滝澤正光校長自ら教える滝澤エリート教場(略してTE教場)。第2回記録会の結果を踏まえ、9月30日に再選出され6名の生徒が選ばれた。その中で唯一女子から選ばれた小林優香。
105回生、106回生の手本になるべき6生徒。そのプレッシャーや競走訓練のこと、学校生活の折り返し地点を過ぎた各生徒に、今の想いを語ってもらった。
TE教場の6生徒
9月24日、25日の2日間に渡り105回生、106回生の第2回記録会が行われた。
24日には午前中に200mフライングダッシュ(200mFD)、400mフライングダッシュ(400mFD)、午後に1000mタイムトライアル(1000mTT)が、25日には、女子は2000mタイムトライアル(2000mTT)、男子は3000mタイムトライアル(3000mTT)が行われ、その記録を参考に教場が分けられた。
特筆すべきは小林優香だ。滝澤エリート教場(略してTE教場)に選ばれ、男子生徒と同じ教場で訓練に励む事になったのである。
小林優香(福岡・19歳)が、400mFD、1000mTT、2000mTTの3種目で学校記録を更新し、3回目のゴールデンキャップを獲得した。過去10名のゴールデンキャップの中には金古将人選手(67期)、稲村成浩選手(69期)、小嶋敬二選手(74期)、武田豊樹選手(88期)ら錚々たる顔ぶれが並んでいるが、3回連続で獲得したのは小林が男女含めて初めてになる。
だが、小林自身は「200mFD以外は自己新記録が出ましたが、200mFDが思ったよりも(タイムが)出なくて悔しいです。(1000mTTも)自分の目標に及ばなかったので、次はその目標にステップアップできるように頑張ります」と、これだけの結果を出しても浮かれることなく、200mFDを反省し次の記録会に目標を定めていた。
小林優香は記録会の度に進化した強さを見せる
2000mTT走った後、好記録を出してハイタッチで迎えられる小林
200mFDを疾走する
走る生徒に大声で応援を送る
第1回記録会の200mFDと1000mTTで1位になった野口大誠(熊本・24歳)は、直前の怪我もあり、納得のいくタイムを出せなかった。「肉離れで1週間乗れない時期があり、1000mTTはやはりごまかせないですね。200mFDは自分のベストを出せてよかったです。ただ、田原君に(200mFDで)10秒台を出されてしまったので、そこだけは自分が先に出したかったです。先を越されたので、チャンスがあれば追い越したいですね」と言っていた。
記録会で燃えるライバル心。記録会だけでなく、トーナメント競走、競走訓練でもその火花は燃えているだろう。
その良い目標になるのがTE教場選出だ。
女子生徒の練習風景
男子生徒の練習風景
9月30日に新たにTE教場のメンバーが決まった。鈴木豪(福島・27歳)、野口大誠、田原宥明(北海道・23歳)、中島将尊(群馬・19歳)、渡邉雄太(静岡・18歳)、そして女子から唯一、小林優香が選ばれた。
TE教場に選ばれたということは、全生徒を引っ張っていく存在だ。その自覚を6名全員に聞いてみた。
鈴木豪
野口大誠
田原宥明
中島将尊
渡邉雄太
小林優香
鈴木は
「夏季帰省から帰ってきてエリート班に選ばれ、最初は正直『うわーっ』って感じでした。最近では、校長先生に色々と話を聞き、自覚が沸いてきたので、卒業までに強くなりたいという気持ちがあります。デビューしたらお金をかけてくれるファンの方がいるし、親も含めて自分を応援してくれる方がたくさんいるので、その人たちのためにも、自分は頑張らなければいけないという自覚が最近出てきました」
野口は
「自覚は自分の中であると思いますが、エリートの帽子の重みを背負っていける人間なのか、自分の中でいつも自問自答しながら訓練しています。もっと他にもこの帽子をかぶった方がいいと思う生徒もいますが、その中で僕がかぶっているので、その分、自分でできることはしっかりやろうと思っています」
田原は
「自分は脚力的には他の人より優れていると思わないので、選んでもらったからには、自覚を持ち、もっとガムシャラに、皆の前に立って訓練に臨んでいきたいと思います」
中島は
「僕は初めて選んでもらったので、まずは前からTE教場にいる人たちについていこうと思います。期待されていると思うので、その期待に応えられるように頑張りたいです」
渡邉は
「初めて選んでもらって、プレッシャーがすご過ぎて、この間倒れてしまいました。そのくらいすごいところだと思います」
小林は
「男子生徒と一緒の方が、(女子生徒だけの訓練よりも)スピードは違うし、男子生徒に追いついたらガールズケイリンでも上位に入れると思うので、そのことを意識してやっていきたいと思います。(記録会で)一番になることで、ガールズケイリンでデビューした後も注目されることは嬉しいです。連勝しなきゃいけないという気持ちも高まるので、いい意味で捉えています」
9月から競走訓練が始まった。各生徒が心がけていることはあるのだろうか。
鈴木は
「先行意欲はあって、前々に踏んでいけています。ただ、粘りがないので、バックを取る前に捲られてしまいます。課題としては粘ることですね」
野口は
「バックも取れて、逃げ切りもできていますが、『内容が良くない』と校長先生から厳しい指摘を受けているので、競輪って難しいなと思っているところです。赤板の標識からもがきあって、最終ホームで先頭に立っていることもありますが、そのホームを通過するまでの経過があまり良くないと厳しめの採点をいただくので、納得してもらえるようにこれから頑張りたいと思います」
田原は
「先行しようと心がけていますが、まだまだ脚が足りなくて、先行すらさせてもらえないことが多いので、これからもっとガムシャラさを出して、前でレースを作りたいと思っています。(競走訓練は)難しいです」
中島は
「先行意欲はあってもダッシュ力がなく前に出切れないので、課題のダッシュ力を鍛えていきたいですね」
渡邉は
「皆早くから先行に行くので、取り残されている感があります。自分はあまり持久力がなく躊躇してしまうので、今は勝てればいいなと思います。勝ちたいという気持ちが強いです」
小林は
「けっこう考えて、抑え先行をしようと思い、前半(の競走訓練では)ちょっと失敗しました。脚力はこの回生では上位だと思うので、打鐘から行き、最後に差されたとしても後悔のない先行をしたいと思います。差されたら、それが課題になるし、差されなければ次のステップに進めると思うので、そういう先行を心がけています」
各生徒が自分の課題を見つめながら一走一走を走っている姿が、それぞれのコメントからもうかがえる。
最後にファンへのメッセージを聞くと、
鈴木は
「卒業して、デビューしたら先行選手として活躍できるように頑張りたいと思います」
野口は
「デビューしたら、早くファンの皆様に貢献できる走りをしていきたいと思っています。応援よろしくお願いします」
田原は
「卒業したら、105回生皆で競輪界を支えていけるような、そんな存在になりたいので、105回生皆が先行で強くなって、ファンの皆さんに楽しんでもらえるようなレースをしたいと思っています。応援よろしくお願いします」
中島は
「先行でファンの方を魅了できるような選手になりたいです。応援よろしくお願いします」
渡邉は
「これからの競輪学校生活も頑張るのでよろしくお願いします」
小林は
「まだまだ未熟なのですが、もっともっと力をつけて、デビュー戦では完全優勝を狙っていくので、応援よろしくお願いします」
学校生活も残り半分を過ぎた。それぞれの中でデビューという言葉が大きくなっているのがわかる。 105回生、106回生は、これから第1回トーナメント競走、第3回記録会、第2回トーナメント競走、そして卒業記念レースが待っている。