レース直前展望
5月に変わって2回目の日本選手権競輪となります。
ゴールデンウィーク真っ只中、日本の競輪選手のナンバーワンを決めるレースを激アツに堪能して欲しいですね。
今年の流れで見ると、南関勢に勢いがありますが、どうなるのでしょうか?
非常に強い平原康多選手を擁する関東勢の攻勢も考えられますよね。
さあ、楽しみましょう!
直近で見れば地元の西武園記念の決勝を外してしまいましたが、たまたまという感じがします。全く調子を崩したということではないと思います。よって、ここでも大活躍をしてくれるでしょう。川崎記念ナイターでの落車が気になるところですが、問題は全くなさそうです。京王閣ダービーも絶好調で臨んでくると思います。強いところを存分に見せて欲しいですね。
強いのは本当に強いのですが、決勝でとなると、ちょっと脆さも見える新田です。捲るスピードは滅法速く、他の選手が止まって見えるほどです。しかし、飛ぶときはあっさりしているのも新田のらしいところです。ここのところ日本の競輪の参加数は少ないですが、少ない中で、勝ちを狙っての好走に期待したいですね。
直近の西武園記念を優勝した松谷の最近の成績は、かなり良く勝率37%、連対率62.9%と数字にして好調度合いがわかります。バック数も7本と結構積極的に動いているのだ。やはり動いていると周りも動く選手と考え、作戦のバリエーションも増えるのが功を奏していると思います。勢いに乗っている南関でもあり、選手権でも台風の目となりそうですね。
3連対率を見るとおっ!と思うのが中村です。直近4ヶ月が71.8%とかなり高い数字を出しています。勝率も18.7%で1着に来ない選手ではありません。が、車券を投票するときには頭の片隅に入れておきたい選手だと思います。ラインを外して中村から考えると結構な高配当が狙えそうです。しっかりと高配当をゲットしたいですよね!
第71回日本選手権競輪が京王閣競輪場で開催される。2月の全日本選抜競輪では平原康多が盤石の走りで優勝を飾ったが、3月のウィナーズカップGIIでは南関東の若きエース・郡司浩平が平原康多、稲垣裕之らのS級S班を撃破してビッグ初優勝と、にわかに波乱ムードが漂ってきた。もちろん今大会も主役を務めるのは地元・関東のエースである平原康多だが、若手選手の奮闘次第ではまたもやのニューヒーローの誕生も十分だ。ウィナーズカップで優出を逃した新田祐大の立て直しや、ビッグ戦線で苦杯が続く近畿勢や中部勢の逆襲も見逃せない。
最高の充実期を迎えた平原康多がGI3連覇を目指す
若きエース・郡司浩平を旗頭に南関東の攻勢が続く
平原康多は2月の全日本選抜を盤石の走りで制したが、3月のウィナーズカップ決勝では勝負どころで郡司浩平に4番手を明け渡して6番手に下がってしまい、郡司に先捲りを許して自身は3着に終わっている。郡司に対して油断があったわけではないだろうが、一瞬の判断ミスが勝敗の行方をガラリと変えてしまう競輪競走の恐ろしさを改めて思い知らされたレースだった。
それでも平原は、3月までに16走し、まだ1度も確定板を外しておらず、選手として最高の充実期を迎えているのは確かだ。今大会も断然の優勝候補の筆頭であり、昨年12月の競輪祭、今年の全日本選抜に続くGI×3連覇の偉業達成に大きな期待がかかる。
武田豊樹はいまだ本調子とはいえない状態が続いているが、全日本選抜決勝では競輪祭に続いての平原康多とのワンツー決着で準優勝、ウィナーズカップ決勝は4着とさすがの底力を見せている。自力勝負に出たときに取りこぼしが目立つのがやや気がかりだが、全日本選抜では平原康多を2度差して2勝しており、今大会でも関東の豊富な機動力を目標にしての復活優勝も十分に狙える。
京王閣と言えば忘れてならないのがボスこと後閑信一だ。13年のオールスターで見事な地元優勝を飾ったシーンを鮮烈に記憶しているファンも多いはずだ。近況は落車の影響で決して状態はよくないが、地元ファンの大きな声援を背に受けて必ずや見せ場をつくってくれるだろう。
南関東の若きエース・郡司浩平がウィナーズカップでついにビッグレース初制覇を成し遂げた。昨年6月の高松宮記念杯で準優勝以来、ビッグレースに出場するごとに着実にパワーアップしてきた郡司は、ウィナーズカップ決勝でも平原康多、稲垣裕之らのS級S班を相手に一歩も譲らない堂々の立ち回りを見せた。
2月の奈良記念では郡司浩平の先行を目標に根田空史が優勝、続く小田原の国際自転車トラック競技支援競輪(GIII)では根田空史の先行からラインの3番手を固めていた田中晴基が優勝、さらに四日市記念では山中秀将が優勝と南関東がかつてないほどの勢いを見せており、今年は平塚で開催されるグランプリに向けて南関東の攻勢がさらに続いていくだろう。
相性抜群のバンクで新田祐大が再び頂点へ返り咲く
