今年7月に48年ぶりに復活したガールズケイリン、その初代女王を決する「ガールズグランプリ2012」が京王閣競輪場で開催されるグランプリシリーズの初日に実施される。加瀬加奈子と中村由香里の2強の直接対決が最大の見どころだが、2人を追う第2グループの逆転一発も侮れない。
7色の闘志がバンクに火花を散らす
待ちに待った加瀬加奈子と中村由香里の直接対決がついに実現
加瀬加奈子が男前の先行で押しきりを狙う
48年ぶりに復活した新生ガールズケイリンは、スタート当初は加瀬加奈子と中村由香里が絶対的な2強と評されていたが、回を重ねるごとに増茂るるこ、中川諒子、中山麗敏らの第2グループが徐々に力をつけてきて次々と初優勝を飾るようになり、男子にも負けない熱い戦いを繰り広げてファンを魅了している。
新生ガールズの初代女王を決する本レースでも、加瀬と中村の2人が人気を2分するだろうし、脚力的にも2人のワンツー決着の可能性は高そうだが、デビュー以来初の直接対決となる2人が互いを意識しすぎると、両者共倒れの危険が出てくるし、第2グループの逆転にも期待がかかる。
加瀬加奈子は11月までに9場所走って優勝が5回だ。8月、9月には3場所連続で優勝を逃すなど、ややリズムの乱れが見られたが、10月の弥彦を皮切りに京王閣、奈良と3場所連続の完全優勝を達成とさすがの強さを見せつけている。10月の京王閣では逃げ切りの3連勝とバンクとの相性もよく、今回もモットーとする「男前」の先行での押し切りを狙ってくるだろう。
中村由香里は10月までに8場所走って優勝が5回だ。加瀬と同様に8月、9月には3場所連続で優勝を逃しているが、9月末のホームバンクの京王閣で捲って優勝、次場所の京都向日町で完全優勝と絶対的な強さが戻ってきている。連対時の決まり手を見ると加瀬は逃げが6割8分だが、中村は捲りが7割3分と捲りが主体で、対戦相手の動きを見極めてから好機に仕掛けるという走りが多く、今回も加瀬の仕掛けに合わせての捲り狙いとなるか。
増茂るるこは捲り一発型で、9月の松戸と平塚で連続優勝を飾っている。松戸では初手から突っ張り先行の中川諒子の番手に付け、加瀬加奈子の捲りに合わせて発進して初優勝、平塚では増茂が5番手、加瀬が6番手の展開から先捲りで再び加瀬に踏み勝っている。10月の京王閣では加瀬の逃げ切り優勝で、増茂は4番手から捲るも2着止まりに終わっており、今回も勝負どころでの位置取りが重要なポイントになってくるだろう。
小林莉子は記念すべきガールズケイリン開幕戦の平塚で、加瀬加奈子にぴったりマークからの差し切りで初優勝、10月の松戸では4番手からのイン強襲で2度目の優勝を飾っている。ただ本来は先行勝負を得意としており、10代の少女らしく負けん気も人一倍強いので、大舞台のレースでも加瀬加奈子や中川涼子の新潟勢を相手に主導権取りに燃えてきそうだ。
中川諒子がSを取っての突っ張り先行を狙う
ガールズケイリンは7車立てだが、男子と比べるとトップスピードの持続時間が短いので、男子のチャレンジやミッドナイトのレースとは違い、6、7番手から一気にカマして主導権を奪ったり、豪快に捲り切ったりというケースはほとんどない。
勝負どころでは悪くても4、5番手にいないと勝機がないし、前団に強い選手が並んでしまうと、後方の選手は手も足も出なくなってしまう。そのため、ガールズではスタート合戦が恒例になっているが、とりわけS取りに強い意欲を見せているのが中川諒子だ。中川は10月まで7場所で21走しているが、そのうちSを取ったのが13回だ。Sを取り、後方からの仕掛けに合わせて突っ張り先行に出るのが中川の得意パターンとなっている。8月の平塚の決勝では同じ新潟の加瀬加奈子の上昇に合わせて突っ張り、そのまま逃げ切って初優勝、9月の松戸の決勝でも加瀬を突っ張り、中川追走の増茂るるこが優勝している。今回も枠順が内枠なら、まず間違いなく中川がSを取りにいくだろう。
荒牧聖未は9月の広島で初優勝を飾っている。中村由香里の先行を4番手から捲った中川諒子をぴったり追走、ゴール前で鋭く差し切っての優勝だった。次場所の京王閣では中村由香里の捲りを追走して準優勝するなど自在な動きが目立つ荒牧だが、展開によっては思い切った自力勝負に出ることも多く、中川諒子や小林莉子などの先行型を相手に突っ張り先行を敢行して逃げ切ったこともありで侮れない。
中山麗敏は自在型で、連対時の決まり手は捲りが8割3分だ。ガールズケイリン開幕戦の平塚の決勝は3番手からの仕掛けで2着、8月の平塚決勝ではやはり3番手から捲って初優勝を飾っている。練習中の落車やタクシー乗車中の事故の影響で出走回数は多くないが、図太いくらいの位置取りの上手さが魅力で、今回も有力選手が叩き合っての混戦模様になれば、好位置を奪取しての一発が十分に期待できるだろう。