レース直前展望
今年からオールスター競輪が8月となりました。
ちょうどお盆休みと重なる時期で、お休みの方々が多いと思います。
ぜひ皆様、オールスター競輪を楽しんでください!
松戸バンクでは色々なイベントも行われますので、松戸競輪場に遊びに来てくださいね!
8月2日決勝の弥彦記念の決勝は圧巻の逃げ切りを決めていました。これは見事ですよね。自力自在選手というと逃げ切るというイメージが少ないと思いますが、浅井選手の目指すところが「何でもできるところだ」と聞いていました。そして逃げ切れることもできるというのは、まさしく真の自力自在選手です。オールスター競輪でのタイトル奪取は見えてきていると言えるのではないかと思います。
未だに調子にムラがある深谷選手ですが、ようやく底から抜け出してくるのではないかという感じがあります。7月末の四日市ナイターで優勝し、少し空いてのオールスター出場は、良い仕上がりで臨めるでしょう。初日のドリームレースでの競走内容に注目したいと思います。大復活劇をこのオールスター競輪でみたいですよね。
コンスタントに成績が安定しているのが吉澤選手です。積極的に主導権を取りに行って成績を安定させているのは、注目したいポイントです。茨城の後輩選手で強い吉田拓矢選手、鈴木竜士選手の存在も吉澤選手の意識を高めていると思います。後輩選手の活躍以上にオールスター競輪で吉澤選手は活躍するでしょう。大きく華が開くといいですね。
近況良いなと見えるのが三谷選手です。7月末の奈良FI決勝で逃げ切り優勝をしていますし、大きい数字が目立つところもありますが、好調をキープしています。特に、松戸競輪と同じ333バンクの奈良で優勝しているのは大きいでしょう。地元バンクではありましたが、オールスターに向けて大きな弾みになったでしょう。好調を維持したままオールスター競輪に臨んでほしいですね。
第59回オールスター競輪が昨年に続いて松戸競輪場で開催される。主役を務めるのは昨年大会の覇者であり、ファン投票で1位に選出された新田祐大だ。今年の新田は6月・高松宮記念杯を優勝、前半戦のGI全てで決勝進出と安定感も抜群で今大会も自慢のスピードで連覇を目指す。ラインの充実ぶりでは中部勢が一番か。浅井康太を中心に、深谷知広、吉田敏洋、竹内雄作、金子貴志らの強力布陣でタイトル奪取を狙ってくる。地元・南関東勢も近藤隆司や郡司浩平らに勢いがあり、輪界のカリスマ・村上義弘の一発や関東勢の巻き返しにも注目だ。
ファン投票1位の新田祐大が最強・最速の走り見せる
ようやく勢いを取り戻してきた浅井康太の反撃が始まる
今や輪界最強・最速の称号をほしいままにしているのが新田祐大だ。雨中の決勝戦となった高松宮記念杯では、最終ホーム手前で5番手外併走の展開から仕掛けると、逃げる平原康多をバックであっさりとらえ、そのまま後続を引き離して押し切り優勝、上がりタイムも11秒1というのだから恐れ入る。
高松宮記念杯のあとも休むことなく記念やサマーナイトフェスティバルへの出走と過密スケジュールが続くので体調面がやや心配されるが、今の新田なら前半戦と同様に抜群の安定感を発揮して乗り切っていくだろうし、松戸の短走路も昨年優勝しているだけに苦手意識はないはずで、今大会もファンの期待にしっかり応えてくれるだろう。
ファン投票2位は昨年のグランプリ覇者の浅井康太だ。浅井は今年前半のGIでは思うような結果を残せずにいたが、6月の高松宮記念杯でようやくGIでの今年初の決勝進出を果たし、優勝には手が届かなかったが3着で表彰台に上がった。
しかし、7月のサマーナイトフェスティバルでは中部勢は別線になるも、吉田敏洋の番手から捲って出て優勝し、賞金ランキングもアップ。GP出場に大きく近づいた。ここから浅井の猛反撃が始まるのは必至で、後半戦ではグランプリ覇者の名に恥じない王者の走りで大活躍してくれるだろう。
中部は浅井康太のほかにも深谷知広、吉田敏洋、竹内雄作、金子貴志らのビッグネームが揃っておりラインの充実度は一番だ。3月・名古屋の日本選手権、5月・静岡の日本選手権、6月の高松宮記念杯と中部は毎回3人の選手を決勝へ送り込んでいる。残念ながら決勝ではラインがうまく機能せず優勝者を出せずにいるが、今度こその意気込みで結束力の強化を図りタイトル奪取を狙ってくるだろう。
とりわけ期待がかかるのが36歳にして大ブレイク中の吉田敏洋の初タイトルだ。吉田は静岡の日本選手権で準優勝、高松宮記念杯では一次予選からの3連勝で決勝進出と乗りに乗っている。また、サマーナイトフェスティバルの決勝に進出。男気の怒涛の先行を見せたのは圧巻。獲得賞金での初のグランプリ出場も見えており、前半戦の勢いのまま年末まで突っ走っていくだろう。
村上義弘が鉄壁の結束力でライバルたちを蹴散らす
