レース直前展望
今年は伊東温泉競輪場で開催されるとあって、二つのことを遊べてしまいますね! 一つはもちろん競輪ですが、もう一つは海水浴!
伊東は海でも有名ですからこの機会に、伊東の海も楽しんでみてはいかがでしょうか。7月15日からは監視員も常駐するようですから、安心して楽しめますよ!
注目選手
自転車競技でのアメリカ遠征や国内の大会で相当疲れていると思いますが、パワーアップされているのは間違いないでしょう。自転車競技での結果を競輪にも活かしてくれるはず。そのパワーに注目してみたいと思います。伊東バンクは333mですし、いいと思います。
渡邉一成選手と同じくアメリカ遠征、国内の自転車競技大会で活躍中の脇本選手に注目してみたいと思います。自転車競技でのパワーを競輪の自転車に活かせれば、大きな活躍につながると思います。遠征帰りのパワーをぜひ見せて欲しいですね。
久留米記念準決勝では、取鳥雄吾選手に合わされる形となって、敗退していますが、非常に好調だと思います。最終日のレースでもしっかり勝っていましたし。サマーナイトでも強いところを存分に見せて欲しいと思います。
じわじわと来ていましたが、ここに来て成績が一気に伸びて来ている感じがするのが山田選手です。高松宮記念杯では決勝に進出し、ここでも、活躍しそうな感じがプンプンしています。直帰の富山記念でも、二日目の2次予選では、4着で準決勝に進出できませんでしたが、後半の2日間はしっかりと勝っています。この辺りを評価したいですね。
第13回サマーナイトフェスティバルが伊東温泉競輪場で開催される。誰もが認める輪界最強の男・平原康多と武田豊樹の関東コンビを中心に推すが、今年前半のビッグレースでは若手選手の活躍が目覚ましいだけに余談は許さない。ウィナーズカップを優勝した郡司浩平と昨年のヤンググランプリを優勝した渡邊雄太の2人が特別選抜予選にシードされた地元・南関東勢が一気に主役の座に躍り出る可能性も十分だ。もちろん深谷知広、浅井康太の中部勢、稲垣裕之、三谷竜生の近畿勢も強力で、新田祐大率いる北日本勢の巻き返しにも注目が集まる。
平原康多が武田豊樹との最強タッグで初優勝を狙う
郡司浩平が後半戦に向けて勢いを取り戻す
平原康多は2月の全日本選抜を優勝、GI3連覇を狙った5月の日本選手権決勝では平原らしからぬ甘い組み立てで6着に敗れたが、勝ち上がり戦はほぼパーフェクトの走りで輪界最強の評価が揺らぐことはない。5月の全プロ記念も2日間勝ち星はなかったが、スーパープロピストレーサー賞では新田祐大を連れて打鐘からメイチ駆けの渡邉一成を捲り切ったスピードは素晴らしく、体調面も引き続き万全だ。今大会も他の追従を許さないオールラウンダーぶりをたっぷりと披露してくれるだろう。
一方の武田豊樹はいまだ完全復活とは言えない状態だが、全日本選抜、ウィナーズカップ、日本選手権と決勝進出を果たしてさすがの底力を見せつけている。6月の取手記念でも初日特選が吉澤純平の先行に乗って1着、準決も吉田拓矢の先行を差して1着と地元ファンの期待に応える走りで貫禄を示している。サマーナイトフェスティバルは過去2回の優勝があり、昨年は準優勝と大会との相性がよく、今年も平原との最強タッグが実現すれば、8分の1車輪差に泣いた昨年の雪辱をきっちり晴らしてくれるだろう。
地元・南関東の郡司浩平にとっては絶対に負けられないシリーズとなるだろう。3月のウィナーズカップでビッグ初優勝を飾った郡司は6月10日現在の獲得賞金ランキングで6位につけており、平塚で開催されるグランプリ出場のためにも賞金の上積みを狙っていきたい。ウィナーズカップ優勝のあとも4月の川崎記念を優勝と勢いに乗っていた郡司だが、日本選手権ではまさかの二次予選敗退で3日目特選では無念の落車といきなりの逆風に見舞われているだけに、後半戦に向けて再び勢いを取り戻すためにも今大会はいつも以上に気合いの入った走りを見せてくれるはずだ。
南関東では昨年のヤンググランプリを優勝した渡邊雄太が郡司浩平とともに特別選抜予選にシードされている。渡邉は今がまさに伸び盛りで、走るたびに強くなっている印象が強い。日本選手権では4走ともしっかり先行して4日目一般では堂々の逃げ切り、次場所の宇都宮記念では決勝3着と健闘しており、今大会でも郡司浩平を連れての果敢な先行で上位陣に一泡吹かせてくれるだろう。
大会3連覇中の中部が深谷知広を牽引役に優勝を狙う
新田祐大が相性抜群のバンクでスピードを見せつける
浅井康太は昨年の大会の覇者だ。昨年は中部から4人が決勝進出も浅井は深谷知広-金子貴志とは別線勝負を選択し、吉田敏洋の積極果敢な先行に乗って優勝している。
