自転車競技

2015年トラック世界選手権レポート

2月18日(水)

 トラック種目の世界選手権は18日、フランスのパリで開幕した。
 会場となったのは、フランス パリ郊外のサンカンタン アン イヴリーヌにあるショナルヴェロドローム。2014年1月に竣工したばかりのヴェロドロームだ。
 サンカンタン アン イヴリーヌはベルサイユから3kmぐらい西の方角にある街だ。

外観

内部

ベルサイユ宮殿
【女子ポイントレース】
 女子のポイントレースで上野みなみ(鹿屋体育大学大学院)が2位に入って銀メダルを獲得した。日本勢としては2010年の男子スクラッチで盛一大が銅メダルに輝いて以来、5大会ぶりのメダルとなり、第1日目から日本に大きなニュースをもたらした。上野は「信じられなくて、周りの反応を見て、2位だったんだなって確信した」と興奮を隠しきれない様子だった。
 最初の10周から動き、逃げから2位通過して3点を獲得。その後は集団に戻って脚をため、残り30周で再び仕掛けて1位通過の5点を追加。メイン集団をラップ(周回遅れ)して20点を加えるなど自ら積極的に動いたレース運びが光った。「周りを見て、足をためるところはためられた」と満足そうに話した。

結果
1位 ステファニー・ポール ドイツ 38pt
2位 上野みなみ 日本 28pt
3位 キンベリー・ゲスト アメリカ 25pt

上野みなみ

優勝したステファニー・ボール

表彰
【女子団体追い抜き】予選
 大会最初の種目となった女子4000メートル団体追い抜きの予選に出場した日本チームは上野、塚越さくら(鹿屋体育大学大学院)、加瀬加奈子(JPCA)、小島蓉子(日本体育大学大学院)の編成で臨み、4分35秒929の日本新記録をマークした。だが、全体では16チーム中12位に終わり、上位8チームによる1回戦に進むことはできなかった。予選敗退に、34歳でチームを引っ張る加瀬は「話にならない記録」と険しい表情のまま。大会前の練習では、より早いタイムを計測していたそうで、塚越は「日本新はうれしいが、課題が残る」と残念がった。

日本女子チーム
【男子チームスプリント】
 雨谷一樹、渡邉一成、中川誠一郎(以上JPCA)の男子チームスプリントは44秒190で11位。伸び切れなかった3走の中川は「ご迷惑を掛けてしまった」と肩を落としたが、1、2走の雨谷、渡邉は期待を抱かせる走りだった。17秒656をマークした雨谷は「ギアを1枚上げて、強気に出た結果、自己ベストが出た。来シーズンにつながった」と手応えを感じていた。
 海外勢を見ると、予選はニュージーランドが一番時計で通過し、フランスが2位通過。しかし、1-2位決定戦でニュージーランドに交代時に反則がありタイムでは勝ちながら、フランスに負けた。

結果
1位 フランス 43秒136
2位 ニュージーランド REL
3位 ドイツ 43秒339
11位 日本 44秒149

日本チーム

優勝したフランスチーム

表彰
【女子チームスプリント】
 前田佳代乃(京都府連盟)、石井貴子(JPCA)の女子チームスプリントは35秒318で13位と厳しい結果に終わった。前田は「貴子さんに迷惑を掛けている」と残念そうに話した。
 予選では、4位までが32秒台とハイレベルな戦いとなった。
 前回優勝のドイツが予選3位とロシア、中国の強化が進んでいることがこのタイムに証明されている。
 決勝では、中国がロシアを破り32秒034の世界新記録で優勝。
 また前年覇者のドイツは、3-4位戦で予選4位のオーストラリアにも敗れ4位。オーストラリアが3位となった。

結果
1位 中国 32秒034
2位 ロシア 32秒438
3位 オーストラリア 32秒723

日本女子チーム

優勝した中国チーム

表彰

2月19日(木)

