レース展望

レース直前展望
暑いですね! 今年もサマーナイトフェスティバルの季節となってまいりました。今年は川崎競輪場で行われます。本場に行かれる方は、アフター競輪も楽しみですよね。今年も目一杯楽しみましょう!
新田祐大選手
なんと言いますか、「強い」しか出てきませんね。とにかく連対してくれるのでなんとか、ひねって外して車券を考えても車券を外すことになってしまうのでしっかり本命サイドを買うのが得策だと思います。3連対率は73%!ですからね。番組の組み合わせ次第では、新田から全く違うラインを考えるのも一考だと思います。
吉澤純平選手
今注目は吉澤純平です。しれっと強い!なかなか成績がまとまってはきていないけれども、外すわけにはいかない選手となってきました。特にここぞとばかりに走るときは、ラインの後ろの選手からしっかり狙えるのがいいですね。
吉田敏洋選手
注目したいのがこの人です!一戦一戦が年末の大一番に向かって非常に大事になってきました。自分で動いても強いし、中部の厚い先行陣と組み合わされば、番手からの勝負となるのでやはり外すわけにはいきません。特に直前の小松島記念での調子を見て、そこからサマーナイトフェスティバルでの調子を考えたいですね。
第12回サマーナイトフェスティバルが7年ぶりに川崎競輪場で開催される。サマーナイトは昨年の大会から従来の2日制から3日制に生まれ変わり勝ち上がり条件がやや緩くなったが、最後の直線に伸びるコースがあり逆転一発の決着の多い川崎バンクが舞台だけに今大会も激戦は必至だ。深谷知広、竹内雄作、浅井康太などの強力自力選手の揃った中部勢を中心に推すが、桁違いのスピードを有する新田祐大や結束力一番の近畿勢の逆襲も十分。巻き返しに躍起の関東勢や地元戦に燃える南関東勢の頑張りにも注目したい。
全盛期の先行力が戻った深谷知広が押し切りを狙う
 地元戦に気合いが入る郡司浩平の一発が侮れない
深谷知広選手
 深谷知広は全盛期のパワーをほぼ完全に取り戻していると見ていいだろう。捲りに回されたときの巻き返しにはまだ難があるが、先行力はほぼ完璧だ。5月・静岡の日本選手権も決勝こそは新田祐大に執拗に突っ張られて大敗したが、特選予選は逃げ切り、準決も逃げ粘っての2着だ。
 やや古いデータで申し訳ないが、12年の川崎記念では深谷は完全優勝しておりバンクとの相性も抜群だ。しかも先行は絶対的に不利と言われている川崎で初日特選、2日目優秀、準決と3日連続で逃げ切り、決勝は5番手外併走の苦しい展開から捲って優勝している。今大会も己の力を信じて主導権さえ奪ってしまえば簡単に捲られないし、先行・押し切りでの優勝も狙えるはずだ。
 ライン的には深谷知広、竹内雄作らを目標にできる浅井康太が有利だ。近況の浅井は人の番手を回ったときの成績があまり芳しくないのが気がかりだが、強力先行の深谷や竹内の番手なら安心して任せられるだろうし、最後の直線に伸びるコースがあって仕掛けどころの多い川崎バンクなら、仮に深谷や竹内が不発になっても、浅井は自力に切り替えて激戦突破を狙ってくるだろう。
 今年4月の川崎記念では決勝は7番手から仕掛けきれずに大敗してしまったが、二次予選では同じく7番手に置かれてしまったが粘り強く捲り追い込んで2着、準決では絶好の4番手から捲り後続を4車身ぶっ千切って1着と自力勝負での強さは健在だ。
郡司浩平選手
 地元期待は川崎がホームバンクの郡司浩平だ。3月・名古屋の日本選手権では予選を2連勝で準決進出とGIでは活躍を見せている。4月の川崎記念では初日特選は浅井康太の先行を7番手から仕掛けて捲り切り松坂英司と神奈川ワンツー、準決は4番手から捲った浅井を7番手から必死に追いかけて2着に突っ込んで決勝進出を果たしている。
 5月・静岡の日本選手権は二次予選敗退、続く平塚記念は準決敗退と近況の気配はもうひとつだが、地元戦のビッグレースに向けてしっかりと立て直しを図ってくるだろう。神奈川勢では桐山敬太郎、和田真久留、松坂洋平なども十分に一発の力を秘めており、郡司とともに地元ファンを大いに沸かせてくれるだろう。
新田祐大が輪界一のスピードでライバルたちを蹴散らす
 武田豊樹が関東の強力先行型を目標に完全復活を目指す
新田祐大選手
 新田祐大は2月・久留米の全日本選抜は決勝3着、3月・名古屋の日本選手権も決勝3着、4月・静岡の日本選手権は決勝6着と今年のGIは連続で決勝進出を果たしており、輪界随一の圧倒的なスピードに加えて安定性も増してきている。
