レース展望

レース直前展望
 3月8日からスタートする第69回日本選手権競輪(GI)は最高峰のGIです。そのGIを制するのはどの選手なのか?皆様、メンバーを事前にチェックして、楽しんでください!
 直前の調子が、結構成績に左右します!
 自分だけの選手を見つけるのも競輪の楽しみの一つです。
 今回ピックアップした選手は直前で気になった選手たちです。名古屋ダービーを楽しみましょう!
浅井康太選手
 今、総合力で一番強いと考えられるのが、浅井康太でしょう。奈良GIIIの決勝での競走内容は、浅井の自力での競走も強い!というところを見せつけた内容でした。最近は、番手の競走が多い浅井ですが、番手の時は前次第のところもあり、前の選手の出来次第で着位が変わりますが、自力の時の信用度は非常に高いと思います。当然、名古屋ダービーも、番手の番組が多いと思いますが、自力の時の浅井は強いという事を覚えておいて損はないと思います。
早坂秀悟選手
 全日本選抜競輪では初日、二日目と大敗していましたが、名古屋ダービー直前の静岡GIIIは、準決勝まではいい感じに踏めていたと感じました。その決勝は前に踏むタイミングを逃し捲り追い込んで4着に終わりましたが、出来自体は良いでしょう。名古屋ダービーでは、番組次第ですが早めに踏むいつも通りの先行スタイルになると思うので、早坂ラインから是非考えてみたいですね。
松坂洋平選手
 近況を見ていくと成績が良い選手がFIで活躍しているときがあります。よく、FIとGIでは違うと言われますが、FIで活躍していなければ、GIでも活躍できません。その中でも近況が良い選手が松坂洋平です。昨年末の負傷から今年復帰した後の成績が、高松記念でのエボリューションを除いて3場所中2優勝2着1回と非常に良いものです。また、前走から約半月以上空いているので、コンディションも悪いわけがありません。ここは注目してみたい選手であると思います。
諸橋愛選手
 近況気になる選手が、諸橋愛です。全日本選抜競輪での競走は非常に気になりました。特にラインが無い場合でも、位置取りが抜群で、好位置からの差し込む脚は、目を見張るものがありました。追い込み選手なので、基本、先行選手の後ろからのレースになりますが、そうではない場合の時に、特に注目したい選手です。レースを読む力がバツグン。前任せではない分、動きに切れがあって、ゴール前で突っ込んでくるタイプなので組み合わせをしかり見ておきましょう。
 第69回日本選手権競輪が名古屋競輪場で開催される。2月の久留米・全日本選抜競輪では中部勢からの決勝進出はなかったが、今大会は地元戦になるだけにグランプリ覇者の浅井康太や復調著しい深谷知広らを中心とする中部勢の奮起に期待したい。もちろん全日本選抜決勝で上位を独占、GI初優勝を達成した渡邉一成や新田祐大らの北日本勢が勢いに乗ってのGI連覇も十分だ。全日本選抜決勝では最悪の結果に終わってしまった近畿勢の猛反撃や、全日本選抜では低調だった武田豊樹らの関東勢がどこまで巻き返してくるかにも注目が集まる。
悲願達成の渡邉一成が今大会も積極的な走りを見せる
 王者・武田豊樹が復活を目指しての力走を誓う
 2月の久留米・全日本選抜は捲りが決まりにくいというバンクの特性もあってか連日波乱の決着が続き、S級S班からの決勝進出は新田祐大と稲垣裕之の2人だけだった。誰もが冬場の寒さとバンク攻略に苦しんでいる様子で、とくに好調という選手も見当たらなかった。
渡邉一成選手
 ただ、渡邉一成は特選予選が逃げて2着、準決も逃げて2着と勝ち上がり戦での積極的な走りが光っていたし、その走りがGI初優勝へとつながったのはまちがいない。
