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自転車競技
ジャパントラックカップI&II レポート
男子ケイリンで河端朋之がIで、新田祐大がIIで優勝を決める。
またIIの男子オムニアムは橋本英也が優勝を決めた。
日本競輪選手養成所に新しく建設されたJKA250バンクにて、ジャパントラックカップIが8月23日、ジャパントラックカップIIが24日25日の合計3日間で開催された。
ジャパントラックカップIは1日で、男女ともにオリンピック個人種目(スプリント、ケイリン。オムニアム)とマディソンを1日で行うハードスケジュールな大会で、IIは2日間にわたりオリンピック個人種目とマディソンを行う詰め込まれていないスケジュールで行われる大会だ。
また、IIでの男子ケイリンは、勝ち上がりを増やしたオリンピック仕様で行われた。
参加国は17か国と多くの国から出場選手が集まり、あと1年を切った2020東京に向けて各国の意気込みが伝わる大会となった。
ジャパントラックカップに出場した競輪選手は、短距離の女子は小林優香、太田りゆ、男子は新田祐大、脇本雄太、河端朋之、深谷知広、雨谷一樹、松井宏佑のナショナルA代表、新山響平、小原佑太、高橋晋也、吉元大生のB代表が出場、中距離は女子が鈴木奈央、男子が橋本英也のナショナルA代表が出場した。また一般で小林泰正も出場した。
海外勢は、競輪、ガールズケイリンでもおなじみの選手が多数出場した。
シェーン・パーキンス、テオ・ボス、マシュー・グレーツァー、デニス・ドミトリエフ、シュテファン・ボティシャー、ジョセフ・トルーマンの男性陣。リ・ケイシ、カーリー・マカラク、ステファニー・モートン、ケイティ・マーシャンの女性陣だ。
ジャパントラックカップI
女子スプリント
小林優香が11秒132、予選8位で1/4決勝へ進出したが1/4決勝でリ・ケイシと対戦し敗退。太田は11秒201で敗退となった。

1/4決勝。小林優香VSリ・ケイシ

表彰

優勝は世界チャンピオンのリ・ケイシ(香港)、2位ステファニー・モートン(オーストラリア)、3位シモーナ・クルペツカイテ(リトアニア)。
男子ケイリン
1回戦は4ヒート行われ、勝ち上がったのは1ヒートから新田祐大、2ヒートは脇本雄太、深谷知広、4ヒートで河端朋之。
他は勝ち上がれず敗者復活戦へ。高橋晋也、新山響平は落車し、そのあとは棄権した。
敗者復活戦を勝ち上がったのは松井宏佑のみ1/2決勝へ進出。
1/2決勝は、1ヒートで河端、松井、2ヒートで脇本、新田が1-6位決勝へ進出。深谷が7-12位決定戦となった。

男子ケイリン1-6位決勝 先行する脇本

男子ケイリン1-6位決勝 ゴール


表彰

1-6位決勝は、脇本が先行し追走した河端が追い込んで優勝し脇本が2位、3位はアンスタサウィット・ジャイ(タイ)となった。
以下、新田5位、松井6位、深谷8位という結果となった。

河端朋之
「決勝はいい位置が取れてラッキーでした。後ろのタイの選手も僕と同じような位置を取ってという選手だったので、やられる前に自分でそれをやればいいかなって思いました。上手く流れを作れました。でも、決勝は僕の強さより脇本君の強さでしたね。今日は色んな展開があったんですけど、しっかり勝ち上がれて、最後もしっかり差し切れたのでよかったです」

脇本雄太
「自分の中では課題の見つかったレースですね」
女子ケイリン
参加人数が少なく、1回戦は2ヒートで行われ、各ヒート3位までが1-6位決勝進出となった。
1-6位決勝に進出したのは3位の小林優香。太田は5位で7-12位決定戦となった。
1-6位決勝で小林は何もできず6位。太田は先行し押し切り1着で7位となった。

7-12位決定戦 先行する太田りゆ

1-6位決勝の小林優香


表彰

優勝はイ・ヘジン(韓国)、2位リー・ホイ・ヤン・ジェシカ(香港)、3位ケイティ・マーシャン(イギリス)
男子スプリント
男子は、予選を河端朋之9秒826、3位、新田祐大9秒846、5位、脇本雄太9秒849、6位、深谷知広9秒926、8位で1/4決勝へ進出。
1/4決勝では深谷がグレーツァーと対戦し敗退、脇本VS河端は脇本が勝ち1/2決勝へ。新田はボスのドカマシ戦法で、追うも届かず敗退となった。
1/2決勝では脇本がネイサン・ハートに2本先取され、3-4位決定戦となった。
3-4位決定戦では、脇本はテオ・ボスに2本先取し3位が決定した。

