レース展望

レース直前展望
 2015年の大一番のシリーズが近づいてきました。2015年の頂点に立つ競輪選手は誰なのか?ワクワクしますね!その気になる選手からピックアップしていきましょう!
平原康多選手
 かなり意外だったのが、並びです。誰しもが、平原が関東の一番前であると思われたのではないかと思います。しかし、前夜祭の記者会見では、武田豊樹が関東の一番前で、平原が番手。これをどのように考えるかだと思います。果たして武田の先行はあるのか? の一点に絞られてくるでしょう。
 平原のポジションは番手、しかもきっちり番手の仕事をこなすタイプなので、武田が主導権を取っていく展開になれば関東の上位独占もあるのではと考えられます。
新田祐大選手
 新田は山崎芳仁の前で走ると記者会見で述べていました。普通に考えてもその通りなのですが、気になるのはどのような戦法を流れの中から選択していくのかです。レースを見ていると、新田のダッシュにきっちり付いていける選手は少なく、だいたい新田が踏み出すと後ろの選手は、離れ気味になるのでこの辺りを山崎がどのように克服してくるかがポイントでしょう。また、新田が積極的に動けるかどうかも一つの考えどころ。早めに動けば、北のワンツーがありそうです。
稲垣裕之選手
 近畿の大将・村上義弘を後ろにつけてどうするのか? 積極的な先行策は無いと踏みたいですけど、スローな流れになれば、先行策もあるでしょう。難しいのは、今回のグランプリは積極的に動く選手がいないこと。中団から早めの捲りを皆が考えると思いますが、これは動く選手がいると想定して。スローになって、武田が先行する展開になると番手の平原が捌くので、これは後ろに置きたいが、新田が積極的に動くタイプではないので、稲垣のポジション取りが難しくなりそう。押し出される形で稲垣が先行した時に残れるかどうかではないかと感じます。
 今年も終わります。しかし、来年もやってきます。良いレースを観て来年もハッピーに競輪をやってまいりましょう!
2015年の競輪界を締めくくる頂上決戦
 今年のベストナインによる年末恒例の大一番、KEIRINグランプリ2015が12月30日に京王閣競輪場でいよいよ決戦の時を迎える。武田豊樹と平原康多に神山雄一郎が加わる関東トリオが強力だが、新田祐大と山崎芳仁の福島コンビ、村上義弘と稲垣裕之の京都コンビの巻き返しや、勝負強い浅井康太と園田匠の一発も侮れない。
◆新田祐大 福島 90期
   ―圧倒的なスピードで突っ走る―
新田祐大選手
 新田祐大は昨年は次点でグランプリ出場権をのがして悔し涙を飲んだが、今年は大きな飛躍を遂げて決戦の場に戻ってきた。3月の日本選手権で4日制以上のGI初優勝を飾ると、その後も圧倒的なスピードでライバルたちを蹴散らしてダービー王の名にふさわしい活躍を見せ、9月のオールスターでも後続をぶっちぎる捲りで2つ目のタイトルを手にした。グランプリでも今年一番の勢いとスピードで初優勝へ向かって突っ走っていく。
◆武田豊樹 茨城 88期
   ―最強の関東ラインから連覇に挑む―
武田豊樹選手
 武田豊樹は昨年のグランプリ覇者だ。今年1年間、白のチャンピオンユニフォームで戦ってきた武田は6月の高松宮記念杯を優勝、その後はやや調子を落として9月のオールスターでは優出を逃したりもしたが、直前の競輪祭では再び盟友・平原康多とのタッグから今年2つ目のタイトルを手にした。昨年と同様に今年も平原康多、神山雄一郎と最強の関東ラインを組めるのがなによりのアドバンテージで、グランプリ連覇の偉業に挑む。
◆山崎芳仁 福島 88期
   ―3年ぶりの出場で初優勝を狙う―
山崎芳仁選手
 競輪界では今年からギア規制が導入されたが、導入後初のGIとなった2月の全日本選抜を優勝したのは大ギアの先駆者の山崎芳仁だった。その後はGIでの優出はなかったが、4月の共同通信社杯、8月のサマーナイトフェスティバルで優出、記念優勝も2回と安定した成績を残してきている。グランプリは3年ぶり7回目の出場となるが、今年は新田祐大という好目標がいるだけに、新田にしっかり食らいついての初優勝が十分に狙える。
◆園田匠 福岡 87期
   ―持ち味の強気の走りで勝機を掴む―
園田匠選手
 6月の寬仁親王牌決勝戦、ゴール前では武田豊樹と神山雄一郎の関東コンビの一騎打ちになるかと思われた瞬間、中バンクを猛然と突っ込んできてGI初優勝を達成したのが園田匠だ。今年は全日本選抜と高松宮記念杯で準決進出と調子がよく、GI決勝の大舞台でも強気の競走スタイルを崩すことなく、見事に大輪の花を咲かせた。初出場となるグランプリでも気持ちで負けることなく、自分の持ち味をフルに発揮して勝機を掴んでくる。
◆神山雄一郎 栃木 61期
   ―悲願の初優勝へ闘志を燃やす―
神山雄一郎選手
 4月の共同通信社杯決勝戦、関東勢からただひとりのファイナリストとなった神山雄一郎は京都勢の3番手から競走を進め、直線鋭く追い込んで優勝を飾った。47歳でのビッグの制覇はもちろん最年長記録であり、まさに輪界のレジェンドと呼ぶにふさわしい偉業だった。その後も寬仁親王牌で決勝3着、オールスターで決勝2着と大活躍、2年連続16回目の出場となるグランプリでは悲願の初優勝へ向けて新たに闘志を燃やす。
◆浅井康太 三重 90期
   ―自在な立ち回りで強さを発揮する―
浅井康太選手
 浅井康太は全日本選抜と日本選手権では決勝3着で表彰台に上がり、記念優勝も4回と今年も安定した成績を積み重ね、直前の競輪祭でも決勝進出を果たして獲得賞金額4位で5年連続5回目のグランプリ出場を決めた。中部勢からはただひとりの出場となった浅井だが、今年は自力勝負はもちろん番手戦でも強い走りを見せてきただけに、グランプリでも好位狙いの自在な立ち回りと持ち味の勝負強さを存分に発揮してくれるだろう。
◆平原康多 埼玉 87期
   ―関東ラインでの上位独占を目指す―
平原康多選手
 平原康多は今年はGI優勝はなかったが、全日本選抜、日本選手権、高松宮記念杯で決勝進出と相変わらずの高いパフォーマンスを演じてきた。7月に練習中に右手首を骨折、寬仁親王牌を欠場してオールスターでも決勝進出を逃したが、競輪祭で完全復活を遂げて高松宮記念杯に続いて再び武田豊樹を優勝へと導いている。グランプリでの前後は未定だが、今年も武田との息の合った連係から関東勢での上位独占を目指してくるだろう。
◆稲垣裕之 京都 86期
   ―強い気持ちで優勝を獲りにいく―
稲垣裕之選手
 今タイトルに最も近い男と言われているのが稲垣裕之だ。残念ながら今年もGI優勝はならなかったが、高松宮記念杯で準優勝、オールスターで決勝3着、共同通信社杯で決勝3着とビッグレースで3度表彰台に上がり、グランプリ初出場を決めている。グランプリでは村上義弘との連係となるが、優勝まであと一歩届かなかった数々の悔しさを晴らすべく、村上譲りの強い気持ちを込めた走りで勝ちに徹していくだろう。
◆村上義弘 京都 73期
   ―京王閣バンクで再び頂点へ―
村上義弘選手
 競輪祭でグランプリ出場の最後の切符を手に入れたのが村上義弘だ。賞金面でボーダーラインに立っていた村上だが、競輪祭決勝では決して安全策を取ることなく、新鋭・竹内雄作にレースをさせない主導権取りで村上らしい走りを貫いた。京王閣は3年前のグランプリを制した相性抜群のバンクであり、今年のグランプリでも己の美学を貫いた走りで見せ場をつくってくれるだろうし、稲垣裕之との連係から一発大逆転が期待できる。
先手ライン有利が基本のバンク
カントが緩く、捲りは3角で外に膨れやすい
 直線の長さは標準的な400バンクで、走路もクセがなくて走りやすいが、カントが若干緩く、捲りは3角で外に膨れやすい。また、多摩川が近くてグランプリが開催される冬場はバンクがやや重くなるので、自力選手にとっては仕掛けどころの難しいバンクとなっている。
 09年に京王閣で開催されたグランプリは平原康多-武田豊樹-神山雄一郎の関東ラインが主導権を握るも、6番手から捲り追い込んだ単騎の海老根恵太が優勝、12年のグランプリは雨中決戦となり、主導権を握った深谷知広は8着に沈み、好位奪取の3番手から捲ったやはり単騎の村上義弘が優勝、武田豊樹や山崎芳仁の後方からの巻き返しは不発に終わっている。
 ちなみに12年のグランプリシリーズの決まり手を見てみると、全33レースのうち1着は逃げが2回、捲りが13回、差しが18回、2着は逃げが10回、捲りが2回、差しが10回、マークが11回となっている。
 逃げ切りは2回のみだが、逃げ残りの2着が10回と多く、京王閣バンクは基本的には先手ラインが有利となっている。捲りの1着が13回と多いが、このほとんどは4、5番手の好位置からの仕掛けで、カントが緩いために7、8番手からの仕掛けではよほどの力の差がないと決まらない。
 直線はとくに伸びるコースはないので、差しの1着もほとんどが先手ラインからの抜け出しで、京王閣バンクでは後手を踏まされると巻き返しは難しい。ただ、力のある選手なら、3、4番手でも直線での逆転も可能で、中割りやインを突いての抜け出しもそこそこ決まっている。

