レース展望

オールスター直前展望
秋の香りがしてきましたね。例年だとまだこの時期は結構暑いのですが、今年は少し涼しいようです。シルバーウイークはオールスター競輪で熱く盛り上がりましょう!
直近のレースから好調選手をピックアップしました。


平原康多選手
練習中のアクシデントのため、2ヶ月ぶりに復帰して青森記念を走った平原ですが、上手い競走を見せていました。特に準決勝戦での動きが非常に良かったと思います。中団キープからタイミングを見ての捲りは、強さ、上手さを感じさせてくれました。青森記念決勝戦では番手を取りに行ってからの捲りでしたが捲り切れずで5着となっていますが、オールスターではこれ以上のパフォーマンスを見せてくれると思います。
山崎芳仁選手
今年に入り、全日本選抜競輪優勝し、復活をアピールしている山崎。直近の岐阜記念を足を使った位置取りから、捲っての優勝は戻ってきた事を裏付けいてる優勝だったと思います。
成績だけを見ているムラっ気がありますが、今回の松戸オールスター競輪は、しっかりと成績を纏めてきそうです。特にラインの先頭で走るときは狙い目だと思います。
竹内雄作選手
ここ数場所、初日は1着となっていて、特に気になる竹内です。特に四日市ナイターで三日間動いて完全優勝しているのが良いですし、直近の岐阜記念でも動きは悪くないと思います。
岐阜記念から中4日ですが、オールスター競輪でも動きの良さを見せてくれるはずです。
早坂秀悟選手
好調をキープしているのが早坂です。8月はあっせんが止まっていて、競走に不安がありましたが、直近の青森記念では決勝に進出。また決勝では、慣れない番手戦となり、平原に狙われて連携が崩れた結果、9着に終わっていますが、持ち味の地脚を発揮しているレースでは非常に安定しています。特に先行しての粘り脚は抜群。後ろの選手に差されるものの2着には残っているのでレース展開を考える上で考えやすくなるでしょう。
 第58回オールスター競輪が松戸競輪場で開催される。恒例のファン投票で1位に選出されたのは深谷知広だが、今年の深谷はまだビッグレースでの決勝進出がないだけに、いかにファンの期待に応える走りを見せてくれるかに注目が集まる。好調維持はサマーナイトフェスティバルで力強い走りを見せた新田祐大と浅井康太の2人だが、高松宮記念杯、サマーナイトと伏兵陣の優勝が続いているだけに、今大会も乱戦ムードが十分だ。
深谷知広がファンの熱い思いをしっかりと受け止める
 サマーナイトの反省を胸に新田祐大が積極的に攻める
深谷知広選手
 深谷知広はファン投票で2年連続3回目の1位に選出された。今年はまだビッグレースでの決勝進出がなく、優勝もなしの状態が続いているが、深谷復活を願うファンの強い思いの表れと言っていい。もちろん競走で結果を残すのは大事だが、ファンが望んでいるのは深谷らしい豪快無比な走りであり、深谷もファンの期待をしっかり受け止めて、若き王者の名に恥じない走りをきっと見せてくれるだろう。
武田豊樹選手
 ファン投票2位は武田豊樹だ。武田は高松宮記念杯で通算6度目のGI制覇を達成したが、寬仁親王牌では準優勝ながら4日間未勝利に終わり、サマーナイトフェスティバルでは準決で落車と夏場に入ってからやや調子は下降気味だった。それでも、輪界の第一人者として常に全力疾走の責任感のある走りを見せており、今大会も王者の走りでファンを魅了してくれるだろう。
浅井康太選手
 ファン投票で選ばれたベストナインの中で今一番勢いに乗っているのは浅井康太だろう。浅井は5月の地元・松阪記念をぎっくり腰で途中欠場と近況は決して万全の状態ではなかったが、6月の武雄、7月の前橋、8月の四日市と記念を立て続けに優勝、サマーナイトも優勝はならなかったが力強い走りで2連勝で勝ち上がっている。深谷知広や躍進著しい竹内雄作らとの好連係から、今大会では久しぶりのGI制覇が期待できる。
新田祐大選手
 スピード勝負なら新田祐大が一番だ。3月の日本選手権でシリーズ制のGI初制覇を果たして頂点に立った新田は、その後も世界レベルのスピードで輪界をリードし続けている。サマーナイト決勝は8番手の展開となって準優勝に終わっており、今大会も短走路が舞台だけに位置取り次第では不発のおそれもないとは言えないが、サマーナイトの反省を胸により積極的な攻めを見せてくれるに違いない。
岩津祐介選手
