レース直前展望
3月の第69回日本選手権に続き、被災地支援競輪第67回高松宮記念杯が名古屋競輪場で開催されますね。地元の愛知勢を始め、中部の選手は相当気合をいれてこのタイトルを獲りに来るのではないかと思います。
「雨の宮杯」と言われている高松宮記念杯ですが、選手たちの熱闘で梅雨空を吹き飛ばして欲しいですね!
このところ、少し成績が下降気味ではありますが、やはり外せないのが浅井康太でしょう。いま中部の番手で一番仕事ができる選手であることは違いないし、先行選手にも信頼が厚く、浅井が付くのであれば、当然、前の選手も頑張るし、更にいざとなれば自分でも動けるのが魅力です。半面、前の選手を庇いすぎるのもありますが、ここは切り抜けてくるでしょう。
好調です。そして、グランプリも見えてきた今年。ある意味この大会がターニングポイントになるかも知れません。今大会、決勝に進出し、いい着順に絡んでくると大きくGP出場に迫ってきます。地元の利を活かせるかどうか?特に、番組の組み合わせがポイントとなってきそうですが、どのようになっても非常に期待して注目したい選手です。
107期でGI一番乗りを果たしましたね!とにかく強い!そして、今回の大会はその強さがどこまで通用するのか、しっかり見せてくれるでしょう。深谷知広のような衝撃的なGIデビューを果たしてくるのか?とても気なる選手です。今大会一番の注目でもあると思います。まだS級2班なので、予選スタートですが、とにかく注目してください!
安定して非常に強いですね。しっかりとしたトレーニングに裏付けされている強さだと思います。Tokyo2020を目指し競技にも力をいれて、6月始めのタイワントラックカップでは、出場した種目全て優勝しています。このパワーをどこまで爆発できるのか?気になります。とにかく捲った時のスピードが違います。このスピードを今回も見せてくれると思います。
第67回高松宮記念杯が名古屋競輪場で開催される。今年のGI戦線はS級S班を始めとするトップレーサーたちがやや乱調気味で今大会も戦国ムード満点のシリーズとなりそうだが、完全復活目前の深谷知広や浅井康太らの地元・中部勢を中心に推したい。もちろん名古屋バンクとの相性が抜群の村上義弘率いる近畿勢や快速・新田祐大らの猛反撃も必至で、武田豊樹率いる関東勢の巻き返しにも注目が集まるが、3月・全日本選抜の渡邉一成、5月・日本選手権の中川誠一郎に続く新たなタイトルホルダーの誕生にも期待が高まる。
先行力の戻った深谷知広が地元戦で完全復活を目指す
浅井康太が3月・日本選手権のリベンジを果たす
今年のGI戦線も今大会で折り返し点を迎えることになるが、前半のGI戦線をふりかえってみるとS級S班を始めとする上位陣の成績が安定せず、波乱模様の戦いが続いている。
2月・全日本選抜で決勝進出を果たしたS級S班は2人だけ、3月・日本選手権も2人だけ、5月・日本選手権は1人だけと、まさに現在の競輪界は戦国時代に突入してしまったという印象が強い。
この乱世ムードは後半戦も続いていくのか、それとも上位陣の巻き返しがあるのか、後半戦の競輪界の流れを占う意味でも今大会は大注目のシリーズとなるだろう。
そんな乱世を自慢の豪脚で駆け抜けて完全復活を目指すのが地元の深谷知広だ。深谷は2月・全日本選抜こそは二次予選で敗れたが、3月・日本選手権では準決で逃げて金子貴志とワンツーを決めて決勝進出、5月・日本選手権も準決で逃げて近藤龍徳とワンツーを決めて決勝進出と先行力は完全に戻っている。捲りに回されたときの巻き返しにはまだ少々の不安があるが、今大会も先行主体の攻めの走りで勝ち上がり、地元戦で7着に敗れた3月・日本選手権のリベンジを果たすだろう。
浅井康太も並々ならぬ気持ちを込めて今大会に臨んでくる。同じく名古屋で開催された3月・日本選手権では準決で痛恨の失格、図らずも地元ファンを裏切る形になってしまっただけに、リベンジを誓う気持ちは誰よりも強いはずだ。浅井は2月・全日本選抜では準決敗退、5月・日本選手権ではまさかの二次予選敗退と今年はまだ決勝進出を果たせていないが、決して調子は悪くなく、5月・平塚記念の決勝では吉田敏洋の先行を目標に新田祐大、稲垣裕之らを破って優勝している。
名古屋がホームバンクの吉田敏洋が近況絶好調だ。5月・日本選手権の準決では目標の竹内雄作が不発の展開から直線鋭く伸びて3着に入り決勝進出、決勝も目標の深谷知広が不発に終わる展開だったが、自力に切り替えて2着に突っ込んでいる。優勝した中川誠一郎と吉田は同期で同年齢だ。それだけに同期のGI初優勝を称える気持ちと同様に悔しさも人一倍大きかったことは想像に難くなく、今度は俺がという気持ちで地元優勝を狙ってくる。
抜群の安定感とスピードで新田祐大が勝ち上がる
村上義弘が相性抜群の名古屋バンクで追い風に乗る