 4月の川崎記念では決勝では5番手の展開ながらも脇本雄太の先行を捲れずに4着に終わっているが、初日特選は脇本の先行を6番手から捲り後続をぶっ千切って上がりタイムは11秒1をマークしている。2日目優秀は稲垣裕之の逃げを8番手から捲って番手追走の中川誠一郎とワンツー、準決は大竹歩-稲垣裕之-藤木裕の近畿2段駆けに少々手こずったが、直線伸びて2着に突っ込んでおり、川崎バンクとの相性も良好だ。
武田豊樹選手
 武田豊樹、平原康多、神山雄一郎ら関東勢の巻き返しはあるのか? 本稿執筆時には高松宮記念杯の直前なので確かなことは言えないが、6月15日現在の獲得賞金ランキングを見てみると、関東勢は武田豊樹が22位、神山雄一郎が23位、平原康多が26位でグランプリ出場が危うい状態だ。サマーナイトはGIIなので賞金は決して高くないが、賞金の上積みのために一戦たりとも落とせない決意でレースに臨んでくるだろうし、後半戦でのGI奪取のためにも今大会で結果を残して弾みをつけたいところだろう。
 武田豊樹は落車の影響などもあり今年前半は苦しい戦いが続いていたが、5月に入ってからようやく復調の気配が見えてきた。5月・平塚記念では準決で敗れたが、二次予選と4日目特別優秀で1着、続く全プロ記念では初日が平原康多の捲りを差して1着、2日目スーパープロピストレーサー賞も平原の先行に乗り、浅井康太、新田祐大らの巻き返しを退けてうれしい今年初優勝を飾っている。さらに6月の別府記念では決勝こそは7着に敗れたが、勝ち上がり戦は3連勝と復活の確かな手応えを掴んでいる。
 サマーナイトは第5回の川崎大会、第8回の四日市大会と2度の優勝経験があるゲンのいい大会だ。今大会も武田とともに調子をあげてきた平原康多や、吉田拓矢、鈴木竜士らのスーパールーキーたちも出場してくるだけに、武田の復活優勝が十分に期待できるだろう。
輪界一の結束力を武器に近畿勢が優勝へ突き進む
 原田研太朗が積極性を増してますますパワーアップ
村上義弘選手
 輪界一の結束力を誇るのは村上義弘率いる近畿勢だ。3月・名古屋の日本選手権の決勝では竹内雄作-深谷知広-金子貴志で結束した地元ラインに対して三谷竜生-川村晃司-村上義弘の並びで結束、三谷が赤板から猛然とスパートして主導権を握り、打鐘から竹内が巻き返してくると最終ホーム過ぎから早々と川村が番手から発進、村上が強襲する竹内や新田祐大を巧みなブロックで止めるとともにゴール前では川村を差し切って優勝している。
 その鮮やかな連係プレイは他地区にはマネのできない近畿ならではのお家芸だ。今大会も村上義弘を始め、稲垣裕之、藤木裕、三谷竜生、野原雅也など近畿勢は粒ぞろい陣容で、カリスマ・村上を中心に再び結束力を発揮できれば近畿勢から優勝者が出てくる可能性は高い。
三谷竜生選手
 三谷竜生の勢いが止まらない。3月・名古屋の日本選手権でGI初優出を果たすと、3月のいわき平FIと小田原FIを連続優勝、5月の函館FIも優勝している。5月・静岡の日本選手権は二次予選で敗れたが、一次予選と最終日特選で2勝を挙げている。さらに別府記念の準決では番手の浅井康太が千切れてしまうほどのスーパーダッシュで主導権を奪うと、後続に7車身の差をつけて圧勝している。残念ながら決勝は8番手に置かれて惨敗と経験値の浅さを露呈してしまったが、今期2班ながら脚力だけは一流選手に匹敵するパワーを秘めていると言ってもよく、今大会も近畿勢を引き連れての大逃走を見せてくれるだろう。
原田研太朗選手
 中四国勢では原田研太朗が引き続き好調を維持している。昨年函館で開催されたサマーナイトでは予選が逃げ切り、準決が捲って1着と連勝で決勝進出しており、本大会との相性もいい。今年まだビッグレースでの優出はないが、2月・全日本選抜、3月・名古屋の日本選手権、5月・静岡の日本選手権ではすべて準決まで駒を進めている。5月の全プロ記念の初日優秀では赤板から積極的に飛び出してそのまま主導権を握っており、最後は新田祐大の捲りに屈したものの2着に逃げ粘っており、近況は積極性も増してきてますますパワーアップしてきている印象が強い。
 5月・静岡の日本選手権では中川誠一郎が初タイトルを獲得した。中川はリオ五輪出場のために競輪はお休み中だが、中川に続けとばかりに九州勢はいやが上でも盛り上がりを見せている。九州勢は機動力の面では他地区はかなわないものの自在性豊かな個性派が多く、今大会でも九州勢の一発が決して侮れない。
園田匠選手