中川誠一郎が九州の仲間とともに大会連覇に挑戦
新田祐大はウィナーズカップではまさかの準決敗退に終わった。展開のアヤで三谷竜生-稲垣裕之のインで粘るような形になってしまった新田だが、競りのできない新田はインから抜け出して三谷とまともにもがき合ってしまい力尽きている。稲垣のインでもう少し我慢していれば勝機があったかもしれないが、いかにも新田らしい走りだったとは言えなくもない。
それでも、初日特選は深谷知広の先行を3番手から捲って1着、4日目特選は6番手からの捲り追い込みで1着と輪界随一のスピードは健在だ。加えて新田は15年3月に京王閣で開催された日本選手権の覇者でありバンクとの相性も抜群なだけに、もちろん今大会でも優勝候補の一角であることに変わりはない。
北日本で忘れてはいけないのが山崎芳仁だ。10年9月の地元・いわき平のオールスターでグランドスラムに王手をかけてからずっと足踏み状態が続いているが、もちろん本人は偉業達成をあきめているはずはない。
山崎は今年の2月の全日本選抜ではまさかの一次予選敗退と全盛期の強さが見られない現状だが、昨年の寬仁親王牌で稲垣裕之のGI初優勝やグランプリでの村上義弘の優勝を見てもわかるとおり、競輪競走は個の力よりもラインの力のほうが重要だ。新田祐大と渡邉一成は当然として、山崎との相性抜群の早坂秀悟や新山響平、小松崎大地らが一丸となって北日本を盛り上げていけば、山崎にもきっとチャンスが巡ってくるだろう。
昨年は3月の名古屋、4月の静岡と日本選手権が2回開催されたが、静岡で悲願のG1初優勝を飾ったのが中川誠一郎だ。初のS級S班として迎えた今年初戦の和歌山記念では準決は2着だったが、残り3走はオール1着で優勝と貫禄の走りを見せた。
しかし、2月の奈良記念の初日特選で落車、右鎖骨、右肋骨の骨折の重症を負ってしまい、復帰戦となったウィナーズカップでは残念ながら精彩を欠いてしまった。それでも本大会までは1か月以上の時間があるのでしっかり立て直しを図ってくるだろうし、本調子は期待できないとしても、近況復調気配の吉本卓仁や園田匠らとともに死力を尽くして大会連覇を目指してくるだろう。
近畿が結束力を最大の武器にライバルたちに立ち向かう
浅井康太が輪界随一の自在性を駆使して勝ち上がる
ウィナーズカップでは近畿の総大将・村上義弘が練習中の負傷により欠場を余儀なくされたが、ぽっかり空いた大きな穴を埋めるべく稲垣裕之が奮闘、しっかり決勝進出して重責を果たした。決勝は8着に終わったが、村上義弘の魂を受け継ぐ稲垣が稲川翔、東口善朋を連れて先行し近畿の結束力の強さを改めて知らしめた。
2月の全日本選抜決勝では平原康多にラインを分断されて9着と悔しい思いをしたが、ウィナーズカップでは平原を6番手に追いやって不発に終わらせており少しは借りを返せた感じか。今大会もラインの結束力を最大の武器にライバルたちに立ち向かっていくだろう。
三谷竜生が本格化、近畿を代表する先行選手へと成長してきた。全日本選抜では昨年3月・名古屋の日本選手権以来の2度目のGI優出を決めた。ウィナーズカップでは準決で新田祐大ともがき合う形になったために7着と敗れたが稲垣裕之の決勝進出に貢献、二次予選でも稲垣が1着、三谷が2着でワンツーを決めており、稲垣にとっては相性抜群の頼もしい後輩だ。
昨年3月・名古屋の日本選手権決勝では川村晃司、村上義弘を連れて赤板先行を敢行、番手捲りを打った川村を村上が差し切って優勝しており、今大会でも近畿勢をグイグイ引っ張ってラインでの上位独占を狙ってくる。
浅井康太はウィナーズカップでは特選予選で落車、二次予選は出走するも4着に敗れて3日目以降を欠場している。それでも次場所の松阪記念では優勝こそならなかったが準優勝しており落車による状態面での不安はなさそうだ。
松阪記念の初日特選では深谷知広が逃げ粘っての2着、番手から浅井が差してのワンツーと深谷の状態がいいのも頼もしい。準決では目標の三谷竜生が不発で内に詰まる苦しい展開となったが、うまくコースを探りながら抜け出して1着とさすがの巧者ぶりを見せつけており、今大会でも輪界随一と言ってもいいほどの自在性を駆使して勝ち上がっていくだろう。
竹内雄作はウィナーズカップでは準決で敗れたが、平原康多、原田研太朗らを下して1着、4日目特選は2着は調子は上々だ。3月の大垣記念では決勝進出、2月の四日市記念の2日目優秀では新山響平を一気に叩いて先行、番手から抜け出した浅井康太が1着、竹内が2着のワンツーを決めており、麻糸の連係実績も良好だ。
竹内は昨年9月の共同通信社杯では堂々の逃げ切りでビッグ初優勝を飾っており、GIでも十分に優勝争いに食い込む力を持っている。今大会でも浅井康太、金子貴志らの援護を受けてのパワー先行で決勝進出を目指してくる。
