レース展望

 今年で3回目を迎えるガールズグランプリ2014が12月28日、岸和田競輪場に於いてKEIRINグランプリシリーズの初日11Rに開催される。今年5月にデビューしたばかりながら破竹の連勝街道をひた走り、堂々の獲得賞金額1位で出場権を獲得した小林優香が断然の優勝候補の筆頭だが、スピードならトップクラスの石井寛子や、1期生の意地とプライドをかける加瀬加奈子や中村由香里らの猛襲必至で波乱の目も十分だ。
◆小林優香 福岡 106期
小林優香選手
 その強さはまさに桁外れだ。5月にデビューした小林優香は10月末までに33走して1着32回、2着1回と驚異的な成績を挙げている。8月・松戸のガールズケイリンフェスティバルや9月・前橋のガールズケイリンコレクションのビッグレースでも、石井寛子、加瀬加奈子、中村由香里らの並みいる先輩レーサーたちを一蹴して優勝、一気に獲得賞金ランキングのトップに躍り出た。圧巻だったのは前橋のレースで、勝負どころで発生した落車のあおり受けて小林は6番手と後手を踏まされたが、2番手から捲った石井寛子、4番手から捲った加瀬加奈子のその上を捲り切って優勝と、スーパールーキー・小林には死角らしい死角が全くなく、もちろんグランプリでも断然の優勝候補の筆頭だ。
◆石井寛子 東京 104期
石井寛子選手
 石井寛子の一番の魅力はレースの組み立ての上手さだ。近況は好位置を奪取しての捲りや追い込みを主戦法に、一時の低迷期を脱して再び上昇傾向に入っている。とにかくレースの流れを読むのが上手く、気がつけば先行選手の番手に入り込んでいて、そこからの番手捲りや追い込みで勝機を掴むのが一番の得意パターンだ。しかし、9月・ガールズケイリンコレクションでは、いつもどおり先行する石井貴子の番手という絶好の位置を確保したが、最後は小林優香の捲りに屈して2着に終わった。8月・ガールズケイリンフェスティバル決勝でも、小林優香の捲りを追走してのゴール前勝負に持ち込んだが、追い込み切れずに2着と苦杯を飲んでおり、グランプリでのリベンジに闘志を燃やしてくるだろう。
◆加瀬加奈子 新潟 102期
加瀬加奈子選手
 相変わらずの男気先行を貫く加瀬加奈子。106期の小林優香、石井貴子、奥井迪らの強力先行型が登場以来、思うようにレースを組み立てられないケースが増えてきているが、それでも加瀬の先行へのこだわりは微塵も揺らいでおらず、直近4カ月の連対時の決まり手は逃げが72%だ。8月・ガールズケイリンフェスティバル決勝でも前受けから徹底的に突っ張り切って主導権を譲らず、結果は6着に終わったが、強靭な先行力を改めて見せつけていた。グランプリは3回目の出場となるが、12年は先行して3着、13年は捲って2着の成績で、今年も先行主体に全力を出し切っての完全燃焼で勝機を掴んでくるだろう。
◆中村由香里 東京 102期
中村由香里選手
 中村由香里は昨年のガールズグランプリの覇者だ。中川諒子と中山麗敏の先行争いを捲った加瀬加奈子を追走、ゴール寸前で加瀬を交わして優勝している。今年6月の取手・ガールズケイリンコレクションでも主導権を握った加瀬加奈子の番手に追い上げ、ゴール前で加瀬を捕らえて2度目のコレクション優勝を達成しており、追い込み主体だが、ゴール前での伸び脚はライバルたちにとっては脅威だ。松戸・ガールズケイリンフェスティバルの予選、前橋・ガールズケイリンコレクション、10月・武雄の予選1と落車が続いているのが気がかりだが、大阪出身の中村だけに岸和田のグランプリでは熱い走りを見せてくれるだろう。
◆山原さくら 高知 104期
山原さくら選手
 山原さくらは基本は先行主体だが、捲りや追い込みも器用にこなして戦法は幅広い。10月末現在で今年の優勝は8回を数えている。ビッグレースではまだ思うような成績を残せておらず、昨年のグランプリでは終始後方のまま力を出し切れずに4着に終わっているが、3月の名古屋・ガールズケイリンコレクションでは積極的に主導権を取り切って6着、8月・ガールズケイリンフェスティバル決勝では加瀬加奈子との壮絶なもがき合いを演じて7着としっかり見せ場をつくっている。グランプリも強敵ぞろいだが、昨年凡走の反省を胸に、今年こそは持ち味の積極性を発揮して上位入着を狙ってくる。
◆中川諒子 新潟 102期
中川諒子選手
 中川諒子はガールズ屈指のスプリント力が持ち味だ。スプリント力を活かして好位置を奪取、そこからの捲りや追い込みが主戦法となっており、10月末現在で今年の優勝は5回だ。近況は決勝になると仕掛け遅れての2着や3着が目立っているが、ツボにはまったときの捲りのスピードはやはり絶品だ。12年のグランプリでは終始5番手の展開から仕掛け切れずに5着と凡走しているが、昨年のグランプリでは7着ながら積極果敢に主導権を取り切っている。8月・ガールズケイリンフェスティバル決勝では先行した加瀬加奈子を追走ながら内に詰まって5着に終わっているだけに、グランプリではより積極的な走りを見せてくれそうだ。
◆梶田舞 栃木 104期
梶田舞選手
 小林優香のデビューからの連勝記録を22でストップさせたのが梶田舞だ。9月1日の西武園決勝で3番手から捲った小林をぴったり追走し、ゴール前で8分の1輪差し切って優勝している。梶田は好位奪取からの捲りや追い込みが主戦法で、近況は逃げての連絡みはない。10月の和歌山の決勝でも、逃げた加瀬加奈子を追走しての差し切りで今年5回目の優勝を飾っている。昨年のグランプリでは終始後方のまま見せ場をつくれずに終わっており、6月・ガールズケイリンコレクションでもレースの流れに乗り切れずに7着と敗れているが、今年のグラプリこそは持ち味のダッシュ力と位置取りの上手さを活かしての力走を期待したい。