インタビュー

競輪が楽しい! 自転車が楽しい!
1着を獲りたい! それが新田康仁の原動力だ。
「出来ることならずっと現役を続けたい」そう言えるほど深い新田の競輪愛について話してもらった。
まだまだGIタイトルは諦めない。
-選手になろうと思った理由はどのようなことでしたか?
「なんとなくプロスポーツ選手への憧れがあったからかな。なんとなく競輪学校を受けたら受かって、なんとなくデビューしたんだけど、プロになってみていろいろ厳しい部分とか、背負っているもの、お客さんにお金を賭けていただいているわけだし、中途半端な気持ちじゃダメだなというのに選手になってから気づきました。自分が走ることがどれだけ重いことかということに」
-その時の競輪学校は入るのに大変な時だったのでは?
「その時の倍率は10倍ぐらいだったかな。でも、すぐタイム出たんで、学校に受かったんですよ」
-学校生活は楽しかったですか?
「学校は楽しかったな。自転車も楽しかったし、自転車って面白いと思いました。もう楽しくてしょうがなかった、自転車が」
-74期はどのような期でした?
「静岡の選手が8人ぐらいいて、みんな仲良かったし、楽しい学校生活だったかな。生活環境とかは厳しいけど、それ以上に自転車も楽しかったし、レースも楽しかったし、みんなとも仲良かったから楽しかった思い出の方が多いですね」
-デビュー当時はどうでしたか?
「自分たちの時は新人リーグがあったから、最初に新人リーグを走りました。そこは学校時代にみんなで走っているから、なんとなく相手の事がわかるから普通に走れたけど、本格的にデビューしたら、相手がどう動くかとかよくわからないし、そういうので、勝てないとかいろいろあって。その時は(競輪選手に)なんとなくなっていたけど、負けることが悔しかったから、そこでいろいろ考え出したんです。
自分にお金を賭けられているし、車券に絡まなければとか、そういう部分で自覚が出てきたというか。ヤバい世界に足を突っ込んじゃったなと思いました。けど競輪は楽しいから、やっぱり負けたくないからということで、ずっと、何したらいいか、どういうことをやればいいか、強くなるかとか考えていました。いろんなことを考えてやっていましたねその時は。今もそうですけど。
厳しい世界だなって自覚が出てきて、勝てなくて負けたくない、じゃあどうしようかなって、ずうっとやっているから23年ぐらいずうっとやっている感じ。まだわからないもの何が正解かなんて。
…負けたくないという気持ちが原点かな」
-負けたくないという気持ちはぶれることはありませんか?
「そう、負けたくない。戦法もいろいろ変わってきているし、その中でも1着とりたい。1着をとったら気持ち良いし、お客さんも喜んでくれるし。頑張れば1着取れるし。こんなに良い仕事ないよ!」
-24年の前の自分の選択は間違っていなかった?
「間違っていなかった。やばいなと思ったけど、それが楽しいから今までやってこれているのかな」
-印象に残っているレースはありますか?
「これといってないんだけど、唯一あるとしたら、完全に自力をやめたわけじゃないけど、今、人の後ろを回ることが多くて。同地区で自力の選手がいればやっぱり後ろに付かなくてはいけなくなってしまうけど、だからと言って別線でとかで、若い芽とか摘みたくないし、じゃあ分かったって、後ろを回るんだけど。
自分がデビューしたばっかりの頃、作戦会議をしたときに、その時はバリ先(徹底先行)だったから、後ろについてくれる人に先行で行きますっていうと、『分かった。あとは任せておけ。絶対止めてやるから』と言ってくれた選手がいたの。それを聞いた時に凄く気合が入ったの「よっしゃ絶対先行してやる」って。で、今、逆の立場で後ろを回る時は、前の選手が先行する、先行で組み立てていくというのであれば「よし分かった、あとは全部俺が止めるから」って言うようにしているの。その時俺が凄く気合が入ったから、その選手も気合が入るかなと思うし、言うからにはやらなきゃいけないから自分も。言った手前、しっかり止めなきゃという気持ちで、自分でも気持ちを高ぶらせるために言うようにしている。出来る出来ないは別として、やらなきゃ出来るようにはならないし、そういうことを言うことによって、しっかりやらなきゃって、先行してくれた人を活かすために、他のラインを止めにいってやらなくちゃなって気持ちでやっていることかな」
-静岡の看板としてのプレッシャーありますか?
「全然ないよ。俺は負けたくないと思っているだけだから。だからふざけられないよね。他の選手の手本にはなるようにしているけど、だからと言ってプレッシャーとかないし、ただ自分がやることをやっているだけだから」
-本命が付いたときのプレッシャーはありますか?
「プレッシャーはないけど気合は入るよ。地元は本命になるし。負けられないなって気持ちで走って、それは別にプレッシャーではなくて、気合になる」
-優勝したサマーナイトフェスティバルはいかがでしたか?
「まあね、あれはおまけみたいなものだから。一応、ビッグで嬉しいけど、そこじゃないでしょう。やっぱりGIIだから。祝勝会もやらなかったし。あの辺の頃、20代後半って(GIタイトル)いつでも獲れると思っていたの。だから、スタイルに拘っていった部分も大きかったし、それを取り外して、自在性を出してきた頃から、もういつでも獲れるなって感じだったので。取りこぼしているけど(苦笑)。その中で唯一ピョコっておまけみたいに獲れた感じだから。こう、嬉しいけど、そこじゃないでしょうって感じです」
-悔しくて覚えているレースはあります?
「ないかな…。基本、競輪場を出ると忘れちゃうんだよ全部。次、次って感じで。覚えてないことの方が多いですね」
-今の目標を教えてください。
「まだ俺もGI諦めてないからGIの優勝だね。色々、沢山、怪我してしまって、なんかうまくかみ合わないけど、いつまでも怪我のせいにしてられないし。諦めてはいないから今の体の状態で、ベストを尽くして、獲れる状態になれるかというのを常に考えています」
-新田選手は大きな怪我からの復帰というイメージがすごくありますが、今までで一番苦しかった怪我ってどれでしたか?
「骨盤でしょう。ちょっとひどかった。歩く練習から始めたからさ。歩けないんだもん。立てなかったんだから」
-怪我から復帰するときのモチベーションとは?
「んー競輪を早く走りたいという感じですね、大好きだから。早く競輪走りたい、自転車に乗りたいだな。本当に好きなんだよね競輪とか、自転車が。ズーッとやっていたもん。70歳ぐらいまで。苦しいんだけど…やりたいんだよね。ズーッと競輪やってたい」
-ファンにメッセージを
「怪我でいろいろこんなもんじゃない部分がいっぱいあって、お客さんに迷惑ばっかりかけちゃっているからしっかり、また前みたいに1着いっぱい獲れるように頑張ります」