3-4位決定戦

ゴール


表彰

優勝はマシュー・グレーツァー(オーストラリア)、2位ネイサン・ハート(オーストラリア)、3位脇本雄太
脇本雄太
「僕の中で1/2決勝が悔しい結果に終わってしまったという感じです。自分の得意な方にもっていきたかったけど、逆に引きずり込まれてしまいました。予選のタイムはもっとよくなるかなと、修正するところはあるかなと思います。スプリントを鍛えることによってケイリンにつながっていくと思っているので、しっかり鍛え上げていかないとケイリンにもつながっていかないのかなと思います。(3-4位決定戦のボスとの対戦は)反省点もありましたけど、結果としてはよかったと思います。今日の流れとしては得たものと反省するべきところとありましたが、それは明日に活かしていきたいと思います」
女子マディソン
20kmで8回のポイント周回で行われたマディソンには鈴木奈央、中村妃智ペアが出場し2ポイント獲得するも、7位となった。

左 中村妃智 右 鈴木奈央ペア

表彰

優勝はチャイナナショナルトラックチーム、2位香港、3位ベルギー
鈴木奈央
「交代は合宿の成果もしっかり出て、前回よりもしっかり走れたんですけど、小さいミスが1つあることで崩れてしまうことがあるので、トラックIIでは修正していきたいと思います」
女子オムニアム
鈴木奈央が出場し、スクラッチ13位、テンポレース6位、エリミネイション12位、64ポイント9位でポイントレースに臨んだ。ポイントレースでは1ラップアップで20ポイントを獲得したが、総合9位となった。

鈴木奈央

表彰

優勝は梶原悠未177ポイント、2位ワン・シャオフェイ(中国)、3位ラシュリー・ブキャナン(ニュージーランド)
男子マディソン
25kmポイント周回10回で行われた男子マディソンは、橋本英也は窪木一茂とペアを組んで出場し15ポイントを獲得したが、6位となった。

左 窪木一茂 右 橋本英也ペア

表彰

優勝はLXサイクリングチーム(韓国)、2位オーストラリア、3位ベルギー。
ジャパントラックカップII
IIはIに比べて、2日間で行われたので、時間的な余裕があり、勝ち上がりも変えて行われた。
8月24日1日目
男子スプリント
予選16位までが1/8決勝へ進出。予選を突破したのが河端、新田、深谷、脇本、小原佑太、雨谷一樹。
1/8決勝を勝ち上がったのは河端と新田。1/4決勝へ進出となった。
1/4決勝では河端はジャック・カーリングに敗退、新田もデニス・ドミトリエフに負け敗退となった。

1/8決勝 河端対フィリップ・ヒンデス(イギリス)

1/8決勝 新田対雨谷


表彰

優勝はマシュー・グレーツァー(オーストラリア)、2位デニス・ドミトリエフ(ロシア)、3位ジャック・カーリング(イギリス)となった。
河端朋之
「タイムも出せているので調子はいいです。せっかく2番目のタイムであがっても途中で負けてしまったので。まだまだテクニックが不足していると思います。相手のペースにのまれて負けてしまうことが多いので、できるだけ自分のペースで行った方がいいかなって感じですね。でも、もっともっと相手を引きつけられたらいいんですけど、相手が見えない時に踏み過ぎてしまうので、そういうところの技術が不足しています」
女子スプリント
こちらはIと同じく予選8位までが1/4決勝に進出。1/4決勝へ小林優香は進出となった。小林は1/4決勝でケイティ・マーシャンと対戦し敗退。

1/4決勝 小林対ケイティ・マーシャン

表彰

優勝はリ・ケイシ(香港)、2位シモーナ・クルペツカイテ(リトアニア)、3位イ・ヘジン(韓国)
女子オムニアム
鈴木奈央はスクラッチ4位と好調な出だしだったが、テンポレースでは17位、エリミネイションも17位と成績を落とし最終種目のポイントレースに15位50ポイントでスタート。3ポイントを加えるも16位となった。

鈴木奈央

表彰

優勝はラシュリー・ブキャナン(ニュージーランド)、2位梶原悠未、3位リー・シーウェン(香港)
男子マディソン
橋本英也は今村駿介とペアで40km16ポイント周回のマディソンに出場し、14ポイントを取るも6位となった。