 もちろん、渡邉の優勝は4車並んだ北日本勢の結束力に負うところが大きいし、ラインの大切さを改めて実感した渡邉はタイトルホルダーとなった今大会でも積極的な走りで北日本勢を引っ張っていくだろう。
 新田祐大も全日本選抜では勝ち星なしに終わったが、調子自体は決して悪くなかった。
 特選予選は絶好と思われる5番手を確保しながら捲れずの6着に敗れているが、1走目で捲りの決まりにくいバンクの特性をしっかり見抜いたのか、二次予選では最終ホームから一気に叩いての主導権取りで3着、準決も脇本雄太の巻き返しに併せての突っ張り先行で3着と、着はよくなかったがレース内容は素晴らしかった。
 決勝もいったんは脇本雄太に主導権取りを許してしまったが、2センターから早めに巻き返しての逆転劇とスピードの違いを見せつけていた。
武田豊樹選手
 S級S班3人を擁する関東勢は当然全日本選抜では優勝候補の一角だったが、平原康多が特選予選で失格、武田豊樹も連日の動きが鈍く、結局関東勢からの決勝進出はなかった。
 平原は失格だったとはいえ、特選予選で後ろぶっちぎって捲ったスピードはよく調子自体は問題なさそうだが、武田の状態に関しては大いに不安の残る結果となってしまった。
 今年1月の和歌山記念での落車や42歳という年齢を考えると、ここが大事な踏ん張りどころとなりそうだ。
 全日本選抜から1カ月足らずの開催となるので完全復活というわけにはいかないだろうが、 根っからのアスリートである武田にはこれまで築き上げてきた貯金が有り余るほどあるので、今大会では必ずや全日本選抜以上の走りを見せてくれるだろう。
浅井康太がグランプリ覇者の名にかけて勝ちに徹する
 深谷知広が相性抜群のバンクで完全復活を目指す
 2月の全日本選抜では中部勢からの決勝進出はなかった。グランプリ覇者の浅井康太は準決敗退、怒涛の記念3連覇で完全復活と思われていた深谷知広がまさかの二次予選敗退、昨年のGI戦線で大活躍の竹内雄作も準決敗退と、1カ月後に地元開催の日本選手権を控えている中部勢にとっては暗雲立ち込める結果となってしまった。さらに6月には高松宮記念杯の開催も名古屋で予定されているだけに、今大会では総力を結集しての巻き返しを図りたいところだろう。
浅井康太選手
 浅井康太は1月の大宮記念が3連勝の勝ち上がりで決勝2着、高松記念も3連勝で決勝4着とグランプリ覇者の貫禄を見せていた。全日本選抜でも特選予選は竹内雄作の逃げに乗って1着、4日目特別優秀では5番手から捲って快勝と引き続き好調を維持している。準決は柴崎淳を目標のレースで、勝負どころで踏んだり休んだりと脚を使いすぎたのが一番の敗因と思われる。だが、今大会は地元戦となるだけに、同じく番手戦のレースとなってもより勝ちに徹した走りで地元ファンの期待に応えてくれるはずだ。
深谷知広選手
 深谷知広は記念3連覇を達成して全日本選抜での完全復活が大いに期待されたが、やはりGI戦は甘くなかった。連日7、8番手の最悪の展開となってしまい、捲り不発で大敗を喫している。体調的にはほぼ戻っていると見ていいが、レースの組み立てには多くの課題が残る4日間だった。ただ、名古屋はカントが立って捲りの決まりやすいバンクだけに、組み立ての甘さはあっても大捲りでの一発が十分にありうる。2年前に名古屋で開催された日本選手権でもしっかり決勝進出しており、相性のいいバンクで今度こその完全復活が期待できるだろう。