平原康多にようやく本来のスピードと強さが戻る
ファン投票で3位に選出されたのが輪界のカリスマ・村上義弘だ。この7月に42歳を迎えた村上だが、その脚力はまだまだ衰える気配はなく、絶大なるカリスマ性によって強化された近畿の結束力はライバルたちにとっては脅威だ。
3月・名古屋の日本選手権決勝では近畿は三谷竜生-川村晃司-村上義弘の並びで結束、竹内雄作-深谷知広-金子貴志で並んで地元優勝を狙った中部を粉砕、三谷の先行に乗って番手捲りを打った川村を差し切った村上が優勝を決めた。その後も5月・静岡の日本選手権では村上は二次予選で敗退したが、6月の高松宮記念では再び決勝進出を果たしている。サマーナイトフェスティバル決勝は単騎戦で挑み、巧みなレース運びで場内を大いに沸かせた。
ファン投票の4位は平原康多だ。5位が神山雄一郎、6位が武田豊樹と関東のビッグスリーはそろってドリームレースからのスタートとなるが、3人とも今年前半は低空飛行が続いてしまい、7月12日現在の獲得賞金ランキングでは平原が15位、武田が20位、神山が25位でグランプリ出場が危うい状態だ。関東ビッグスリーにとっては後半戦は一戦一戦が文字どおりの勝負駆けとなり、年末までは気の休まることのない厳しい戦いの連続になるだろう。
だが、そんな状態の関東にも明るいニュースはある。それが吉田拓矢や吉澤純平らの新鋭の存在だ。吉田は6月の高松宮記念杯がビッグレース初出場だったが、一次予選、二次予選をともに2着で突破して準決進出と期待どおりの走りを見せた。吉澤も高松宮記念杯では準決進出、準決では平原康多を連れて先行して平原の今年初のGIでの決勝進出に大きく貢献しており、今大会も新鋭2人の活躍が関東巻き返しの大きなカギになりそうだ。
平原康多自身もここへきてようやく本来のスピードと強さが戻りつつある。7月の小松島記念決勝では小松崎大地を先頭に逃げる北日本ラインの4番手を確保すると、2角手前から早めに仕掛けてバックではあっさりと前団を捲り切ってしまい、1年ぶりの優勝を決めている。上がりタイムも10秒9と素晴らしく、この復活優勝をきっかけに後半戦での怒涛の巻き返しが期待できそうだ。
原田研太朗が今大会を好スタートを切って勝ち上がる
地元・南関東勢が昨年同様に大挙の決勝進出を目指す
中四国では原田研太朗が引き続き好調で、ファン投票では11位に選ばれてオリオン賞からのスタートになる。中四国では岩津祐介もファン投票18位でオリオン賞からのスタートとなり、原田にとっては心強い味方となるだけに今大会では幸先のいいスタートが切れそうだ。
原田は今年まだGIでの決勝進出はないが、前半戦のGIではすべて準決まで勝ち上がっている。GIでは1走目の成績がよいのも注目で、3月・名古屋の日本選手権の特選予選は逃げて2着、5月・静岡の日本選手権の特選予選は捲って2着、そして6月の高松宮記念杯の白虎賞では竹内雄作の逃げを捲った村上義弘をさらに捲って1着を取っている。今大会もオリオン賞で強さを発揮して順調に勝ち上がっていくだろう。
九州では昨年初タイトルを獲得、今年はS級S班入りを果たした園田匠がファン投票で13位に選ばれてオリオン賞からのスタートになる。
園田も今年はまだGIでの決勝進出はないが、原田研太朗と同様に前半戦のGIですべて準決進出とS級S班の名に恥じない堅実な走りを見せている。5月の宇都宮記念では準決で竹内雄作の逃げを番手からスブリと差し切って好感触を得ると、決勝ではバック6番手の展開から直線では中のコースへ突っ込み、昨年初タイトルを獲得した寬仁親王牌のときと同様の直線強襲撃で優勝とさすがに底力のあるところを見せつけた。宇都宮記念優勝をきっかけに調子もますます上向いてきており、今大会でも決して侮れない存在となるだろう。
迎え撃つ地元・南関東勢は近藤隆司がファン投票で15位、石井秀治が21位でともにオリオン賞からのスタートだ。昨年も松戸で開催されたオールスターでは渡邉晴智と石井秀治の2人がオリオン賞からスタート、準決3個レースでは南関東勢が6人も乗る健闘ぶりを見せ、決勝には桐山敬太郎、渡邉晴智、武井大介の3人が進出を果たしている。今年も地元ファンの熱い声援に後押しされて南関東勢の活躍が期待できるはずだ。
近藤隆司は2月の全日本選抜の準決で新田祐大、脇本雄太、原田研太朗らを相手にしてやったりの大捲りを決めてGI初優出を達成、一躍その名を全国のファンにとどろかせた。その後はGIでの決勝進出はないが、3月・名古屋の日本選手権では準決進出、5月・静岡の日本選手権も予選を2連勝で勝ち上がって準決進出と活躍、全日本選抜での優出が決してまぐれや恵まれではないことを証明してみせた。6月の高松宮記念杯は二次予選敗退、7月の福井記念は準決敗退と近況はやや下降気味になっているのが気がかりだが、地元開催のGIに向けてしっかり立て直して地元ファンの期待に応える走りをきっと見せてくれるだろう。