 岩津祐介が上昇気配だ。今年前半はやや精彩を欠いていたが、6月の高松宮記念杯では準決を1着で突破して決勝進出、先のサマーナイトの準決では目標の稲垣裕之が新田祐大に捲られてしまったが、新田の番手の菊池圭尚を捌いて2着に突っ込み、S級S班の底力をしっかり見せつけた。ビッグレースでは機動力が手薄の中四国勢だが、今大会でも巧みな捌きと鋭い差し脚で勝ち上がりを狙ってくる。
先行日本一の脇本雄太が短走路を舞台に押し切りを狙う
 稲垣裕之が悲願のタイトル奪取に向けて気力を振り絞る
脇本雄太選手
 今や名実ともに先行日本一の座についているのが脇本雄太だ。6月の高松宮記念杯は決勝9着、寬仁親王牌は決勝5着と、初タイトルを狙える位置まで上りつめてきた。サマーナイトはまさかの予選敗退となったが、残り2走で2勝と調子はまったく問題ない。脇本包囲網が厳しくなってきているが、今大会は短走路が舞台だけに自慢の先行力での押し切りも十分だ。
稲垣裕之選手
 稲垣裕之にとっては今大会が正念場か。高松宮記念杯では惜しくも準優勝とタイトルまであと一歩のところまで近づいているのは確かだが、寬仁親王牌では二次予選Aで失格、サマーナイトでは準決敗退と流れがやや悪くなってきている。このままではズルズルと後退していく危険性もないとは言えず、今大会では気力を振り絞っての巻き返しに期待したい。
 ファン投票15位で地元・南関東勢から唯一オリオン賞に選出されたのが石井秀治だ。石井は高松宮記念杯で準決を2着で突破してGI初優出と活躍した。8月の豊橋記念で落車、サマーナイトを欠場と体調面での不安は残るが、地元開催のGIに向けてきっちり立て直しを図り、地元のファンの前で得意の捲りを炸裂させてくれるだろう。
 原田研太朗が急上昇中だ。日本選手権でGI初優出を達成すると、続く共同通信社杯でも優出、サマーナイトでも予選が逃げ切り、準決は捲って1着と大活躍だった。決勝は岩津祐介を連れて果敢に先行、結果は5着だったが新田祐大や浅井康太を不発に終わらせており、今大会もトップスターたちを相手に真っ向勝負を挑んでいく。
村上義弘が一走入魂の熱い走りで復活を目指す
 地元・南関東勢が地の利を活かしての台頭を狙う
村上義弘選手
 近畿の総大将・村上義弘は今年は体調面で万全の状態ではなく苦しい戦いが続いている。地元地区の岸和田で開催された高松宮記念杯では決勝進出して意地を見せつけたが、その後の寬仁親王牌とサマーナイトではともに準決敗退に終わっている。それでも、一走入魂の走りは健在であり、ファン投票で5位と人気は決して衰えることはない。今大会も死力を尽くして、ファンの声援に応える熱い走りを見せてくれるだろう。
中川誠一郎選手
 九州勢では中川誠一郎がファン投票で16位、井上昌己が19位でオリオン賞に選出されている。しかし、中川も井上も落車の影響もあって、サマーナイトでは本調子からは遠い状態で予選突破はならなかった。寬仁親王牌では園田匠が悲願の初タイトルを獲得しているが、このままではせっかく盛り上がってきた復活ムードがあっけなく鎮火してしまいそうで、九州勢のさらなる奮起を期待したいところだ。
 とくに中川はスピード的にはハイレベルのものを持っているだけに、体調さえ戻れば侮れない存在となるだろう。高松宮記念杯では準決で敗れたが、二次予選は捲りで圧勝して上がりタイムは11秒フラット、寬仁親王牌も準決までの勝ち上がりと、今年は競技だけではなく本業の競輪でもしっかり強さを発揮している。松戸は短走路にしてはカントが浅く捲りにくいバンクと言われているが、世界を股にかける中川ならば必ずや好結果を残してくれるだろう。
 地元・南関東勢は選手層では他地区に決して引けを取らないはずだが、ビッグレースとなると苦戦が続いている。今年は全日本選抜、共同通信社杯、高松宮記念杯、サマーナイトフェスティバルで南関東勢が1人ずつ決勝進出を果たしているが、結果は物足りない成績ばかり。今大会こそは地の利を活かしての地元勢の活躍を期待したい。
海老根恵太選手
 復調気配が見られるのは海老根恵太だ。今はまたムラが大きくて安定感はないが、得意の捲りに全盛期を思わせる鋭さが徐々に戻ってきている。7月の取手FIでは6番手から捲りで今年初優勝、上がりも11秒1と好タイムだった。サマーナイトで決勝進出した小埜正義、近況急速に力をつけてきた松谷秀幸、先行・捲りで勝ち星を量産している郡司浩平や和田真久留に近藤隆司と、粋のいい機動力型が揃っているだけに、海老根を中心に結束力を見せての一気の台頭も決してないとは言えないだろう。
竹内雄作選手
