競輪学校物語

 1年間の競輪学校生活を終え、卒業式を迎えた105回生、106回生(女子3回生)。
 高木翔も卒業式を終えて「やっと卒業したって感じで嬉しいですね」と笑顔を見せた。高木は在校成績10位だが、卒業記念レースでは予選1回戦2着・予選2回戦2着・準決勝1着・決勝戦8着と随所に競走センスの高さを見せた。目標である「師匠とGI決勝でワンツー」のため、まずはデビュー戦に向け、精進あるのみだ!
師匠と一緒にGIの決勝でワンツーを決められるような選手になりたいです!
 高木翔が競輪選手を目指したのは、小学生の時にプロスポーツ選手になりたいと思った時からはじまった。
「小学生の時からプロスポーツ選手になりたくて、その時に親に聞いたら『岩手県でプロスポーツ選手になるなら、ボクサーか、競輪選手が強いから、目指すならどちらかを目指した方がいいよ』と言われて、それで自転車をやろうかなと思ったんです。
 それで中学2年生の時に、青森競輪場へ記念開催を見に行ったんですけど、もの凄く迫力があって、それで絶対になりたいなって思って、競輪選手を目指しました」
 小学生の漠然とした夢が、実際に競輪を見て、そのスピードに魅せられ、そこから本格的な目標になった。そのために岩手県のインターハイ常連である紫波総合高校に入学する。ここの練習で師匠となる佐藤友和(岩手・88期)に出会った。
「高校で練習している時に、練習しているところが一緒だったので、それでちょっと見ていただいたことがあったんです。それで(競輪学校を)受けることになって、自分からお願いして師匠になってもらいました」
 師匠から学校中でのアドバイスは
「競走訓練では、自分の思った展開というか、展開を考えて、その通りになるようなレースをしろと、考えてレースを作れるようになれと言われていました」
 高木自身も競走訓練では、先行、捲り、色々なパターンを考えて走っていたそうだ。
「そこに先行選手がいなかったら先行して勝てるようになりたいと思っていますし、先行主体の選手がいる時は勝ちに徹してと思っていました。
 出来たかどうかは、半々くらいですね。勝てた時は勝てたけど、負けた時は何もできなかったので…」
 だが、卒業記念レースでは、予選1回戦は最終バックから捲って2着、予選2回戦は捲る竹山慶太を交わしたが、清水裕友に追い込まれ2着、準決勝は捲る石塚輪太郎のその上を捲り切って1着で決勝進出を決めている。決勝戦は最終ホームから発進したが、最終バックで捲られ8着に敗れたが、ここ一番のレースでしっかり結果が残せる、動ける高木は実戦向きな選手と言えるだろう。
「決勝まで進めたんですけど、自力を出して走りたいと思っていたので、あそこから行く形にはなったんですけど、自分の力が足らなくて、バックで捲られたので、そこら辺を練習して、あと半周粘れるように脚力をつけたいと思います」と高木は決勝戦を振り返った。
 脚質的にはダッシュタイプで、「どちらかというとトップスピードがある方なので、それを活かして捲ったり、先行してもスピードを維持して逃げ切れたりするような選手になりたいです」
 自分の長所を理解し、また短所も理解しているから生まれる競走センス、それを活かせばデビューしてからも活躍する選手になってくれるだろう。
 卒業式を終え、笑顔でインタビューに答えてくれた高木。
「朝ドラでよく泣いたりしたので、涙もろい方かも(笑)。卒業式の前は泣くかもと思ったんですけど、あまり泣かなかったですね。清々しい気持ちで、今は頑張らなきゃ! って想いが強いですね」
 学校を卒業して何がしたいかと聞くと、「国体があるので、紫波の競技場が新しく塗り替えたんですけど、まだ走ってないので、早く走りたいですね!」と、練習したいと答えた。105回生、106回生の色々な生徒に同じ質問すると、同じように練習したいと返ってくることがほとんどだった。仲も良く、楽しむところは楽しみ、練習になるとオンオフの切り替えのしっかりした仲間達だったのが、そこからも汲み取れる。
「はい、僕もまずは練習ですね!でないと置いていかれそうなので(笑)」
 負けたくない同期のライバルは同級生の3人プラス1人だそうだ。
「皆がライバルですけど、同級生には負けたくないですね。石塚輪太郎、竹山慶太、吉岡伸太郎の3人ですね。あと女子の小林優香も同級生なので負けないように(笑)、頑張りたいと思います!」
 一番の目標はもちろん「S級に早く上がって、師匠と一緒にGIの決勝で、ワンツーを決められるような選手になりたいです!」
 そのためには練習あるのみ。
「師匠にしっかりついていき、練習して、強くなるだけだと思っているので、あとはもう練習して、しっかりデビュー戦にそなえていきたいと思います。
 これから岩手を代表とする選手になりたいと思うので、よろしくお願いします!」