来る5月29日に今年で64回目を迎えるトラックレースの競技大会「全日本プロ選手権自転車競技大会」が和歌山競輪場に於いて開催されるが、それに先立つ27、28日の両日に「同大会記念競輪が実施される。一番の注目はスーパーピロピストレーサー賞3連覇を目指す武田豊樹だが、5月の日本選手権でダービー王に輝いた三谷竜生を始めとするヤングパワーの活躍にも大きな期待がかかる。
武田豊樹が平原康多を目標に3連覇を目指す
三谷竜生を先導役に近畿の大攻勢が始まる
初日のメインとなる優秀競走3個レースに出場するのはS級S班の9名と、選考期間(平成28年9月~平成29年2月)における平均競走得点上位の19名で、各レースで3着までに入った9名が2日目のメインとなるスーパープロピストレーサー(SPR)賞で雌雄を決することになるが、主役を務めるのは武田豊樹と平原康多の関東コンビだ。
武田豊樹は07年、08年、15年、16年とSPR賞を実に4回も優勝しているが、そのすべてが平原康多を目標のレースだった。今年も平原との連係が実現すれば3連覇の偉業達成が大いに期待できる。武田は昨年は不振にあえいでいたが、先の日本選手権では優勝こそはならなかったものの初日特選は三谷竜生、郡司浩平らのヤングパワーを相手に先行して2着、準決は三谷の先行を捲って1着と本来の自力の迫力を取り戻しており、平原との最強タッグで日本選手権決勝の雪辱をきっちり晴らしてくれるだろう。
日本選手権では三谷竜生が3度目のGI決勝で初タイトル獲得した。近畿は総大将の村上義弘が怪我で欠場、稲垣裕之がまさかの二次予選敗退となり、決勝進出は三谷ひとりだったが、グランプリ常連のトップレーサーたちを相手に一歩も引かない強気の走りで3番手を奪取すると、最後の直線を一気に駆け抜けで大金星を手にした。近況はビッグレースでやや勢いを欠いていた近畿だが、ニューヒーロー・三谷竜生を先導役に、再び大攻勢がはじまるだろう。
深谷知広は日本選手権決勝は5着に終わったが、浅井康太との2車のラインでも果敢に先行、持てる力をすべて出し切る素晴らしいレース内容だった。2日目特別予選も近藤龍徳との2車ながら先行して3着に粘り込み、準決では打鐘から一気に叩いて浅井康太とワンツーと圧巻の先行力を見せつけた。今や先行に関しては完全に自信を取り戻している印象で、今回も中部勢を引き連れて逃げまくり、完全復活を力強くアピールしてくれるだろう。
山崎芳仁が格上パワーで押し切る
東口善朋が地元戦で気合いの走りを見せる
初日特選の3個レースには選考順位28位から54位までの27名が出場するが、各レースで5着までに入った15名が2日目のダイナミックレースに進出する。
特選組では山崎芳仁がやはり力上位だ。日本選手権では準決で敗れてグランドスラム達成はまた持ち越しとなってしまったが、一次予選では新山響平の選考を目標に2着、二次予選では脇本雄太と郡司浩平のもがき合いを7番手からあっさり捲ってパワーの違いを見せつけている。特選組には新山響平、成田和也、佐藤慎太郎など北日本のビッグネームが揃っているだけにライン的にも有利だ。
ホームバンクでの開催で気合いが入るのが東口善朋だ。東口は1月の奈良FIで稲毛健太の先行に乗って優勝、3月のウィナーズカップでは決勝進出と健闘した。日本選手権では一次予選で敗れたが、2日目一般では中井太祐の捲りを差して1着、4日目選抜では3番手から新山響平の先行を捉えて1着、最終日特選では脇本雄太の捲りを追って2着と好成績を挙げている。
捲りのパワーが健在の海老根恵太の一発も十分だ。3月の小倉FIでは鈴木裕の先行を目標に番手捲りで優勝、4月の松坂FIでは根田空史の先行を差して優勝しており、日本選手権では勝ち星はなかったが、2度確定板に載っている。南関東はライン的には手薄だが、近況行きっぷりのよさが光る和田真久留や追い込み型として力をつけてきた岡村潤との連係から勝機をつかんでくるだろう。
取鳥雄吾がS級初優勝で急成長
初日選抜の5個レースには選考順位55位から99位までの45名が出場、各レースで2着までに入った10名と3着の2名の計12名が2日目のダイナミックステージに進出する。
選抜組で近況めきめきと力をつけてきているのが取鳥雄吾だ。4月の高知記念の準決では武田豊樹や松岡貴久らのビッグネームを相手に堂々と逃げ切って決勝進出、5月の広島FIでは初日特選が逃げ切り、準決と決勝が捲りの3連勝でうれしいS級初優勝を飾っている。
平成28年度全プロ記念競輪
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平原康多を目標に武田豊樹が連覇
単騎の村上義弘が前受け、以下は新田祐大-渡邉晴智、原田研太朗、浅井康太-金子貴志、平原康多-武田豊樹の並びで周回を重ねる。青板の1センターから浅井が上昇して先頭に立つが、その上を平原が叩いて主導権を奪い、赤板2コーナーから全開で逃げる。4番手を取った浅井は最終ホームから仕掛けるが、武田のプロックを受けて不発、新田もインに詰まって仕掛けられず、絶好の展開をものにした武田が直線抜け出して優勝、諸橋が2着、渡邉が3着。
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