KEIRIN SIDE STORY

 誰もいない整備場。整然と並ぶ自転車が穏やかな光を浴び、まもなくウォーミングアップに訪れる選手を心待ちにしている。
 ここは競輪場。20 代前半から50 代の選手がファンの期待を背負い勝利を目指す舞台だ。醍醐味の一つは、ベテラン選手の老練の走りと若手選手の気鋭の走りが織りなす勝負の行方。さまざまな思いが交錯する舞台裏を写真で紡ぎます。
2018 年9月 宇都宮競輪場
「もっか競輪勉強中」
ゴール前、鋭く伸びて1 着だが浮かない表情
「同地区の先輩とゴール勝負したかった」
後手を踏んだか。
「競輪は総合力ですね」
もっか競輪勉強中。
藤原 俊太郎
岡山  111期
22歳 A級2班
「もったいない、脚が動かなかった」
好位置を確保しチャンスを得たが。
「もったいない、脚が動かなかった」
柔道で鍛えた体、競輪では力不足を痛感。
「素直に自転車が動いてくれない。練習してきます」
吉竹 尚城
静岡  109期
25歳  A級1班
「諦めた姿は見せたくない」
上位クラスからの陥落、なんのこだわりもなかった。
「どこまでやれるか、限界にチャレンジです」
今だからできることがある。残り少ない選手人生。
「心静かに競走を迎えられる、諦めた姿は見せたくない」
金川 光浩
静岡  56期
52歳  A級1班
「あっ、悔しい。タイヤ差だって」
「あっ、悔しい。タイヤ差だって」
ゴール前の突っ込みに精彩を欠いた。
来年50歳。
「身体の反応がね、一寸先は闇。
現状で最善を尽くすよう心がけています」
長く楽しくをモットーに前進あるのみ。
篠田 宗克
千葉  65期
49歳  A級1班
「俺の競輪、始まったばかりなんっすよね」
「俺の競輪、始まったばかりなんっすよね」
10のうち1もできないもどかしさ。
レース展開や駆け引き、共に戦う仲間のこと。
「結局自分次第なんだよな、もっと進化したい」
競輪で勝つ意味を模索中。
金ヶ江 勇気
佐賀  111期
22歳  A級2班
「お前ら、俺の位置狙ってたべ」
行く手を阻まれ後方へ。
「お前ら、俺の位置狙ってたべ」
プロを夢見た甲子園球児、若手との苦しい練習でも。
「これでいくしかないと思ったんだよ。
性に合ってたんだろうね」
南雲 孝之
東京  54期
54歳  A級2班