【男子ケイリン】
 日本勢は大会直前に脇本雄太(JPCA)が左鎖骨を骨折して欠場した影響で、渡邉一成(JPCA)のみの出場となった。リオデジャネイロ五輪を来年に控えて好結果を残したい種目だったが、1回戦、敗者復活戦ともに敗れ、2回戦進出はかなわなかった。日本勢は3年連続で2回戦に進むことができておらず、苦戦が続いている。
 1回戦は最後方から進み、徐々に外から上がって残り1周半で先頭に立った。だが、脚が続かずゴール前で捉えられ、最後は流して7人中の最下位で終えた。敗者復活戦も終始最後方に控える展開となった。ペーサーが退避した後は内、外とコースを変えながら前を狙ったが、伸び切れず、5人中4位に沈んだ。レース間隔が短く、体力の回復も十分ではなかったようだ。
 18日のチームスプリントからの好調を維持して臨んだ一戦で、渡邉は「調子が良かっただけに、悔しい。一生懸命工夫しながらやってきたが、まだまだ足りない部分は多かったんだなと思った」と無念そうに話した。中1日を空けて、21日には三つ目の種目となるスプリントに出場する。
 渡邉が悔しい思いを味わった男子ケイリンは、地元フランスの英雄フランソワ・ペルビスが圧勝で優勝を飾った。決勝は2番手の好位をキープして最終ラップに入り、残り半周で一気に加速して勝利をもぎ取った。短期登録選手として日本の競輪でもおなじみの選手で、昨年はケイリン、スプリント、1000メートルタイムトライアルの3冠を達成した。今大会でも一層の注目が集まる。

結果1-6位決勝
1位 フランソワ・ペルビス フランス
2位 エドワード・ドーキンス ニュージーランド
3位 アジズルハシニ・アワン マレーシア
4位 マキシミリアン・レビー ドイツ
5位 ニキタ・スラシン ロシア
6位 サム・ウエブスター ニュージーランド

一回戦、先行する渡邉。

決勝ゴール

ウイニングランをするペルビス。

表彰
【男子団体追い抜き】決勝
 今回からオリンピックの勝ち上がりと同様となり予選、1回戦、決勝となった。予選はタイム順で上から1位から8位まで1回戦に進み、1回戦では、予選の上からのタイム順位で、1位-4位、2位-3位、5位-6位、7位-8位に組分けされ対戦。1位-4位の勝った方、2位-3位の勝った方が、1位-2位決勝で対戦。3位-4位戦以下は1位-2位決勝に勝ち上がれなかったチームの上からのタイム順で組み合わされる。
 日本は、ワールドカップ全3戦に出場し、世界選出場を目指したが、次々と起こったアクシデントでベストメンバーの選手が揃わず、出場はできなかった。

結果
1位 ニュージーランド 3分54秒088
2位 イギリス 3分54秒687
3位 オーストラリア 追い抜きがち

優勝したニュージーランドチーム

表彰
【男子スクラッチ】決勝
 アタックが決まらない展開となり最終周で抜け出たドイツのルーカス・リスが1着ゴールし優勝となった。

結果
1位 ルーカス・リス ドイツ
2位 アルベルト・トレス バレッロ スペイン
3位 ボビー・リー アメリカ

スクラッチゴール

表彰
【女子団体追い抜き】決勝
 女子4000メートル団体追い抜きは、オーストラリアが決勝で4分13秒683の世界記録をマークし、イギリスを破った。

結果
1位 オーストラリア 4分13秒683 世界新記録
2位 イギリス 4分16秒702
3位 カナダ 4分17秒864

オーストラリアチーム

表彰
【女子500mタイムトライアル】決勝
結果
1位 アナスタシア・ボイノバ ロシア 33秒149
2位 アナ・ミアーズ オーストラリア 33秒425
3位 ミリアム・ウェルテ ドイツ 33秒699

力走するアナスタシア・ボイノバ

表彰
 

2月20日(金)

【女子スプリント】予選 5位-8位戦
 女子スプリントに前田佳代乃(京都府連盟)と石井貴子(JPCA)が出場し、200メートルのフライングスタートのタイムトライアルで行う予選に臨んだ。出場30人中、上位24人が1回戦に進む方式で、前田は11秒406で28位、石井は11秒590で最下位の30位。2選手ともタイムを伸ばせず、予選敗退の厳しい結果となった。
 昨年は予選を突破した前田だが、世界との差は開いている印象だ。「正直、もっとタイムが出るかと思っていたので、かなり悔しい。なかなか結果につながってこないもどかしさがある」と表情はさえなかった。坂本監督は「ここ2、3年伸びていない。何か変えていくしかない状況にきていると本人には言った」と変化の必要性を説いた。
 石井はアルペンスキー出身で、競輪には昨年デビューしたばかり。今季はプロ選手として初めてのシーズンで、自身の体の変化を感じ、年間スケジュールを戦いながら覚えていく1年となったようだ。「このメンバーの中で走れたのは、経験としては大きい。1年間やってみて、たくさんのことがわかった」と悔しさの中から手応えもつかんだ。

