インタビュー

吉田拓矢が9月弥彦、10月宇都宮、10月松戸で完全優勝を果たし、デビューから約3ヶ月でS級に特進を果たした。
ここでスタートラインに立てたと、さらにグっと力が入ったという吉田。目標に向かって進んでいく吉田は、これから競輪界の台風の目になっていきそうだ。
先行で力をつけて、上を目指していきたいと自分の中で思っています!!
-S級へ特進おめでとうございます。
「ありがとうございます」
-特進を決めた今の心境は?
「茨城の先輩たちからも『これで、ようやくスタートラインに立てたんだから、これから頑張れ!』って言っていただいたので、より気持ちが引き締まった感じですね」
-その先輩は誰ですか?
「牛山貴広さんです。前から早くS級で走ろうって、鈴木謙太郎さんや吉澤純平さんからも言われていたので、これで一緒のラインに立てたので、頑張りたいと思います!」
-特進のかかった3場所で苦しかったなと思うレースはありましたか?
「弥彦の決勝で、後ろが江連(和洋)さんだったので、江連さんにはその前に立川で差されているし、何とか逃げ切れるようにと思っていました」
-やはり9月立川の2着は悔しかった?
「そうですね、(弥彦も)一瞬、それが頭を過ぎったんですけど、でも、1周半から行って逃げ切れたのは自信になりました」
-吉田選手のレースを見ていると、勝ちパターンに持ち込むというよりも力で押し切っているイメージですね。
「あまりレースが上手くないので(苦笑)」
-作戦はどう立てているんですか?それともレースの流れを見て決めているんですか?
「直感で行こうかなって決めていています。基本的なセオリーは先輩たちから聞いて守るようにしているんですけど、どうしてもレースは思い通りにいかないことが多いので、その辺は直感で行くようにしています」
-警戒されるから大変ですよね。
「後方に置かれるので、ヨコとかがちゃんと出来るようになりたいですけど。A級ならまだ力で勝てるなって思ったので」
-後方に置かれても落ち着いていたんですね。
「はい、落ち着いて走っていました」
-3場所目の松戸は緊張しましたか?
「連日、緊張していて、もう逃げ出したくなるような思いでずっと走っていました(笑)。決勝戦が一番緊張しましたね。初めて夜に寝られないくらい緊張したので、『あぁ、追い込まれているんだな~』って思いました(笑)」
-その緊張を乗り越えたのは大きいですね。
「そうですね。自分的にも成長したなって、ちゃんと力を出し切れたのでよかったと思います」
-決勝戦のレースを振り返っていかがでしたか?
「最悪な展開だったんですけど、結果的に勝てたんでよかったかなって思いますけど、S級ではああゆうレースじゃ通用しないと思うので、もう少し考えながら走らないといけないなと反省もあり、自分を褒めたい部分と反省の気持ちが半々って感じでした」
-行こうとした瞬間に前から同期の堀内俊介選手が出て行きましたが、どうでしたか?
「あの時は無心で踏んでいて何も考えてなくて、でも、2コーナーくらいで勝てるなと思ったんで」
-あの並走の大外を捲るのは、力がないとムリですからね。
「自信を持って走れました。常に自信をもって走ろうと思っています」
-最初のおめでとうって言ってくれたのは堀内選手だったのでは?
「そうですね、レース終わった後にすぐに『おめでとう』って言ってくれたので、すごい優しい人だなって思いました。競輪学校でもクラスが一緒で同部屋だったりして、お互いのことをよく知っている仲で、よくしてもらっていたので、6個上の先輩なんですけど、こうして堀内さんと一緒に走って、特進決められたのですごくよかったですね」
-S級になってワクワクと不安、どちらが大きいですか?
「やっぱりワクワクの方が大きいです。たぶん、今の力ではS級ではまだまだだと思うので、先行で力をつけて、上を目指していきたいと思っているので、もまれて強くなれたらと思っています」
-課題は何ですか?
「ダッシュがあまりないので」
-えぇっ?
「いや、よくダッシュあるって言われるんですけど(笑)、自分じゃ、また違うんじゃないかなと思って、キレのよさのダッシュじゃないなと思うんです。自分的にはトップスピードに乗るまでが遅いんですよ。だから、S級だとスピードが違うので出切るまでが大変かなと思います。けっこうモコモコしちゃうので、徐々に伸びていくんですけども、もっと鋭く出来ればなと思っています。あとはゴール前の粘りですね。S級では(ゴールで)どんどん来ると思うので、もうひと踏み出切る脚を作っていきたいと思います」
-連携したい選手や対戦してみたい選手はいますか?
「連携させていただきたいのは、最終的には武田豊樹選手に前を任せるような選手になりたいです。対戦してみたいのは深谷知広選手ですね。誰もが皆そうだと思うんですけど、この間の大垣記念も優勝していたので、やっぱりすごいなって思いました」
-デビューしてすぐにS級に特進している深谷選手と対比されることも多いのでは?
「いや、あまり言われないですねぇ。もう向こうの方が格上なんで、足元にも及ばないので、目標として走っている感じです。これからもっと練習して、近づけたらと思っています」
-また、武田選手と連携するには上にいかないといけないですね。
「まだまだ力的に走れるような感じではないので、これから、もっともっと練習を頑張って、任してもらえるように頑張りたいと思います」
-話は少し変わって、最近の趣味や癒しの時間は?
「えー、思い浮かばないですね(笑)。うーん、やっぱり欲しいものが買えたりすると嬉しいですよね」
-それはモチベーションにつながりますよね。
「はい。あとは同期の茨城3人で、お互い意識し合って、仲良く、一緒にやっていって、切磋琢磨してやっているので、お互い負けたくないって気持ちが茨城3人(吉田、鈴木竜士、山岸佳太)で、なんというか、けっこう107期の中でも活躍している方なので、お互いがアドバイスし合ったりしているので、ライバルかつ仲間としてやっているので、その辺が負けたくないって気持ちもあるし、3人で盛り上げていきたいって気持ちがあって走れているので、その辺も大きいですね」
-目標は?
「来年、ルーキーチャンピオンレースがあるので、そこで茨城3人で走れると思うので、このままいけば、茨城の中から優勝者が出るように。また、ヤンググランプリにも出れるように頑張りたいと思います」
-最後にファンにメッセージをどうぞ。
「S級にあがって、そこで自分らしい競走が出来るように頑張るので応援よろしくお願いします!」

吉田拓矢(よしだ・たくや)
1995年5月7日生まれ。身長171.5cm、体重73.3kg。松戸(10月26日~28日)で特進を決めたが、決勝戦のゴール後に大きくガッツポーズをしていた吉田「ホッとしたのと、すごい嬉しかったんで、思わず出ました。声援も大きくてありがたかったですね」