レース直前展望
秋も深まってきました。寬仁親王牌世界選手権記念トーナメントも7月から10月に変わり1回目となります。そして、またグリーンドーム前橋がその舞台の場になります。
335mのバンクでスピード溢れるレースが展開されますね。
存分に楽しみましょう!
リオオリンピックから帰ってきて、競輪はまだ2開催(エボリューションレースを含めると3開催)しか走っていませんが、とにかく強い。特に捲りに回った時の破壊力は半端じゃありません。その強さは短いバンクであればあるほど際立ってくると思います。前橋バンクではそのスピードを生かして相当な活躍をすると見込んでいます。脇本選手の走りがとても楽しみですね。
共同通信社杯(GII)の優勝で、このまま突っ走りそうな勢いがあるのが竹内です。共同通信社杯から少し時間が空いていますが、ここはしっかり調整をする時間にあてて臨んでくるはず。となるとリフレッシュされた状態でまた、中部勢の先頭で頑張るでしょう。共同通信社杯の優勝で、グランプリの出場も見えてきましたし、ここは一つでも上を目指し気持ちを入れて走るでしょう。頑張って欲しいですね。
共同通信社杯での落車の影響が気になりますが、とにかく強いのが平原選手。共同通信社杯では本当に強い平原が戻ってきていたと思います。ゆえに、落車の影響が気になるわけですが、前検日の様子で、落車の影響がありそうであれば一考ですが、無いという事であれば、是非今回、注目したい選手です。走りを見ていて気合の乗り方が良いですよね。グランプリに向け、一気に差を詰めてほしいですね。
期待を込めて、ここは若手に注目してみたいです。となると吉田拓矢でしょうか。ここのところ、ビックレースに出場し、まだ結果を残せていませんが、そろそろ慣れてくるころだと思います。レースでの仕掛けるタイミングなど分かってきて、成績が残ってくればブレイクするでしょう。若い力の爆発が親王牌で見られることに期待したいですね。335mのバンクでもあるので、魅せてほしいですね。
第25回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメントが6年ぶりに前橋競輪場で開催される。今年はすでにGIが5大会開催されているが、3大会で新たなタイトルホルダーが誕生しており、現在の競輪界はまさに乱世ムードだ。今大会も地元地区のGIで王座奪還とグランプリ出場を目指す武田豊樹率いる関東勢を主軸に推したいところだが、新田祐大率いる北日本勢、浅井康太率いる中部勢、村上義弘率いる近畿勢らが入り乱れての大混戦になるのは必至で、またもやのニュースター誕生も十分に期待できるだろう。
地元・関東勢が好連係を決めて反撃を開始する
前橋ドームが大得意の木暮安由の勝ち上がりに期待
今年のGIも残すところは寬仁親王牌と競輪祭の2大会のみとなり、年末のグランプリ出場権を巡る戦いもいよいよ佳境に入ってきた。すでに出場権を獲得しているのは渡邉一成、村上義弘、中川誠一郎、新田祐大、岩津裕介の5人だが、9月12日現在の獲得賞金ランキングを見てみると、関東勢では10位にようやく武田豊樹が顔を出し、平原康多が13位となっており、獲得賞金額でのグランプリ出場はかなり厳しい状況になっている。
今年のグランプリは立川で開催されるが、このままでは関東勢の出場なしの恐れもあり、関東勢は今大会に必勝を期して万全の状態で臨んでくるだろう。
武田豊樹は落車の影響などで今年前半は低迷してしまったが、7月のサマーナイトフェスティバルで決勝2着と健闘、8月のオールスターでも決勝進出を果たしてようやくGIの舞台で優勝争いができる状態に戻ってきた。そしてなによりの収穫を得たのが9月の岐阜記念だろう。
武田は話題の新星・吉田拓矢とはこれまでにも何度か連係しているが、なかなか好結果を出せずにいた。しかし、岐阜記念の決勝では最終ホーム4番手から捲った吉田をゴール前で差して優勝、吉田との初のワンツーを決めている。
