自転車競技

2015 ジャパン・トラック・カップI&II レポート
今回で3回目の開催となった国際トラック競技大会「ジャパン・トラック・カップ」。今年は7月10日(金)に「ジャパン・トラック・カップI」、11日(土)~12日(日)に「ジャパン・トラック・カップII」として2大会が伊豆ベロドロームで行われた。

今大会には韓国、チャイニーズタイペイ、ホンコンチャイナ、マレーシアといったアジア勢を中心に、短期登録で日本の競輪に参戦中の外国人選手たちが出場。日本もナショナルチームのメンバー全員が顔を揃えた。

UCIクラス1のカテゴリーで開催されるこの大会は、参加する各国・各選手にとって、秋から始まるワールドカップ出場のための"ポイント取り"という意味合いが大きい。
日本勢もすでにある程度のポイントを持っている選手と、そうでない選手によって、レースの戦い方や目的意識に多少の違いはあるものの、各種目で日本人選手がより多くポイントを獲得することを念頭においての戦いとなった。
 

2015 ジャパン・トラック・カップI

■男子エリートケイリン
1回戦、1/2決勝(準決勝)を経て、決勝には新田祐大、脇本雄太、河端朋之、デニス・ドミトリエフ、アジズルハスニ・アワン、雨谷一樹の6名が勝ち上がった。
決勝はアワン、雨谷、脇本、ドミトリエフ、河端、新田の並びで周回。ペーサー退避で新田が上がり、新田先頭で残り2周へ。残り1周半のバックで脇本が一気に踏み込み、残り1周で脇本が先頭に立つと、番手にドミトリエフが入る。後続は新田、河端、アワンと続く。ゴールはそのまま押し切った脇本が1着。
結果
1位 脇本雄太(JPC)
2位 デニス・ドミトリエフ(Rusvelo)
3位 ムハマド・アジズル・ハスニ・アワン(YSDトラックチーム)

優勝の脇本雄太選手コメント
「自分のもつところから落ち着いて仕掛けたいと考えていたので、それがうまくできたのがよかったと思います。これも海外のレースを経験してきたことの積み重ねだと思うし、勝利という形で成果が出せました。また合宿を重ねていって、そこからワールドカップという流れになるので、今後も頑張りたいです」

残り1周ホーム

ゴール

表彰式
■男子エリートスプリント
予選上位8名が本戦となる1/4決勝へ進出。予選1位、2位は10秒フラットのタイムを出したイム・チェビン、カン・ドンジンの韓国勢。さらにシェーン・パーキンス、渡邉一成、雨谷一樹、フランソワ・ペルビスと続く。
1/2決勝(準決勝)でイムが渡邉に勝利、カンがパーキンスに勝利し、決勝は韓国人同士の対戦に。決勝は3本目までもつれるもイムが優勝。3-4位決定戦はパーキンスがストレートで渡邉を下した。
結果
1位 イム・チェビン(韓国)
2位 カン・ドンジン(蔚山サイクリングチーム)
3位 シェーン・パーキンス(チームJayco-AIS)

1-2位決定戦

3-4位決定戦

表彰式
■男子エリートポイントレース
中盤までリードしていた小林泰正は、後半に入ってレン・チュン・ウィンに一旦逆転されるも、最終盤の2回のポイント周回で1着を取り、再び逆転して優勝を飾った。
結果
1位 小林泰正(日本体育大学) 1lap 53p
2位 レン・チュン・ウィン(ホンコンチャイナ) 1lap 46p
3位 キム・オッチョル(ソウルサイクリングチーム) 1lap 35p

優勝の小林泰正選手コメント
「大学に入って初めての国際大会だったので、すごく緊張したんですけど、表彰台の真ん中に立つことができて嬉しいです。ホンコン、韓国と接戦だったんですけど、日本チームみんなの助けもあって残り2回のポイント周回でポイントを取れたのが大きかったと思います」

優勝した小林泰正

表彰式
■女子エリートケイリン
1回戦2組から上位3名ずつが決勝進出。勝ち上がったのはリー・ウンジ、ムスタパ・ファテハー、梶田舞、前田佳代乃、ファリナ・シャワティ・ムハマド・アドマン、マン・ショウジェンの6名。
決勝はムスタパ、リー、梶田、アドマン、前田、マンの並びで周回。ペーサー退避でマンが動き、残り2周のホームはムスタパとマンが併走状態で通過。バックで梶田が踏み込み前に上がると、残り1周は梶田先頭で番手にムスタパが入り、リー、マンと続く。最終バックで捲って出たムスタパが先行する梶田を直線で交わし、優勝。
結果
1位 ムスタパ・ファテハー(YSDトラックチーム)
2位 梶田舞(日本)
3位 リー・ウンジ(韓国)

