自転車競技

第83回全日本自転車競技選手権大会トラックレース
2014年の自転車競技トラック種目の日本チャンピオンを決める、第83回全日本自転車競技選手権大会トラックレースが4月19日(土)~20日(日)の2日間に渡り、福島県の泉崎国際サイクルスタジアムで開催された。

男子は9種目、女子は7種目の計16種目が行われ、栄えあるチャンピオンジャージを目指して熱戦が繰り広げられた。
■男子エリートケイリン
1回戦・敗者復活戦を経て、1/2決勝を勝ち上がった渡邉一成、新田祐大、中川誠一郎、脇本雄太、坂本貴史、河端朋之の6名が決勝に進出した。
決勝は脇本、中川、新田、坂本、渡邉、河端の順で周回。残り2周半のバックから河端が上昇し、一旦先頭に上がるも、残り2周に入ると坂本が河端を交わして先頭へ。そのまま坂本の先行体勢で残り1周に入ると、2番手につけていた渡邉が最終バックから踏み込み、先頭に立つ。追走する新田、中川を振り切って渡邉が1着でゴール。昨年大会に続き、2連覇となった。
尚、2着入線の新田は他の選手が走行中のスプリンターレーンに進入したとして降格。

結果
1位 渡邉一成(強化・JPCA)
2位 中川誠一郎(強化・JPCA)
3位 脇本雄太(強化・JPCA)

渡邉一成コメント
「(かなり風が強い中でのレースは)正直、厳しいコンディションの中だったので、最後の最後まで優勝できるか分からなかったです。風はあまり得意ではないので、だいぶマイナスだったと思います。地元福島で行われる大会ということで、他の人よりもしっかり集中して臨めるようにしました。全日本のチャンピオンジャージは日本一の証なので、とても重い優勝だと受け止めています。今後も国際大会で日本代表としてのアピールをしっかりしていきたいと思っています」


決勝。残り1周ホーム

ゴール

表彰式
■女子エリートケイリン
加瀬加奈子、中川諒子、石井寛子、石井貴子、小林優香の5名が出場し、決勝レースのみで争われた。
周回は石井寛子、中川、石井貴子、小林、加瀬の順で進む。ペーサー退避後の残り1周半のバックでまずは加瀬が上昇し、動きを見せる。残り1周のホームで先手を取ったのは中川。一気に先頭に上がるとそのまま先行へ。中川の後ろで石井寛子と石井貴子が併走状態に。最終2センターで石井貴子を振り切った石井寛子が猛追するも、ゴールは僅差で中川が逃げ切りを決めた。

結果
1位 中川諒子(強化・JPCA)
2位 石井寛子(強化・JPCA)
3位 石井貴子(強化・JPCA)

中川諒子コメント
「ペースも緩んでいたし、1周なら行けるかなと思って、思い切って行きました。(ゴールは僅差で)分からなかったんですけど、ギリギリ残れていたので良かったです。これまで全日本は勝ったことがないので嬉しいですね」


決勝。残り1周ホーム

ゴール

表彰式
■男子エリートスプリント
予選1位は渡邉一成で10秒083の大会新記録をマーク。1/4決勝、1/2決勝を経て、1-2位決定戦に駒を進めたのは渡邉と昨年大会の優勝者・河端朋之。1本目は河端が先行逃げ切りで先取するも、2本目、3本目ともに渡邉が連取。渡邉が6年ぶりとなるスプリントでの全日本タイトルを手にした。
3-4位決定戦は菅田和弘と早坂秀悟の対戦となり、菅田が2本目、3本目を取って3位となった。

結果
1位 渡邉一成(強化・JPCA)
2位 河端朋之(強化・JPCA)
3位 菅田和宏(強化・JPCA)

渡邉一成コメント
「(スプリントでの優勝は2008年以来で)長かったですね。体力的なものもありましたし、ケイリンのほうに重点をおいていたということもあるんですけど、こうして地元開催でちょっと苦手なスプリントで勝てたことが本当に嬉しいです」


1-2位決定戦

表彰式
 
■女子エリートスプリント
予選でまずは石井貴子が11秒600の大会新記録をマークすると、日本記録を持つ前田佳代乃が大幅にタイムを更新する11秒239を叩き出す。
1-2位決定戦は前田と石井貴子の対戦に。1本目は石井が先行し、ゴール勝負は僅差となるも前田に軍配が上がる。2本目は石井が先着したかに思われたが、降格を取られ、優勝は6年連続で前田となった。
3-4位決定戦は中川諒子と石井寛子の対戦となり、ストレートで中川が勝利した。

結果
1位 前田佳代乃(京都・京都府自転車競技連盟)
2位 石井貴子(強化・JPCA)
3位 中川諒子(強化・JPCA)