高松宮記念杯で準優勝の快挙を成し遂げた郡司浩平にも大きな期待がかかる。高松宮記念杯の準決では勝負どころで郡司が7番手、新田祐大が8番手の展開となったが、最終3角から新田とほぼ同タイミングで仕掛け、新田に先着しての2着でGI初優出、決勝では逃げる平原康多ラインの3番手で浅井康太と併走になったが、グランプリ覇者の浅井に踏み勝って3番手を確保し、後方から捲ってきた新田をすかさず追走して2着と、初の大舞台とは思えぬ堂々たる走りを披露した。もちろん今大会も度胸満点の豪快な走りでの一発は十分だ。
2011年 第54回大会 浅井康太
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浅井康太がカマシ先行で押し切り2度目のタイトルを奪取
第54回オールスターの決勝戦は4人が勝ち上がった地元・中部勢が別線勝負を選択、浅井康太-山口幸二、深谷知広-山内卓也、長塚智広-合志正臣、佐藤友和-佐藤慎太郎-伏見俊昭の並びで周回を重ねる。残り3周の青板から佐藤友和が上昇開始、浅井が引いて、佐藤は先頭に立つと赤板で早くも誘導員を外して先行態勢に入る。と同時に長塚が空いたインに切り込んでいって伏見をどかし3番手を確保する。打鐘とともに深谷が後方から巻き返してくるが、佐藤友和に牽制されて出切れない。すると、さらにインを突いてきた長塚と深谷後位から切り替えた合志正臣に佐藤慎太郎の3車がもつれ合う形となり、佐藤友和の番手は大混戦となる。そこを後方で構えていた浅井が一気にカマして主導権を奪う。後方では4人の大量落車があり、浅井がそのまま押し切って優勝、落車を避けながらも浅井を必死に追いかけた山口が2着、佐藤友和が3着。
ゴール |
表彰 |
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直線が短く、積極性のある自力選手が有利
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基本は先行有利だが、GI戦では捲りも決まりやすい
松戸は1周333mの短走路で、見なし直線距離も38.2mと全国44場の中では小田原、奈良に次いで3番目に短い。カントも333バンクの中では最も浅く逃げが有利とされている。
しかし、A級戦ではカントが浅くて捲りが決まりにくいので先手ライン有利のレースになりやすいが、S級戦では先行選手の仕掛けが早くなるし、先行争いも激しくなるので、結果的には脚力上位の選手による捲りが決まりやすくなってしまう。
昨年9月に開催されたオールスターの決まり手を見てみると、全54レースのうち1着は逃げが12回、捲りが26回、差しが16回、2着は逃げが9回、捲りが15回、差しが9回、マークが16回となっている。
他競輪場でのGI戦と比べると逃げの健闘が光っている。先手ラインの選手が1着になったレースも24回あったが、それでもやはり捲りがよく決まっている。
捲りは残り1周の最終ホームから仕掛け、2コーナーからバックまでに前団を飲み込むのが理想で、後手を踏まされると不発になりやすいと言われている。
しかし、昨年のオールスターではさすがに脚力上位の選手たちが集うGI戦だけに、7、8番手からの捲りも普通に決まっていた。仕掛けどころはやはり最終ホームからだが、3コーナーで前団に並び、4コーナーで出切って直線一気というパターンがよく見られた。先行有利のバンクであるが、GI戦にかぎって言えばバンクの特性にあまりこだわりすぎないほうがいいかもしれない。
先行は2周先行のつもりで早めに仕掛け、踏み直しの利くタイプが理想的だ。
残り2周の赤板から仕掛け、後方からの巻き返しに対して突っ張り切れるか、あるいは打鐘で前団を叩き切って先頭に躍り出れるかどうかが勝敗の分かれ目となる。
そのため、主導権争いは脚力的にも精神的にも想像以上に厳しいものがあり、うまく前団を叩いて先手を取れたとしてもマーク選手が離れてしまい、別線の自力選手に番手にはまられてしまうというパターンもよく見られる。
周長は333m、最大カントは29度44分42秒、見なし直線距離38.2m。直線が短く4角を過ぎるとすぐにゴールとなるので、他競輪場のGI戦と比べると差しの出現率が極端に低いのが特徴で、2着の決まり手もマークが多い。それでも力のある選手なら4、5番手からインコースを突っ込んできたり、大外を捲り追い込みに伸びてきて高配当を演出することもある。逃げ-捲り、捲り-捲りなどの自力選手同士の決着も少なくない。
松戸バンク
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