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自転車競技
2020UCIトラック自転車世界選手権ベルリン大会レポート
東京オリンピック最終予選大会となった今回の2020UCIトラック自転車世界選手権は、世界新記録ラッシュとなった。
日本も新田祐大が男子スプリント予選で日本新記録である9秒562、そして男子チームパーシュートでも日本新記録である3分52秒956と目を見張る結果となった。
また競走では、男子ケイリンで脇本雄太が銀メダルを獲得。これで日本は3大会連続銀メダルを獲得なった。また女子オムニアムでは梶原悠未が優勝し金メダル、そして世界チャンピオンであるアルカンシェルジャージを獲得した。日本女子初となった。

ベルリンベロドローム
1日目
この日は男子チームパーシュート予選、女子チームパーシュート予選が1部で行われ、2部では女子チームスプリント予選から決勝、男子チームスプリント予選から決勝、女子スクラッチ決勝、男子チームパーシュート1回戦、女子チームパーシュート1回戦が行われた。
日本は男子チームパーシュート(窪木一茂、近谷涼、今村駿介、沢田桂太郎)、男子チームスプリント(雨谷一樹、新田祐大、深谷知広)、女子スクラッチ(古山稀絵)に出場した。
1部で行われた男子チームパーシュートで日本は3分52秒956を出し大いに盛り上がったが、その後に出場した8か国に抜かれ9位となり予選敗退となった。しかし、日本はこれで世界と戦えるレベルにはあることは証明できただろう。
予選1位となったデンマークは3分46秒579で世界新記録を更新した。

日本チーム
男子チームスプリントは、予選を突破し8位以内を確定できれば東京オリンピック出場は決まったのだが、予選9位となってしまった。これにより1回戦が終了した時点でロシアに逆転されこの種目でのオリンピック出場を逃すことになった。
しかしながら、昨シーズンではチームスプリントでの出場(世界選)を辞めるところまであったのをここまで盛り返したのは本当に素晴らしい結果だった。今シーズンのワールドカップで2大会の金メダル獲得も評価されよう。
また優勝したオランダは1回戦で41秒275、決勝で41秒225と世界新記録を連発し圧勝。オランダの一強を知らしめた。

チームスプリント スタート

日本チーム

女子スクラッチの古山は22位で終了した。

スクラッチを走る古山

2日目
リン1回戦から1/4決勝、女子スプリント予選から1/8決勝が行われ、2部では男子ケイリン1/2決勝から決勝、女子スプリント1/4決勝から決勝、男子スクラッチ決勝、男子チームパーシュート1回戦から決勝、女子チームパーシュート1回 戦から決勝が行われた。
日本は男子ケイリンに脇本雄太、新田祐大、河端朋之が出場、女子スプリントに小林優香、太田りゆが出場した。
男子ケイリンは脇本が1回戦で準々決勝へ進出、河端、新田は敗者復活戦へ。敗者復活戦では河端、新田ともに準々決勝に進出した。
準々決勝は上位4選手が準決勝に進出できる。しかし、ここで河端が敗退し、準決勝に進出したのが脇本、新田の2名となった。
準決勝で圧勝したのが脇本でその強さを見せつけた。新田は準決勝で勝ち上がれず7-12位決勝へ。脇本が1-6位決勝へ進出となった。
7-12位決勝で新田は残り1周で中を割ってきたマティエス・ブフリを落車させたとして降格となり12位となった。

ケイリンを走る河

新田

1-6位決勝の脇本は、残り3周過ぎから積極的に動きオランダのハリー・ラブレイセンと先行争いとなったがその番手にはまり残り1周。しかし差せず2位銀メダル獲得となった。
東京オリンピックではこのハリー・ラブレイセン対策が重要になってくる。彼を倒さない限り金メダルはない。東京オリンピックまでパワーアップを目指してほしい。

決勝の脇本

決勝ゴール


銀メダル獲得

表彰

女子スプリントでは小林が予選で10秒712(日本新記録)を出すも18位、太田は10秒921で26位で1/16決勝進出。しかし1/16決勝で太田は敗退26位。1/8決勝で小林も敗退(16位)し、ポイントは稼げず、東京オリンピックの女子スプリントでの枠取りはできなかった。
やはり予選でいかにタイムを出せるかがスプリントでは重要で、今大会の予選トップタイムはドイツのエマ・ハインツの10秒364だったが、いかにこのタイムに近づけるかだろう。少なくとも10秒4以内を出せるようにしなければならない。
優勝はやはりエマ・ハインツだった。

