2017ジャパン・トラック・カップI&II レポート
今年で4回目を迎えた国際トラック競技大会「2017ジャパン・トラック・カップ」。今回も伊豆ベロドロームにおいて、7月7日(金)が「ジャパン・トラック・カップI」、8日(土)~9日(日)が「ジャパン・トラック・カップII」として、2大会連続で開催された。
クラス1のカテゴリーで開催される同大会は、ワールドカップへの出場権に関わるUCIポイント獲得の場となっているが、海外勢はアジアを中心に、オーストラリアやロシアの強豪、そして短期登録で来日中の外国人選手6名も参戦。
迎え撃つ日本勢はナショナルのトップメンバーが集結した。競輪界からは短距離に渡邉一成、新田祐大、脇本雄太、河端朋之、雨谷一樹、早坂秀悟、和田真久留、小林優香、太田りゆ、競技への復帰を果たした深谷知広。また、中距離種目には鈴木奈央に加え、競輪学校生の橋本英也と小林泰正も出場した。
今回もっとも目を引いたのは、日本短距離陣のレベルアップだ。世界の強豪が揃う中、優勝こそ果たせなかったものの、スプリントの200mタイムトライアルでは各選手がこれまでにないほどの好タイムをマーク。特に今まであまりスプリントを得意としていなかった新田が9秒8、脇本が9秒9というベストタイムを出し、それぞれ表彰台にあがった。
女子も前田佳代乃が日本記録に迫る11秒1、小林と新人の太田が11秒3をマークするなど、全体的に着実な底上げを感じさせた。男女ともに今シーズンのワールドカップに向け、いい弾みとなりそうだ。
中距離は女子の出場人数が少なかったものの、その中で鈴木がきっちりオムニアムとマディソンの2種目で優勝。男子では橋本が強力なオーストラリア勢と渡り合う実力を見せ、今後の活躍を期待させるものとなった。
2017ジャパン・トラック・カップI
■男子エリートケイリン
1回戦・敗者復活戦を経て、準決勝となる1/2決勝を勝ち上がったのは第1ヒートから新田祐大、シェーン・パーキンス、デニス・ドミトリエフ。第2ヒートから脇本雄太、渡邉一成、早坂秀悟。
決勝は新田、早坂、パーキンス、ドミトリエフ、渡邉、脇本の順で周回。ペーサー退避から脇本が一旦先頭に上がるも、残り1周半でパーキンスが一気にカマして先行。番手にドミトリエフがハマり、3番手に脇本と続く。ゴールは最後の直線で逃げるパーキンスを交わしたドミトリエフが1着、パーキンス2着、3着には後方から追い込んだ新田が入った。
最終結果
1位 DMITRIEV Denis(ロシア)
2位 PERKINS Shane(ドリームシーカー)
3位 新田祐大(ドリームシーカー)
■女子エリートケイリン
1回戦2組が行われ、上位3名ずつが決勝へ。第1ヒートから小林優香、チェ・スルギ、太田りゆ、第2ヒートからアナスタシア・ヴォイノヴァ、キム・ウォンギョン、イム・ダビンが決勝に名乗りをあげた。
決勝はキム、ヴォイノヴァ、チェ、小林、太田、イムの順に周回。残り2周半で小林が先頭にあがり、キム、ヴォイノヴァと続く。そのまま小林が先行、最終バックでヴォイノヴァが捲って出ると、それに合わせてキムも発進。キムが世界のトップスプリンターのヴォイノヴァを抑えて1着、2着ヴォイノヴァ、3着には逃げ粘った小林。
最終結果
1位 KIM Wongyeong(韓国)
2位 VOINOVA Anastasiia(ロシア)
3位 小林優香(ドリームシーカー)
■男子エリートスプリント
上位8名が通過となる予選は1位のドミトリエフ、2位のサムウェブ・スターが9秒7台をマーク。続く3位には9秒843と自己ベストを大きく更新した新田、5位に9秒971の脇本、8位に10秒019の河端朋之と、ハイレベルな争いの中、日本勢は3名が本戦へ駒を進めた。
