自転車競技

第84回全日本自転車競技選手権大会トラックレースレポート
2015年の自転車競技トラック種目の日本チャンピオンを決める、第84回全日本自転車競技選手権大会トラックレースが4月11日(土)~12日(日)の2日間に渡り、伊豆ベロドロームで開催された。

今大会は、リオデジャネイロオリンピックを来年に控え、本格的な出場権取りが始まる今シーズンの強化指定選手選考を兼ねて行われた。新たにナショナルチーム入りを目指す選手や、今後の国際大会出場へのアピールをしたい選手など、それぞれの思いを胸に男子121名、女子20名の総勢141名が出場。男子10種目、女子7種目で日本一が争われた。
 

4月11日 初日

■男子エリートケイリン
1回戦・敗者復活戦を経て、1/2決勝を勝ち上がった河端朋之、新田祐大、渡邉一成、脇本雄太、和田真久留、中川誠一郎の6名が決勝進出を決めた。
決勝は新田、渡邉、和田、川端、中川、脇本の順で周回。残り3周のホームから中川が上昇の動きを見せ、脇本がその後ろを追走する。中川がペーサー退避のタイミングで先頭の新田を交わして前に出ると、新田は中川の番手に入る。残り2周のホームは中川、新田、渡邉、和田、河端の順に通過。3番手あたりの併走から、踏み込むタイミングを伺っていた脇本が1センター過ぎに仕掛けると、それに反応したのが新田。バックで先頭の中川を交わしにかかるが、中川も内で粘り、新田と中川が併走状態に。残り1周ホームで新田が先頭に出切ると、後ろは中川、渡邉、和田が横並びで追走。脇本は最後尾に後退する。最終4コーナーで先行する新田を捕らえた渡邉は、そのまま1着でゴールし、3連覇を達成。2着には和田、3着には河端が入った。
結果
1位 渡邉一成(JPCA・JPCU福島)
2位 和田真久留(JPCA・JPCU神奈川)
3位 河端朋之(JPCA・JPCU岡山)

決勝。残り1周ホーム

ゴール

表彰式
■女子エリートケイリン
決勝のみの一発レースとなった女子エリートケイリンには中川諒子、石井寛子、石井貴子、加瀬加奈子、小林優香、前田加代乃の6名がエントリー。
決勝は周回で前を取った前田が、ペーサーの退避前に車間を開けたとして失格となり、再発走に。仕切り直して再びレースが始まると、石井貴、加瀬、小林、石井寛、中川の順に周回。残り3周を過ぎて中川が動き、ペーサー退避とともに一気に先頭に上がる。残り2周のホームは中川、石井貴、加瀬、小林、石井寛の順に通過。残り1周のホームを迎えると石井貴が先頭の中川に並びかけ、加瀬も石井貴の後ろに続く。1センターで前に出切った石井貴を加瀬、小林が追走、中川は後退して行く。先行する石井貴を最終ストレートで追い込もうとする加瀬、小林だが、石井貴がそのまま押し切って先頭でゴール。石井貴が初のチャンピオンに輝いた。
結果
1位 石井貴子(JPCA・JPCU千葉)
2位 加瀬加奈子(JPCA・JPCU新潟)
3位 小林優香(JPCA・JPCU福岡)

決勝。残り1周ホーム

ゴール

表彰式
■男子エリートチームスプリント
学生のみで7チームのエントリー。予選1位の鹿屋体育大と予選2位の朝日大の対戦となった1-2位決定戦は、鹿屋体育大が勝利し、優勝を飾った。
3-4位決定戦は予選4位の中央大が予選3位の明治大に逆転で勝利。
結果
1位 鹿屋体育大(山口大貴・野上竜太・堀航輝) 47秒270
2位 朝日大(上遠野拓馬・松本貴治・小原佑太) 47秒463
3位 中央大(佐伯亮輔・宮本隼輔・橋本壮史) 48秒461