中部は昨年と同様に今年も出場予定選手が7人と少なめで、北日本や関東と比べると半数以下のために勢力的には劣勢感が否めないが、牽引役の深谷知広の先行力が戻っているので昨年同様の多数の決勝進出が十分に期待できる。第3回大会では濱口高彰が優勝、第10回大会は深谷知広、第11回大会は近藤龍徳、第12回大会は浅井康太と、中部は現在3連覇中で本大会と相性抜群なのも好材料だ。
浅井康太は今年はまだ優勝はないが、ビッグレースでも大崩れはなく、相変わらず高いレペルで安定した成績を残している。日本選手権決勝では絶好の番手回りの展開ながら3着と悔しい思いをしているだけに、後半戦での巻き返しを期してスタートダッシュをかけてくるだろう。5月の全プロ記念の初日優秀では目標の深谷知広が不発で最終バックは9番手の絶体絶命の展開になってしまったが、石井秀治の捲りに切り替え、ゴール前では大外伸びて1着とさすがの走りを見せており、今大会も得意の自在戦法を駆使して勝ち上がりのチャンスを掴んでくるだろう。
新田祐大は14年に伊東温泉で開催された共同通信社杯を捲って優勝しているが、準決でも7番手からの捲りで上がり9秒0のバンクレコードを叩き出している。
今年の新田は全日本選抜は決勝3着だったもののウィナーズカップ、日本選手権と決勝進出を逃してやや安定性を欠いていたが、5月の函館記念を豪快な捲りで優勝して上昇気配に入っており、相性抜群の伊東温泉で新田らしいスピードスターぶりを存分に発揮してくれるだろう。
リオ五輪終了後に今後は競輪に本腰を入れると宣言、これまで以上に気合いの入った走りを見せているのが渡邉一成だ。全プロ記念でも初日優秀は新田祐大の番手回りで1着だったが、スーパープロピストレーサー賞は渡邉が前回りで積極的に先行している。今はまだ渡邉-新田の並びは成功しているとはいいがたいが、回数を重ねるごとにより強固なラインへと必ずや進化していくことだろう。
近況急上昇の古性優作が自在な立ち回りで真価を発揮
曲者ぞろいの九州勢の逆転一発が侮れない
近畿は総大将の村上義弘が全プロ記念の初日優秀でまたもや落車に見舞われて体調面が不安だが、稲垣裕之、三谷竜生、脇本雄太、古性優作などなど役者が揃っているだけに十分に一発が期待できる。
本校執筆時にはまだ結果はわからないが、直前の6月には岸和田での高松宮記念杯が控えており、そこで近畿がいい結果を残せていればその勢いに乗ってサマーナイトでも大暴れしてくれるだろう。とりわけホームバンクでのGIに向けてぐんぐん調子を上げてきている古性優作は今大会でも注目の選手となりそうだ。
古性優作は3月の松阪記念を優勝、深谷知広-浅井康太-坂口晃輔の地元勢の捲りを追い、ゴール前では深谷の番手から抜け出した浅井を差し切るという気迫の走りを見せた。その後は4月の和歌山FIを完全優勝、日本選手権は二次予選で9着と敗れたが、残り3走はオール1着でまとめている。さらに全プロ記念のスーパープロピストレーサー賞では勝負どころで内に詰まる苦しい展開だったが、最終バック過ぎに抜け出すと捲ってきた平原康多の番手に飛びつき、直線ではズブリと差し切って初優勝と神がかり的な立ち回りを演じている。
稲垣裕之は日本選手権ではまさかの二次予選敗退となったが、5日目特選は捲って1着、最終日優秀は5着ながらも石井秀治ともがき合って主導権を取りきっており調子自体は問題ない。次場所の宇都宮記念も準決で惜しくも4着と敗れたが、2日目優秀は山田久徳を目標に1着、4日目特別優秀は稲毛健太を目標に1着とさすがの安定した走りを見せている。ただ、安定感はあっても、村上義弘と比べると勝利への厳しさがもう一歩足りない印象があり、そこがやや物足りないところだが、今大会もS級S班の貫禄で近畿をしっかりまとめ、ラインの結束力を最大の武器にライバルたちに立ち向かっていくだろう。
原田研太朗は安定感には欠けるがツボにはまったときの捲りは強烈だ。とりわけビッグレースでは1走目の成績がいいのが特徴で、そのあとが続かないのがウィークポイントになっているが、3日間の短期決戦の本大会ならば狙いどころは多そうだ。日本選手権は連日大敗してしまったが、全日本選抜は初日特選予選で1着、ウィナーズカップの初日特別予選は2着、6月の取手記念も準決で5着と敗れているが、初日特選では5番手からの捲り追い込みで快勝している。
北津留翼もレースの組み立てが最大の欠点で安定感はないが、やはり捲りは脚はトップレーサーたちにも引けを取らないほど強烈で近況は好成績を挙げている。5月の宇都宮記念の準決では山岸佳太ー武田豊樹の2段駆けを中団からの捲り追い込みでごぼう抜きにして1着、決勝も7番手からの痛烈な捲りで再び武田豊樹らの地元勢を撃破して優勝している。続く前橋はFI戦だったが、初日特選と準決は捲り、決勝は堂々の逃げ切りで完全優勝を飾っている。