前田佳代乃コメント
「最後はあまり後味のいい勝ち方ではなかったですけど、優勝できてホッとしています。年々、女子短距離のレベルは上がってきていると思うので、たぶん去年の自分だったら今年のこの大会は勝てなかったと思うし、本当に周りと切磋琢磨しながら勝てた大会だと思います。自分はもっと上を目指したいので、これから先を見据えて頑張って行きたいです」


1-2位決定戦

表彰式
 
■男子エリートチームスプリント
大学4チームのみの出場となり、予選1位の鹿屋体育大と2位の明治大学が1-2位決定戦に進出。両チームとも予選よりタイムを上げてくるが、鹿屋体育大が1秒半の差をつけて優勝を飾った。

結果
1位 鹿屋体育大(奥村諭志・柴崎俊祐・堀航輝) 1分04秒674
2位 明治大(橋本瑠偉・森本尊也・板倉玄京)   1分06秒127
3位 日本大(坂井洋・高橋築・坂本佳哉)      1分06秒306


鹿屋体育大

表彰式
 
■女子エリートチームスプリント
予選1位は強化Cチーム(石井貴子・小林優香)で、46秒927のタイムは333mバンクの日本新記録。
1-2位決定戦は強化Cチームと強化Aチーム(中川諒子・加瀬加奈子)の対戦となり、強化Cは予選よりタイムは落としたものの見事優勝を飾った。

結果
1位 強化C(石井貴子・小林優香)   47秒078
2位 強化A(中川諒子・加瀬加奈子) 47秒592
3位 強化B(石井寛子・前田佳代乃) 47秒787

石井貴子コメント
「予選は集中もできましたし、風が強かったのが追い風になって、いいタイムが出せました。世界選にも(小林と)2人で出場させてもらって、その時はあまりタイムが出せなかったので、今回はしっかり結果を出すことができてよかったです。競輪のデビュー戦も迫っていますので、そちらのほうでもいい成績が残せるように頑張りたいと思います」

小林優香コメント
「この予選の前に個人追抜きを走っていたので、十分に身体も出来上がっていて、石井さんについてしっかり走ることができたのでよかったと思います。競技のほうも頑張りたいですけど、今は競輪のデビュー戦を一番に考えているので、デビュー戦に向けてしっかり頑張って行きたいです」


強化C(石井貴子・小林優香)

表彰式
 
■男子エリート1kmタイムトライアル
この種目で実績を持つ新田祐大を抑え、脇本雄太が初の全日本チャンピオンに輝いた。

結果
1位 脇本雄太(強化・JPCA) 1分05秒644
2位 新田祐大(強化・JPCA) 1分06秒171
3位 早坂秀悟(強化・JPCA) 1分06秒495

脇本雄太コメント
「とにかく力を出し切るというのを第一に考えていました。チャンピオンになったという実感はあまりないんですが、タイトルを獲ったことで意識をどんどん変えていって、競技だけではなく日本の競輪でも精一杯頑張って行きたいです」


脇本雄太

表彰式
 
■女子エリート500mタイムトライアル
この種目の日本記録を持つ前田佳代乃が優勝。

結果
1位 前田佳代乃(京都・京都府自転車競技連盟) 36秒142
2位 加瀬加奈子(強化・JPCA)            37秒012
3位 小林優香(強化・JPCA)              37秒229

前田佳代乃コメント
「(一昨年までこの種目で5連覇していたが)昨年は出場できず連覇が途切れてしまったので、また一からになりますけど、スプリントとともに連覇を続けていけるように頑張りたいと思います」


前田佳代乃

表彰式
 
■男子エリート4km個人追抜き
予選は僅差で1位窪木一茂、2位橋本英也となったが、1-2位決定戦ではこの種目で日本記録を持つ橋本が勝利し、4年連続で全日本のタイトルを手にした。

結果
1位 橋本英也(岐阜・鹿屋体育大)      4分46秒604
2位 窪木一茂(和歌山・和歌山県教育庁) 4分47秒494
3位 近谷涼(富山・日本大)          4分42秒918

橋本英也コメント
「接戦になると思っていたので、どれだけ自分のペースを守って最後までいけるかだと考えていました。優勝できて本当によかったです。世界とのタイム差はかなりあるので、まずはフィジカルの向上に努めたいと思います。(自身が持つ)日本記録が全然更新できていないので、日本人で初めての20秒台を目標に頑張っていきたいです」


橋本英也

表彰式
 
■女子エリート3km個人追抜き
予選1位の塚越さくらと2位の上野みなみの対戦となった1-2位決定戦は、予選からただ一人4分を切るタイムを出した塚越が、上野に6秒近い差をつけて勝利。

