次代を担う若手レーサーの登竜門、ヤンググランプリ2015が京王閣競輪場に於けるKEIRINグランプリシリーズの2日目11Rに実施される。今年は近畿が3人、中部が2人に関東、南関東、四国、九州がそれぞれ1人ずつと混戦必至の組み合わせとなった。実績上位は唯一のS級1班でビッグレースでも活躍している福井の野原雅也だが、唯一S級での優勝経験がある岐阜の川口聖二や、105期から出場の渡邉雄太と野口大誠の大駆けも侮れない。
◆野原雅也 福井 103期
野原雅也は昨年に続いてのヤンググランプリ出場だ。昨年は近畿ラインの先頭で果敢に主導権を取りにいったが、他地区の選手に番手に入られてしまい9着に終わっている。今年も栗山俊介と元砂勇雪の奈良コンビとの連係があるかどうかは未定だが、7月の地元・福井記念では3勝を挙げるなど格上位は明らかだ。昨年3月に開催された103期のルーキーチャンピオンレースでは3番手からの捲りで2着に4車身差をつけて圧勝しており、今年のヤンググランプリでも仮に単騎の競走になったとしても実力発揮の破壊力を見せつけてくれるだろう。
◆栗山俊介 奈良 103期
栗山俊介は昨年のヤンググランプリでは野原雅也-三谷竜生の3番手からの競走で3着と健闘している。しかし、今年は同県の元砂勇雪との連係はほぼ確実だが、野原雅也との連係は微妙だ。103期のルーキーチャンピオンレースでは野原とは別線で元砂を連れて果敢に主導権を取りにいっており、今回も自力勝負がありそうだ。恵まれた体格から繰り出される先行・捲りはダイナミックで、8月の京王閣FI決勝ではシェーン・パーキンスとの捲り合戦となり、結果は2着になったものの上がりタイムは11秒0の好タイムをマークしている。
◆川口聖二 岐阜 103期
10月末現在、今年のヤンググランプリの出場選手の中で唯一S級での優勝経験があるのが岐阜の川口聖二だ。9月の函館FIでは予選、準決を逃げ切りの2連勝で勝ち上がり、決勝は馬場和広に突っ張られて主導権は取れなかったが、馬場の後ろで粘って番手を奪い取り、最終2角から番手捲りを打ってうれしいS級初優勝を飾っている。基本は先行主体の競走だが、展開によっては位置取りも器用にこなせるのが川口の魅力だ。ヤンググランプリではここ3年間中部勢の優勝が続いており、今年も中部勢の一発に大きな期待がかかる。
◆日野博幸 愛媛 103期
日野博幸は四国アイランドリーグの愛媛マンダリンパイレーツでプロ野球選手として活躍していた実績のある選手だ。同リーグから競輪界に転身した選手には99期の小松崎大地がおり、日野も小松崎に続けとばかりに日々奮闘している。自力選手の手薄な四国の選手だけにラインができれば行きっぷりのいい先行を見せるが、自在性も持ち合わせていて捲りでの1着も多い。昨年地元の松山で開催されたルーキーチャンピオンレースでは野原雅也にジカ付けしており、今年のヤンググランプリでも九州の野口大誠との連係が十分に考えられる。
◆谷口遼平 三重 103期
谷口遼平は高校時代から自転車競技で活躍しており、12年2月のアジア選手権ではジュニアのスプリントとケイリンで優勝の実績がある。今年は全プロのチームスプリントで優勝して寬仁親王牌に出場、成績は8着・8着・8着・9着に終わったが、3日目選抜では単騎戦から大ガマシを打ち、4日目選抜では中部ラインを引き連れての主導権取りと大舞台で見せ場をつくっている。中部同士の川口聖二との連係はどうなるかわからないが、昨年のルーキーチャンピオンレースでは谷口が前で戦い、最後は捲り追い込みで3着に入っている。
◆渡邊雄太 静岡 105期
渡邊雄太は叔父の渡邉晴智に影響を受けて自転車競技を始め、高校時代には国体のスプリントで優勝の実績がある。昨年5月にデビュー後も得意のダッシュ力を活かした先行・捲りで活躍、昨年9月にA級2班に特別昇班、今年6月の川崎で3場所連続の完全優勝を達成して105期生では初のS級特別昇級を決めている。S級戦でも徹底先行を基本に奮闘しており、7月の平塚FI、8月の高松FI、9月の伊東温泉FIで決勝3着と好走、ヤンググランプリでも前へ前への積極的な走りで勝機を掴んでくるだろう。
◆元砂勇雪 奈良 103期
元砂勇雪は小学校時代からトライアスロンや自転車競技を始め、高校時代にはインターハイの4キロメートル速度競走で3年連続優勝の偉業を達成しており、競輪選手としては小柄なほうだが、中長距離で鍛えてきた走りはパワフルだ。今年1月にS級に昇進してからは苦戦が続いていたが、8月の別府FIで2連勝の勝ち上がりで初の決勝進出を決めると、9月の平塚FIで決勝7着、10月の奈良FIで決勝9着と調子を上げてきており、ヤンググランプリでも練習仲間の栗山俊介との連係から好走が期待できるだろう。
◆杉森輝大 茨城 103期
杉森輝大はスピードスケート出身で、06年のトリノ五輪、10年のバンクーバー五輪に出場、92期の牛山貴広や101期の小原唯志とともに世界の舞台で活躍した。競輪学校時代にはゴールデンキャップを獲得と潜在的に高い能力を秘めており、今年1月にS級に昇進してからも先行主体の競走で善戦している。9月の青森記念では4回目の記念出場で初めて準決に進出、惜しくも4着に敗れて決勝進出はならなかったが、その後も10月の平塚FIで決勝3着、函館FIで決勝5着と好成績が続いており、いよいよ本格化の兆しが見えてきている。
◆野口大誠 熊本 105期
野口大誠は105期の在校順位1位だ。S級昇進は渡邊雄太に先を越されてしまったが、6月・取手のレイボーカップA級ファイナルで2着に入りS級特進を決めると、S級初出走となった平塚FIでいきなりの決勝進出を果たし、続く6月の別府記念や10月の熊本記念でも新人らしい積極的な仕掛けで好走している。4月・西武園でのルーキーチャンピオンレースでは大本命に推されながらも渡邊雄太に主導権を奪われて7着と惨敗しており、再びライバル・渡邊雄太との対戦となるヤンググランプリでは汚名返上の走りを見せてくれるだろう。