第85回全日本自転車競技選手権大会トラックレース
4月16日(土)~17日(日)の2日間に渡り、修善寺の伊豆ベロドロームにおいて、2016年の自転車競技トラック種目の日本一を争う「第85回全日本自転車競技選手権大会トラックレース」が開催された。
今年の全日本選手権には男子が130名を超えるエントリー、そしてまだ競技者数が多いとはいえない女子も昨年より10名増えて30名が出場した。
短距離陣ではこれまでのナショナルメンバーに加え、競技復帰を宣言した浅井康太や小林優香、3月に競輪学校を卒業した鈴木奈央、土屋珠里などが出場。また、リオオリンピックの代表候補である渡邉一成と脇本雄太も参加したが、落車のリスクがあるケイリンは回避し、1kmタイムトライアルのみのエントリーとなった。
今大会は今シーズンの強化指定選手の選考も兼ねており、選考結果は後日、日本自転車競技連盟より発表される。
8月にリオオリンピックが控えているものの、すでに次のシーズン、ひいては4年後の東京オリンピックを見据え、新たなスタートが切られようとしている。
4月16日 初日
■男子ケイリン
1回戦・敗者復活戦を経て、1/2決勝を勝ち上がった浅井康太、雨谷一樹、新田祐大、早坂秀悟、河端朋之、宮本隼輔の6名が決勝進出を決めた。
決勝戦は雨谷、新田、早坂、河端、宮本、浅井の順で周回。ペーサー退避のタイミングで中央大学の宮本が上昇すると、それに乗って浅井も前に上がってくる。宮本の先行で残り2周へ、番手は内側に雨谷、外に浅井で併走。後続は新田、早坂、河端と続く。残り1周のホームに入ると各選手が踏み込み、横一線になって通過。最終バックで大外から捲った河端がそのまま突き抜け、1着。河端を追走した雨谷が2着、3着に新田が入った。
結果
1位 河端朋之(JPCA・JPCU岡山)
2位 雨谷一樹(JPCA・JPCU栃木)
3位 新田祐大(JPCA・JPCU福島)
■女子ケイリン
上位3名が決勝進出となる1回戦は、第1ヒートから前田佳代乃、石井貴子、大久保花梨が勝ち上がり、第2ヒートは加瀬加奈子と内村舞織が落車するアクシデントがあり、2着入線の梶田舞が失格、1着の小林優香が勝ち上がった。
決勝戦は加瀬と内村が棄権し、前田、石井、大久保、小林の4名で争われた。周回は石井、大久保、小林、前田の順で進む。ペーサーが退避し、石井が先頭のまま残り2周に入ると、バックで大久保が石井を交わそうと踏むが、石井もあわせる。石井の先行、2番手大久保、3番手小林、4番手前田で残り1周へ。最終バックで最後尾から一気に踏み上げた前田が捲りきり、ゴールは1着前田、2着は粘った石井、3着に小林。
前田はケイリンでは初の全日本タイトル獲得となった。
結果
1位 前田佳代乃(京都・京都府自転車競技連盟)
2位 石井貴子(JPCA・JPCU千葉)
3位 小林優香(JPCA・JPCU福岡)
■男子チームスプリント
予選1位鹿屋体育大学、2位中央大学、3位日本大学、4位明治大学がメダル決定戦へ進出。JPCAチーム(谷口遼平・伊藤裕貴・浅井康太)は2走の伊藤がスタートで大きく離れてしまい、5位に終わった。
1-2位決定戦は中央大学が予選よりもタイムを上げてきたものの、鹿屋体育大学が勝利し、優勝。3-4位決定戦は明治大学が逆転で表彰台獲得となった。
結果
1位 鹿屋体育大学(黒枝咲哉・堀航輝・野上竜太) 46秒444
2位 中央大学(佐伯亮輔・梶原大地・橋本壮史) 46秒945
3位 明治大学(板倉玄京・小林和希・橋本瑠偉) 47秒873
鹿屋体育大学
表彰式
■女子チームスプリント
2チームのみの出場のため、一発決勝で行われた。優勝は初めてペアを組んだという1走小坂知子と2走中川諒子の岩井商会レーシング。