石井貴子

前田加代乃
【男子ポイントレース】
 男子の40キロポイントレースは窪木一茂(和歌山県庁)が序盤から積極的な動きを見せた。20周目を1位通過で5点、30周目も2位通過で3点を加えたが、その後は脚が鈍ってペースアップについていけなかった。最終結果は11位。「前半はすごくよかったと思うが、中盤にペースが上がって、いっぱいになってしまった」と残念そうだった。大会初日の女子ポイントレースで銀メダルを獲得した上野に続くことはできず「自分もやってやろうという気持ちになれてよかったんですけど。しっかり反省したいと思う」と話した。

結果
1位 アーチャ・エリゾフ ロシア 31pt
2位 エロイ・テルエル ロビラ スペイン 30pt
3位 マクシミリアン・バイヨー ドイツ 29pt

窪木一茂

優勝したアーチャ・エリゾフ

表彰
【男子1kmタイムトライアル】
 男子1000メートルタイムトライアルは、最終走者の地元フランスのフランソワ・ペルビスが圧巻の走りで頂点に立った。前日19日のケイリンと合わせて2種目制覇を成し遂げ、観客の万雷の拍手に自転車を持ち上げるパフォーマンスで応えた。2大会連続3冠の偉業達成は果たしてなるのか。スプリントは21日の予選から始まり、決勝は最終日22日に行われる。

結果
1位 フランソワ・ペルビス フランス 1分00秒207
2位 ジョアヒン・アイラース ドイツ 1分00秒294
3位 マシュー・アーチボルト ニュージーランド 1分00秒470

フランソワ・ペルビス

ウイニングランで喜びを表すペルビス

表彰
【女子3000m個人追い抜き】
 予選からオーストラリアのレベッカ・ワイスクがトップタイムを出し、1位-2位決勝も予選よりタイムを落としながらも優勝を飾った。3位-4位決定戦ではオーストラリアのエイミー・キュアが勝利した。

結果
1位 レベッカ・ワイスク オーストラリア 3分30秒305
2位 ジェニファー・ヴァレント アメリカ 3分33秒867
3位 エイミー・キュア オーストラリア 3分32秒907

優勝したレベッカ・ワイスク

表彰

2月21日(土)

【男子スプリント】予選~5位-8位
 男子スプリントは中川誠一郎、渡邉一成、河端朋之(以上JPCA)の3人が出場し、予選のフライングスタートの200メートルタイムトライアルで中川が9秒877をマークして19位に入り、日本勢としてただ一人予選突破を果たした。上位24人が勝ち上がる予選で、渡邉は10秒038で27位、河端は10秒089で30位に終わった。
 1回戦で中川はラファルグ(フランス)と対戦。2周目から後ろに付け、3周目のバックストレートで並びかけたものの、差し切ることはできなかった。「巻き返せるかなと思っていたんですけど。あれだけやられると作戦の組みようがない。相手が強かった」と脱帽だった。
 予選突破タイムは9秒台で、渡邉と河端は厳しい戦いを強いられた。渡邉は「(競輪の)レースである程度強い負荷をかけ、脚力は維持しているかもしれないが、ステップアップをしていってない」と危機感を募らせ、河端は「力不足。今持っていることを出すことはできても、それを強くしていくという練習、作業ができていない」と肩を落とした。近年、日本短距離は苦しい戦いが続いている。坂本監督は「圧倒的にパワーの差が出た。本人たちが世界との力の差を知り、自覚してやっていくしかない」と険しい表情で話した。

渡邉一成

河端朋之

中川誠一郎

1/16決勝の中川
【女子スクラッチ】決勝
 女子スクラッチも途中幾度もアタックをかける選手がいたが、その都度、集団に吸収され結局、ゴールスプリントに。
 これを制したのはオランダのクリスティン・ワイルドだった。

結果
1位 クリスティン・ワイルド オランダ
2位 エイミー・キュア オーストラリア
3位 アリソン・べブリッジ カナダ

スクラッチレースゴール

表彰
【男子オムニアム】決勝
 オリンピック種目のオムニアムは各国のエース級の選手が出場してくる。
 オリンピックポイントが大きくかかる世界選手権で上位に入ることはリオデジャネイロオリンピックの出場もみえてくる。
 しかし、この種目も日本はメインでワールドカップに出場していた橋本英也がワールドカップ第3戦カリ大会の練習中に落車骨折してしまい、欠場となり、世界選出場ポイント獲得ができず、出場枠が獲得できなかったのだ。今回の中距離種目のトラックシーズンは男女合わせて怪我に泣かされたシーズンとなってしまった。
 さて、注目は、世界選手権直前のロードレースに出場して、ステージ優勝を飾っていたコロンビアのフェルナンド・ガリビア レンドンだった。とはいえ、他の種目を見ても各選手が相当進化してきているので、タイム系の種目がどれくらいになるのか気になるところであった。出場選手数は21選手だ。