 竹内雄作は昨年のオールスターで逃げ切りの3連勝で初のGI決勝進出を果たすと、競輪祭でも決勝進出と大きく成長を遂げた。全日本選抜でも特選予選が逃げて3着、スタールビー賞も逃げて2着と期待どおりの走りを見せていたが、準決では稲垣裕之に主導権を奪われて敗退、大舞台で経験の差がはっきりと出てしまった。しかし、準決での失敗は竹内にとってはいい勉強になったはずで、今大会ではさらに気を引き締めて勝ち上がりを狙ってくるだろう。
リオ五輪出場を目指す脇本雄太がさらなる進化を遂げる
 2月の全日本選抜に続いて今大会も波乱の余地は十分だ
脇本雄太選手
 脇本雄太はリオ五連出場を目指していて多忙な日々を送っているが、全日本選抜では力強い走りで決勝進出を果たしている。とりわけ強さが光っていたのが準決だろう。新田祐大に突っ張られて先行争いに敗れ、それで万事休すかと思われたが、最終2角から再度踏み直し、なおかつ新田とのもがき合いを制して2着に食い込んでいる。新田がロンドン五輪から帰国後に急成長、今や輪界を代表するスピードスターへと変貌を遂げたように、今年の脇本も五輪効果によってさらなる進化が期待できる。決勝も新田に叩かれて主導権を取れずに終わっているだけに、今大会ではますます磨きのかかってきた先行力で逃げまくってくれるだろう。
 2月の全日本選抜は25年ぶりの久留米でのGI開催だったが、残念ながら地元・九州勢からの決勝進出はなかった。九州の主力選手たちは二次予選で早々と脱落していくという地元ファンにとっては寂しい状況だったが、なんとか踏ん張って準決まで勝ち上がったのは園田匠と中川誠一郎の2人だった。
園田匠選手
 園田匠は昨年の寬仁親王牌でGI初優勝を達成、九州勢では唯一人のS級S班としての参戦だっただけに、準決進出はまずまずの合格点と言ってもいいだろう。二次予選では深谷知広が目標のレースで、深谷が仕掛けきれずに園田は最終4角では5番手と苦しい展開だったが、そこから気迫溢れる直線勝負で3着に食い込んでいる。今大会も機動力の面で決して楽な展開は期待できないが、S級S班の名に恥じない気持ちの入った走りで活路を見出してくるだろう。
 中川誠一郎も二次予選の走りがよかった。服部克久を目標の組み立てだったが、服部が吉澤純平に叩かれて後退すると、中川は自力に転じて4番手から捲り発進、吉澤の番手から抜け出した武田豊樹をあっさり交わして1着でゴールインしている。ともにロンドン五輪に出場した新田祐大に続いて渡邉一成もタイトルホルダーの仲間入りを果たしただけに、中川にももうひと頑張りを期待したい。
原田研太朗選手
 原田研太朗は全日本選抜の準決では勝負どころで内に詰まってしまい、仕掛け遅れて9着と敗れているが、4日目特選では6番手から捲って1着と引き続き好調をキープしている。原田は、昨年は3月の日本選手権でGI初優出を果たすと、4月の共同通信社杯、8月のサマーナイトフェスティバルでも決勝進出、トップクラスの選手と比べても決して遜色のない捲りのスピードで一躍スター選手の仲間入りを果たした。今年1月の立川記念では平原康多、新田祐大、脇本雄太らの強豪相手に8番手からの大捲りで優勝しており、今大会も必殺の捲りで2年連続の決勝進出を狙う。
近藤隆司選手
 近藤隆司が全日本選抜で初のGI決勝進出を決めた。4回目のGI出場での快挙であり、昨年は48勝とS級最多の勝ち星を挙げた脚はダテではなかったことを見事に証明してみせた。準決は新田祐大、脇本雄太、原田研太朗と強敵ぞろいだったが、単騎の最後方から奇襲のカマシを打ち、2角では先行する新田を捕らえるとそのまま後続を突き放して先頭でゴール線を駆け抜けた。さすがに初のGI決勝では脚力不足で見せ場なく終わったが、全日本選抜では主力選手たちがいまいちピリッとせず波乱続きの4日間だっただけに、今大会でも勝ち上がり戦で近藤のような大金星を挙げる選手がきっと出てくるだろう。
