レース展望

レース直前展望
2018年も約半年が過ぎようとしています。あっという間に過ぎていきますね。
そして、高松宮記念杯競輪。
この先、来年の4月まではなにかとこのサブタイトルが付きますよね…。
「平成最後の○○」と。
そうです。この大会が平成最後の高松宮記念杯競輪となります。平成最後の高松宮記念杯の優勝者は誰なのでしょうか?
頭をフル回転させて一次予選から決勝まで予想しましょう!
そして岸和田といえば、色々美味しいものがありますよ!
本場にお越しの際は、ぜひ、岸和田名物を食べつくしていただきたいですね!
またこの開催では久しぶりにS級S班が勢揃いします。
この辺りも注目ですね!
注目選手
浅井康太選手
浅井康太 三重 90期
強いというよりも、根性がすごいとつくづく感じたのが全プロ競技大会でした。チームスプリントに出場した浅井ですが、1走目、2走目は8組中、中盤のタイム。通常であれば3走目でも上げられずそのままの成績となるところですが、3走目の3周目にタイムを上げてフィニッシュ!なんと優勝したのです。1,200mの残り400mでさらに踏める脚を持っているのは驚異でしょう。この調子が続いていると思うのでしっかりと狙ってみたいですね!
和田健太郎選手
和田健太郎 千葉 87期
函館GIIIナイターを制しましたね。ここのところ、ずっと好調でした。この開催は、南関東の先行選手の番手からという出場選手に恵まれている感もありましたが、記念競輪を制するのは、やはり真の好調さがあったからだと思います。この調子で乗り込んでくるのですから、番組、展開にもよりますが、狙い目であることは間違いありません。
松浦悠士選手
松浦悠士 広島 98期
成績が良いから取り上げるというよりも、競走スタイルで気になる選手が松浦です。競るときは競る、捲るときは捲るとかなりいい動きをしています。アグレッシブな競走スタイルが持ち味と言っていいのではないでしょうか。注目したい選手です。
中川誠一郎選手
中川誠一郎 熊本 85期
強いときはすごく強い!けど…というイメージから、コンスタントに「強い選手」というイメージに変わってきているのが中川です。4月の久留米FIから今までは悪くない感じで来ています。高松宮記念杯もその調子が持続しているはずと考えたいですね。一気に加速するパワーは信頼できるものだと思います。岸和田でその脚をぜひ見せてほしいです。
 第69回高松宮記念杯が昨年に続き岸和田競輪場で開催される。日本選手権連覇の偉業を達成した三谷竜生を中心とする地元・近畿勢が優勢で、昨年は新田祐大に優勝をさらわれた雪辱を狙ってくるだろう。日本選手権決勝で完敗した浅井康太の汚名返上の走りや、決勝進出ならなかった平原康多を始めとする関東勢の巻き返しにも期待したい。捲り鋭い山田英明や中川誠一郎、日本選手権で優出した山中秀将ら南関東勢の一発も侮れない。
新田祐大が得意の高速バンクで大会3連覇を狙う
 平原康多がしっかり修正して復活の走りを見せる
 高松宮記念杯は東西対抗形式は従来のままだが、本年度から勝ち上がり方式がかなり変更になっている。従来は青龍賞(東日本)、白虎賞(西日本)は初日の特別選抜予選だったが、今回は2日目の優秀競走の位置づけとなっている。
 初日は東日本、西日本の特別選抜予選が1個ずつで、東日本の特別選抜予選で4着までに入った4名と一次予選で1着になった5名が2日目の青龍賞に勝ち上がる。西日本も特別選抜予選の4名と一次予選の5名が2日目の白虎賞に勝ち上がる。
 さらに今回は準決勝が4個レースとなっている。東日本は青龍賞の9名と二次予選3個レースで3着までに入った9名が準決勝の2個レースに振り分けられる。西日本も同じく白虎賞の9名と二次予選を勝ち上がった9名が準決勝2個レースに振り分けられる。
 そして東西それぞれの準決勝で2着までに入った8名と3着の1名が決勝進出と、従来よりも勝ち上がり方式が厳しいものになっている。
 東日本の初日特別選抜予選は北日本が3名、関東が5名、南関東が1名の組み合わせだ。北日本は新田祐大-渡邉一成-佐藤慎太郎の並びだろうが、関東の並びは微妙だ。従来とは違い4着までの権利レースとなったために関東別線は考えにくく、吉澤純平-平原康多-武田豊樹-木暮安由で折り合い、諸橋愛と南関東の中村浩士は単騎戦となりそうだ。並びはどうあれ、最終的には新田と平原のパワー対決が見どころになるだろう。
新田祐大選手
新田祐大 福島 90期
 新田祐大は昨年大会の覇者だ。昨年の二次予選では5番手から捲って成田和也とワンツーで上がりタイムは10秒9、決勝も8番手からの捲りで成田とのワンツーで上がりタイムは11秒0と岸和田の高速バンクとの相性は抜群だ。ちなみに16年に名古屋で開催された高松宮記念杯決勝も4番手外併走から捲って優勝している。5月の日本選手権では勝ち星がなく、決勝も展開を読み誤り終始後方のままで8着と凡走してしまったが、今大会は岸和田バンクで本来のスピードを発揮して大会3連覇を狙ってくる。