右 橋本英也 左 今村駿介ペア

表彰

優勝はオーストラリア53ポイント、2位ベルギー44ポイント、3位香港33ポイント。
8月25日2日目
男子ケイリン
今回はオリンピックと同じ勝ち上がりで行われ、1回戦、敗者復活戦、2回戦、1/2決勝、決勝で行われた。
1回戦は5ヒートで行われ、2着までが2回戦進出。2回戦に進出したのは、新田、脇本、深谷、河端。
敗者復活戦を勝ち上がったのは小原、高橋、新山となった。
2回戦は3ヒート4着までが1/2決勝へ進出。
1/2決勝へ進出したのは、深谷、小原、新田、河端、脇本。
1/2決勝を勝ち上がったのは、河端、脇本、新田。この3人が1-6位決勝に進出し、深谷、小原が7-12位決勝となった。

1-6位決勝 残り1周

1-6位決勝 ゴール


表彰

1-6位決勝では新田が積極的に動いて優勝となった。2位は脇本、3位シェーン・パーキンス(オーストラリア)、河端は5位となった。
新田祐大
「初日、2日目にチームメイトがいい成績を残していたので、僕も負けない成績を残さないといけないと思って3日目に臨みました。日本で開催のトラックカップで日本人が誇り高いレースをしているので、優勝を獲得できてよかったです。今日はオリンピックと同じ勝ち上がりやルールで行われ、1年後を見据えて、気持ちが入りましたし、1年後を視野に入れることができました。今シーズン初の金メダルだったのでこの喜びをかみしめて、ワールドカップシーズンは万全の体調でむかえ、メダルを獲れるように仕上げていきたいと思います」
脇本雄太
「1/2決勝はワールドカップと変わらないメンバーでしたが、勝ちに固執せず自分のレースをしたいという強い気持ちで臨みました。その通りのレースができたので収穫はあったと思います。ブノワコーチと話して、レースの運び方は悪いところはないから、あとはトレーニングをつんでいけばワールドカップでも戦えるだろうと言われたので、それを信じて頑張るだけです」
河端朋之
「ワッキーが叩いていく時にけっこう上気味にいっていたから、僕もそこをつっこんで、番手か3番手にいければよかったんですけど、そこで踏み遅れて、ちょっとリスクを取れなかったですね。判断ミスですね」
女子ケイリン
こちらはIと同じ勝ち上がりで1発決勝。3着までの勝ち上がりとなる。
小林優香2着、太田りゆ1着で1-6位決勝に進出となった。
1-6位決勝は小林が積極的に出たレースで2着通過でゴールしたが、反則を取られ降格となり6位、太田が5位となった。

小林優香

残り2周 先行勝負に出る太田りゆ


ゴール

表彰

優勝はリ・ケイシ(香港)、2位イ・へジン(韓国)、3位ケイティ・マーシャン(イギリス)
小林優香
「初日、2日目は自分としては納得いっていなかったです。でも、スプリントに関しては8人しか勝ち上がれない中で勝ち上がれ、少し手応えは感じました。今日のケイリンは悔しい気持ちはあります。予選は2周半逃げてタイムもよかったと思いますし、結果は悔しいですが、次のアジア選では誰が見てもクリーンな走りで勝ち上がれるように頑張ります」
太田りゆ
「予選はいいメンバーだったけど、どうやったら3着まで入ってしっかり勝ち上がれるのか冷静に判断して、いいタイミングで動けたと思います。昨年から少しずつ出ていた結果は、まぐれではなく、力がついているんだと実感できています。もう少しでワールドカップが始まりますが、苦手な部分や悩んでいる部分の不安をしっかり解消できるように頑張っていきたいと思います」
男子オムニアム
世界チャンピオンのキャンベル・スチュアート(ニュージーランド)も出場した今回のオムニアムは橋本英也の一人舞台となった。橋本英也はスクラッチ2位、テンポレース1位、エリミネイション1位で最終種目のポイントレースに118ポイント1位で臨み、15ポイントを上積み1位133ポイントで優勝となった。

橋本英也

表彰

優勝は橋本英也、2位はケニー・デ・ケテル(ベルギー)、3位今村駿介となった。
橋本英也
「最初の3種目でベストな走りをすることができて、余裕をもってポイントレースに臨むことができ、上手く走れてよかったです。世界チャンピオンや世界の強豪選手と日本で走れる機会はめったにないので、自分らしい走りで優勝できたらいいなと思っていたけど、本当にその通りになってよかったです」
女子マディソン
鈴木奈央はIと同じく中村妃智とペアを組んで出場。積極的に攻め9ポイント獲得したが4位となった。

右 中村妃智 左 鈴木奈央ペア

表彰

優勝は、中国37ポイント、2位梶原悠未、古山稀絵ペア25ポイント、3位ベルギー10ポイント