レース展望

 若手レーサーの登竜門・ヤンググランプリ2014が岸和田競輪場に於けるグランプリシリーズの2日目11Rに開催される。今年は関東5人、中部1人、近畿2人、九州1人の組み合わせとなったが、先行・捲りの自力型ぞろいだけに激戦は必至だ。実績上位は奈良の三谷竜生で、近畿同士で福井の野原雅也との連係があれば断然の優勝候補の筆頭だが、吉澤純平と小原唯志の茨城コンビと金子幸央と坂本将太郎の栃木コンビの機動力も強力で、混戦になれば大分の小岩哲也の捲り一発や、位置取り上手い近藤龍徳の直線強襲も十分だ。
次代を担うスター候補生たちのパワー対決
◆三谷竜生 奈良 101期
三谷竜生選手
 近畿期待の大型先行・三谷竜生は今回のメンバーの中では唯一のS級1班で、実績上位だ。今年はビッグレースでも活躍しており、7月・寬仁親王牌では一次予選が逃げて2着、二次予選も逃げ粘りの3着で準決進出を果たしている。三谷は昨年のヤンググランプリにも出場、単騎の競走から主導権を握った中部ラインの3番手に飛びついて3着と健闘している。徹底先行で売り出し中の福井の野原雅也との連係は未定だが、野原を目標にレースを進めることができれば、展開有利で断然の優勝候補の筆頭に浮上するだろう。
◆吉澤純平 茨城 101期
吉澤純平選手
 吉澤純平は元スケートのショートトラックの選手で、バンクーバーオリンピックに出場している。競輪に転向してからも着実に実績を重ねており、昨年4月に川崎で開催された101期のルーキーチャピオンレースでは同期同門の小原唯志とは別線勝負となったが、単騎で打鐘4角からカマして見事な逃げ切り優勝を飾っている。今年1月からS級2班に昇進、4月の名古屋FI決勝では4番手から捲り、2着に5車身の差をつけての圧勝劇でS級初優勝を達成しており、ヤンググランプリでも得意のカマシで押し切りを狙ってくるだろう。
◆小原唯志 茨城 101期
小原唯志選手
 小原唯志は元スピードスケートの選手で、2010年のバンクーバーオリンピックに出場している。競輪に転向してからも師匠の武田豊樹と同様にスケートで鍛えた剛脚を活かして活躍、今年1月からS級に昇進すると、3月の福井FI決勝では8番手からの豪快な捲りを決めてS級初優勝を達成している。その後は優勝こそないが、FIでは決勝進出を逃すことは少なく、GIIIでも一次予選や二次予選では積極的に主導権を奪いにいって見せ場をつくっており、ヤングクランプリでも前へ前への果敢な攻めで勝機を掴んでくるだろう。
◆小岩哲也 大分 101期
小岩哲也選手
 小岩哲也は今年2月6日に京都向日町でのA級決勝で3場所連続の完全優勝を達成してS級2班に特進、S級初戦の2月・大垣FIでは逃げ切りの2連勝で決勝進出を果たしている。S級での優勝はまだないが、6月の久留米記念では地元・九州勢を連れての先行策で一次予選が2着、二次予選が3着で準決進出を果たし、全国にその名を力強くアピールした。8月の富山記念でも先行と捲りの2連勝で決勝進出と活躍しており、ヤンググランプリでは単騎戦になりそうだが、持ち味の勝負強さを発揮して一発を狙ってくる。
◆近藤龍徳 愛知 101期
近藤龍徳選手
 近藤龍徳は今年1月からS級2班に昇進、捲り・追い込みが主戦法でS級戦ではしばらく苦戦の日々が続いたが、7月の取手FIの準決で捲った中川誠一郎の番手に飛びつき、合志正臣をどかしての3着で初のS級決勝進出を決めて波に乗った。7月の函館記念でも一次予選はイン粘りで番手を奪って1着、二次予選は飛びつきで番手に収まって2着で準決進出、8月の立川FI、9月の岸和田FIでも決勝進出を果たしている。競輪選手としてはやや小柄ながら、ヤンググランプリでもガッツ溢れる走りで好位置奪取を狙ってきそうだ。
◆野原雅也 福井 103期
野原雅也選手
 今年のヤンググランプリで103期からただ1人出場権を獲得したのが、徹底先行で売り出し中の福井の野原雅也だ。野原は3月に松山で開催された103期のルーキーチャンピオンレースを2着に4車身の差をつける圧勝劇で優勝、3月31日の豊橋FIIの決勝で3場所連続の完全優勝を達成してS級2班へ特進を果たした。直近4カ月のホーム回数が14回、バック回数も14回と今回のメンバーの中では最も積極性が高く、9月の青森記念では一次予選が逃げて4着、二次予選が逃げて3着で準決進出を果たしており、今回も主導権取りに燃えてきそうだ。
◆金子幸央 栃木 101期
金子幸央選手
 金子幸央は直近4カ月のホーム回数が12回、バック回数が11回で、数字的には野原雅也をやや下回るが、積極性は高く、連対時の決まり手も50%が逃げだ。今年1月にS級に昇進、先行主体の競走ゆえに今はまだFIでも準決が壁になっているところもあるが、8月の千葉記念では一次予選が逃げ切り、3日目特選も逃げ切りと2勝をマークしている。典型的な地脚タイプで主導権を取り切れなかったときにはモロさを見せるが、展開さえ上手くはまればダッシュ鋭い捲りでの連絡みも可能で、今回も混戦抜け出しての一発が侮れない。
◆土屋壮登 埼玉 101期
土屋壮登選手
 土屋壮登は6月・久留米のレインボーカップファイナルで3着に入り、S級2班に特別昇級を果たした。直近4カ月のホーム回数は11回、バック回数も11回の徹底先行タイプで、連対時の決まり手も87%が逃げと積極性は高い。S級昇進後もFIでは徹底先行を貫いて着実に決勝進出を重ねており、近況はGIIIでも活躍と上昇一途だ。10月の熊本記念では一次予選が2着、二次予選が3着で準決進出、11月の松山記念でも1着、2着で準決に勝ち上がっており、細切れ戦が予想されるヤンググランプリでも積極的な攻めを見せてくれるだろう。
◆坂本将太郎 栃木 101期
坂本将太郎選手
 坂本将太郎はA級時代から追い込み主体の競走で奮闘、父・坂本英一譲りの鋭い差し脚と強気の位置取りで今年7月に待望のS級入りを果たした。もちろんS級でも競走スタイルは変わらず、S級初戦の7月の取手FIでは初日からいきなりの番手勝負を挑んでいる。次場所の高松FIの初日予選では松田優一の捲りを差してS級初勝利、8月の小田原記念では一次予選が1着、二次予選がゴール前での伏見俊昭との踏み比べに勝って2着に突っ込み準決進出を果たしており、ヤンググランプリでも同県の金子幸央目標から差し脚を伸ばしてくる。