結果
1位 塚越さくら(鹿児島・鹿屋体育大)  3分54秒102
2位 上野みなみ(青森・鹿屋体育大)  4分00秒477
3位 中村妃智(千葉・日本体育大)    4分02秒698

塚越さくらコメント
「昨年に続いてこのチャンピオンジャージが着られてとても嬉しいです。(国際大会では)自分はなかなか結果が残せなくて、まだまだだということを実感したので、もっと経験を積んでもう一段階上の走りができるようにしたいです。今年からリオオリンピックに向けてポイントも関わってくるので、中距離種目でオリンピックに出られるように頑張りたいと思います」


塚越さくら

表彰式
 
■男子エリート団体追抜き
予選1位の岐阜が和歌山を下し、優勝を飾った。

結果
1位 岐阜(橋本英也・矢野智哉・相馬義宗・渡邊翔太郎) 4分24秒013
2位 和歌山(窪木一茂・岡本隼・森口寛己・山本貴洋)   4分24秒893
3位 中央大(緑川竣一・高士拓也・黒瀬耕平・原井博斗) 4分27秒345


岐阜

表彰式
 
■男子エリートマディソン
鹿屋体育大と法政大Aの一騎打ちとなり、最後は1ポイント差で鹿屋体育大が勝利を収めた。

結果
1位 鹿屋体育大(橋本英也・原田裕成) 19P
2位 法政大A(新村穣・寺崎浩平)     18P
3位 日本大(久保田元気・近谷涼)    7P

橋本英也コメント
「今回は距離も短くてポイントの回数も少なかったので、接戦になると思っていました。原田くんといいチームワークで勝つことができました」

原田裕成コメント
「素直に嬉しいです。マディソンは国内でのレースは少ないと思うんですけど、世界でも戦えるように経験を積んで頑張っていきたいと思います」


鹿屋体育大

表彰式
 
■男子エリートポイントレース
橋本英也と窪木一茂のマーク合戦という様相になったが、橋本が力を見せつけ、大きく得点差をつけての完勝。橋本は出場した4種目全てを優勝で締めくくった。

結果
1位 橋本英也(岐阜・鹿屋体育大)       61P
2位 窪木一茂(和歌山・和歌山県教育庁)  38P
3位 倉林巧和(群馬・日体大クラブ-LIONS) 18P

橋本英也コメント
「この大会に向けてインターバル練習に取り組んできたので、それが活かせる形の展開になってよかったです。4冠は一応狙ってはいましたけど、実現できて本当に嬉しいです」


橋本英也

表彰式
 
■女子エリートポイントレース
レース中盤から上野みなみが単独で逃げ、ポイントを積み重ねて優勝。

結果
1位 上野みなみ(青森・鹿屋体育大)  38P
2位 塚越さくら(鹿児島・鹿屋体育大)  33P
3位 中村妃智(千葉・日本体育大)   23P

上野みなみコメント
「ポイントレースは自分の得意種目としているので、やっぱり勝ちたいという気持ちはありました。鹿屋の選手達がみんな優勝していて、私もチャンピオンジャージがほしいという気持ちがすごく強かったので、とても嬉しいです。今後もトラックとロード、どちらも頑張っていきたいと思っています」


上野みなみ

表彰式
 
■男子スクラッチ
残り5周から単独で抜け出した原田裕成がそのまま後続を振り切り、逃げ切りで勝利をあげた。

結果
1位 原田裕成(岡山・鹿屋体育大)
2位 一丸尚伍(大分・EQA U23)
3位 浦田真成(岐阜・朝日大)

原田裕成コメント
「全日本チャンピオンという欲しかったタイトルが取れたので、すごく嬉しいです。マディソンでも優勝できましたけど、あれは2人の力なので。スクラッチは昨年の大会でも残り4、5周でスパートして、その時はゴールまで持たなかったので不安でしたけど、今回は1着でゴールできて自分なりに成長できたなと感じました」


原田裕成

表彰式
 
■女子スクラッチ
3名のみの出走となったレースは、牽制が続き、終始スローペースでの展開となる。残り1周のバックからスパートを仕掛けた小島蓉子がそのまま押し切って、全日本初タイトルを手にした。

結果
1位 小島蓉子(千葉・日体大クラブ-LIONS)
2位 吉川美穂(和歌山・サイクルベースあさひ)
3位 井上玲美(JPCA・JPCA)

小島蓉子コメント
「こういう大きな舞台で1位になれたことはほとんどなかったので、すごく嬉しいです。最初は積極的に行こうと思って、何度か仕掛けてみたんですけど、相手の脚が気になってどんどん消極的なレースになってしまったので、悔いが残るところはあります。今後の目標はナショナルチームの中距離班をしっかり引っ張って行けるような走りがしたいです」


小島蓉子(写真先頭)

表彰式