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自転車競技
UCIトラックワールドカップ 香港大会レポート
2019-2020 UCIトラックワールドカップ第3戦が11月29日~12月1日の3日間にわたり、香港で開催されました。
日本は第1戦、第2戦に続いてメダルを獲得! 短距離勢では男子スプリントで深谷知広が2大会連続となる銅メダル、女子ケイリンで小林優香が昨シーズンのベルリン大会以来2度目の銅メダルを手にしました。
快進撃が続く日本チームのレポートです!

スプリント銅メダルの深谷知広

ケイリン銅メダルの小林優香

■初日
大会初日に行われたのは男女チームスプリントと男女チームパーシュート。

まずはチームスプリント。日本は男子のみの出場で、1走雨谷一樹、2走新田祐大、3走深谷知広で臨みました。
チームスプリントは今季ワールドカップでは今大会が初参戦となりますが、予選は43秒953で6位。1回戦進出を決めます。
1回戦の対戦相手は予選3位のニュージーランド。日本は43秒411と予選より0.5秒以上もタイムを縮めましたが、43秒360のニュージーランドに僅差で敗れ、惜しくもメダル決定戦進出を逃しました。
それでも予選では18秒フラットだった1走の雨谷が1回戦では17秒7をマーク、2走の新田、3走の深谷のタイムもそれぞれ全体では上位に入るもので、最終的に43秒台半ばまでタイムが上がってきたことを考えると、当初かなり厳しいのではと思われていたチームスプリントでのオリンピック出場も、まだまだ可能性があると感じさせてくれました。

6位となった日本

優勝は唯一42秒台をマークしたオランダ

チームパーシュートは大会前日に予選が行われ、日本は男女ともに出場。女子は途中で隊列が崩れ、大きくタイムをロスしてしまいましたが、7チームのみの出走だったため、最下位ながら予選を通過。男子も7位で1回戦進出を決めました。
翌日の1回戦では、女子は予選でリザーブだった鈴木奈央をメンバーに入れて臨み、4分30秒998。タイム次第では3-4決定戦への望みがありましたが、進出はならず。
男子も同様に1回戦を勝ち上がることはできませんでした。

女子チームパーシュート1回戦
◎初日の結果
男子チームスプリント
6位 日本(雨谷一樹・新田祐大・深谷知広) 43秒411

女子チームパーシュート
6位 日本(梶原悠未・上野みなみ・吉川美穂・鈴木奈央※1回戦のみ・古山稀絵※予選のみ) 4:30.998

男子チームパーシュート
7位 日本(窪木一茂・近谷涼・今村駿介・沢田桂太郎) 3:57.852
■2日目
大会2日目は男子ケイリン、女子スプリント、女子スクラッチ、男子オムニアム、女子マディソンが行われました。

男子ケイリンには新田祐大と河端朋之が出場。1回戦の勝ち上がりは1着権利と厳しい中、新田はストレートで、河端は敗者復活戦を経て2回戦進出を決めます。
2回戦は新田と河端が同組でのレース。ともに後方からの追い上げとなり、新田は3着に届き決勝進出を果たしますが、河端は4着で7-12位決定戦へ。
7-12位決定戦でも後方からの仕掛けとなった河端は4着、最終的に10位でレースを終えました。
決勝の新田は残り1周ホームで5番手、最後は大外から突っ込みますが順位を上げることはできず、5着でフィニッシュ。

7-12位決定戦の河端

7-12位決定戦ゴール


決勝戦の新田

決勝戦ゴール

女子スプリントには小林優香と太田りゆが出場。
予選は小林が10秒985で12位、太田が11秒092で18位となり、ともに1/16決勝へ進出。
1/16決勝では小林がGNIDENKO Ekaterina(ロシア)に、太田がLIN Junhong(中国)に勝利し、揃って1/8決勝に駒を進めます。
ここからハードルが高くなり、毎回苦戦を強いられる1/8決勝ですが、太田は予選2位のカナダ人選手、MITCHELL Kelseyに敗れ、小林もSTARIKOVA Olena (ウクライナ)から勝利を奪うことはできず、両名ともここで敗退となってしまいました。

