小川真太郎が6月にS級特進を決めた。…小川は一度は選手の道をあきらめ、調理師になったが、やはり選手の夢をあきらめられずに107期で競輪学校に入った。今、S級で走っていることが自分でも信じられないと小川は言う。そんな小川だが、レースではゴールまで力を抜かない、力強い先行を見せてくれる。四国に原田研太朗に続く、先行選手が期待出来そうだ!
競走では自分で主導権を取ることしか考えてないです!
-まずS級に特進を決めた心境はいかがでしたか?
「ホッとしました」
-一番緊張したのはどこ?
「レースの前は緊張しているかなと思ったんですけど、レースが始まったら、そこまで緊張していなかったので、自分はそこまで緊張してなかったのかなと思います」
-では、S級を走ってみていかがですか?
「S級を走っている方が緊張しますね~。常に緊張感があるというか、皆強い人ばかりなので。けど、今の方が楽しいです!毎走、毎走いい緊張感を持って走れていると思います」
-競走で心がけていることは?
「先手を取ることですね。もう自分で主導権を取ることしか考えてないです。でも、自分で主導権を取れなかった時にテンパって負けちゃうパターンは多いので(苦笑)。取れるまでの流れも悪いと思うし、ちゃんと脚を使っても主導権を取れるように、男らしいレースが出来るように頑張りたいと思います」
-いやいや、ゴールまであきらめない、小川選手のレースはすごい男らしいと思いますが。
「それを目指して頑張っていますけど、なんか、まだ情けないです」
-小松島記念の最終日、主導権は取れませんでしたが、最後まで果敢なレースでしたね。
「栗山(俊介)さんとやり合うのはわかっていましたけど、ちょっと自分の気持ちが弱かったので、主導権を取り切れなかったので。栗山さんも村上(義弘)さんを連れて、やる気しかなかったと思うんですけど、そこのやる気に負けてしまいました」
-でも、4番手にはまってもすぐに出ていってましたね。
「捲りになるのだけは嫌だったので…。捲りにまわっていたら、いいところまで行けたかもしれないですけど、それでもやっぱり少しでも前に行きたかったので、あきらめたところはみせたくなかったのでムリやり行きました」
-村上義弘選手のヨコまで行った時はどうでしたか?
「村上さんも絶対に出てくるのはわかっていたんですけど、ちょっと汗を感じながら出ていきました(苦笑)。もう吹き飛ばされるくらいの覚悟はしてましたけど、逆に、栗山さんも全開で踏んでいたし、村上さんも番手捲りって形だったので、そこのところはよかったかなと思います」
-ゴールまで力いっぱい踏んでいるのが小川選手のすごいところですよね。
「持ち味が持久力なので、あきらめることなく最後までっていうのが目標で走っています。ゴールまで、やめるところ見せたらお客さんにも悪いし、そういう気持ちはあります」
-どのレースを見ても、1つも途中で踏みやめたレースはないですね。
「そうですね、今までやめたことはないので、9着だろうと思っても最後まで踏むようにはしています」
-その粘り強さも他の選手からしたら、脅威になりますね。
「そうなんですかね。持ち味ではあるんですけど、まだまだ武器になるほどではないと思うので、もっと頑張らないといけないと思います」
-目標を教えてください。
「やはりヤンググランプリに出たいので、それに向けて頑張っています。あとは同期がすでに特別競輪を走っているので、すごいなって思いながら見ていますけど、早く自分もそこで走れるように頑張りたいと思います」
-同期へのライバル心は大きいですか?
「ちょっと前までは何も気にしてなかったんですけど、S級に上がってからは同じ舞台まできたので、どうせだったら、いい勝負が出来るようにしたいと思います」
-実際、ご自身ではどのくらいでS級に上がれると思っていましたか?
「1年半では絶対に上がりたいと思っていたんですけど。A級1、2班戦に特進して、その期でS級の点を取ってっていうのを目標でやっていたんですけど、まさか、自分がS級に特進出来るなんて思っていなかったので」
-それがトントントンって出来ましたね。
「そんな器ではないんですけどね(苦笑)。いやもう、なんというか華々しい選手ではないので。コツコツとやるような地味な感じでいきたかったんですけど(笑)、なんか注目されて変な感じです」
-レースよりも、今の注目度には慣れてないんですね(笑)。
「はい、戸惑うことも多いです」
-小川選手の走りとそのギャップが面白いですね。
「いやいや、全然面白いことないです(笑)。どちらかというと、僕は競輪選手というよりも競輪ファンに近いので、もう競走に行っても『うわぁ、S級S班の人がいる!すごっ!!』とかって思っているので、なんか変な感じがしますね(笑)。今まで競輪をテレビで見ていて、ずっと見てきて、すごいなって思って見てきていたので、急に自分が走る方になってしまって、本当に変な感じがします。小松島記念でも、村上さんと話をさせてもらったりとかして、もう、もう、なんというか自分でも不思議な感じです(笑)」
-最近の練習方法を教えてください。
「デビューしてから全然変わらないんですけど、基本的にはバンク練習ですね。あまり長い距離は乗らないので、サイクリング程度に街道は行くくらいで、街道もがきも最近は少し取り入れています」
-練習仲間は?
「師匠(久米康平)と一緒にすることが多いですね。バンクにいる時は、バンクにいる人たちと練習する形が多いです」
-徳島は今、原田研太朗選手、太田竜馬選手と若い選手が活躍していて、それも刺激になりますか?
「皆で盛り上げようと思って、そういう話をしたりはしているので、もっと皆で活躍出来たらいいなと思っています」
-特別競輪で原田選手たちと一緒に走りたいという気持ちは大きいですか?
「特別競輪で一緒に走れたら最高だなと思うんですけど、その舞台に僕がいかないと話にならないので、まずは僕が特別にいかないといけないなと思います。まぁ、走るだけじゃダメなんですけどね。難しいですけど、目標は特別競輪で勝負出来る選手になりたいです」
-チャレンジすることは楽しめるタイプですか?
「そうですね。今は自分より強い人ばかりなので、すごい楽しいです!」
-最後に、ファンにメッセージをどうぞ。
「最後まであきらめずに頑張るので応援よろしくお願いします」
小川真太郎(おがわ・しんたろう)
1992年6月30日生まれ。身長172㎝、体重77.8㎏。
休みの過ごし方は「マッサージに行ったりとか家でゴロゴロすることが多いんですけど、最近は買い物に行ったりもしますし、あとは、たまに釣りに行ったりもします。自分で魚を釣ってきて、自分で調理するので。この間も、キスを釣ってきて、天ぷらにしました」
自分で調理出来るのもすごいが、しかし、決心して競輪選 手になってよかった?「はい。今、すごく そう思いますね!」