鹿屋体育大

表彰式
■女子エリートチームスプリント
2チームだけの出場のため、決勝のみが行われた。どちらも競輪選手ペアの対戦となったが、ここはナショナルチームで活動する石井寛子と小林優香のJPCAチームが勝利を収めた。
結果
1位 JPCA(石井寛子・小林優香) 35秒906
2位 岩井商会レーシング(小坂知子・小林莉子) 37秒478

JPCA

表彰式
■男子エリート1kmタイムトライアル
新田祐大、脇本雄太、稲毛健太など、この種目で実績を持つ競輪選手たちを抑え、大学生の野上竜太が初優勝を手にした。
結果
1位 野上竜太(岡山・鹿屋体育大) 1分03秒736
2位 早坂秀悟(JPCA JPCU宮城) 1分03秒911
3位 堀航輝(香川・鹿屋体育大) 1分04秒299

野上竜太

表彰式
■女子エリート500mタイムトライアル
日本記録保持者の前田加代乃は出場せず、6名がエントリーした500mタイムトライアルを制したのは全日本選手権初参加の梶田舞。
結果
1位 梶田舞(JPCA・JPCA) 36秒992
2位 小林優香(JPCA・JPCU福岡) 37秒039
3位 小坂知子(JPCA・岩井商会レーシング) 37秒704

梶田舞

表彰式
■男子エリート4km個人パーシュート
この種目の日本記録保持者、橋本英也は4分33秒台で予選2位。予選1位は4分32秒台をマークした窪木一茂。窪木と橋本の対戦となった1-2位決定戦は窪木に軍配が上がり、5年ぶりに全日本チャンピオンの座に返り咲いた。
3-4位決定戦は一丸尚伍が新村穣(神奈川・法政大)を下して勝利。
結果
1位 窪木一茂(和歌山・和歌山県教育庁) 4分33秒515
2位 橋本英也(岐阜・鹿屋体育大) 4分36秒787
3位 一丸尚伍(大分・ブリヂストンアンカー/太陽の家) 4分34秒833

窪木一茂

表彰式
■女子エリート3km個人パーシュート
今年のアジア選手権でトラック、ロードともに出場種目全てで金メダルを獲得した注目の高校生、梶原悠未が参加。予選では加瀬加奈子の持つ日本記録(3分42秒145)に迫る3分44秒台をマークし、1位。2位には1秒のビハインドで上野みなみがつけた。梶原と上野の対戦となった1-2位決定戦では、予選よりタイムを上げてきた上野に対し、梶原は大きくタイムを落とし失速。上野が3年ぶりの優勝を飾った。
3-4位決定戦は加瀬が塚越さくら(鹿児島・鹿屋体育大)を下し、勝利。
結果
1位 上野みなみ(青森・鹿屋体育大) 3分45秒060
2位 梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸高) 3分49秒317
3位 加瀬加奈子(JPCA・JPCU新潟) 3分49秒190

上野みなみ

表彰式
■男子エリートマディソン(決勝)
25kmで争われた男子マディソンは、5回あるポイント周回のうち4回で1着を取った法政大Aチームが優勝。
結果
1位 法政大A(新村穣・寺崎浩平) 22p
2位 岡山(原田裕成・渡部将太) 14p
3位 鹿屋体育大(阿部将大・橋本直) 8p

法政大A

表彰式
 

4月12日 2日目

■男子エリートスプリント
26名が出場。上位8名が通過する予選は、10秒216を出した渡邉一成が1位、2位に10秒238の中川誠一郎、3位に10秒296の河端と続き、この3名のみが10秒2秒台と抜けたタイムをマーク。
1/4決勝、1/2決勝を経て決勝へ名乗りを上げたのはそれぞれストレートで勝ち上がってきた渡邉と中川。1-2位決定戦は1本目を中川が、2本目を渡邉が取る激戦に。死力を尽くした3本目を制したのは中川。意外にも全日本でのスプリント優勝はこれが初めてとなる中川が栄冠に輝いた。
3-4位決定戦は河端が雨谷一樹(JPCA・JPCU栃木)を下し、勝利を収めた。
結果
1位 中川誠一郎(JPCA・JPCU熊本)
2位 渡邉一成(JPCA・JPCU福島)
3位 河端朋之(JPCA・JPCU岡山)