新田祐大は3大会連続で決勝進出と、今年のGI戦線での安定感は抜群だ。2月・全日本選抜の準決は最終ホームから先行して3着、3月・日本選手権の準決は6番手から捲って1着、5月・日本選手権の準決は3番手から捲って1着と勝ち上がりはまったく危なげない。5月・日本選手権の決勝では結果は6着に終わったが、深谷知広を突っ張りに突っ張っての主導権取りと闘争心むき出しの走りを見せており、今大会も名古屋の高速バンクを舞台に自慢のスピードを爆発させ、ファンを熱狂させてやまない最高のパフォーマンスを見せてくれるだろう。
村上義弘は名古屋バンクとの相性が抜群だ。11年、14年、そして今年と、名古屋で開催された日本選手権を3連覇している。11年の決勝は目標の市田佳寿浩が落車するアクシデントに見舞われたが、冷静に自力に切り替えての捲りで優勝、14年は稲垣裕之の先行に乗って優勝、今年は三谷竜生の先行に乗って番手捲りを打った川村晃司をゴール前で捉えて優勝と近畿の絆の強さを改めて見せつけた。こうなると、名古屋GIの4連覇という偉業達成への期待が高まるのは当然のことだ。三谷竜生、川村晃司の2人は引き続き好調を維持しているし、弟の村上博幸も近況復調して勝ち星を量産と援軍もしっかりしており、名古屋バンクで再び村上義弘に強力な追い風が吹きそうだ。
三谷竜生が乗りに乗っている。村上義弘の優勝の立役者となった3月・日本選手権直後のいわき平FIで完全優勝、次場所の小田原FI、5月の函館FIも優勝と勢いが止まらない。5月・日本選手権は二次予選で逃げて3着と惜しくも勝ち上がりは逃したが、一次予選は7番手からの捲りで村上博幸と1着同着のワンツー、6日目特選は逃げ切りで川村晃司とワンツーを決めている。
川村晃司は3月・日本選手権が3度目のGI決勝だった。決勝は村上義弘に交されて準優勝だったが、奇しくも中川誠一郎や吉田敏洋と同期の85期だ。歳は中川や吉田よりも少し上だが、競輪選手として最高の充実期を迎えていると言っていいだろう。5月・日本選手権は二次予選で敗れたが、一次予選と6日目特選で2着と好調で、今大会でも活躍が期待できる。
吉田拓矢と吉澤純平の2人が関東勢復活の起爆剤となる
上昇一途の原田研太朗が今大会もパワーを見せつける
王者・武田豊樹が苦しんでいる。1月・和歌山記念での落車の影響が長く尾を引いてしまったのか、2月・全日本選抜と3月・日本選手権はまさかの二次予選敗退、5月・日本選手権も準決で敗れている。それでも3月末までは未勝利だった武田だが、4月の温かい風が吹き始めた頃から徐々にではあるが復調の兆しが見えてきている。4月・高知記念の準決では4番手を取ってから捲りで今年初勝利、5月・平塚記念の二次予選では横山尚則の先行に乗って1着、4日目特別優秀では木暮安由の先行を目標に番手捲りを打って1着と着実に勝ち星を挙げている。選手にとっては勝ち星がなによりの良薬であり、今大会までにはさらなる上積みが期待できるはずだ。
武田豊樹を始めとする関東勢にとってなによりも頼もしいのは、107期のスーパールーキー・吉田拓矢がいよいよGI戦に初参加してくることだ。吉田は昨年10月にS級2班に特昇、今年1月の静岡FIでS級初優勝を飾ると、4月末までにすでに5回の優勝を重ねている。2月の小倉FIは逃げ切りの3連勝、4月の富山FIも逃げ切りの3連勝と、確かにGI戦と比べれば対戦相手は格下だが、有無を言わさぬ先行勝負で圧勝しているのだからその強さは本物だ。同じく茨城の吉澤純平がGI戦で期待どおりの活躍を見せているだけに、吉田と吉澤の2人が関東勢復活の起爆剤となってくれるだろう。
原田研太朗が上昇一途だ。今年はまだGIでの決勝進出はないが、1月の立川記念では平原康多、新田祐大、脇本雄太らの錚々たるメンバーを相手にうれしい記念初優勝を達成、相変わらずの大物喰いぶりを遺憾なく発揮している。3月・日本選手権では準決で惜しくも4着と敗れたが、特選予選では打鐘から思い切っての先行策に出て最後は新田祐大の捲りに屈したが、ゴール前ではしっかりと踏み直して2着に粘り込んでおり名古屋バンクとの相性もいい。5月・日本選手権も準決で敗れているが、ゴールデンレーサー賞では平原康多を追う形で4番手を奪取し、平原の2角捲りをズブリと差し切っての技ありの1勝を挙げている。
近藤隆司にも勢いがある。2月・全日本選抜でGI初優出を決めた近藤は3月・日本選手権でも残念ながら決勝進出はならなかったが、しっかりと準決まで勝ち上がっている。5月・日本選手権も準決で敗れているが、一次予選は堂々の逃げ切り、二次予選は最終ホーム9番手の絶体絶命の展開となってしまったが、吉澤淳平―武田豊樹の茨城2段駆けを大外からの捲り追い込みで捉えて1着、準決では打鐘先行で7着と力尽きたが地元・渡邉晴智の決勝進出に貢献と男気を見せている。次場所の平塚記念でも準優勝と好調をキープしており、今大会でも南関東勢の躍進に一役買ってくれるだろう。