1/16決勝の太田

1/8決勝の小林

女子スクラッチには鈴木奈央が出場。
予選を1位で通過し、決勝へ進出。決勝では残り数周で前方に上がり、いい位置からの集団スプリントを狙いましたが、勝負所で内に包まれる形となってしまい、最終的に14位でレースを終えています。

スクラッチ決勝の鈴木
◎2日目の結果
男子ケイリン
5位 新田祐大
10位 河端朋之

女子スプリント
13位 小林優香
16位 太田りゆ

女子スクラッチ
14位 鈴木奈央

男子オムニアム
11位 窪木一茂

女子マディソン
11位 日本(梶原悠未・古山稀絵)
■3日目
最終日は男子スプリント、女子ケイリン、女子オムニアム、男子マディソン、男子スクラッチが行われました。

男子スプリントには新田、河端、深谷が出場。
予選は深谷が9秒726で4位、新田が9秒774で7位、河端が9秒829で12位。新田と河端は1/16決勝へ、上位4名に入った深谷はシードされて1/8決勝へ。
1/16決勝では新田がD'ALMEIDA Michael(フランス)に、河端がKELEMEN Pavel(チェコ)に勝利し、ともに1/8決勝へ進出。
続く1/8決勝では、深谷が先日のアジア選手権で敗れたAWANG Mohd Azizulhasni(マレーシア)と対戦しますが、ここは大差をつけての快勝。新田も強豪のBOTTICHER Stefan(ドイツ)を、河端は予選5位のPAUL Nicholas(トリニダード・トバゴ)を撃破し、日本勢3名揃ってベスト8に名乗りを上げました。
準決勝進出を懸けた戦いとなる1/4決勝、新田は世界チャンピオンのLAVREYSEN Harrie(オランダ)と対戦しましたが、勝利はならず。深谷と河端の対戦は深谷が2本先取で勝利。

1/8決勝の河端

1/4決勝の新田

新田と河端が敗退し、日本勢では深谷のみが進出した1/2決勝。ヨーロッパチャンピオンのHOOGLAND Jeffrey(オランダ)との対戦となりますが、勝ち上がることはできず、深谷は3-4位決定戦へ。
先日の第2戦でも対戦し、勝利を挙げているRUDYK Mateusz (ポーランド)との対戦となった3-4位決定戦は、深谷が2本先取し、見事銅メダルを獲得!
スプリントで2大会連続で表彰台に上がる快挙は、深谷の力が確かなものであることの証明。さらには新田と河端もベスト8に入る活躍で、オリンピックに向け一躍スプリントも楽しみな状況となってきました。

3-4位決定戦の深谷

勝利にガッツポーズの深谷


表彰式
女子ケイリンには小林と太田が出場。
1着権利の1回戦、小林は先行で勝利し、2回戦進出を決めます。太田は3着で敗者復活戦に回りますが、ここでも3着となり、1回戦敗退という結果に。

敗者復活戦の太田
2回戦に進んだ小林は後方からのレースになるも、3着に入り決勝進出を果たします。
決勝戦、小林は残り1周ホーム4番手から追い上げ、3着入線! ワールドカップでは2度目の銅メダル獲得となりました。

決勝戦、残り1周ホーム

決勝戦ゴール


表彰式
◎3日目の結果
男子スプリント
3位 深谷知広
5位 新田祐大
8位 河端朋之

女子ケイリン
3位 小林優香
19位 太田りゆ

女子オムニアム
1位 梶原悠未

男子マディソン
10位 チームブリヂストンサイクリング(窪木一茂・今村駿介)

男子スクラッチ
10位 沢田桂太郎

今大会、日本は深谷と小林の銅、そして中距離種目オムニアムの梶原悠未の金と、3つのメダルを獲得し、チームとして大きな収穫を得ました。
全6戦が組まれているトラックワールドカップも、折り返しとなる3戦までが終了。次の第4戦ケンブリッジ(ニュージーランド)、第5戦ブリスベン(オーストラリア)まで連戦が続きますが、この勢いでさらなる活躍を期待したいですね!