1-2位決定戦

表彰式
■女子エリートスプリント
6名が出場。上位4名が通過する予選は前田加代乃が11秒551で1位、2位石井寛子、3位石井貴子、4位梶田舞。
1/2決勝を勝ち上がった前田と石井貴子で1-2位決定戦が行われ、ここはこの種目6連覇中の前田が貫禄を見せ、ストレートで石井貴を下した。
3-4決定戦は実績のある石井寛が梶田に勝利。
結果
1位 前田佳代乃(京都・京都府自転車競技連盟)
2位 石井貴子(JPCA・JPCU千葉)
3位 石井寛子(JPCA・JPCU東京)

1-2位決定戦

表彰式
■男子エリートチームパーシュート
予選では岐阜が4分16台のタイムで、2位の和歌山に3秒差をつけてトップに立つ。1-2位決定戦では予選より5秒もタイムを上げた和歌山が逆転で勝利。3-4決定戦は予選3位の学連が予選4位の中央大を追抜きで下した。
結果
1位 和歌山(窪木一茂・岡本隼・森口寛己・永橋湧也) 4分14秒743
2位 岐阜(橋本英也・渡邊翔太郎・相馬義宗・浦田真成) 4分15秒330
3位 学連(眞砂英作・吉川希望・荒井佑太・小林和希) 追抜き

和歌山

表彰式
■女子エリートチームパーシュート
強化チームのみの出場。この種目の日本記録メンバーである加瀬加奈子、上野みなみ、小島蓉子に、5月から競輪学校入学予定の鈴木奈央を加えた顔ぶれで出走した。
結果
1位 強化(加瀬加奈子・上野みなみ・小島蓉子・鈴木奈央) 4分44秒732

強化

表彰式
■男子エリートポイントレース
40kmで争われた男子ポイントレース。16回のポイント周回のうち12回で得点に絡み、コンスタントにポイントを積み上げた窪木一茂が優勝。2位争いは最後まで原田裕成、小林泰正、橋本英也(岐阜・鹿屋体育大)で接戦となったが、最終盤に大きくポイントを上乗せした原田と小林が表彰台をゲットした。
結果
1位 窪木一茂(和歌山・和歌山県教育庁) 36p
2位 原田裕成(岡山・鹿屋体育大) 26p
3位 小林泰正(群馬・日本体育大) 25p

窪木一茂

表彰式
■女子エリートポイントレース
20kmで争われた女子ポイントレースは、ジュニアながら世界選手権銀メダル、アジア選手権金メダルとこの種目に自信を持つ梶原悠未と、今年の世界選手権銀メダリスト・上野みなみの対決が注目された。レースは序盤から積極的にレースを作っていた上野が残り40周を切って集団から飛び出すと、そのタイミングで梶原も仕掛け、単独でアタック。しかしすぐに上野が追いかけ、梶原と上野の2人で逃げる展開となる。残り30周を切ってラップに成功すると、勝負は上野と梶原に絞られた形に。その後も上野、梶原ともに得点を追加していくが、前半のリードを守った上野が勝利し、梶原を退けた。
結果
1位 上野みなみ(青森・鹿屋体育大) 1lap39p
2位 梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸高) 1lap35p
3位 塚越さくら(鹿児島・鹿屋体育大) 19p

上野みなみ

表彰式
■男子エリートスクラッチ(決勝)
15kmで行われた男子スクラッチは、レース後半で集団から抜け出した原井博斗、浦田真成、松本憲斗の3名がラップに成功。ゴール着順で先着した原井が優勝を飾った。
結果
1位 原井博斗(福岡・中央大)
2位 浦田真成(岐阜・朝日大)
3位 松本憲斗(熊本・鹿屋体育大)

集団をラップした原井、浦田、松本

表彰式
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.