レース展望

 ガールズケイリンフェスティバル2014が松戸競輪場を舞台に第10回サマーナイトフェスティバルと同時開催される。サマーナイトと同様に2日間の短期決戦で1日3個レースを実施、ガールズでは初めての試みとなるトーナメント制の勝ち上がり方式になる。最大の注目は5月のデビュー以来快進撃を続けている106期の小林優香と石井貴子の直接対決だが、102期の中村由香里や加瀬加奈子、104期の石井寛子や梶田舞などの先輩レーサーたちも決して負けておらず、初代女王の座をかけた熱い戦いが繰り広げられるだろう。
小林優香 106期 福岡
小林優香選手
 5月にデビューした小林優香は初戦の岸和田決勝では5番手から豪快な捲りを決め、2着の梶田舞に6車身の差を付ける圧勝劇でファンの度肝を抜いた。ガールズの新時代の幕開けを告げると言っても大げさではないくらいの完璧な勝利で、その後も7月末までに4場所走って負け知らずの快進撃を続けている。5月の京王閣と7月の名古屋は逃げ切り優勝、6月の松山と7月の青森は捲って優勝と対戦相手たちはまったくお手上げの状態だ。早めのホーム先行でもバック過ぎからどんどん加速していくので、ぴったりマークの選手にも決して抜かれることはなく、もちろん今大会も優勝候補の筆頭だ。
石井貴子 106期 千葉
石井貴子選手
 石井貴子も同期の小林優香と同様にデビューから7月末までに5場所走り、4連続優勝(7月の川崎決勝は荒天のため開催中止)と圧倒的な強さを見せつけている。7月の川崎の予選1では先行して番手から荒牧聖未に交わされて2着となり連勝記録は途切れたが、唯一敗れたのはその1走だけで、小林優香との直接対戦にいやが上にも期待が高まる。3月に平塚で行われた卒業記念レース決勝では捲った小林をぴったり追走、最終3角から番手捲りを打って石井が優勝しており、今大会でも自慢のダッシュ力で地元優勝を狙う。
中村由香里 102期 東京
中村由香里選手
 中村由香里は6月のガールズケイリンコレクション取手ステージでは初手から加瀬加奈子の番手に狙いを定め、先行逃げ切りを狙う加瀬加奈子をゴール前で追い込んで優勝している。中村のコレクション優勝はこれで2度目だが、昨年のガールズグランプリでも捲った加瀬の番手に巧みに切り替えての差し切りで優勝と、ここ一番の勝負強さを見せつけていた。近況の勝ち星も「差し」が中心だが、その鋭い差し脚とレース運びのセンスのよさはガールズの中ではピカイチであり、今大会も熾烈を極めるスピード対決の間隙を突いて直線伸びてくるだろう。
加瀬加奈子 102期 新潟
加瀬加奈子選手
 加瀬加奈子は相変わらずの「男気」の競走スタイルを貫いている。対戦相手、展開に関わらず、狙うは先行での押しきりだ。直近4ヶ月の連対時の決まり手も逃げが7割強である。取手のガールズコレクションの時もそうだが、近況は決勝で惜敗が続いている状態だが、もちろん加瀬には今の競走スタイルを変える気持ちは微塵もないはずだ。結果を恐れずに前へ前へと積極的に攻めていく競走スタイルは誰にも真似のできないものであり、今大会での106期の新星たちとの対決は見応えのあるものになりそうで、加瀬は真っ向からのパワー勝負でねじ伏せを狙ってくるだろう。
石井寛子 104期 東京
石井寛子選手
 石井寛子は今年前半はやや流れが悪く、もちろん以前と変わらず勝ち星は多いのだが、決勝での大敗が目立っていた。6月のガールズコレクションでも終始後方待機のままなにもできずに5着に敗れている。しかし、そのまま悪い方向へと流されていってしまわないのが石井の良いところであり、トップレーサーであり続ける所以である。次場所の7月の小倉ではきっちりと立て直しに成功、完全優勝を飾っている。今大会ではガールズコレクションの反省を胸に、より積極的に攻めていく石井の姿がきっと見られるだろう。
梶田舞 104期 栃木
梶田舞選手
 梶田舞は好位値を取ってからの捲りを主戦法にしており、直近4ヶ月ま連対時の決まり手は7割が捲りだ。得意のスプリント力もハイレベルで、うまく決まれば後続をぶっちぎって圧勝してしまう。先行する選手を見極める臭覚も確かなものを持っており、勝負どころではいつのまにか好位値の3、4番手におさまっていることが多い。先行選手が捲られても、瞬時に切り替えての捲り追走とフットワークの軽さも長所の一つだ。位置取りに失敗すると巻き返しが利かないというモロさもあるが、今大会もレースの流れを巧く見極めて一発を狙ってくる。
山原さくら 104期 高知
山原さくら選手
 山原さくらは基本は先行主体の競走だが、捲りや追い込みに回っても強さを発揮できるタイプだ。その戦法の幅の広さが一転して弱点になることもあり、ここぞという時に仕掛け遅れて大敗というシーンもたまに見られる。そのため成績の波は大きいが、好調時には無類の強さを発揮するので軽視はできない。5月の伊東温泉では予選1と決勝が逃げ切り、予選2が捲りで完全優勝、次場所の佐世保も予選1が捲り、予選2が逃げ切り、決勝が追い込みと日替わりの戦法で完全優勝している。