもありましたね。それが、ギアが軽くなったことによって、自分次第でどうにでも出来るレース形態になったので、良かったかなと思います」
-それが今の成績に反映しているんですね。
「今までずっと自分は気持ちで走ってきたので、練習で気持ちが入らないと、当然、レースでも気持ちが入らないので。気持ちを入れて、練習出来るようになったのが一番大きいと思います」
「お客さんに『いいレースだった』と言ってもらえるレースがしたいです」
-佐藤慎太郎選手にとって、戦うモチベーションとは何ですか?
「やはり、お客さんに見てもらいたいってことですよね! 普段、トレーニングしているのは当たり前のことなんで、それを応援してくれる人たちにお披露目する場所ですから、競輪というのは。だからこそ、気が抜けないですね」
-それが自分のモチベーション、プラス、パワーになるわけですね。
「そうですね。勝ち負けというより『いいレースだったな』って言ってくれる人がいるんですよ。競輪に詳しい方が、深いところまで見てくれて、そういう人に『あの時の走りはよかったよ』って評価して欲しいです」
-競輪は深いところまで見ないとつまらない競技ですよね。
「そうですよね。ただ1着を取ればいいのであればサイコロと同じになってしまいますからね。よくレースを見てくれるコアなファンに向けて、レースが出来ていけばいいかなと思います」
-では、話は変わって、今、佐藤選手から見た北日本の雰囲気はどうですか?
「自力でタイトルを獲れる力を持っている選手も多いですし、ここに来て、追い込み選手とのバランスがもう少し、もうちょっと後ろが、力とか発言力だったりをしっかりすることによって、もっといいラインになると思うんですよね。お互いに力を高めていって、自力形は完璧なので、追い込み選手の方も全体的に頑張っていけたらいいかなと思います」
-そうですね、きっちり仕事が出来る選手が番手を回ると、さらに強いラインになりますね。
「そうですね。地区的に、どちらに力があるというか発言力があるかは地区ごとに違うと思うんですよね。自力が後ろを『連れて行ってやっているんだよ』っていうよりは、『この選手がついてくれるんだから、頑張らなきゃいけないな』ってなるくらい追い込み屋が頑張っていって、格をあげていって、存在感を示していかないといけないなと思います。口だけで色々と言うよりも、レースの中できっちり仕事をしながら、追い込み形として内容のあるレースを見せながらいかなくてはいけないと思うんですよね」
-その力を見せるためには、先行選手、追い込み選手お互いにいい競走をしなくてはならない?
「そこはやっぱりお互いの信頼関係だし、どっちが先かって話になりますけど、先行するためには追い込み屋がしっかり仕事しなきゃいけないわけだし、先行選手も主導権を取ってくれれば、後ろの選手も仕事するし、先行してくれてはじめてその場が与えられるわけだから。ただ、一緒に連携するレースじゃなくて、他のレースもあるわけで、追い込み選手がどういう走りをしているか先行選手も見ているし、お互いにお互いを高めていければいいなと思います」
-では、最後にファンにひと言お願いします。
「ずっと、成績がよくない時も応援してくれた、長く応援してくれるファンもいっぱいいるので、そういう人たちにタイトルを獲る姿を見せたいですね! それが応援してくれる人への恩返しだと思うし、リップサービスは得意だけど(笑)、表彰台に乗って、もう1本獲りたいですね!」