スプリントを走る太田

小林

男子チームパーシュートはデンマークが世界新記録3分44秒672とさらに伸ばし圧勝で終わった。

女子チームパーシュートはアメリカが4分11秒235で優勝した。
三日目
1部では女子オムニアムのスクラッチレース、テンポレースと男子1㎞タイムトライアル、男子4㎞インディビデュアルパーシュート予選がおこなわれた。
2部では女子スプリント準決勝、決勝、男子ポイントレース決勝、男子1㎞タイムトライアル決勝、男子4㎞インディビデュアルパーシュート決勝、女子オムニアムのエリミネーション、ポイントレースが行われた。
日本は女子オムニアムに梶原悠未が出場し、スクラッチ1位、テンポレース2位、エリミネーション3位、総合1位でポイントレースに突入し総合1位を守り切り優勝となった。
また男子インディビジュアルパーシュートでは優勝したイタリアのゲンナ・フィリッポが予選で4分1秒934という世界新記録をだし、決勝では圧勝し優勝となった。

オムニアムの梶原

優勝した梶原

4日目
1部で女子500mタイムトライアル予選、男子スプリント予選から1/8決勝、男子オムニアムのスクラッチ、テンポレース、女子インディビジュアルパーシュート予選が行われ、2部では女子500mタイムトライアル決勝、男子スプリント1/4決勝、女子マディソン決勝、女子インディビジュアルパーシュート決勝、男子オムニアムのエリミネーション、ポイントレースが行われた。
日本は男子スプリントに新田祐大、深谷知広が、男子オムニアムに橋本英也、女子マディソンに中村妃智、古山稀絵ペアが出場した。
男子スプリントでは新田祐大が予選で日本新記録となる9秒562を出し驚かせた。新田は予選8位、深谷は13位で通過し、1/16決勝へ進出。ここは2選手ともにクリアし1/8決勝へ進出。1/8決勝で新田は順当に勝ち上がり、深谷は予選でトップ4に入ったデニス・ドミトリエフと対戦し苦戦となるかと思いきや、勝ち上がり1/4決勝に進出を決めた。しかし、1/4決勝で新田は最強のハリー・ラブレイセンと対戦し敗退、深谷もマレーシアのアジズルハスニ・アワンと対戦敗退。新田は5位、深谷は8位となった。この成績で男子スプリントも東京オリンピックの出場枠を決定させた。

新田祐大

深谷知広

男子オムニアムの橋本はスクラッチで10位、テンポレースで9位、エリミネーション6位と総合8位でポイントレースに突入。しかしポイント獲得はならず順位を下げ11位でフィニッシュ。この成績をもって東京オリンピックの出場権を獲得となった。橋本のレースの様子はエリミネーション以外では体力の差が大きく速いレースではついていくのが一杯状態で、さらにペースが上がるであろう東京オリンピックでは基本的な体力を上げないと勝負にはならない。抜本的なアップが求められている。

橋本英也

女子マディソンは何とか食らいついて2周ラップダウンで15位フィニッシュ。こちらも東京オリンピックの出場権を獲得した。

日本チーム

5日目
1部は男子スプリント1/2決勝、女子ケイリン1回戦、敗者復活戦が行われ、2部では男子スプリント
決勝、女子ポイントレース決勝、女子ケイリン準決勝、決勝、男子マディソンが行われた。
日本は女子ケイリンに小林優香、太田りゆが出場した。2選手とも1回戦、敗者復活戦ともに勝ち上がれず小林、太田ともに19位で終了となった。が、女子ケイリンで東京オリンピックの出場権は確保できた。
ただ、この現状を見ると、東京オリンピックでメダルは相当厳しいだろう。勝利に向かう強い意志を見せてほしい。その意思を見せた時にはメダルはあるはず
この結果をみるとまだまだ強化していかなければならないだろう。ここから先が大きな勝負になってくるはず。東京オリンピックで是非メダルを獲得してほしい。

ケイリンを走る小林

太田