2位の梶田舞選手コメント
「250mバンクで初めてケイリンを走ったので、いいところで仕掛けられたのかはよく分からないんですけど、自分の力を出し切れたので、すごく嬉しいです。今はダッシュ力もパワーも全然足りないので、そこを課題にやっています。今年はぜひワールドカップに出場したいので、こういう国際大会でいいところを見せて、連れて行ってもらえるように頑張ります」

残り1周ホーム

ゴール

表彰式
■女子エリートスプリント
予選上位4名が本戦の1/2決勝へ進出。
予選1位のムスタパと4位の石井貴子、2位のジョ・ソンヨンと3位の加瀬加奈子の対戦となった1/2決勝は、ムスタパ、ジョが勝利し決勝へ。
決勝はムスタパがストレートで優勝。加瀬と石井の対戦となった3-4位決定戦は、加瀬が石井を下した。
結果
1位 ムスタパ・ファテハー(YSDトラックチーム)
2位 ジョ・ソンヨン(韓国)
3位 加瀬加奈子(日本)

1-2位決定戦

3-4位決定戦

表彰式
■女子エリートポイントレース
パン・ヤオ、ツン・シャオチャー、中村妃智の3名が2ラップに成功。勝負はこの3人に絞られ、8回のポイント周回のうち6回で得点を重ねたパンが競り勝って優勝。
結果
1位 パン・ヤオ(ホンコンチャイナ) 58p(1lap)
2位 ツン・シャオチャー(台中サイクリングチーム) 52p(1lap)
3位 中村妃智(日本体育大学) 51p(1lap)

女子エリートポイントレース

表彰式
■男子ジュニアケイリン
決勝は前を取ったムハマド・カイリ・ニザム・ラスーが突っ張って先行、そのまま逃げ切って優勝を飾った。日本勢では谷口力也と山根将太の2名が決勝に乗ったが、谷口の4位が最高位。
結果
1位 ムハマド・カイリ・ニザム・ラスー(マレーシア)
2位 カン・シンフォン(チャイニーズタイペイ)
3位 ムハマド・ファディル・ムハマド・ソニス(マレーシア)

ゴール

表彰式
■男子ジュニアスクラッチ
9名での争いとなったレースは、今村駿介がすべての選手をラップして優勝。
結果
1位 今村駿介(日本)
2位 カン・シンフォン(チャイニーズタイペイ) -1
3位 ムハマド・ザムリ・アイマン・フィルダウス(マレーシア) -1

優勝した今村駿介

表彰式
■女子ジュニアケイリン
一発決勝となったレースは、前を取った大久保花梨がペーサー退避から突っ張って先行、そのまま押し切って優勝。
結果
1位 大久保花梨(日本)
2位 岡本二菜(ジュニアハイパフォーマンスチーム)
3位 チャン・ヤオ(チャイニーズタイペイ)

残り1周ホーム

表彰式
■女子ジュニアポイントレース
日本勢のみ4名でのレースは、梶原悠未が単独でラップに成功し、勝負を決めた。
結果
1位 梶原悠未(日本) 1lap 36p
2位 橋本優弥(ジュニアハイパフォーマンスチーム) 13p
3位 古山稀絵(日本) 9p

女子ジュニアポイントレース

表彰式
 

2015 ジャパン・トラック・カップII

■男子エリートケイリン
決勝に勝ち上がったのはパーキンス、新田、イム、アワン、マティエス・ブフリ、渡邉一成の6名。
周回はパーキンス、ブフリ、新田、アワン、イム、渡邉の並び。ペーサー退避で徐々に上昇を開始した渡邉は、残り1周半のバックで先頭に立つと、そのまま先行で残り1周へ。後続はパーキンス、アワンと続く。ゴール直前まで逃げ粘った渡邉だが、僅差でアワンが差して優勝を飾った。
結果
1位 ムハマド・アジズル・ハスニ・アワン(YSDトラックチーム)
2位 渡邉一成(日本)
3位 シェーン・パーキンス(チームJayco-AIS)

2位の渡邉一成選手コメント
「今回はトレーニングレースと位置付けていたんですけど、初日思ったより調子が上がってこなくて、その中で踏んでレースをこなしたので、疲労感が残っていました。ケイリンで尻上がりに調子が上がってきたので、最後の結果はちょっと悔しいですね。でもしっかり2周踏んで、いいレースができたので、トレーニングの成果と自分の試したいことが出せたと思います。冬場のワールドカップシーズンまでまだ時間があるので、準備が完璧に整えばもっともっといい成績が残せると思います」