 昨年の寬仁親王牌で初タイトルを獲得、今年はS級S班として奮闘中の園田匠は今年はまだビッグレースでの優出はないが、2月の全日本選抜、3月・名古屋の日本選手権、5月・静岡の日本選手権でしっかり準決まで勝ち上がっており、S級S班の名に恥じない活躍を見せている。5月の宇都宮記念決勝では最終バック7番手の展開となったが、最後の直線に入ってからコースを探して中バンクを強襲、先頭でゴールを駆け抜けて右手を高々とあげた。
 まるで昨年の寬仁親王牌決勝の再現を思わせるような優勝劇で、改めてコース取りの巧さと差し脚の鋭さを見せつけている。川崎バンクは最後の直線で抜群に伸びるコースがあり、園田のような選手にはうってつけのバンクと言えるし、三度の直線強襲での優勝が期待できそうだ。
プレイバック
愛知の新鋭・近藤龍徳が中コースを鋭く伸びて2度目のGII制覇
 14年のヤンググランプリを制したばかりの101期の新鋭・近藤龍徳が2度目のビッグレース出場で見事に初優勝を飾った。レースは浅井康太-近藤龍徳、新田祐大-山崎芳仁-芦澤大輔、小埜正義、原田研太朗-岩津裕介-柏野智典の並びで周回を重ねる。赤板から原田が上昇を開始すると、単騎の小埜も中四国勢を追走していく。それを見て浅井が下がり牽制状態となるが、打鐘とともに原田が勢いよく飛び出して主導権を握る。小埜が4番手、浅井が5番手、新田が8番手で最終ホームを通過、まずは2角から小埜が仕掛けるが3番手の柏野の横で一杯になる。続いて浅井が仕掛けるが、横に膨らんできた小埜に進路を塞がれて伸び切れない。これで岩津に絶好の展開かと思われたが、浅井にスピードをもらって中バンクを伸びてきた近藤が先頭でゴールを駆け抜け両手を上げてガッツポーズ、大外を捲り追い込んできた新田が2着、芦澤が3着。
2015サマーナイトフェスティバル函館のゴール
2015サマーナイトフェスティバル函館のゴール
表彰
表彰
バンクの特徴
最後の直線では中や外のコースがよく伸びる
7、8番手の後方になっても逆転のチャンスはある
 川崎はオーソドックスな400バンクだが、カントがややきつく、最後の直線では中コースや外コースがよく伸びるので、後方からの突っ込みによる大逆転が日常的に見られるのが最大の特徴だ。一般的な400バンクの場合、捲りは最終2コーナーから仕掛けて3コーナーまでに出切るのが理想のスタイルだが、川崎では3コーナーや4コーナーでまだ後方の位置にいたとしても、最終4コーナーを勢いよく抜けだしてくれば直線でグーンと伸びるのでゴール前での逆転劇が十分に可能だ。
 そのためS級の上位戦ともなると、捲りの選手や後方で脚をためていた選手が一斉にゴール前に殺到するので大混戦必至だ。逃げーマークや捲りーマークといった単純な決まり手の出現率は低く、スジ違いの決着が比較的多くなっている。
 今年4月に開催された記念の決まり手を見てみると、全47レース1着は逃げが3回、捲りが16回、差しが28回、2着は逃げが8回、捲りが17回、差しが11回、マークが11回となっている。
 最後の直線では中や外のコースを後方にいた選手が突っ込んでくるので逃げ切りはよほどの脚力上位の選手でないと難しい。先手ラインの選手が1着になったレースはわずか12回しかない。後方がもつれて先手ラインで上位独占かと思われたレースでも、3番手の選手が外を伸びて頭に突き抜け高配当というパターンもよく見られる。とにかく川崎では並びどおりにすんなり決まることは少なく、最後は脚力上位の選手による点と点の決着になりやすい。
 3日目の準決3個レースを見てみても、3個ともスジ違いの決着だった。10Rは先手のラインの3番手の選手が1着、7番手から捲り追い込んだ選手が2着。11Rは5番手から追い込んだ選手が1着、逃げ粘った選手が2着。12Rは4番手から捲った選手が1着、8番手から捲った選手が2着に届いている。
 川崎はとにかく仕掛けどころがたくさんあるので、展開よりも脚力重視で狙っていったほうがいいだろう。

 周長400m、最大カントは32度10分14秒、見なし直線距離58.0m。競りはルール的にもイン有利だが、最後の直線がよく伸びるため、無理に競りにいくより後方で脚をためていたほうがチャンスが大きいので競り合いになるレースは少ない。14年に1センター付近に西スタンドが完成してからはバック側が風の通り道になっているが、風の影響は比較的少ない。最高上がりタイムは00年7月に小林大介がマークした10秒07。
川崎競輪場
川崎競輪場