レース展望

 ヤンググランプリ2012がグランプリシリーズの2日目(12月29日)に実施される。ナショナルチームの一員として海外でも活躍する稲毛健太の先行力が中心になりそうだが、竹内雄作と松岡篤哉の岐阜コンビの機動力も強力で、ただ1人S級優勝の実績がある原田研太朗の一発も十分だ。
次代を担うヤングパワーが激突
稲毛健太が自慢の先行力を見せつける
 岐阜コンビが好連係を決めて逆転を狙う
稲毛健太選手
 稲毛健太は8月に開催された全日本選手権の1000mタイムトライアルで優勝するなど、その先行力は折り紙つきだ。7月の和歌山では記念初優出を達成、決勝は8着だっだが、深谷知広を相手に先行して深谷を不発に終わらせている。直近4カ月のバック回数は18回と今回の出場メンバーの中で最も多く、全員が機動力型で展開が読みにくいのがヤンググランプリの特徴だが、稲毛は先頭なら押し切りを狙ってくるだろう。
窓場千加頼選手
 窓場千加頼は昨年7月にデビューした100期の中からただ1人ヤンググランプリに選出された出世頭だ。今年3月にS級特別昇級、8月の岸和田FIでは初の決勝進出を決め、平原康多を相手にしっかりと主導権を取り切っている。9月の京都向日町記念では3日目一般で逃げ切って勝ち星を挙げており、近畿同士で稲毛健太と連係なら前後の並びは微妙だが、新人らしい思い切った走りで見せ場をつくってくれるはずだ。
竹内雄作選手
 竹内雄作は昨年1月のデビューだが、デビューからわずか3期目でS級に定期昇級を果たした中部期待の先行型だ。S級での優勝はまだないが、直近4カ月の勝率が3割8分と勝ち星は多い。10月の岸和田記念では一次予選で敗れたが、残り3日の敗者戦では逃げ切りで3連勝している。10月の川崎FIでは初日予選が7番手から、準決勝が8番手からの巻き返しで2連勝と捲りの切れ味もよく、仮に後手を踏まされる展開となっても大捲りの一発がありそうだ。
松岡篤哉選手
 松岡篤哉は昨年に続いてのヤンググランプリ出場で、昨年は7着ながら才迫勇馬を突っ張って主導権を取り切っている。同県後輩の竹内雄作との前後の並びは流動的だが、地元の岐阜で実施された97期のルーキーチャンピオンレースでは最終2角8番手からのロング捲りで稲毛健太、井上嵩を敗って優勝しており、先行力だけでなく勝負強さもある。昨年は自分の持ち味を発揮して見せ場を作っただけに、今年は優勝を目指した走りに徹してくるか。
9月にS級初優勝を飾った原田研太朗は、勝率の高さも9人中一番だ
 井上嵩が得意のダッシュ力で一発を狙う
井上嵩選手
 井上嵩は97期の在校1位で、卒業記念チャンピオンだ。高校時代はサッカーのFWで活躍、サッカーで鍛えられた瞬発力が魅力の選手だ。昨年7月にS級昇級後はまだ優勝はないが、記念でも勝ち星を挙げるなど安定した強さを見せている。11月の松阪記念では一次予選が8番手から豪快に捲って1着、4日目選抜では前団を一気に叩いての主導権取りで逃げ切っており、今回も持ち味のダッシュ力が上手く活かせれば、好位置を奪取しての一発が期待できる。
馬場和広選手
 馬場和広は今年7月にS級に昇級、A級時代と同様に徹底先行を貫いているが、早駆けで成績がなかなかまとまらない。直近4カ月のホーム回数は21回と今回の出場メンバーの中では最も多いが、バック回数は16回にとどまっている。埼京ラインで井上嵩との連係があればどちらが前回りかの判断は難しいが、仮に井上とは別線と戦うことになっても、馬場は自分の持ち味を殺さないためにも主導権取りを狙ってくるだろう。
原田研太朗選手
 原田研太朗は今年7月にS級に昇級したが、今回の出場メンバーの中でただ1人S級優勝の実績がある。それが9月の奈良FIで、初日予選は5着のぎりぎりの勝ち上がりだったが、準決勝は逃げ切り、決勝も赤板ホームから前団を一気に叩き、そのまま主導権を取って逃げ切りの優勝だった。次場所の京都向日町記念では最終日特選で捲って1着、10月の熊本記念では500バンクで堂々と逃げ切って1着と勝ち星を重ねており、直近4カ月の勝率も4割3分と高い。
増原正人選手
 増原正人は98期の在校2位で、卒業記念レースを優勝している。昨年6月に実施された98期のルーキーチャンピオンレースでは結果は3着だったが、主導権を奪った原田研太朗の四国ラインの3番手を上手く捌いて取り切っている。今年1月にS級に上がってからは自在で戦っており、連対時の決まり手は捲りのみだ。近況はやや苦戦中で勝ち星は少なく、今回は中四国ラインで原田研太朗を目標にをチャンスを狙ってきそうだ。
小松崎大地選手
 小松崎大地は元プロ野球独立リーグの選手だ。昨年1月にデビューして、6月にA級2班に特別昇班、今年2月には99期では竹内雄作に次ぐ2人目の特別昇級でS級入りを果たしている。9月の京都向日町記念では一次予選で逃げ切り、3日目特選も逃げ切りと徹底先行で奮闘しており、直近4カ月のバック回数は13回だ。今回は単騎の競走になりそうだが、前へ前への積極的な走りでを勝機を掴んでくるだろう。
ヤンググランプリ
語り継がれる名勝負
2011年12月28日 平塚 優勝 柴田竜史(静岡・96期)
中団待機の柴田竜史が中割り強襲
 松岡篤哉-西村光太-坂口晃輔、柴田竜史、相川永伍-上原龍、才迫勇馬-小川祐司、村上直久の並びで周回。赤板から才迫が上昇するが、打鐘とともに松岡が才迫を突っ張り、才迫が後退すると小川が松岡の番手に追い上げる。松岡は4角からスパートして先行、2角から4番手にいた村上が捲るが坂口にブロックされる。バックから外並走の小川が自力発進で先頭に立ち、小川を追いかけた坂口が直線抜け出すが、坂口に続いた柴田が鋭く中を伸びて優勝、外伸びた相川が2着、坂口が3着。