5月の日本選手権では九州から園田匠と山田英明の2人が決勝進出、決勝は残念ながら大敗してしまったが、園田は特選予選では4番手からの鋭い追い込みで新田祐大、浅井康太らに先着して1着、山田は準決では勝負どころで8番手と後手を踏んでしまったが、そこから捲り追い込んで2着に突っ込んでおり、今大会も曲者ぞろいの九州勢の一発が決して侮れない。
第12回大会 浅井康太
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吉田敏洋の積極的な仕掛けに乗って浅井康太が初優勝
4人揃った中部勢は別線勝負を選択、吉田敏洋-浅井康太が正攻法に構え、以下は平原康多-武田豊樹-諸橋愛、村上義弘、深谷知広-金子貴志-園田匠の並びで周回を重ねる。単騎の村上が青板のバックから早めに上昇を開始すると、それに合わせて平原も動いて村上を押さえるが、さらに深谷も踏み上げて先頭に立つ。平原は4番手まで下がり、深谷を追って上がってきた吉田と併走状態になるが、吉田は打鐘ともに一気に踏み込んで主導権を奪い、吉田を追った村上が3番手、深谷が4番手、平原が7番手の一列棒状で最終ホームを通過する。最終バック手前から村上が捲ってでるが、合わせて浅井が番手から発進、7番手捲りの平原は不発に終わるが、インを突いてきた武田が前団に迫る。最後の直線に入ると武田は外にコースを取って浅井に詰め寄るが、浅井が8分の1車輪差で押し切ってサマーナイト初優勝、武田が2着、村上が3着。
表彰 |
ゴール |
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バンクの特徴
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小回りバンクだが、直線が長くて捲りが有利
直線はよく伸びるので追い込み選手にもチャンスがある
周長が333mの小回りバンクは先手ライン有利が基本だが、伊東温泉は33バンクの中では直線が最も長いため、どんな戦法でも存分に力を発揮できるバンクとなっている。
14年4月に開催された共同通信社杯の決まり手を見てみると、全47レースのうち1着は逃げが7回、捲りが19回、差しが21回、2着は逃げが9回、捲りが9回、差しが14回マークが15回となっている。
さすがに小回りバンクだけあってビッグレースにしては逃げがかなり健闘しているが、直線が長くカントも立っているのでやはり捲りが有利だ。先手ラインの選手が1着になったのが17回と、全レースの3分の1程度だ。
先行は打鐘で先頭に立つのが絶対条件で、ペース配分を考えて駆ければ粘り込める。打鐘から一気にカマして一本棒の状態に持ち込むのが理想だが、小回りバンクは赤板前からレースが動いて展開が目まぐるしく変わるので、先手を取るのに脚を使いすぎると長い直線で失速してしまう危険性が高くなる。
捲りも中団確保が絶対条件となる。直線が長いので捲りが決まりやすい印象があるが、2コーナーと4コーナーで外に膨らみやすい傾向があるので、7、8番手からの後方からの仕掛けだとそこで合わされたり牽制を受けたりして不発になりやすい。共同通信社杯のときも捲りの1着はほとんどが中団からの仕掛けで、7番手からの捲りは3日目12Rの準決と最終日決勝の2回しか決まっていない。そのどちらも決めたのは捲りのスペシャリストの新田祐大だ。
直線は力さえあればどのコースも伸びるので、追い込み選手が長い直線を使って頭に突き抜けて好配当というケースが多い。先手ラインの後ろに位置した追い込み選手が内へ外へとコースを選んで伸びてきてスジ違いの決着になりやすく、逆に先手ラインの番手の選手のほうが伸びきれない印象がある。
共同通信社杯の2日目7Rの二次予選Bでは、最終3角で7番手の園田匠が外のコースを伸びて1着、8番手だった小倉竜二がインに切り込んで2着に入っている。
周長は333m、最大カントは34度41分09秒、見なし直線距離は46.6m。山の中腹にあって特別観覧席などの施設も高いので、海や山からの風の影響はほとんどない。バンク自体はクセなく重くも軽くもなくて走りやすい。小回りバンクだが、直線が長くて400バンクに近い印象があり、選手間での評判も上々だ。競りは内、外とも互角に戦える。最高上がりタイムは14年の共同通信社杯準決で新田祐大がマークした9秒0。
伊東バンク
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