レース展望

今年で61回目を迎えるトラックレースの競技大会「全日本プロ選手権自転車競技大会」が5月19日に取手競輪場で開催されるが、それに先立つ17、18日の両日に「同大会記念競輪」が実施される。2日間の短期決戦だが、競技大会に出場予定のスピード自慢の若手選手が多数参加して例年大会を盛り上げており、今年も見応えたっぷりのスピードレースの数々が繰り広げられるだろう。
S級S班の中部コンビがスピードでねじ伏せる
 初日のメインとなる優秀戦3個レースに出走するのはS級S班の3名と、選考期間(平成25年9月~平成26年2月)における平均競走得点上位の24名だ。そこから各レースで3着までに入った9名が2日目のメインとなるスーパープロピストレーサー賞で頂点を争うことになるが、主軸となるのはやはり中部ラインだろう。
 昨年のグランプリ王者で、5月の松阪記念を制した金子貴志と浅井康太のS級S班コンビは強力で、スピード勝負になると中部勢の独壇場となってしまうだろう。
脇本雄太選手
 S級S班コンビの中部ラインに真っ向からの力勝負を挑むのが脇本雄太だ。日本選手権では海外遠征先での落車の影響があったのか、連絡みは二次予選の逃げ切り1回のみに終わったが、2月の全日本選抜の準決では深谷知広ー金子貴志の最強師弟コンビを不発に終わらせる逃走劇で2着に粘って決勝進出を果たしている。3月の平塚F1は完全優勝、4月の高知記念では準決を逃げ切りの1着で突破して決勝5着と、昨年までの不振から完全に脱して本来の先行力を取り戻している。
池田勇人選手
 地元・関東勢を牽引するのは池田勇人だ。池田は昨年6月の久留米での記念初優勝を飾ってからぐんぐんパワーアップして、今や関東を代表する機動力型の1人に成長した。全日本選抜では準決で敗れたが、2日目スタールビー賞では平原康多の先行に乗り、深谷知広、新田祐大らを撃破して1着、日本選手権では二次予選で敗れたが、最終日優秀では脇本雄太、山崎芳仁らを破って後閑信一とワンツーを決めており、今大会でも復調気配の見えてきた後閑と好タッグが期待できる。
小松崎大地が上昇気流に乗る
小松崎大地選手
 初日特選の3個レースには選考順位28位から54位までの27名が出走するが、各レースで5着までに入った15名が2日目のダイナミックステージへ進出する。

 注目株は福島の新鋭・小松崎大地だ。GI初出場となった2月の全日本選抜では連絡みこそなかったが、一次予選、二次予選でしっかり主導権を取り切ってトップスピードの高さを力強くアピール、3月には千葉FIと岐阜FIをともに完全優勝で連覇すると、4月の武雄記念では決勝進出と上昇気流に乗っている。
 関東勢では藤田竜矢が好調だ。日本選手権では二次予選で敗れたが、1月の大宮記念で準優勝、2月の四日市記念で決勝7着、4月の高知記念では敗者戦ながら得意の捲りで2勝と記念クラスで好成績を積み重ねている。今大会でも4・42の大ギアを駆っての一発を狙ってくる。
復調なった阿竹智史が好気配
 先行一本の竹内雄作が主導権取りに燃える
阿竹智史選手
 初日選抜の5個レースには選考順位55位から99位までの45名が出走するが、各レースで2着までに入った10名と3着に入った5名の内2名が2日目のダイナミックステージに進出する。

 選抜競走では阿竹智史が好気配だ。2月の奈良記念の準決では捲りで迫る平原康多を振り切っての逃げ切りで決勝進出、日本選手権では敗者戦ながら3日目一般で捲って1着、6日目選抜で逃げて3着と好成績を挙げている。落車の影響で昨年は低迷していたが、現在は本来のスピードとパワーが完全に蘇っている。

 先行1本でのしあがってきた竹内雄作がいよいよ本格化してきた。日本選手権の一次予選は1周半の先行で2着、二次予選も打鐘先行で一本棒の状態に持ち込むと堂々の逃げ切りでGI初の準決進出を決めた。選抜競走は活きのいい若手機動力型が目白押しだが、今大会も竹内は主導権取りに燃えてくるだろう。

 南関東勢では郡司浩平に一発の魅力がある。直近4カ月のバック回数が16回と先行基本に戦っているが、2月の四日市記念の二次予選では3番手を確保してからの捲りで1着、4月の高知記念の4日目選抜では8番手からの捲りで2着と、捲りに回ったときの切れ味にも鋭いものがある。
昨年のスーパープロピストレーサー賞プレイバック
新田祐大が堂々の逃げ切り優勝
 菅原晃ー大塚健一郎、武田豊樹ー神山雄一郎ー飯嶋則之、藤木裕、新田祐大ー渡邉一成ー伏見俊昭の並びで周回。赤板から単騎の藤木が上昇、菅原が引いて藤木が先頭に立つが、藤木を追った新田が打鐘とともに叩いて主導権を奪う。しかし、打鐘4角から武田がすかさずスパート、新田と武田の壮絶なもがき合いとなる。両者のもがき合いは最終4角まで続くが、強靭な粘り脚を見せた新田が堂々の逃げ切り優勝、武田後位から伸びた神山が2着、飯嶋が3着。
2013年 ゴール