インタビュー

2012年7月にデビューしてから、破竹の勢いで活躍しGI出場に定着した三谷竜生。第24回寬仁親王牌の準決勝では、勝負どころで武田豊樹に競り勝つなど、自力だけではなく、ヨコでも強い印象を周囲に与えた。今の目標についてや、兄弟への想いを語ってもらった。
タテにもヨコにも強い三谷を見せた第24回寬仁親王牌準決勝戦

武田を決めて3番手を取りきった三谷。
「準決勝は、打鐘で一旦前に出ようと思ったんですけど、前が思ったよりも踏んで(3番手にいた)武田(豊樹)さんが少し遅れていた感じがあったので、そこに入るしかないなと思って勝負しただけです。武田さんに勝負しにいったというより、そこが勝負どころだったので、そこでしっかり負けへんように思っていきました」
 第24回寬仁親王牌の準決勝のレースを、三谷竜生はそう振り返った。
 残り2周から高橋陽介が上昇し、それを追うように三谷も車を上げた。打鐘で三谷が前に出ようとするが、高橋も駆けられてしまったので、最終ホームでは三谷は武田を決め、3番手を取り切った。中川誠一郎が最終バックで捲ってくると、それに合わせて三谷は捲って出ようとするが、その内を武田がすくわれてしまい後方へ。最終4コーナーの落車に巻き込まれてしまったが、武田を決めたあの動きは、周りに強いインパクトを残したレースだったと言えるだろう。
「自分のタイミングでいけたので何とかいけたかなと思います。けど、あそこで武田さんに勝てたのは、ちょっと自信ではないですけど、その、これからもやっていけるのかなっていうか、こういうことも出来るのかなっていう風には思いました。落車のケガは、骨折とかはしてないので大丈夫です」
 三谷に一番印象に残っているレースをあげてもらうと、この一戦をあげてくれた。
「やっぱりあの親王牌の準決勝というのは、今までのGIの準決勝の中で一番戦えたかなという感じがあるので、最近の中では一番印象に残っていますね。
 でも、(位置を取り切った)その後がちょっと焦ってしまったので、そこは経験不足かなと思います」
 あのレースの後、周りからはどんな風に言われたのだろうか。
「『(僕の)一つの武器にはなるな』というのと、『それに頼り過ぎないで自力を出して、大切な場面でそういうところも出せたらいいな』みたいなことは言われました」
 2012年7月に向日町競輪場で、完全優勝でデビューした三谷。9月にはA級2班にすぐに特班、2013年1月にはS級2班に特進している。
 デビューからここまでを振り返ると長かったか、それとも短かったのだろうか聞くと
「短かったですね。すぐに経ってしまった感じですね」
 と答えてくれた。2013年のヤンググランプリ、2014年2月に全日本選抜に出場すると、その後、あっという間にGI定着した。同期の中でも、出世はダントツに早い。他の選手より濃い分、短く感じているのではないだろうか。
 三谷にとってGIという舞台はどのようなものなのだろうか。
「…やはり難しいですね。出ている選手のレベルも高いので、自分のしたいレースも簡単には出来ないですし、難しい部分はありますけど、徐々に準決勝には何回か乗れているので、あともう少し何かあればいけそうかなと思っています」
 今、強化したいところは、
「やっぱり上のレースになると、上がりタイムとかもいいので、自分もトップスピードをあげて、いいタイムであがれるように強化したいですね」
 自力でも強く、ヨコでも強い三谷、彼がこれからどんな選手を目指すのか気になる人も多いだろう。
「まだ若いので、しっかり自力を出して、駈けられる時はしっかり駈けて、先行で逃げ切れたら一番いいですけど、もし、先行できなくても勝負どころではしっかり前々に踏んでいけるようにしたいですね」
 ヨコの強さは、追い込み選手のお兄さんら(長男・政史、次男・将太)に教わったのだろうか。
「どうですかね(笑)。練習では、そこまでやってないですけど。ヨコへの怖さはないので、…難しいですけどね。競走中は怖さを忘れるっていうか、そういう風にはなりますけど、落車はない方がいいですから」
 特別の検車場でも兄弟仲良く話しているところをよく見る。兄弟への気持ちも語ってもらった。
「戦法が違うので、そんなに言えないですけど、やっぱり一緒には走りたいですね。3人ともGIに出たいので、一番上の兄貴はもうちょっとGIの舞台に来て欲しいというのはありますし、真ん中の兄貴は一緒に勝ちあがれるように、最近は常にGIで一緒なので、その辺は2人とも意識しています」
 GI決勝で一緒に走ること?
「そうですね。それが一番目標というか、兄弟でやっているんやったら、一緒に走りたいですし、それが当たり前になるようになりたいです。兄弟だからこそ一緒に走りたいという気持ちはありますね」
 今後の目標を聞くと、きっぱりとGIの決勝と言い切ってくれた。
「GIには何回か出させてもらって準決勝は3回くらい乗っているので、次はしっかり決勝に乗りたいですね」
 強い気持ちで臨んでいく三谷。GIの台風の目になる彼の走りに期待が高まる。
「これからも積極的なレースをするので、応援よろしくお願いします!」
三谷竜生 (みたに りゅうき)
1987年9月5日生まれ。身長168cm、体重77.1kg。今の練習方法は「兄弟でやることが多いですね。夏はだいたいしらびそ高原で、愛知の深谷(知広)君や金子(貴志)さんとかと、よく合宿に行っています」