中四国を背負って立つのが原田研太朗だ。ウィナーズカップでは4日間勝ち星こそなかったが、四国のファンの熱い声援に後押しされて見事に決勝進出を果たしている。
15年3月に京王閣で開催された日本選手権では一次予選からのスタートながら1着、1着、2着の勝ち上がりでG1初優出とバンクとの相性は抜群だ。今年2月の全日本選抜では決勝進出はならなかったが、特選予選では脇本雄太と吉田拓矢のもがき合いを7番手から捲り、後続をぶっ千切っての1着とツボにはまったときの破壊力の凄まじさを見せつけている。今大会も大得意の京王閣バンクで再び大活躍を見せてくれるだろう。
2012年 第65回大会 成田和也
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内に切り込んで鋭く伸びた成田和也が初のダービー王に
山崎芳仁-成田和也の福島コンビが前受け、単騎の小嶋敬二が続き、深谷知広-園田匠、鈴木裕-岡田征陽-長塚智広、村上義弘の並びで周回を重ねる。赤板過ぎの2コーナーから鈴木がゆっくり上昇して中団の深谷を抑え、打鐘過ぎの2センターから踏み上げて先頭に立ち、スローペースに落とす。深谷は引いて8番手、村上が4番手に入り、福島コンビが5番手、小嶋は7番手となる。鈴木は最終1コーナーから一気にスピードを上げて先行態勢に入り、すかさず村上が4番手から先捲りを打つが、車があまり伸びず番手の岡田の横までが精一杯。すると今度は岡田が内から抜け出して先頭に立つが、最終4コーナーから車を外に持ち出した山崎が大外から迫ってくる。成田は山崎を追わず、内に切り込んでいって外帯線のやや外側を鋭く伸びて先頭でゴールイン、2着は大外を伸びた山崎で福島ワンツーの決着、3着も内を突いて伸びてきた園田が入る。
第65回日本選手権競輪(GI)表彰
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直線の長さは標準的だが、逃げ切りは難しい
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捲りは後方7、8番手からの仕掛けでもよく決まる
京王閣はクセがなくて走りやすく、直線の長さも標準的な400バンクだが、カントが若干緩い感じで、捲りは3角にかかると外に膨らみやすいので自力選手にとっては仕掛けどころがやや難しいバンクと言われている。
しかし、GI戦に集う選手たちは輪界のトップクラスばかりなので、緩めのカントも持ち前のパワーで乗り切ってうまく捲りを決めてしまうケースが多い。
15年3月に開催された日本選手権でも捲りがよく決まっていて、1着、2着の決まり手は次のとおりとなっている。6日間全66レース(2着同着を1回含む)のうち1着は逃げが3回、捲りが25回、差しが38回、2着は逃げが7回、捲りが16回、差しが26回、マークが18回だ。
捲りは中団を取ってからの仕掛けが理想のパターンとされているが、15年の日本選手権では中団の4、5番手よりむしろ後方の7、8番手からの捲りのほうがよく決まっていた。
バンクがやや重く、決まり手だけを見ると逃げはかなり不利のように思えるが、実は先行がゴール前までけっこう粘り込めるので、中団からの先捲りは先行ラインに絡まれて不発になりやすく、先行ラインと先捲りのラインがもつれ合っているところを後方から捲り切ってしまうというパターンが多かった。
ちなみに15年の決勝も3番手から捲った武田豊樹の上を6番手から仕掛けた新田祐大が捲り切って優勝している。
同じように先行ラインと先捲りのラインが絡み合ってごちゃついているところを、後方で脚をためていた追い込み選手が突っ込んでくるというパターンも多かった。
3日目11Rの二次予選では原田研太朗が先行、4番手から捲った藤木裕は原田の番手の小倉竜二にブロックされて不発、原田が堂々と逃げ切ったが、最終3角でどんじりの9番手にいた大槻寛徳がぽっかり空いた中コースへするすると伸びてきて2着に突っ込み、3着が小倉で、2車単は2万6千円、3連単は29万円と開催一番の大穴配当になっている。
周長は400m、最大カントは32度10分34秒、見なし直線距離は51.5m。直線ではとくに伸びるコースはないが、最終4角過ぎから車を外に持ち出してイエローライン付近を踏んでいくとゴール前での大外強襲が可能だ。ホーム側に新しいメインスタンドが建ってからは1角付近が向かい風で2角まではバンクが重くなり、先行選手は脚力をロスしやすい。バンクレコードは15年8月にシェーン・パーキンスがマークした10秒4。
京王閣バンク
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