レース展望

Mr.Boss後閑信一の第33回全日本選抜競輪展望

先頃、競輪から引退しました後閑信一氏に、直近の選手事情を含んだ全日本選抜競輪展望を提供して頂きました。
普段の記事ではあまり書かれない選手目線の記事をどうぞお楽しみください。

後閑信一氏
2018年2月9日~12日の4日間、三重県四日市競輪場で読売新聞社杯全日本選抜競輪が行われます。
私も本来ならば今回の出場選手メンバ-にエントリーされていたのですが、まさか引退をしてこの記事を書いているなんて誰が想像していたでしょうか?
人生は本当に何が起こるかわからない!ですね。
競輪レースは何が起こるか本当にわからないハラハラドキドキのサバイバルレース!
浅井康太選手
浅井康太選手
今回は地元三重県のKEIRINグランプリ2017の覇者・浅井康太選手が登場となれば地元ファン、そして全国のファンからは当然浅井選手に期待が集まるに違いありません。
浅井選手は今年1月にインフルエンザになりましたが、浅井選手曰く「風邪を引くと体の芯から新たな力が生まれるので僕の中では決してマイナスではないんです」と言った独自の理論があります。さらには浅井選手と言えば乗車フォームに特徴がありキープ・レフト(左重心)の先駆者です。浅井選手から学び、取り入れている選手も数多いカリスマレーサーです。
坂口晃輔選手
坂口晃輔選手
そんな浅井選手が率いる地元選手は坂口晃輔選手と二人だけ。坂口選手は今年に入り連続して落車のアクシデントに見舞われていますが、坂口選手は日頃から鍛え上げた強靭な肉体と体の使い方が出来る選手です。また競輪に対しての向上心、考え方、取り組み方がある程度構築されている様に感じます。
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
近藤龍徳選手
近藤龍徳選手
私は坂口選手はしっかりケアをして今シリーズに合わせてくるに違いないと思っています。
そして浅井選手、坂口選手にとって頼りになるのはなんといっても地元地区の中部勢の存在です。愛知の深谷知広選手が参加しないのは残念なところですが、愛知の吉田敏洋選手や高橋和也選手、岐阜の竹内雄作選手という頼もしい自力型の存在が心強いですね。追い込みマーク陣も愛知の金子貴志選手や近藤龍徳選手そして石川の北野武史選手と技術と縦脚も備わっている選手達もいるので頼もしい限りです。
四日市バンクの特徴を利用する地元選手
私が現役中に四日市バンクを走った印象は、バンクにクセはなくバンクは軽いが横風があり、時に強く吹く印象があります。私は体が大きいのであまり気になりませんでしたが、体の小さな選手や体の線の細い選手は常に旗を気にしながらウォーミングアップやレースをしていました。
そう見ると浅井選手や坂口選手は苦戦するのではないかとご心配する方もいるかと思いますが、地元バンクですので風の向きやその際に受ける影響は全て知り尽くしているはずので、他の選手を風避けにしながら、更にはその風を利用して、経験と感性、技術で走り抜けてくれるのではないでしょうか。
レースをどのように考える?
現在の競輪はライン戦ですが、ラインで決まらない事が多い様に感じます。
それは何故か?
自力選手のスピードアップに伴い追い込み選手との脚力の差が広がって来てしまっている事が挙げられます。番手3番手の選手が本来しなければならない自分の仕事(競輪競走の基本)が出来ていない傾向にあります。2番手は捲って来た選手をブロックすれば良いのではなく、生かしながらスピードダウンをさせる技術だったり、3番手は風を受けようとも外帯線は絶対に外さないという事。単純な事の様ですが、自力選手に付いていくのがいっぱいいっぱいな状態なので、少しでも風を受けたくないという心理の現れが外帯線を外すという行動に出ているのではないかと思われます。ラインの中での自分に任された仕事をキッチリ出来ればラインで決まるレースも増えてきてファンの皆さんの車券に貢献できるのではないでしょうか?
そこで話は戻りますが、四日市競輪場は風が吹くバンク なので車券戦術にはラインの最後尾の選手が外帯線を外すか外さないかで変わってくると思います。ましてや上記しましたが、横風が吹くバンクですから現在の状況では筋違い車券は必至となってしまうのではないかと思われます。


今後は追い込みマーク陣の脚力向上を、私は指導や育成を通して分析し研究し、自らの経験を通して全体的にレベルアップを図る構想があります。引退しましたので私はもう走れませんがファンの皆様、競輪界、そして一緒にレースを戦ってきた仲間達にご恩返しが出来たら嬉しいと思っております。


今回の読売新聞社杯全日本選抜競輪は私にとって非常に楽しみなシリーズです。今からワクワクしております。ファンの皆様も実際に四日市競輪場に足を運んで頂いて競輪界トップレーサー達の熱い走りを是非ご体感ください。