九州勢では吉本卓仁の一発に期待したい。3月・日本選手権では準決で敗れているが、一次予選では7番手からの捲り追い込みで大外を強襲して1着、二次予選は巧みに3番手を奪取して捲り、園田匠と九州ワンツーを決めており、やはり高速バンクの名古屋とは相性がいい。5月・日本選手権では二次予選で敗れているが、一次予選は捲って2着、5日目特選は3着と体調面は大丈夫だ。同じ九州の中川誠一郎がGI初優勝を決めているだけに、吉本も新たな闘士を奮い立たせて今大会に臨んでくるだろう。
2010年 第61回大会 平原康多
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関東勢5人の結束で平原康多が高松宮記念杯を連覇
平原康多は第60回大会で武田豊樹―平原康多の並びからGI初制覇を飾ったが、第61回大会決勝でも関東勢5人が結束、再び平原が武田の番手から高松宮記念杯連覇を達成した。レースは新田祐大―渡邉一成―渡邉晴智、山口幸二、武田豊樹―平原康多―神山雄一郎―兵藤一也―諸橋愛の並びで周回。赤板ホーム手前から山口が渡邉一成のアウトに追い上げて番手勝負に出る。新田は打鐘ともに誘導との車間を空けて、内、外を見ながらペースを緩めて仕掛けのタイミングを伺う。すると3角から武田が上昇、新田も中バンクに上がって突っ張り、最終ホーム手前から両者のもがき合いとなる。新田後位は山口が取り切るが、先行争いの末に武田が新田の番手に入り、山口が3番手、平原が4番手となる。8番手まで引いた渡邉一成が2角から捲り返すと、合わせて平原が3角からスパート、前団を一気に飲み込んで先頭でゴールイン、追走の神山が2着、兵藤が3着。
第61回高松宮記念杯競輪 表彰
ゴール
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走りやすくて捲りがよく決まる高速バンク
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選手の調子、脚力が素直に結果に反映される
名古屋競輪場では3月に日本選手権が開催されている。決勝戦に進出したS級S班は村上義弘と新田祐大の2人だけと、勝ち上がり戦は波乱のレースが多かった。
走りやすさとスピードの出やすさを追求して設計された名古屋バンクは選手にも日本一走りやすいと評判が高く、どんな戦法の選手でも力を発揮できる高速バンクである。
それはつまり、裏を返せば、ごまかしが利かないバンクということだ。
走路はクセがなく、直線もとく伸びるコースはないので、どんなに展開がはまっても、体調と脚力が良好でなければ、最後のゴール前勝負で勝ち切ることはできない。バンクの特性に助けられての恵まれの一発も期待できない。
日本選手権の勝ち上がり戦で波乱のレースが多かったのは、優勝候補と目されていた選手たちの調子や脚力が万全の状態ではなかったからにほかならないのである。
今大会もネームバリューや実績に惑わされることなく、体調や脚力の状態をしっかり見極めていくことが大切だ。
さて、3月の日本選手権の決まり手を見てみると、全66レース(5日目9Rのガールズケイリンコレクションを除く)のうち1着は逃げが4回、捲りが24回、差しが38回、2着は逃げが15回、捲りが10回、差しが14回、マークが27回となっている。
さすがに高速バンクだけあって捲りがよくきまっている。捲りは2角から仕掛けて3角までに捲り切るのが理想のパターンだが、名古屋バンクでは3角過ぎからの仕掛けでも大外を強襲できるし、力さえあれば7、8番手からの仕掛けでも十分に届く。捲りの選手にとっては仕掛けどころの多いバンクとなっている。
反面、逃げはやや苦しく、先手ラインの選手が1着を取ったレースは25回しかない。それでも、逃げ粘りの2着が15回とまずまずの数字なので、勝ち上がり戦では積極的に主導権を奪っていくのもありだろう。
直線ではとくに伸びるコースはないので、ラインの選手同士によるスジ決着の出現率が高い。
周長は400m、最大カントは34度01分47秒、見なし直線距離は58.8m。直線はとくに伸びるコースはないので展開的には先手ラインの選手が有利となるが、ゴール前では選手が殺到して横に広がりやすく、中のコースがぽっかり空いて、後方で脚を澑めていた選手が中のコースをするすると伸びてきて波乱の決着となるケースがよく見られる。逆に直線に入ってから内へ突っ込んだり、外のコースを狙っていってもあまり伸びない。
名古屋バンク
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