インタビュー

山岸佳太が10月にS級特進を果たした。吉田拓矢、鈴木竜士に続き、茨城・107期の3人目の男がついにS級で走る姿を見せてくれる。レースセンスを感じる走りは、吉田と鈴木とはまた違う魅力のレースで、これからが大いに期待出来る選手だ。
S級戦はやりがいを感じますね!
-特進を果たした心境はいかがでしたか?
「特進は出来ればいいなと思っていたので、素直に嬉しいです」
-特進のかかった3場所は緊張しましたか?
「緊張はしないように、積極的に走ろうと心がけました。いつも通りに走って、特進出来たのはよかったかなと思います」

-S級を走ってみた感想は?
「A級と仕掛けるタイミングが全然違うことを肌で感じて、通用する部分と強化をしなくてはいけない部分がはっきりとわかったので、やりがいがさらに出てくるなって感じました」
-強化したい部分は?
「もう少しトップスピードが必要だし、長い距離も踏めるようにしないと、主導権を握れないかなと思いました」
-目標は?
「学校で瀧澤(正光)校長に『GIを獲るとか、グランプリを優勝しないと意味がないぞ』って言われていたので、そこが最終的な目標なんですけど、来年S級で1年走れるので、まずはFIを優勝出来るようにしたいですね」
-山岸選手は1つ1つステップをあがって強くなるタイプですか?
「うーん、あんまり吉田(拓矢)君とか鈴木(竜士)君とかと違って華があるタイプではないので(笑)、地味にあがっていければいいなと思っています」
-S級に特進していて、そんなことはないと思いますが、でも、そういう同期の存在はプレッシャーになりますか?
「プレッシャーにはなっていないですけど、いい目標じゃないですけど追いかける方が楽なので、そういう高いレベルで戦ってる同期がいるのはありがたいことですね」
-練習は一緒にやっているんですか?
「自分は取手に住んでいないので、鈴木君や吉田君とはあまり一緒に練習しないですね、バンクにいる時は一緒にやるくらいで、あんまり一緒にはやらないですね」
-普段どんな練習をしていますか?
「グループがあるので、グループで街道練習をメインにやっています」
-話は変わって、関東地区プロ(11月8日開催)では何に出場するんですか?
「団抜きです。メンバーは吉田と杉森(輝大)さんと河野通孝さんと自分です。皆、S級で強いので、しっかりついていかなきゃいけないんですけど」
-いいメンバーですね。
「地区プロで優勝して、全プロで3位以上に入賞しないと、寬仁親王牌世界選手権記念トーナメントに出れないので。でも、そこが一番の近道かもしれないので、それを目標に頑張ります」
(※関東地区プロ、団体追い抜き・茨城チームが優勝)
-いえ、山岸さんはすぐにビッグレースに出れるようになりそうな気がしますけど。
「そう言ってもらえればありがたいですけど、周りの評価も色々あるので、先行主体でいきたいけど、先行で勝てるかは別だと思いますし、年もそんなに若くないので。追い込みにはまだまだならないけど、ある程度、捲りとか色々出来る選手になりたいですね」
-捲りの方が得意ですか?
「いえ、捲りの方が得意ではないんですけど、たまたまというかタイミングを見る方が好きなので、相手がここは流しているとか流したいとかそういうのがわかるし、そこを目がけて行くようにして、捲りが決まっているだけで。基本的には先行主体で組み立てていけるのが一番強いのかなと思うので、あまり捲りではいきたくはないんですけど」
-話を聞いていて思うのは、山岸選手はレースが上手いタイプなんですね。
「いえ、脚がない分、そういうところでカバーしていかないといけないなと思っています(笑)。
競輪を見るのが好きなので、強い選手がどこで仕掛けているとか、そういうところを見るようにしていたので。この間の平塚FIの予選はいい内容じゃなかったけど、S級の強い選手を見ていると、後手に回っても4コーナーで仕掛けているので、そこから踏んでいれば捲りが出るっていうイメージあったので。やはり勉強するのが一番いいなって思いました」
-いえ、その競走センスはこれから楽しみですね。
「もう少しパワーもほしいですね。もちろん脚だけで勝てるのが一番強いと思うけど、でも、競輪はそれだけとは違うと思うので、やっぱりそれが両方出来る選手が一番強いと思うので、そういう風になれればいいなと思います」
-そういう選手って大きく成績が崩れない感じがしますね。
「そうですね。自分なんか、まだお会いしたことないんですけど、他県の選手ですけど、今、平原(康多)さんのレースがすごいなって思います。自力でヨコを捌いても強いので、ああいう風なレースが出来るようになれば、どんな展開でも突っ込んでこれると思うので、お手本としたい選手ですね」
-これから平原選手に会うことや連携することが増えてくるのは楽しみですね。
「そうですね。でも、S級S班の人たちと一緒に走るのは特別緊張するって皆が言っているので、そのプレッシャーも出てくると思うんですけど、そこに負けないように走らないとダメですね」
-では、最後にファンにメッセージをどうぞ。
「まだまだ勝てるレースが出来るかどうかわからないけど、一歩、一歩、力をつけていって、(先をいく)同期に追いついて、いい勝負が出来るように頑張りたいと思いますので、応援をよろしくお願いします」
山岸佳太(やまぎし・けいた)
1989年11月11日生まれ。身長177.6cm、体重78.9kg。
山岸選手の癒しの時間は「5月に子どもが生まれたので、まだ遊ぶまでいかないですけど、あやしている時間が一番楽しいですね。もう早く帰りたいって思うくらい(笑)。頑張らないといけないですね!それもきっかけで早くS級にあがりたいと思ったので。来季から点数で上がれるのは決まっていたので、そこまで特進にこだわっていなかったけど、でも、子どもが生まれて、必死に頑張れますね」