1本勝負の1/4決勝では新田がテオ・ボスを、脇本がパーキンスを下す躍進を見せるも、1/2決勝ではそれぞれウェブスター、ドミトリエフに敗れる。この結果、3-4位決定戦は新田と脇本、1-2位決定戦はウェブスターとドミトリエフの対戦に。
3-4位決定戦は新田がストレートで勝利、1-2位決定戦は午前中にケイリンを走っているドミトリエフに対し、フレッシュな状態のウェブスターが有利にレースを運び、優勝を手にした。
最終結果
1位 WEBSTER Sam(ニュージーランド)
2位 DMITRIEV Denis(ロシア)
3位 新田祐大(ドリームシーカー)
■女子エリートスプリント
上位8名が通過となる予選は1位のヴォイノヴァが10秒804で、唯一の10秒台をマーク。2位には11秒1を出した前田佳代乃、4位に11秒342の太田りゆ、5位に11秒370の小林と、日本勢は3名が本戦に進出。
1/4決勝は予選上位勢のヴォイノヴァ、前田、キムに加え、太田を下した小林が勝ち上がる。1/2決勝はヴォイノヴァが小林に、キムが前田に勝利。この結果、3-4位決定戦は小林と前田、1-2位決定戦はヴォイノヴァとキムの対戦に。
3-4位決定戦は前田が太田にストレートで勝利、1-2位決定戦はヴォイノヴァが危なげなくキムを退け、優勝を飾った。
最終結果
1位 VOINOVA Anastasiia(ロシア)
2位 KIM Wongyeong(韓国)
3位 前田佳代乃(JPCA)
■男子エリートマディソン
9チーム出走。
オーストラリア、CS Slinger、イランが集団から抜け出し、ラップに成功。勝負の行方はこの3チームに絞られたが、団体追抜の世界チャンピオンでもあるオーストラリアペアが圧倒的な力で優勝。日本の新村・沢田ペアはイランとの接戦を制し、2位。
最終結果
1位 オーストラリア 70p
2位 CS Slinger(新村穣・沢田柱太郎) 44p
3位 イラン 38p
優勝のオーストラリアチーム
表彰式
■女子エリートマディソン
日本、マレーシア、イランの3チームのみの出走となったが、序盤からイランが遅れ、日本とマレーシアの一騎打ち状態に。計8回のスプリント周回のうち、7回で1着を取った日本が優勝。
最終結果
1位 日本(鈴木奈央・橋本優弥) 43p
2位 マレーシア 29p
3位 イラン -242p
優勝の日本チーム(鈴木奈央・橋本優弥)
表彰式
2017ジャパン・トラック・カップII
■男子エリートケイリン
1/2決勝第1ヒートからマティエス・ブフリ、雨谷一樹、カン・シーフェン、第2ヒートから深谷知広、渡邉一成、河端が勝ち上がり、決勝へ進出。
決勝はブフリ、カン、渡邉、雨谷、深谷、河端の順に周回。ペーサー退避からブフリ先頭のまま残り2周に向かう4コーナーで、深谷が落車するアクシデントが起こる。ゴールは先行で逃げ切ったブフリが1着、追走のカンが2着、渡邉が3着。
最終結果
1位 BUCHLI Matthijs(オランダ)
2位 KANG Shih Feng(チャイニーズタイペイ)
3位 渡邉一成(JPCA)
■女子エリートケイリン
1回戦第1ヒートからヴォイノヴァ、キム、小林、第2ヒートから太田、チェ、前田が勝ち上がり、決勝へ。
決勝はチェ、前田、太田、ヴォイノヴァ、キム、小林の順に周回。チェが先行し、大きく後続を引き離して逃げると、それを追走して前田、太田、小林、ヴォイノヴァ、キムと続く。最終バックで捲って出たヴォイノヴァが4コーナーで逃げるチェを捕らえ先頭に立つも、ゴールで差したキムが1着。ヴォイノヴァは2着、大外から突っ込んだ小林が3着。キムは前日に続き、2連勝となった。
最終結果
1位 KIM Wongyeong(韓国)
2位 VOINOVA Anastasiia(ロシア)
3位 小林優香(ドリームシーカー)