吉田はGI初出場となった6月の高松宮記念杯で準決進出、サマーナイトフェスティバルでも準決で平原康多の決勝進出に貢献とビッグレースですでに結果を残しており、今大会でも武田は吉田や平原と好連係を決めて昨年の競輪祭以来のGI優勝へと突き進んでいくだろう。
平原康多も今年前半は落車に悩まされたが、6月の高松宮記念杯で決勝進出すると、7月の小松島記念で1年ぶりの優勝、その後もサマーナイトフェスティバル、オールスターで決勝進出と本来の強さと安定感を取り戻している。
前橋といえば忘れてはいけないのが木暮安由だ。前橋は無風のドームバンクだが、捲りの仕掛けどころや直線でのコース取りなどに強い個性があり、走り慣れていない選手にとっては意外と攻略の難しいバンクとなっている。その点、ホームバンクにしている木暮は前橋が大得意で9月のFIでも完全優勝を飾っており、今大会も上位進出が大いに期待できるだろう。
稲垣裕之が幾多の試練を乗り越えて栄冠を掴む
新田祐大が輪界ナンバーワンのスピードを見せつける
本人のみならず全国の競輪ファンも「いつになったら…」とヤキモキしているのが稲垣裕之の初載冠だろう。11回目のGI決勝戦となった松戸のオールスターでは赤板先行の村上義弘の番手と展開的には絶好となり、最終1コーナーから番手捲りも打つもゴール寸前で岩津裕介に差し切られてまたしても悔し涙を飲んだ。
二次予選での堂々の逃げ切り、準決での豪快な捲りと体調的には万全だっただけに、悔やんでも悔やみきれない一戦となったことだろう。しかし、それもこれも競輪の神様が与えてくれた試練と考え、稲垣はきっとその試練を乗り越えて、今大会ではより強く、よりたくましくなった姿を我々ファンの前に現してくれるだろう。
近畿勢では脇本雄太も大注目選手だ。いっしょにリオ五輪に出場した渡邉一成が2月の全日本選抜で、中川誠一郎が4月・静岡の日本選手権でGI初優勝を飾っているだけに、脇本にも初タイトルの期待がかかるのは当然だ。8月に豊橋で実施されたエボリューションでは最終ホームで最後方の7番手から仕掛けると、グングン加速して最終バックであっさりと前団を捕らえ、2着に6車身の差をつけて圧勝、カーボンフレームにディスクホイールといえ上がり10秒2の驚異的なスピードを見せつけている。もちろんケイリンと競輪は別物だが、五輪を経験してきた脇本がさらなる進化を遂げているのはまちがいなく、今大会でも驚速の走りを披露してくれるだろう。
スピードに抜群の安定感をプラスして輪界のトップを走り続けているのが新田祐大だ。今年の新田は7月のサマーナイトフェスティバルこそは優出を逃しているが、GIの5大会すべてで決勝進出、6月の高松宮記念杯では圧巻の捲りで優勝を飾っている。
8月の小田原記念の準決では8番手からのまさかの捲り不発で優出ならなかったが、次場所の9月の青森記念では直ちに軌道修正、初日特選は逃げての2着で成田和也とワンツー、2日目優秀が逃げ切り、準決も逃げ切りと、3日連続の先行策で絶好調ぶりをアピールしている。決勝こそは深谷知広の捲りに屈して2着だったが、今大会でも先行・捲りの両面作戦で力の違いを見せつけてくるだろう。
浅井康太率いる中部勢が再び勢いを取り戻す
短走路の前橋バンクだが、追い込み勢にも不利はない
9月12日現在の獲得賞金ランキングを見てみると、5位に浅井康太、6位に吉田敏洋、9位に深谷知広と、中部勢から3人が上位にランクインしており、今年前半はGP覇者の浅井が率いる中部勢にかなりの勢いがあったことがわかる。しかし、残念ながらGIタイトルに手が届かなかったのは、地区的にこぢんまりとまとまりすぎてもうひとつ突き抜けたところがなかった証拠か。ただ強い選手が揃ってるだけでは勝ち切れないところが競輪の難しさであり面白さだ。8月のオールスターでは中部勢からの優出がゼロと勢いにやや陰りが見えはじめてきているだけに、残り2大会のGIで中部勢のもうひと暴れを期待したい。