結果
1種目 スクラッチレース
1位 エリア・ビビアーニ イタリア
2位 ジョナサン・ディベン ドイツ
3位 フェルナンド・ガリビア レンドン コロンビア

2種目 個人追い抜き
1位 グレン・オシェイ オーストラリア 4分20秒807
2位 フェルナンド・ガリビア レンドン コロンビア 4分23秒567
3位 ビクター・マナコフ ロシア 4分24秒025

3種目 エリミネーションレース
1位 エリア・ビビアーニ イタリア
2位 トーマス・ブダ フランス
3位 フェルナンド・ガリビア レンドン コロンビア

4種目 1kmタイムトライアル
1位 ルカス・リス ドイツ 1分01秒508
2位 グレン・オシェイ オーストラリア 1分02秒300
3位 ティム・ヴェルト オランダ 1分02秒318

5種目 フライングラップ
1位 エリア・ビビアーニ イタリア 12秒785
2位 ティム・ヴェルト オランダ 12秒863
3位 ゲール・シュター スイス 12秒922

 ここまでで暫定ポイント順位
  1位 フェルナンド・ガリビア レンドン コロンビア 170pt
  2位 エリア・ビビアーニ イタリア 164pt
  3位 グレン・オシェイ オーストラリア 158pt
 となっていた。
 6種目のポイントレースでは、ポイントレースで獲得したポイントがそっくりそのまま加えられ総合順位となる。集団を1周追いつけば20pt、10周回ごとにゴール線を通過順に1位5pt、2位3pt、3位2pt、4位1ptが与えられる。このポイント周回が160周なので16回ある。

6種目 ポイントレース 総合順位
1位 フェルナンド・ガリビア レンドン コロンビア 205pt
2位 グレン・オシェイ オーストラリア 190pt
3位 エリア・ビビアーニ イタリア 181pt

 このポイントレースではとにかくフェルナンド・ガリビア レンドンが上手かった。
 始めはビビアーニをマーク。しかし良いタイミングでラップし20pt獲得し突き放し、勝負を決めた。またオシェイもうまく立ち回ってラップし20pt獲得。ビビアーニを逆転し2位となった。

最終種目のポイントレースを走る
フェルナンド・ガリビア レンドン

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【男子個人追い抜き】決勝
 予選タイム2位のステファン・クエング スイスが1位-2位決定戦でジャック・ボブリッジ オーストラリアを逆転し優勝を決めた。

結果
1位 ステファン・クエング スイス 4分18秒915
2位 ジャック・ボブリッジ オーストラリア 4分19秒184
3位 ジュリアン・モリス フランス 4分21秒419

逆転優勝を決めたステファン・クエング

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【女子スプリント】決勝
 前日の激戦を勝ち上がってきた4選手による1/2決勝はドイツのクリスティナ・フォーゲルが中国のティアンシ・ゾンを3本目で下し1位-2位決定戦へ、オランダのエリス・リッテがオーストラリアのステファニー・モートンをストレートで下し1位-2位決定戦に進出した。1位-2位決定戦はクリスティナ・フォーゲルが1本目、大接戦を制したのが効いたのか2本目はあっさり決着がついて優勝し、昨年に引き続き連覇となった。

結果
1位 クリスティナ・フォーゲル ドイツ
2位 エリス・リッテ オランダ 
3位 ティアンシ・ゾン 中国

1位-2位決定戦1本目 僅差でフォーゲル。

表彰

2月22日(日)

【女子ケイリン】
 最終日の日本勢は女子ケイリンにベテラン加瀬加奈子(JPCA)が出場した。1回戦は第3組で6人中最下位、続く敗者復活戦は第4組で4人中3位に終わり、2回戦へと進むことはできなかった。
 強豪の揃った1回戦は後方のままでレースが終わってしまったが、敗者復活戦では残り1周半で先頭に立つ積極的な走りを披露した。しかし、最終コーナーを回ったあたりで力尽き、ゴール前でかわされてしまった。
 国際大会を何度も経験し、加瀬は「先行するのが(各国チームに)分かられている感じがうれしい」と意気に感じている様子。それでも勝負どころでは突き放され「どうしてもダッシュ勝負ではかなわない」と悔しがった。
 加瀬は大会初日は女子4000メートル団体追い抜きにも出場した。日本チームの中で、短距離と中距離の両方に挑むベテランの存在感は大きい。「日本の女子のレベルだと、中距離でも短距離でも(自分が)通用してしまう」と若手の追い上げを期待しつつ、「私も引っ張っていけるようにしたい」と気持ちを新たにしていた。

