若手選手の登竜門であるヤンググランプリ2013(GII)が12月28日から立川競輪場で開催されるグランプリシリーズの2日目(29日)に実施される。今年は北日本2人、南関東2人、中部2人、近畿3人の組み合わせとなったが、全員が自力自慢の若手だけに地区的な連係や前後の並びなどは流動的で混戦必至だ。唯一のS級1班である岐阜の竹内雄作が実績上位で中心となりそうだが、昨年のヤンググランプリ3着で表彰台に上がった福島の小松崎大地の一発も侮れず、101期から唯一選出された奈良の三谷竜生の大駆けにも期待が集まる。
次代を狙うスター候補生のスピード対決
竹内雄作は高校時代に陸上で鍛えた肉体を武器に徹底先行で出世街道を着実に駆け上がってきた。昨年のヤンググランプリは9着に敗れたが、果敢に主導権を握って兄弟子の松岡篤哉の優勝に大きく貢献している。今年は3月の大垣FIでS級初優勝を飾ると、その後もFI戦での優勝が3回を数え、共同通信社杯やオールスターでも逃げ切りで勝ち星を挙げるなどグレードレースでの活躍も目覚ましい。今年のヤンググランプリでも自慢の競走スタイルを崩すことなく、狙うは先行・逃げ切りか。
元マウンテンバイクの選手として活躍していた猪俣康一は今回の参加選手の中では最年長の37歳だが、直近4カ月のバック回数が25回と誰よりもレースは積極的だ。S級での優勝はまだないが、9月の岐阜記念で準決勝進出、10月の一宮記念で2勝とグレードレースでも善戦している。中部同士の竹内雄作との連係は微妙だが、竹内が自力勝負にこだわるようなら別線もありうる。99期のルーキーチャンピオンレースではやはり別線で、竹内の逃げを猪俣が3番手から捲って優勝と一発勝負にも強い。
小松崎大地はかつてプロ野球独立リーグにおいて不動の4番バッターとして活躍していた。その身体能力の高さは競輪選手になってからも十分に発揮され、S級までは特昇に次ぐ特昇で駆け上がり、昨年のヤンググランプリでは3着で表彰台に上がっている。10月の千葉記念で記念初優出を決めると、11月の玉野FIでは番手追走の渡邉一成を振り切っての逃げ切りでS級初優勝と近況は勢いに乗っており、昨年のヤンググランプリは単騎戦だったが、今年は北日本の阿部力也との連係も考えられ、勝機を掴んでくるだろう。
阿部力也は100期卒業記念レースのチャンピオンだ。大学時代には全日本アマチュア自転車競技大会のスプリントで連覇を飾っており、脚質的にはスプリンターでプロデビュー後も先行回数はあまり多くないが、カマシ、捲りのスピードは特筆ものだ。今年7月にS級に昇進すると8月の小田原記念では準決勝進出、10月の西武園FIでは3番手からの捲りでS級初優勝を完全優勝で飾っている。ヤンググランプリでは小松崎大地との連係の可能性があり、阿部が前回りなら得意のカマシで別線封じを狙ってきそうだ。
101期からただ1人ヤンググランプリに選出された三谷竜生は近畿期待の大型先行だ。三谷は昨年7月にデビューすると7カ月後の今年1月にS級特昇、6月の京都向日町FIでは逃げ切りでS級初優勝と破竹の快進撃。グレードレースでも5月の平塚記念に続いて10月の千葉記念で2度目の記念優出を決めている。ヤンググランプリでの近畿3人の連係は未定だが、三谷がラインの先頭を任せられればもちろん主導権取りに燃えてきそうで、京都向日町FIと同様に後続のもつれを尻目の逃げ切り優勝も十分だ。
古性優作は小学1年からBMXを始め、高校時代の08年と09年には全日本BMX選手権大会のジュニア部門で連覇を達成している。競輪選手に転向してからもBMXで鍛えた抜群のダッシュ力を武器に活躍、今年7月にS級昇進を果たした。今のところFI戦では準決勝が壁になっているが、直近4カ月のバック回数は20回とレースはあくまでも積極的だ。10月の岸和田FIでは予選、準決勝を逃げ粘りの2着で突破、決勝では猪俣康一相手に主導権を取り切り、藤木裕の優勝に貢献している。
藤井栄二は選手だった父の影響で高校時代から自転車競技を始め、得意のダッシュ力を生かして主にスプリント競技で活躍した。プロデビュー後は課題の地脚強化を図るために徹底先行を貫き、今年7月にS級昇進、直後の高知記念の一次予選では100期の中井勇介と壮絶な先行争いを演じて勝ち星を挙げている。残念ながら8月の小倉FIで落車して2カ月間の欠場を余儀なくされ、現在はまだ本調子とはいえない状態だが、近畿3人の連係次第ではヤンググランプリで再び徹底先行ぶりを見せてくれるだろう。
神奈川期待のホープである郡司浩平は今年1月にS級に昇級、昇級直後は思うように先行させてもらえず苦しんだが、3月の武雄FIで初優出、5月の京王閣FIで2度目の優出を決めてから波に乗り、近況のFI戦ではコンスタントに優出できるほどに成長した。そして11月の京都向日町FIでは捲りの3連発でうれしい初優勝を飾り、自慢のダッシュ力を存分に見せつけた。同県の和田真久留との前後は微妙だが、父・郡司盛夫のDNAを受け継いだ浩平は捌きも意外と上手く、和田との連係の公算も大きいか。
和田真久留はアマチュア時代は高校総体1KmTTで優勝、アジアジュニア選手権スプリントで銀メダルなどの輝かしい実績を残している。今年7月にS級に昇進してからは、やや苦戦続きで勝ち星は多くないが、5月の全プロで郡司浩平、巴直也と共に挑んだチームスプリントで3位に入り寛仁親王牌に出場、敗者戦ながら逃げ粘りの2着で2度連絡みを果たしている。特に4日目特一般では和田―郡司の並びでワンツーを決めており、ヤンググランプリでも気心の知れた郡司と好連係を見せてくれるだろう。