浅井康太は今年はまだGIの優勝こそないが、8月までにGII、GIIIを計6回優勝と、グランプリのチャンピオンユニフォームの重圧に負けない走りでファンの期待に応えてきた。とりわけ7月には福井記念、サマーナイトフェスティバル、弥彦記念と怒涛の3場所連続優勝を達成しており、しかも福井記念決勝の決まり手が差し、サマーナイト決勝が捲り、弥彦記念決勝が逃げ切りと文字どおりのオールラウンダーぷりを発揮している。8月のオールスター後は病気で2場所欠場しているのがやや気になるが、今大会も浅井らしい変化自在の走りで勝機をがっちりと掴んでくるだろう。
前橋は1周335mの短走路で、なおかつ風の影響を受けない高速バンクなので自力選手が断然有利だが、過去に小橋正義が前橋での寬仁親王牌を計3回(青森での大会も含めると計4回)優勝しており、追い込み選手にとっても決して不利なバンクではない。04年の大会では小橋は最終4角4番手からの直線強襲で頭に突き抜けている。
そこで思い出されるのが昨年の弥彦で開催された寬仁親王牌で初タイトルを獲得した園田匠だ。園田も小橋と同様に最終4角4番手からの直線強襲で優勝している。今年の園田は前半戦はやや元気がなかったが、5月の宇都宮記念を優勝すると7月のサマーナイトフェスティバルで決勝進出と調子を上げてきており、今大会でも鋭い差し脚を発揮しての連覇が狙えるだろう。
もちろん8月のオールスターで初タイトルを獲得した岩津裕介も侮れない。短走路の松戸バンクで番手捲りの稲垣裕之を差し切った鋭脚を再び発揮すれば、GI連覇の偉業も十分に可能のはずだ。
今年はこれまでに初優勝が3人も登場するなど、波乱ムードがたっぷりのGI戦線となっているが、トップレーサーたちの調子や脚力が安定しないせいか、記念開催でも若手選手の活躍が目立っている。1月には原田研太朗と郡司浩平が記念初優勝、6月には岡村潤と守澤太志が初優勝、7月には新山響平が4日制の記念制覇ではデビューから1年20日の最速記録を更新、8月には郡司浩平が2度目の記念を飾り、吉澤純平が初優勝を達成している。
前橋はスピード自慢の自力選手が有利であり、若手の得意な奇襲的なカマシも決まりやすい高速バンクなので、今大会でもトップスターたちがついつい油断していると、郡司浩平や新山響平や吉田拓矢らがアッと驚くような波乱のシーンを演出してくれそうだ。一昨年前橋で開催されたオールスターでも、準決で天田裕輝が大波乱を起こして決勝進出しており、今年もニューヒーローの誕生が期待できる。
寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメントの思い出
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浅井康太が3度目のGI決勝で初タイトルを獲得
浅井康太-山口幸二-山内卓也-坂上樹大の中部勢が前受け、中団の渡邉一成の後ろは神山雄一郎-大塚健一郎の混成ラインが主張し、佐藤友和-成田和也の北日本コンビは後方待機で周回を重ねる。残り2周の赤板前から佐藤が上昇して神山のアウトに追い上げる。渡邉はやや車間を空けて仕掛けのタイミングをうかがう。残り1周半の鐘が鳴り、4コーナー過ぎから渡邉がカマシ気味に飛び出すと、後ろは神山が取り切り佐藤は後退していくが、神山も渡邉のダッシュに離れ気味になり車間が空いてしまう。前で待ち構えていた浅井がその機を逃さずに飛びついて渡邉の番手を奪取、3番手は神山と山口で併走になるが、山口に捌かれて神山も後退する。浅井は2センター過ぎから徐々に渡邉との車間を詰めていき、最後の直線に入ると一気に抜き去って先頭でゴールインし高々と右手を挙げる。2着にはマークの山口、3着には坂上が入る。
2011年 第20回大会 浅井康太
決勝ゴール
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