8位の河端朋之選手コメント
「今回は(ポイントはすでに持っているので)坂本監督からも見せ場を作るなり、自分の力を出すなり、トレーニングになるようにしっかり走れと言われていました。直前の合宿で追い込んで入ったわりには脚が回っている感じがあったので、トレーニングの延長としては力を出せるレースができたかなと思います。(これからのワールドカップシーズンは)やっぱりスプリントで上位に入らないことには自分としての道がないので、個人でアピールできるように頑張りたいと思います」

12位の中川誠一郎選手コメント
「僕はスプリントの点数は取れていたので、今回はケイリンだけの参加です。しっかり合宿で練習して、特に調整もなしで大会に入ったんですけど、力を出すレースでは出せたし、そこまで疲れもなく走れたので、いいトレーニングにはなったかなと思います。(これからのワールドカップシーズンは)個人ではやっぱりスプリントですけど、今スプリントは結構混戦で毎回表彰台が変わっている状況なので、自分も予選では一桁の順位に入れることもありますし、チャンスはあると思っています。なんとか表彰台に乗れるように頑張りたいですね」

残り1周ホーム

ゴール

表彰式
■男子エリートスプリント
全員通過の予選は1位のドミトリエフが唯一の9秒台を出し、2位イム、3位カン、4位アワン、5位パーキンスと上位は海外勢が続く。
本戦は1/4決勝で日本勢がすべて姿を消す結果に。ドミトリエフとイムの対戦となった決勝は3本目までもつれるも、ドミトリエフが勝利。3-4位決定戦はカンがパーキンスを下した。
結果
1位 デニス・ドミトリエフ(Rusvelo)
2位 イム・チェビン(韓国)
3位 カン・ドンジン(蔚山サイクリングチーム)

7位の和田真久留選手コメント
「今回は不満足な結果になってしまいました。競輪のほうで落車とかしてしまって、自分の思うような練習や調整ができなかったということもあるんですけど、それを差し引いてもちょっと力の差があるなというのは実感しました。僕もチームスプリントの1走を目指してワールドカップに挑んでいきたいので、そこを重点において頑張っていきたいです」

8位の雨谷一樹選手コメント
「今大会はまずまずかなという感じですね。ハロンとかも自己ベストに近いタイムが出ましたし、ケイリンでもあまり積極的ではなかったですけど、流れにはついていけていたので、練習次第でもっといけるのかなという手応えはありました。ワールドカップまでもう少し時間があるので、もっと練習して上を目指したいと思います。今までどうしてもチームスプリントの1走だけってなってしまっていたので、今後はスプリントでも活躍できるように2つとも頑張っていきます」

13位の早坂秀悟選手コメント
「今回は見せるところがなにもなかったですね。(渡邉)一成さん、河端さん、雨谷と4人でずっと練習していて、練習自体の調子はよかったんですけど、合宿の頃にピークがきちゃって、最後のほうはバテバテになってしまいました。初日から2種目走ることは分かっていたので、もう少し自分なりにちゃんと考えてやらなきゃダメだったんですけど、最初に強めに入ってしまったのが原因かなと思います。今回の結果を今後のレースの糧にしたいと思います」

1-2位決定戦

3-4位決定戦

表彰式
■男子エリートオムニアム
前半3種目が終わった時点でトップに立った橋本英也だったが、短距離種目が続く後半で順位を落とし、5種目めが終わった時点で1位のパク・サンフンに32点差をつけられての4位に後退。最終種目のポイントレースで逆転を狙い、4ラップする猛攻撃を見せるも、パクも徹底的に橋本をマークし、最後は2点差でパクが逃げ切って優勝となった。
結果
1位 パク・サンフン(韓国) 272p
2位 橋本英也(日本) 270p
3位 レイ・チュン・ウィン(ホンコンチャイナ) 228p

2位の橋本英也選手コメント
「1日目は1位で順調だったんですけど、2日目は最初の2種目がちょっと失敗してしまって、最後のポイントレースは32点差をつけられたところからのスタートになってしまいました。日本チームに助けられたところもあって2点差まで追いついたんですけど、届かず2位ということで悔しいですね。やっぱりパワーが必要とされる短距離種目を強化して、次のステージに進みたいと思います」