周長は400m、最大カントは32度10分34秒、見なし直線距離は51.5m。バックスタンド裏が道路を挟んで多摩川の河川敷のため、冬場は2角から4角にかけて川風が吹き込んでバック追い風の日が多い。またホーム側のメインスタンドの影響で1角付近が向かい風となり、風のある日は1角から2角にかけてバンクが重くなる。
京王閣競輪場
京王閣競輪場
武田豊樹が番手捲りで初優勝
KEIRINグランプリ2014ゴール
KEIRINグランプリ2014ゴール

KEIRINグランプリ2014を優勝した武田豊樹
KEIRINグランプリ2014を優勝した武田豊樹

 深谷知広-浅井康太、村上義弘-村上博幸-稲川翔、平原康多-武田豊樹-神山雄一郎、岩津祐介の並びで周回を重ねる。青板の2センターから平原が上昇すると、村上が合わせて出て突っ張る構えを見せる。平原は一旦は中団に引くが、打鐘から一気に叩いて先頭に立ち、これを追って深谷も仕掛けてくる。先行態勢に入って最終ホームを通過した平原に深谷が迫ってくるが、武田のブロックを受けて深谷は飛んでしまう。すると村上がインをすくって神山をどかし、関東ラインの3番手に入る。最終バックにかかると武田は躊躇なく番手を捲りを打ち、見る見るうちに後続を引き離して先頭でゴール、2着には直線で追い込んだ村上博幸が入り、村上義弘が3着。