結果
1位 岩井商会レーシング(小坂知子・中川諒子) 36秒536
2位 鳥取(伊藤花歩・菅原朱音) 38秒928
岩井商会レーシング
表彰式
■男子1kmタイムトライアル
1分3秒台に上位勢がひしめく中、大学生が表彰台を独占する形に。小原、野上、寺崎は大会新記録をマーク。脇本雄太、新田祐大、渡邉一成、早坂秀悟など並みいる強豪を抑え、小原が初優勝を飾った。
結果
1位 小原佑太(青森・朝日大学) 1分03秒305
2位 野上竜太(岡山・鹿屋体育大) 1分03秒607
3位 寺崎浩平(福井・バルバレーシング) 1分03秒708
小原佑太
表彰式
■女子500mタイムトライアル
オムニアムのリオオリンピック代表候補選手、塚越さくらが短距離種目に強いところを発揮し、優勝を飾った。2位は久しぶりに競技に戻ってきた中川、3位には5月から競輪学校に入学する大久保が入った。3月に競輪学校を卒業したばかりの土屋珠里は37秒413で4位。
結果
1位 塚越さくら(鹿児島・CIEL BLEU KANOYA) 36秒184
2位 中川諒子(JPCA・岩井商会レーシング) 37秒022
3位 大久保花梨(福岡・福岡県自転車連盟) 37秒053
塚越さくら
表彰式
■男子4km個人パーシュート
予選1位近谷涼、2位新村穣、3位原田裕成、4位一丸尚伍がメダル決定戦へ進出。予選の近谷のタイム4分26秒116は日本新記録。
1-2位決定戦は新村がスタートからハイスピードで追抜きを狙う奇襲を仕掛けるも、中盤で失速し、近谷の勝利となった。3-4位決定戦は原田が一丸を下して3位。
結果
1位 近谷涼(富山・マトリックスパワータグ) 追抜勝
2位 新村穣(茨城・茨城CS) OVT
3位 原田裕成(岡山・愛三工業レーシングチーム) 4分33秒859
近谷涼
表彰式
■女子3km個人パーシュート
予選1位塚越さくら、2位梶原悠未、3位上野みなみ、4位鈴木奈央がメダル決定戦へ進出。予選の塚越のタイム3分42秒726は、加瀬加奈子の持つ日本記録3分42秒145にも迫る大会新記録。
1-2位決定戦は塚越が梶原を下して優勝、3-4位決定戦は上野が鈴木を下して3位となった。
結果
1位 塚越さくら(鹿児島・CIEL BLEU KANOYA) 3分45秒559
2位 梶原悠未(埼玉・筑波大C) 3分47秒621
3位 上野みなみ(鹿児島・CIEL BLEU KANOYA) 3分47秒932
塚越さくら
表彰式
4月17日 2日目
■男子スプリント
当初出場を予定していたリオオリンピック代表候補の中川誠一郎は欠場し、30名が出走。タイム上位8名が1/4決勝へ進む予選は、1位和田真久留10秒208、2位河端朋之10秒321、3位雨谷一樹10秒444、4位野上竜太10秒623、5位小原佑太10秒642、6位堀航輝10秒659、7位後藤悠10秒701、8位宮本隼輔10秒728。
1/4決勝を経て、準決勝となる1/2決勝は和田が小原に勝利、河端が雨谷に勝利。
和田と河端の対戦となった1-2位決定戦は、河端がストレートで和田を下し、優勝。雨谷と小原の対戦となった3-4位決定戦は、小原が雨谷から1本取る健闘を見せるも、ここは力に勝る雨谷が勝利し、3位となった。
スプリントでも4年ぶりの優勝となった河端は、ケイリンと合わせ2つのタイトルを獲得した。
結果
1位 河端朋之(JPCA・JPCU岡山)
2位 和田真久留(JPCA・JPCU神奈川)
3位 雨谷一樹(JPCA・JPCU栃木)
1-2位決定戦
表彰式
■女子スプリント