■男子エリートスプリント
上位8名が通過となる予選は1位のドミトリエフが9秒673という驚きのタイムをマーク。2位のウェブスターが9秒853、3位の新田が9秒941、6位の脇本が10秒033、8位の河端が10秒073で、日本勢は初日と同じ3名が本戦に進んだ。
1/4決勝で河端がドミトリエフに敗れ、新田と脇本の対戦は脇本が勝利し、日本勢では脇本のみが1/2決勝進出を決める。その脇本も1/2決勝ではウェブスターに敗れ、3-4位決定戦は脇本とボス、1-2位決定戦はドミトリエフとウェブスターの顔合わせとなった。
3-4位決定戦1本目は脇本が先行するも僅差でボスが差し、2本目は脇本の逃げ切り勝ち、勝負の3本目は先行したボスを追い込んだ脇本が勝利をあげた。1-2位決定戦は初日の雪辱を果たしたドミトリエフがストレートでウェブスターを下した。
最終結果
1位 DMITRIEV Denis(ロシア)
2位 WEBSTER Sam(ニュージーランド)
3位 脇本雄太(JPCA)
■女子エリートスプリント
上位8名が通過となる予選はヴォイノヴァが初日に続き、唯一の10秒台で1位、2位の前田が11秒119、4位の太田が11秒358、5位の小林が11秒399。
1/4決勝はヴォイノヴァ、前田、3本目までもつれながらも太田が勝ち上がりを決めるが、小林はキムに敗れて敗退。
1/2決勝ではヴォイノヴァと対戦した太田が落車し、そのまま棄権。前田はキムに敗れ、3位が確定。
1-2位決定戦はヴォイノヴァがキムを下し、初日に続き優勝を飾った。
最終結果
1位 VOINOVA Anastasiia(ロシア)
2位 KIM Wongyeong(韓国)
3位 前田佳代乃(JPCA)
■男子エリートオムニアム
強力なオーストラリア勢を相手に、橋本英也が食らいつく展開に。スクラッチ、テンポ、エリミネーションの3種目を終え、1位サミュエル・ウェルスフォード、2位橋本、3位ケランド・オブライエンで迎えた最終種目のポイントレースでは、橋本が2位を守り切り、日本勢の表彰台を確保。
最終結果
1位 WELSFORD Samuel(オーストラリア) 134p
2位 橋本英也(日本競輪学校) 121p
3位 O'BRIEN Kelland(オーストラリア) 119p
2位の橋本英也
表彰式
■女子エリートオムニアム
各種目とも日本勢が上位を取り、3種目終えた時点で1位鈴木、2位橋本、3位中村妃智で最終種目のポイントレースを迎えると、そのまま順位を守り切り、日本勢で表彰台独占となった。
最終結果
1位 鈴木奈央(日本) 139p
2位 橋本優弥(日本) 130p
3位 中村妃智(日本写真判定) 128p
優勝の鈴木奈央
表彰式
■男子エリートマディソン
初日同様、強さを見せるオーストラリア勢に対し、橋本と小林泰正の競輪学校チームが最終スプリントを残して3位につけるも、最後の勝負どころで落車が発生したこともあり、最終的に逆転され、惜しくも表彰台を逃す4位という結果になった。
最終結果
1位 オーストラリア 52p
2位 イラン 32p
3位 オーストラリアサイクリングフェデレーション 38p
4位の日本競輪学校チーム(橋本英也・小林泰正)
表彰式
■女子エリートマディソン
初日と同じく日本、マレーシア、イランの3チームが出走。日本とマレーシアがスプリント周回で1着を取り合う展開となるが、得点が倍となる最終スプリントもきっちり1着で締めた日本が初日に続き優勝。
最終結果
1位 日本(鈴木奈央・橋本優弥) 41p
2位 マレーシア 31p
3位 イラン -62p
優勝の日本チーム(鈴木奈央・橋本優弥)
表彰式
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