 徹底先行を武器に着実にステップアップしてきているのが竹内雄作だ。サマーナイトの予選では金子貴志が付きバテ気味になるほどの豪快な先行で逃げ切り、準決では惜しくも4着に敗れたが、浅井康太の1着に貢献している。6月の富山FIでは完全優勝と、戦法的にも短走路は得意中の得意にしており、今大会でも迷いのない先行勝負できっちりと見せ場をつくってくれるだろうし、上位への勝ち上がり期待できる。
 寬仁親王牌で大暴れした早坂秀悟が乗りに乗っている。寬仁親王牌は準決で敗れたが、深谷知広、原田研太朗らを相手に大逃げを打ち、渡邉一成の1着に貢献して波乱を呼び起こした。次場所の福井記念でも初日特選は稲垣裕之を相手に堂々の逃げ切り、2日目優秀も逃げ切り、準決は捲って1着と3連勝で決勝進出、決勝も脇本雄太―稲垣裕之の強力地元ラインを叩いて主導権を奪い、3着に粘り込んでいる。
オールスター競輪の思い出
2010年 山崎芳仁
地元のエース・山崎芳仁が7番手から豪快に捲って優勝
 いわき平で開催された第53回オールスターでは地元のエース・山崎芳仁が準決で上がり10秒5のバンクレコードをマーク、絶好調で決勝戦へと駒を進めた。決勝戦は山崎芳仁―佐藤慎太郎―佐々木雄一、吉田敏洋―大塚健一郎、武田豊樹―神山雄一郎、海老根恵太―石毛克幸の並びで周回。青板バックから上昇開始の海老根が赤板で山崎を抑えると、山崎は3番手まで引いて武田と併走となる。武田は打鐘とともに仕掛けて前に出るが、さらにその上を吉田がカマして先頭に立ち、武田が3番手、海老根が5番手、山崎が7番手の一本棒の状態で最終ホームを通過する。最終2角から武田が先に仕掛けていくが、大塚のブロックを受けて車が伸びない。そこへ7番手から捲ってきた山崎が襲いかかり、前団をあっさり飲み込んでしまう。3番手の佐々木は離れ、最後の直線では山崎と佐藤のマッチレースとなるが、山崎が押し切って優勝、佐藤が2着、海老根が3着。
第53回オールスター競輪(GI)決勝ゴール
第53回オールスター競輪(GI)決勝ゴール
優勝 山崎芳仁
優勝 山崎芳仁
バンクの特徴
直線が短くカントも浅いので基本は先行有利
先行争いが避けられないので捲りも決まりやすい
 松戸は全国の競輪場の中でも直線の長さが有数の短さで、カントも333バンクの中では最も浅く、先行有利が基本となっている。
 しかし、基本はあくまでも基本であり、実際のレースが基本どおりになるとはかぎらない。現在の競輪は3分戦、4分戦の細切れ戦が主流なので、先行有利が基本のバンクとなればどうしても先行争いは避けられず、結果的には捲りのほうが有利になってしまうケースが多い。もちろん、打鐘から一本棒の状態のレースならばバンクの特性からいって先手ラインが有利となるが、ビッグレースではそんな単純な展開のレースはめったにお目にかかれない。
 11年5月に松戸で開催されたSSシリーズ風光るでは全34レースのうち先手ラインの選手が1着になったのは半数以下の16回しかなかった。
 ちなみに1着、2着の決まり手を見てみると、1着は逃げが7回、捲りが13回、差しが14回、2着は逃げが4回、捲りが7回、差しが5回、マークが18回となっている。やはり捲りがよく決まっている。そのほかの目立つ特徴といえば差しの出現率が低く、2着はマークが多いことだろう。
 直線が短いのでどうしても追い込み選手よりも自力選手のほうが有利だし、ラインの選手同士で決まるスジ決着の出現率も高い。SSシリーズ風光るでは前レースのうち22回と、半数以上がスジ決着になっている。
 短走路でのレースの場合、先手ラインの番手の位置が狙われやすいのも、追い込み選手にとっては不利なポイントのひとつになっている。勝負どころで叩かれた自力選手が短走路の場合は引くに引けずに、番手のインで粘るケースが多いからだ。
 また短走路でよく見られるのは、先行争いで一気にカマした自力選手の後ろが離れてしまい、番手に別線の自力選手がハマってしまうケースだ。
 短走路の場合はどうしても自力選手の仕掛けが早くなり、展開も目まぐるしく変わるので追い込み選手は追走が難しく、SSシリーズ風光るでは自力選手同士の決着の出現率も高かった。


 周長は333m、最大カントは29度44分42秒、見なし直線距離は38.2m。バンク全周が透明のポリカボネート板とスタンドに囲まれているためバンク内には風の逃げ道がなく、風向きによってはバンク内で風が渦巻くことがあり、バンクの周りがどこも向かい風ということもある。競りはイン有利が基本だが、風の強くなるとインが急に重くなるのでアウトも互角に戦える。最高上がりタイムは08年8月に中村浩士がマークした09秒0。
松戸バンク
松戸バンク