来る5月18日に今年で62回目の歴史を誇るトラックレースの競技大会「全日本プロ選手権自転車競技大会」が別府競輪場で開催されるが、それに先立つ16、17日の両日に「同大会記念競輪」が実施される。S級S班の8名を始めとするトップスターや競技大会に出場予定の若手選手たちが多数参加し、2日間の短期決戦ながら今年も見どころ満載のスピードレースが繰り広げられるだろう。
武田と平原の黄金コンビが総合力でリード
完全復活なった深谷知広が勇姿を披露
初日のメインとなる優秀競走3個レースに出場するのはS級S班の8名と、選考期間(平成26年9月~平成27年2月)における平均競走得点上位の19名で、各レースで3着までに入った9名が2日目のメインとなるスーパープロピストレーサー賞で頂点を争うことになる。
中心となるのはやはり力・技・組み立ての総合力でリードする武田豊樹と平原康多の関東コンビだろう。日本選手権決勝では新田祐大の捲りに屈して平原2着、武田5着の結果に終わったが、4月の西武園記念では初日特選と2日目優秀が平原1着、武田2着のワンツー、決勝は逆に武田1着、平原2着のワンツーを決めて黄金コンビの真価をまざまざと見せつけていた。とりわけ3日間武田の前を回った平原の好調ぶりが際立っており、今大会も武田との好連係を決めてライバルたちを蹴散らしていくだろう。
深谷知広がいよいよ復活してきた。日本選手権では準決で先行して4着と敗れた深谷だったが、4月の川崎記念では初日特選は3番手からの捲りで後続を5車身離して圧勝、2日目優秀は8番手の展開となったが、3番手から先捲りの平原康多をあっさり捲り切り、2着の平原にやはり5車身の差をつけての圧勝劇で、上がりタイムは10秒7のバンクレコードタイをマークしている。準決、決勝は2着に終わっているが、今大会では完全復活なった深谷の勇姿を見ることができるだろう。
スピード日本一は新田祐大だ。日本選手権決勝では武田豊樹-平原康多の関東黄金コンビを捲りで仕留めて、4日制以上のGI初制覇を飾った。次場所は4月の静岡FIだったが、当然ながらの3連勝で、初日特選と決勝は7番手からの捲り、準決は逃げ切りと世界レベルのスピードを遺憾なく披露している。新田は一昨年のスーパープロピストレーサー賞で武田豊樹との壮絶なもがき合いを制して逃げ切り優勝を飾っており、今大会でもダービー王の貫禄で2度目の優勝を狙ってくる。
原田研太朗がますます勢いに乗る
菅原晃がホームバンクの地の利を活かす
初日特選の3個レースには選考順位28位から54位までの27名が出場するが、各レースで5着までに入った15名が2日目のダイナミックステージに進出する。
特選組で今最も勢いに乗っているのが原田研太朗だ。日本選手権では予選を2連勝で勝ち上がり、準決も2着で突破してGI初優出を達成、4月の高知記念では準決で敗れたが、二次予選は7番手からの捲り追い込みで大外を鋭く伸びて1着、次場所の松山FIでも決勝は4着に敗れたが、準決は7番手からの捲りで圧勝しており、今大会も展開不問の圧倒的なスピードを披露してくれるだろう。
地元戦で気合いの入った走りを見せてくれるのが菅原晃だ。日本選手権では一次予選が中川誠一郎のまくりを差して1着、二次予選は4番手から直線伸びて2着で準決進出と近況の調子もいい。その後の4月の名古屋FIでは決勝で痛恨の失格、次場所の千葉FIでは準決敗退と逆風に見舞われたが、調子自体に問題はなく、ホームバンクでの地の利を活かした好走が期待できる。
先行力と積極性の高さなら竹内雄作が一番だ。日本選手権での連絡みは一次予選の逃げ切りのみだったが、残り3走もきっちり主導権を取り切っている。次場所の立川FI決勝では番手の選手が離れて裸先行の形になってしまい、別線の選手に番手はまられて2着に終わっているが、もちろん今大会も主導権撮りにはなんの迷いもなく、徹底先行を貫いてくれるだろう。
めきめき力を増してきた古性優作
和田真久留は得意の捲りがスピードアップ
初日選抜の5個レースには選考順位55位から99位までの45名が出場、各レースで2着までに入った10名と3着の2名の計12名が2日目のダイナミックステージに進出するが、伸び盛りの若手自力型が多数出場予定で、優秀や特選にも負けない白熱したレースが期待できる。
選抜組で近況めきめきと力を増してきているのが古性優作だ。1月の岸和田FIは佐川翔吾の捲りに乗って、2月の小松島FIは5番手からの捲り、3月の立川FIは2番手からの捲りで今年はすでに3回の優勝がある。得意の捲りだけでなく、逃げも追い込みも同じように使いこなせるのが強みで、日本選手権の3日目選抜でも巧く捌いて3番手を奪取して勝ち星を挙げている。
和田真久留も捲くりのスピードが増してきて好調だ。2月の豊橋FIでは6番手から先捲くりの鈴木謙太郎を8番手から仕掛けて捲り切り、後続を7車身ぶっちぎって優勝、3月の防府FIも8番手からの早めの捲りで優勝している。4月の高知記念では初日特選は深谷相手に先行して9着だったが、準決では藤木裕の番手からの発進の村上義弘ともがき合い、2着に粘り込んで決勝進出を果たしている。
全プロ記念競輪2014 プレイバック
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浅井康太が5番手から捲って快勝
単騎の神山拓弥が前受け、以下の並びは浅井康太-金子貴志-志智俊夫、岩津裕介-小倉竜二、脇本雄太-東口善朋-伊藤保文で周回。赤板1センターから脇本が上昇して先行態勢に入ると、神山が番手で粘る。神山は東口を競り落として番手を奪うが、さらに岩津が追い上げてきて神山から脇本の番手を奪う。浅井は前団のもつれを尻目に5番手を確保、最終バックから仕掛け、ゴール寸前で捲り切って優勝、脇本の番手から伸びた岩津が2着、脇本が3着。
浅井康太選手
ゴール
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