5月20日に日本を代表するトップレーサーが集結するトラックレースの大会「第60回全日本プロ選手権自転車競技大会」が岸和田競輪場で開催されるが、それに先立つ18、19日の両日に「同大会記念競輪」が実施される。S級S班の9名をはじめとするスター選手やスピード自慢の若手選手が勢揃いのシリーズで、2日間の短期決戦ながら見応えたっぷりの熱い戦いが繰り広げられるだろう。
優秀競走・展望
GI戦と変わらぬ豪華メンバーがそろい踏み
村上義弘が魂の走りで近畿の牙城を守り抜く
初日のメインとなる優秀競走3個レースに出場するのはS級S班の9名と、選考期間(平成24年9月~平成25年2月)における平均競走得点上位の18名で、格付けはFII戦だが、GI戦と変わらぬ豪華メンバーがそろい踏みだ。
ここから各レースで3着までに入った9名が、2日目のメインとなるスーパープロピストレーサー賞で雌雄を決することになるが、中心となるのは地元・近畿のエースである村上義弘だ。
年末のGP初制覇に続き、日本選手権で2度目のダービー王に輝いた村上は、福井で開催された共同通信社杯でも地元選手の意地とプライドを賭けて決勝進出を果たした。決勝戦は村上後位が長塚智広と安東宏高で競りとなって決して戦いやすい組み合わせではなかったが、いつもどおりの気迫溢れる走りで主導権を取り切っている。今回も藤木裕や脇本雄太らの後輩たちとともに魂の走りで近畿の牙城を守り抜く。
深谷知広は日本選手権(立川)の準決勝で上がり10秒6のバンクレコードを叩き出しており、現在の競輪界では文句なしのスピードナンバーワンだ。しかし、近況のレースはやや消極的な面もあり、脚を溜めての一発狙いも多くなっており、全日本選抜、日本選手権に続いて共同通信社杯もまたもや決勝2着に終わっている。4日間の開催で1度も先行できなかった共同通信社杯での反省を糧に、今度こそはより積極的な攻めで輪界最強の走りを見せてくれるだろう。
長塚智広は共同通信社杯決勝で村上義弘の番手戦を制してGII初優勝を飾った。全日本選抜と日本選手権はともに準決勝敗退とやや精彩を欠いていたが、共同通信社杯では長塚の真骨頂である踏み出しの良さと直線での切れ味が戻り、見事に復活を果たした。準決勝では先行した武田豊樹を援護しきれなかったが、関東勢からは4人が決勝進出しており、今大会も神山雄一郎や岡田征陽らとともに武田を中心に結束して関東勢での上位独占を狙ってくる。
特選競走・展望
稲川翔が地元戦での一発を狙う
捲りの切れ味が戻った松岡貴久の反撃に期待
初日特選の3個レースには先行順位28位から54位までの27名が出場するが、各レースで5着までに入った15名が2日目のダイナミックステージへ進出する。
注目選手は岸和田が地元の稲川翔だ。稲川は日本選手権ではビッグ初の準決勝進出、共同通信社杯では二次予選Aで敗れたが、1着1回、2着2回の好成績を挙げ、捲り主体の自在戦でメキメキ力をつけている。6月には同じ岸和田での高松宮記念杯も待ち受けており、今大会も走り慣れたホームバンクでの一発が狙える。機動力型では先行力一番の川村晃司や稲垣裕之も控えており、戦力的にはやはり地元・近畿勢が一歩リードか。
捲りの切れ味なら松岡貴久も侮れない。昨年はやや低調だったが、今年に入ってからはFI戦が中心ながら好成績が続いて本来の鋭さを取り戻してきた。今年初のビッグ出場となった共同通信社杯でも勝ち上がりには失敗したが、1着1回、2着2回の成績で復調ぶりをアピールしている。同じく捲りのスピードに定評のある野田源一や園田匠も近況がよく、このところやや元気のない九州勢の反撃に期待したい。
関東勢では神山拓弥が復調気配だ。日本選手権では連日の凡走で大きな着を重ねてしまったが、共同通信社杯では本来の神山らしい動きが戻り、勝ち星こそはなかったものの巧みな位置取りからの直線強襲で順調に勝ち上がり決勝進出を果たした。今大会も本領発揮の自在戦法でチャンスを掴んでくるだろう。
選抜競走・展望
牛山貴広が格上パワーで押し切る
好調・根田空史が強靭な粘り脚を発揮する
初日の選抜5個レースには選考順位55位から99位までの45名が出場するが、各レースで2着までに入った10名が2日目のダイナミックステージへ進出する。
選抜戦では牛山貴広のパワーが抜けている。牛山は日本選手権でGI初の決勝進出を決めると、続く京王閣、四日市とFI戦を連覇して絶好調を維持。共同通信社杯では準決勝で5着と敗れたが、脇本雄太を叩いて先行して神山雄一郎の1着に貢献しており、今大会も山口貴弘や諸橋愛らとの連係で積極的な攻めを見せてくれるだろう。
南関東勢では根田空史が好調の波に乗っている。日本選手権では逃げと捲りで2勝を挙げ、4月のFI戦では2場所連続の完全優勝と勝ち星を量産している。強靭な粘り脚を発揮する先行勝負が基本だが、捲りに回されたときのスピードも抜群で、今後の大化けにも期待が持てる。
北日本勢では飯野祐太に一発の魅力がある。共同通信社杯では勝ち星こそなかったが、二次予選Aでは8番手からの捲り追い込みで2着、準決勝は5番手からの捲りで3着に入り決勝進出を決めた。直前の西武園記念でも準決勝進出と明らかに上り調子で、ビッグ初優出の勢いに乗って今大会でも大活躍がありそうだ。
昨年のスーパープロピストレーサー賞
プレイバック
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自力に転じた伏見が捲って優勝
スタート牽制で再発走となったレースは成田和也-伏見俊昭-佐藤慎太郎、平原康多-木暮安由-飯嶋則之、川村晃司-村上義弘-市田佳寿浩の並びで落ち着く。青板2コーナーから川村が動いて先頭に立つと、後位は村上、平原、成田の3車で並走となるが、平原が村上を牽制して2人とも後退。川村の番手に収まった成田は最終ホームから仕掛けるが、川村も抵抗して2人のもがき合いとなり、最終バックから自力に転じた伏見が捲り切って優勝、飯嶋が2着、市田が3着という結果だった。
2012年5月13日 前橋競輪場
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