結果
1位 アンナ・メアーズ オーストラリア
2位 シャーン・ブラスペニック オランダ
3位 リサドラ・グエラ ロドリゲス キューバ

敗者復活戦で先行する加瀬加奈子

決勝ゴール

表彰
【男子スプリント】
 男子ケイリンと1000メートルタイムトライアルの2種目を制していたペルビス(フランス)は、スプリントの準々決勝でボジェ(フランス)に敗れて2年連続の3冠制覇を逃した。ボジェは、決勝でドミトリエフ(ロシア)を下して優勝し、地元大観衆の喝采を浴びた。
 ペルビスは日本の競輪でもおなじみのスターで、ことしも4月に来日する予定。世界トップの脚を披露してくれるだろう。

結果
1位 グレゴリー・ボジェ フランス
2位 デニス・ドミトリエフ ロシア
3位 クエンティン・ラファージュ フランス

ドミトリエフを下すボジェ

表彰
【男子マディソン】決勝
 トラック競技の花形レースの一つがマディソンである。狭いバンクの中を14カ国28選手が、高速で駆け巡る競技だ。2人一組で交代をしながらラップアップ(1周追いつくこと)、またポイント周回でポイント獲得をするレースなのだが、交代をするところも見どころの一つである。交代は、相手の体に触ればいいのだが、スピードを殺さないためにも手を繋いでその勢いでスピードを繋いでいく。混みあっている中での交代はスリリングであるし、その走行テクニックは素晴らしい。
 さて、マディソンの勝ち方は、ポイントはあまり重要ではない。ラップアップすることである。他の組よりも多くラップアップしていれば勝ち。同じラップアップ数であれば、その時にポイントが重要になってくる。ポイントも同じであれば、ゴールの着順で決着する。
 戦略的には、スタート早々からアタックし、ラップしてしまうか、ポイントを積み重ねてから、ラップを狙っていくのか、ペアの脚質によって変わってくる。
 今回は、フランスがとにかく強かった。それだけ気合をいれてこのレースに臨んできたにちがいない。特にイタリアと競り合い、1ptで勝ちをもぎ取ったのが印象に強く残った。逆にイタリアがフランスを振り切ろうとしていたが振り切れなかった。

結果
1位 フランス 21pt
2位 イタリア 20pt
3位 ベルギー 15pt

フランスチーム

勝って手を挙げるブライアン・コカード(フランス)

表彰
【女子オムニアム】
 注目はどうしてもイギリスのローラ・トロットとなってしまう。ロンドンオリンピッックの彼女の活躍は素晴らしいものがあった。そしてアメリカのサラ・ハマーだ。前回の世界戦で優勝し、今回の動向に注目だった。

結果
1種目 スクラッチレース
1位 オースリン・トレバイテ リトアニア
2位 アマリー・ディデリクセン デンマーク
3位 キャロライン・ライアン アイルランド

2種目 個人追い抜き3000m
1位 ローラ・トロット イギリス 3分32秒798
2位 アネット・エドモンソン オーストラリア 3分32秒831
3位 クリスティン・ワイルド オランダ 3分34秒858

3種目 エリミネーションレース
1位 ローラ・トロット イギリス
2位 クリスティン・ワイルド オランダ
3位 ジョリエン・ドフール ベルギー

4種目 500mタイムトライアル
1位 アネット・エドモンソン オーストラリア 35秒064
2位 マリーズ・メジアス ガルシア キューバ 35秒103
3位 タマラ・バラボリナ ロシア 35秒650

5種目 フライングラップ
1位 アネット・エドモンソン オーストラリア 14秒024
2位 クリスティン・ワイルド オランダ 14秒116
3位 ローラ・トロット イギリス 14秒154

 ここまでの順位は
  1位 アネット・エドモンソン オーストラリア 178pt
  2位 ローラ・トロット イギリス 164pt
  3位 ジョリエン・ドフール ベルギー 160pt
 となっていた。

6種目 ポイントレース 総合
1位 アネット・エドモンソン オーストラリア 192pt
2位 ローラ・トロット イギリス 176pt
3位 クリスティン・ワイルド オランダ 175pt

 上位陣が抜けていたのでポイントレースは上位同士のマークに終始した。その中でうまくポイントを取ってきたのがアネット・エドモンソンだった。また3位のクリスティン・ワイルドがうまく動いて4位から3位へ逆転劇が見事だった。

ポイントレースを走るアネット・エドモンソン

勝って手を挙げるエドモンソン

表彰
 総括すると、地元のフランス勢の近年にない大活躍が印象に強く残った2015世界選手権となった。
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