日本選手権競輪の思い出 ―第63回日本選手権競輪 村上博幸―
兄・義弘の逃げをゴール前で差し切って弟・博幸がGI初優勝
 第63回日本選手権決勝では村上義弘と村上博幸の兄弟連係が実現、兄・義弘の先行に乗った弟・博幸がGI初制覇を達成するとともに、GI最高峰の日本選手権で兄弟ワンツーの偉業を成し遂げた。レースは山崎芳仁―伏見俊昭―松坂英司、村上義弘―村上博幸―加藤慎平―山口幸二、坂本亮馬―井上昌己の並びで周回。青板から坂本がゆっくり上昇、村上がこれを追い、坂本は赤板手前で誘導を交わしてペースを緩め、引くに引けなくなった山崎は3番手の村上の内で粘る形となる。そのままスローペースが続いたが、打鐘とともに村上が一気に坂本を叩いて主導権を奪い、坂本が5番手、山崎は7番手となる。逃げる村上の掛かりがよく、坂本、山崎ともに前との車間が空いた一本棒の状態が最終バックまで続く。坂本、山崎は3角過ぎから捲り上げるが車が伸びず、兄・義弘をゴール前で差し切った弟・博幸がGI初優勝、2着に義弘、内を突いた山口幸二が3着。
 
バンクの特徴 ―名古屋競輪場―
走りやすくてスピードの出やすい高速バンク
選手の調子の良しあしが素直に結果につながる
 名古屋は走りやすさとスピードの出やすさを求めて設計されたバンクで、選手間でも日本一走りやすいバンクとの評判が高かったが、17年のオールスター競輪開催の前の全面改修によって走りやすさにますます磨きがかかり、どんな戦法の選手でも力を発揮できる高速バンクとなっている。
 カントは34度とややきつめだが、コーナーが流れるので自力選手にも追い込み選手にも走りやすく、全国からトップレーサーが集うビッグレースではやはり捲りの決着率が若干高くなっている。
 14年に開催された第67回日本選手権競輪の1着、2着の決まり手を見てみると、全66レースのうち1着は逃げが9回、捲りが21回、差しが36回、2着は逃げが12回、捲りが17回、差しが18回、マークが19回となっている。
 ほぼ半数以上のレースで捲りが連絡みをしており、本当に面白いように捲りが決まっている。2月の久留米の全日本選抜では逃げのラインが圧倒的に有利で捲り不発のレースが多かったが、今大会では選手も車券を狙うファンもガラリと考え方を変える必要があるだろう。8番手からの捲りもよく決まっており、逃げたラインの選手が1着になったのは28回にとどまっている。
 ちなみに5日目の9Rに実施されたガールズケイリンコレクションでは2番手から捲った加瀬加奈子を5番手から捲り追い込んだ石井寛子が大外から差し切って優勝している。
 名古屋はスピードの出やすい高速バンクなので、レースの流れは自然とハイピッチとなる。そのハイピッチの流れについていけないと、勝ち目はなく、選手の調子の良しあしが素直に結果に現れるバンクといえる。
 直線はハイピッチの流れのままのスピード勝負になるので、道中で牽制や競りなどの横の動きで脚力をロスしていると勝機は薄くなる。
 直線ではとくに伸びるコースではないので、後方で脚をためての一発狙いもあまり有効ではない。とにかくハイピッチの流れにのって、前へ前へと踏んでいかないと、後方に取り残されたままになってしまう危険性が高い。

周長は400m、最大カントは34度01分47秒、見なし直線距離は58.8m。高速バンクでスピードのある自力選手が有利だが、走路はクセがなく走りやすいので追い込み型も余裕を持って追走していける。冬季はホーム向かい風、バックが追い風になることが多く、先行選手にやや有利となる。