競輪学校物語

5月8日に入学式を迎え、競輪学校生活も約1ヶ月経った109回生、110回生。
109回生の生徒会長・清水一幸、110回生の生徒会長・林真奈美にそれぞれの回生の雰囲気、それと彼らの目標などを聞いてみた。
一走入魂で、1人でも多くの方に勇気や希望を与えられる選手になりたいです
-競輪学校に入ろうと思ったきっかけを教えてください。

清水一幸(徳島・28歳)
「私は適性試験で合格したんですけど、以前、仕事で営業をしている時、たまたま接客したお客様に、ラグビーをしていたのもあって体格が良かったものですから、『競輪選手を紹介するので、よかったら競輪学校を受けてみないか』と言われたんです。勤務先が神戸だったんですけど、その選手に会うために徳島に行き、その選手とお会いして話をしたんです。僕もずっとラグビーでやっていたので、プロ選手の格好良さに惹かれてしまって、右も左もわからない世界だったんですけど、この選手についていけば間違いないかなと思って、試験を受けようと決意しました」
-その師匠は誰ですか?
「徳島の湊聖二(徳島・86期)さんです」
-なるほど。では、競輪学校に入ってみてどうですか?
「きついというのは予想していたんですけども、日常生活プラス訓練ってことで、けっこう神経を使うといいますか、心身ともに鍛えられていると感じています」
-一番きついところは?
「男子50人全員で練習するので、ちょっとでも気を抜くと大事故になってしまうとか、僕は適性ですけど、技能試験で入っている生徒はかなりレベルが高いので、その人たちと練習させてもらうことで、今はついていくことがやっとってところなんで大変ですね。くらいついていくことですね」
-楽しいことは?
「個人競技なんですけど、しんどい練習も109回生50人いることで、助け合っていけるところは助け合っていけるし、『しんどいな』って言える仲でもありますし、こうした方がいいとアドバイスをし合える仲でもあるので、そこが一番助かっていますね」
-試走記録会を振り返っていかがでしたか?
「自分の思うようなタイムではないですけど、でも、それが自分の実力、一発勝負の世界で自分の力を出さなきゃいけないので、勝負強さを身につけていきたいなと思います」
-長い距離を乗ることはきついですか?
「はい、乗車フォームも手探りの状態でして、短距離、長距離もこれだっていうところは見つかっていないので、まだまだ色々と手探りの状態ですね。今日も校長先生に直接ご指導をいただいて、乗車フォームの調整をしました」
-校長先生の指導はどうでしたか?
「かなり厳しいです」
-どんな練習をするのでしょうか?
「自転車練習の前、その他の練習の前から陸上トレーニングで追い込んで、しんどい中、練習が始まるのできついですね。腕立てやラウンジ、スクワット、腹筋をしたり、そういった種目をかなりやってから、自転車練習をします。自転車練習もしんどいんですけど、その後もまた体幹メニューをやって終わる感じです」
-それはきついですね(笑)。
「はい(笑)。月曜日に先生のメニューがありますが、月曜日の疲労ではないくらいです(笑)。なのでケアはもう必須ですね! それに乗り越えた先は強くなれると思うので頑張りたいと思います!!」
-学校中の目標はありますか?
「技能の生徒を追い抜いて、1000mTTのタイムを出したり、競走訓練が始まったら、先行で1着を取るとか、たくさんあります」
-生徒会長から見た109回生の雰囲気は?
「めちゃめちゃ明るくて、人間関係の悪いところも聞かないですし、ギスギスもしていないし、本当に明るくて、いいと思います」
-技能組の生徒からアドバイスをもらったりしますか?
「はい、かなりもらっています。自転車の乗り方とか、聞くと教えてくれるので、かなり助けられていますね」
-最後にファンの方にメッセージをお願いします。
「デビューは約1年後になりますが、一走入魂で、1人でも多くの方に勇気や希望を与えられる選手になりたいと思っているので、デビューしたら競輪場に足を運んで、レースを見ていただきたいと思います」
ゴールデンキャップの獲得と卒業記念レース優勝を目標に頑張りたいと思います
-競輪学校に入ろうと思ったきっかけはどのようなことでしたか?

林真奈美(福岡・29歳)
「ボートを引退して、愛知県から故郷の大分県に戻り、1年くらいした時にボートをしながら仕事をするのが難しくなったので、ちゃんと仕事をしようと思って、アルバイトをやめて仕事を探していたんです。その時にたまたまボートの関係者の方から『ガールズケイリンっていうのがあるよ』という話を聞きました。それから競輪選手の話を聞いたり、インターネットで調べたりして、仕事として成り立つので、もう一度、最後の挑戦かなと思って、ガールズケイリンをやってみようと思いました」
-やはりプロスポーツで生計を立てていきたいのがあったからですか?
「そうですね。ボートも実業団だったので、仕事をしながら出来てはいたのですが、地元に近いというのと、ボートで思いっ切りやって悔いはなく終われはしたのですが、減量で悩んだりした時期もあり、それも引退の原因だったので、体重などを気にせず、練習してご飯食べてっていうサイクルの中で挑戦出来るプロ選手っていうのが自分にあっていると思います」
-ボートはウエイトの問題ってけっこう大きいのでしょうか?
「国体とか全日本に出るのには関係ないですが、ナショナルチームになると軽量級と重量級しかないんですよ。何kg以下っていうのが私には厳しくて、練習よりも減量の方が厳しいというのがありました」
-学校に入って約1ヶ月が経ちますが、学校生活には慣れましたか?
「1年間ということで、全力で臨もうと思っていたのですが、思いのほか、時間がけっこうタイトに組まれているので、その流れに慣れるのが大変でした。今もまだ完璧に慣れてはいないですが、時間がタイトなのが一番大変ですね」
-常に時間に追われる感じですか?
「そうですね。でも、短い時間で準備したりすることも身につくのでいいかなと思います」
-学校生活の中で楽しいことは?
「ご飯を食べる時ですね(笑)。食事の時間もそんなに長くはありませんが、いっぱい練習した後に、しっかりご飯を食べられることが嬉しいですね」
-試走記録会を振り返ってどうでしたか?
「2000mTTで1番を取れたのが、自分の中では予想外でした。あまり地脚がないって周りの人に言われてきたので。かといって200mFDや400mFDでも1番ではなかったのですが、入る前に師匠にだいぶ周回練習を鍛えてもらったので、その成果が出たのかなと思います」
-自分はダッシュタイプと思っていた?
「はい、ダッシュタイプだと思っていましたが、練習地の周りが早かったというのもありますが、今はちょっと自分のタイプがわからなくなりました」
-200mFDとか400mFDの目標タイムはどのくらいですか?
「試走記録会のタイムを基本にして(200mFD 13秒00 400mFD 26秒34)、そこからもっと早くして、ゴールデンキャップをもらえるタイムを出せたらいいなと思います」
-学校での目標は?
「はい、ゴールデンキャップの獲得と、あとは最後ですけど卒業記念レースで優勝したいと思います」
-師匠の藤田剣次(福岡・85期)から何か言われていますか?
「いえ、特に師匠から何かしろとは言われてないです。『その時、その時で自分の目標が見つかるから、自分で目標を見つけて、頑張れ』って言われています」
-生徒会長から見た110回生の雰囲気はどんな感じですか?
「最初は、様子を見ながらっていう感じでしたけど、皆、明るくって前向きな人が多いですね。それに練習に打ち込む人が多いと思います」
-では、最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
「まだまだ始まったばっかりですが、社会人としても競輪選手としても認めてもらえるような魅力のある選手になりたいと思っています。応援よろしくお願いします!」