インタビュー

松戸競輪場で行われた第58回オールスター競輪が初GI出場で、存在感のあるレースを見せた野原雅也。近畿から、また特別競輪をにぎわせてくれそうな期待の先行選手が誕生しそうだ。その野原に次なる目標、そして、その意気込みを聞いた。
ブレイクスルー間近の野原に注目!
「やはり雰囲気も違うし、走るレース1つ、1つのレベルが高いので、すごい勉強になりました」
 オールスターの感想を聞くと、野原雅也はそう答えてくれた。

 1戦目の一次予選は、赤板前から先行した近藤隆司を、野原は後方8番手から一気に叩いた。最終4コーナーまで粘ったが、直線で菅田壱道に捲り追い込まれてしまった。
 2戦目は、残り2周前から前に出て先行し、そのまま逃げ切り。番手の南修二が2着で、きっちり近畿ワンツーを決めた。
 3戦目も早目からド先行を見せた。3番手から捲ってくる芦澤大輔に合わせて、番手から古性優作が捲っていき、古性が1着を取った。
 最終戦は、脇本雄太の前で、このレースでも果敢な先行を見せた。脇本は捲ってくる根田空史に合わせて最終ホームから発進し、きっちり1着入線を果たした。
 初GIで初勝利をあげた野原、2戦目を振り返ってもらうと
「展開もよかったし、後ろの南さんが仕事してくれたので、1着取れたって感じでした」
 と謙虚な答えが返ってきた。
 そんな野原に5日間で、印象に残っているレースを聞くと、「ないかな」と悩んだ末に最終日をあげてくれた。
「すごく緊張しましたね(笑)」
 やはり同県の先輩、しかも競輪界でもトップクラスの先行選手である脇本に前を任されたのだ。その緊張感は想像に難くない。
 野原は、今年に入って共同通信社杯、オールスターと2つのビッグレースに出場している。
「共同の時は、ケガ明けで全然走れていなかったですね。前回の共同通信社杯でボコボコにやられて、すごく落ち込んだりとか色々ありましたけど、オールスターでは共同通信社杯の時よりかは勝負できたかなというイメージですかね」
 共同通信社杯は成績を見ると9着9着6着8着…、果敢に攻めた結果だが、悔しさが胸にうずまいたそうだ。それをオールスターで少し払拭できたことだろう。
 大きな舞台を経験して、今、見えてきた課題はあるのだろうか。
「とりあえず脚力がないなっていうことと、レースの組み立ても幅が少ないというか、引き出しがないっていうかですね」
 理想のスタイルや戦法は?
「逃げて勝てたらいいなと思うんですけど」
 捲っても強いが、先行を基本にレースを考えるそうだ。
「どちらかというと距離が短い方が得意なので自分はそんなに地脚はないなと思います。
 基本は先行で組み立てて、捲りで組み立てる時もあるんですけど、なるべくは先行でいきたいと思っています」
 特別競輪にいくと近畿の選手は、自力は、先行に強い意思を持っていかないと認めてもらえない感じがある。
「近畿は厳しいというか、だからこそ、若手が出てくるのかなというような気がします」
 最近の野原選手のベストレースをあげてもらうと「ないですね」と言われてしまったが、そう言わずにと、選んでもらったのが、この開催だった。
「そうですね…、福井記念の時なんかは、身体も気持ちもしっかり出来ていたなって気はしますけど」
 それは地元だという気持ちが強かったからだろうか。
「いつも同じような気持ちで走っているつもりなんですけど、走り慣れていたりとか、そのおかげで踏んでいくと休んだりとかが出来るんじゃないかと思います」
 野原の目標を教えてもらった。
「今年の年末のヤンググランプリに出て、頑張りたいと思うくらいですかね」
 昨年のヤンググランプリは残り2周前から果敢に先行していったが、三谷竜生と連係が離れてしまった。やはり悔しかったのだろうか。
「昨年は昨年でレース自体に後悔はないんですけど…、もっと上手いこと出来たらなって考えたりはしますけどね」
 今年は優勝を狙っていくのだろう。
「近畿から3人乗れそうですけど、でも、まだどうするかとか並ぶかとか全然話してないので」
 野原にライバルと思う選手をあげてもらう。
「自分と同じ期の人とか、後輩回生でも自分より強い人が出てくるのは刺激になるので、負けたくないなっていうのはありますね」
 今年のヤンググランプリでは、103期の出られる最後のヤンググランプリになる。今は頑張るという表現だが、年末が近づくにつれ、同期に後輩期生に負けたくないという気持ちが強くなり、それをレースで爆発させて欲しい。

「これからも頑張っていきますので、応援よろしくお願いします」
 これから野原がどう成長していくか、今後が楽しみだ。
野原雅也 (のはら・まさや)
1994年1月23日生まれ。身長166.2cm、体重66.0kg。最近の練習方法は「普通ですね。街道に行ったり、もがいたり、バンクに入ってもがいたりしています。基本、最近は1人が多いですね」