男子オムニアム・ポイントレース

表彰式
■女子エリートケイリン
決勝に勝ち上がったのは加瀬、ジョ、ムスタパ、前田、梶田、リーの6名。
レースはムスタパ、前田、ジョ、リー、加瀬、梶田の並びで周回。ペーサー退避で梶田が上昇を開始し、残り1周半のバックで先頭に上がると、今度は加瀬が動き、梶田の前に入る。残り1周のホームは加瀬、梶田の並びで通過。先行する加瀬をゴール前で梶田が差し、梶田と加瀬のワンツーとなった。
結果
1位 梶田舞(日本)
2位 加瀬加奈子(日本)
3位 リー・ウンジ(韓国)

優勝の梶田舞選手コメント
「優勝したかったのですごく嬉しいです。加瀬さんが先行すると思っていたので、加瀬さんより先に動いて、できたら突っ張る、ダメなら後ろから踏んで行こうと思っていました。勝因は思い切りいけたのと、たくさんの方がアドバイスをくれて、それ通りにやれたからなので、本当に皆さんのおかげだと思います。積極的に動いて優勝できたので、これからもこういうレースをしていきたいです」

2位の加瀬加奈子選手コメント
「ポイントもある程度取れているので、ケイリンに関しては先行してどのくらい戦えるかと思っていたんですけど、梶田さんもうまいというか、強かったですね。最近は(動く)タイミングのセンスが多少ついてきたかなと思います。これからも坂本監督の教え通り、動いて先行していきたいと思います」

残り1周ホーム

ゴール

表彰式
■女子エリートスプリント
予選上位8名が本戦の1/4決勝へ。日本勢は全員が本戦に進出するが、1/4決勝で石井寛子、梶田が敗退。決勝はムスタパと加瀬の対戦となり、3本目までもつれるもムスタパが勝利。石井貴子と前田の対戦となった3-4決定戦は石井がストレートで前田を下した。
結果
1位 ムスタパ・ファテハー(YSDトラックチーム)
2位 加瀬加奈子(日本)
3位 石井貴子(日本)

1-2位決定戦

3-4位決定戦

表彰式
■女子エリートオムニアム
前半3種目をトップで折り返した上野みなみは、短距離種目で順位を落とし、5種目が終わった時点で3位に後退するも、得意のポイントレースで大きく得点を伸ばし、終わってみれば2位に29点差をつけて圧勝となった。
結果
1位 上野みなみ(日本) 238p
2位 ヨン・チンユー(HKSIトラックサイクリングチーム) 209p
3位 ファン・ティンイン(チャイニーズタイペイ) 198p

優勝の上野みなみ選手コメント
「ワールドカップに出場するための大事な大会で、優勝してたくさんのポイントを獲得することが目標だったので、本当に嬉しいです。レースを振り返ると反省すべき点や学ぶことがいっぱいあったので、そこを改善して世界に繋がるレースができるように、これからもトレーニングやレース経験を積んで頑張っていきたいと思います」

優勝した上野みなみ

表彰式
■男子ジュニアケイリン
決勝には日本から梶原大地、山根将太の2名が進出。
レースは残り2周で先頭に上がった山根が先行。最終4コーナーで捕まるも、1着と2着に入線した選手が降格になる波乱があり、山根の最終順位は2位となった。
結果
1位 ファン・ズーピン(台中サイクリングチーム)
2位 山根将太(日本)
3位 ムハマド・ファディル・ムハマド・ソニス(マレーシア)

残り1周ホーム

表彰式
■男子ジュニアポイントレース
5名という少人数のレースとなったが、今村がコンスタントに得点を重ね、優勝を飾った。
結果
1位 今村駿介(日本) 22p
2位 ムハマド・ファディル・ムハマド・ソニス(マレーシア) 19p
3位 リュー・インサン(ホンコンチャイナ) 11p

男子ジュニアポイントレース

表彰式
■女子ジュニアケイリン
一発決勝となったレースは、残り2周から先行した大久保花梨をゴール前で交わしたワン・ツーチュンが優勝。
結果
1位 ワン・ツーチュン(チャイニーズタイペイ)
2位 大久保花梨(日本)
3位 高橋智香(ジュニアハイパフォーマンスチーム)

ゴール

表彰式
■女子ジュニアスクラッチ
終盤単独で飛び出した橋本優弥を追走した鈴木奈央が、最後は橋本を振り切って優勝。
結果
1位 鈴木奈央(日本)
2位 橋本優弥(ジュニアハイパフォーマンスチーム)
3位 チャン・ヤオ(チャイニーズタイペイ)

優勝した鈴木奈央

表彰式
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