タイム上位4名が1/2決勝へ進む予選は、1位前田佳代乃11秒631、2位石井貴子11秒696、3位石井寛子11秒796、4位西島叶子12秒628。
1/2決勝は前田が西島に勝利、石井(貴)が石井(寛)に勝利。
前田と石井(貴)の対戦となった1-2位決定戦は、この種目で7連覇中の前田がストレートで優勝。石井(寛)と大学生の西島の対戦となった3-4位決定戦は、石井(寛)が勝利した。
前田はケイリンとスプリントの2種目でタイトル獲得となった。
結果
1位 前田佳代乃(京都・京都府自転車競技連盟)
2位 石井貴子(JPCA・JPCU千葉)
3位 石井寛子(JPCA・JPCU東京)
1-2位決定戦
表彰式
■男子チームパーシュート
予選1位学連、2位日本大学、3位中央大学、4位法政大学がメダル決定戦へ進出。
1-2位決定戦は日本大学が大会新記録をマークし、学連を逆転して優勝。3-4位決定戦も予選4位の法政大学が逆転で中央大学を下し、表彰台獲得となった。
結果
1位 日本大学(森口寛己・坂本紘規・草場啓吾・沢田桂太郎) 4分13秒833
2位 学連(眞砂英作・池邊聖・伊藤和輝・廣瀬元輝) 4分15秒200
3位 法政大学(荒井佑太・青野将大・鈴木康平・渡部将太) 4分19秒636
日本大学
表彰式
■女子チームパーシュート
1チームのみの出場。鹿屋体育大学を卒業した塚越さくらと上野みなみ、在学中の江藤里佳子と橋本優弥というメンバーで臨んだCIEL BLEU KANOYAが、大会新記録をマークした。
結果
1位 CIEL BLEU KANOYA(塚越さくら・上野みなみ・江藤里佳子・橋本優弥) 4分40秒366
CIEL BLEU KANOYA
表彰式
■男子ポイントレース
例年この種目の中心的存在となる窪木一茂、橋本英也が今回はいないこともあり、レースは多くの選手に得点がばらける大混戦に。最後のポイント周回を残して、トップは小林泰正と渡邊翔太郎が同点で並んでいたが、1点差につけていた今村駿介が最終周回でスパートし、逃げていた小林をゴール前で捕まえ、逆転で勝利を挙げた。4月から大学生になり、ジュニアから上がったばかりの今村が初の全日本制覇となった。
結果
1位 今村駿介(福岡・中央大学) 17p
2位 小林泰正(群馬・日本体育大学) 16p
3位 渡邊翔太郎(岐阜・岐阜県) 14p
今村駿介
表彰式
■女子ポイントレース
ラップはなく、ポイント周回でのスプリント合戦となったレースは、4月から大学生になった梶原悠未が終始ポイントをリードする形で進み、前回優勝の上野みなみ、競輪学校でスプリントに磨きをかけた鈴木奈央らも得点に絡むものの、梶原が初の全日本タイトルを手にした。
結果
1位 梶原悠未(埼玉・筑波大C) 22p
2位 上野みなみ(青森・CIEL BLEU KANOYA) 17p
3位 鈴木奈央(静岡・静岡県自転車連盟) 16p
梶原悠未
表彰式
■男子スクラッチ
1日目に予選2組が行われ、勝ち上がった20名で争われた決勝。終盤で小林和希、佐々木眞也、野本空の3名がラップに成功し、最後はゴール着順で小林が優勝を飾った。
結果
1位 小林和希(福岡・明治大学)
2位 佐々木眞也(和歌山・日本大学)
3位 野本空(愛媛・明治大学)
集団をラップした小林、佐々木、野本
表彰式
■男子マディソン
上位勢は僅差の争いとなり、最後は同点ながらゴール着順で大分を逆転した実業団が優勝。
結果
1位 実業団(新村穣・寺崎浩平) 13p
2位 大分(一丸尚伍・黒枝咲哉) 13p
3位 群馬(小林泰正・倉林巧和) 11p
実業団
表彰式
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