平原康多選手
平原康多 埼玉 87期
 平原康多は日本選手権の準決では6番手から捲っていくも佐藤慎太郎のブロックを受けて5着に敗れている。二次予選も1着ではあったが、勝負どころで内に詰まっての辛勝と、平原らしからぬ走りだった。最終日順位決定も1着をとっているので脚力的には問題なさそうだが、仕掛けのタイミングが微妙にズレている印象だ。それは平原自身も自覚しているはずで、今回までに修正して立て直しを図ってくるだろうし、初日特別選抜予選では分厚い関東ラインの援護を受けてしっかりと勝ち星をもぎとっていくだろう。
中村浩士選手
中村浩士 千葉 79期
 初日特別選抜予選で侮れないのが中村浩士の突っ込みだ。南関東1人だけなので苦戦は免れないが、日本選手権の5日目特選では最終バックでどんじりの9番手になるも決して諦めることなく、最後の直線で中割り強襲を決めて1着に突き抜け高配当を演出している。最終日優秀も目標の岩本俊介が捲り不発に終わり、最終4角手前では5番手の内に詰まる苦しい展開だったが、最後の直線で伸びて3着に突っ込んでおり、今回もうまくコースを見極めて直線勝負に賭けてくるだろう。
浅井康太が汚名返上の走りで必勝を期す
 三谷竜生を中心に再び近畿の絆を見せつける
 西日本の初日特別選抜予選は中部が3名、近畿が5名、中国が1名の組み合わせだ。
 中部は深谷知広-吉田敏洋-浅井康太の並びだろう。深谷は日本選手権では残念ながら初日特別選抜予選で落車・失格して途中欠場となり体調面で不安が残るので、3番手の浅井は切り替え含みか。ただ状態さえ問題なければ、強力近畿ラインを粉砕できるパワーは十分に有している。
 5人揃った近畿勢は並びが難しい。初日特別選は4着までの権利レースだが、互いに力を出し切るためには三谷竜生と脇本雄太の別線勝負もやむなしか。稲垣裕之が落車空けで本調子を欠いているので、三谷竜生-村上義弘-村上博幸-稲垣裕之で折り合い、脇本雄太-桑原太志という並びがありそうだ。
浅井康太選手
浅井康太 三重 90期
 浅井康太は坐骨骨折の影響で2月の地元開催の全日本選抜では無念の途中欠場となったが、3月のウィナーズカップと5月の日本選手権で連続優出と本来の強さと調子を取り戻している。日本選手権の決勝では近畿ラインをすんなり駆けさせて6着と完全な作戦ミスだったが、4日目ゴールデンレーサー賞では9番手からの大捲りを決めて脇本雄太と村上兄弟の近畿ラインを粉砕しており、今回は汚名返上の走りで必勝を期してくる。
三谷竜生選手
三谷竜生 奈良 101期
 三谷竜生は史上7人目の日本選手権連覇の偉業を成し遂げた。三谷は昨年の日本選手権でGI初優勝を飾ったあとは落車の影響などで低迷してしまったが、今年は2月と3月に記念3連覇を達成して完全復活、日本選手権決勝では前に脇本雄太、後ろに村上兄弟の超強力ラインを得、プレッシャーに押しつぶされることなくしっかり勝ちきった姿には王者の風格さえ漂う。今回も村上兄弟らとともに近畿の絆の強さを見せつける。
脇本雄太選手
脇本雄太 福井 94期
 脇本雄太は日本選手権では驚異の先行力を見せつけた。初日特別選抜予選は村上義弘を連れての打鐘先行で2着に粘り上がりタイムは11秒1、準決も打鐘カマシで逃げ切り、前半が10秒6、ラスト半周が10秒9の驚きのタイムを叩き出し、決勝も別線を完封する逃げで3着に粘り込んでいる。15年の岸和田の高松宮記念杯で決勝進出とバンクとの相性もよく、逃げ切りでのGI初制覇も決して夢ではないだろう。
好調・山田英明が2年連続の決勝進出を目指す
 山中秀将が切れ味いい捲りで勝ち上がる
山田英明選手
山田英明 佐賀 89期
 山田英明は日本選手権の準決は6着と敗れたが、2日目特別選抜予選は3番手から深谷知広の逃げを捲って1着、4日目ゴールデンレーサー賞は最後は浅井康太の捲りに屈したものの先捲りの郡司浩平の上を捲り切って2着と相変わらず好調だ。3月の小松島ではデビュー14年目にしてGIII初優勝、続く武雄では松川高大の逃げを目標に番手捲りで地元記念初優勝と近況は乗りに乗っており、昨年の大会に続いての高松宮記念杯連続優出を目指してくる。
中川誠一郎選手
中川誠一郎 熊本 85期
 九州勢では中川誠一郎の捲りも冴えている。中川は「今後は追い込みでやっていきたい」と宣言しているが、その言葉とは裏腹に日本選手権の一次予選では8番手からの大捲りを決め、中川追走の荒井崇博が1着で上がりタイムが10秒4とバンクレコードを更新、中川自身も10秒6をマークしている。二次予選も7番手から仕掛け、先捲りの新田祐大の上を楽々と乗り越えると後続を8車身ぶっ千切っており、今大会も封印したはずの自力勝負での一発がありそうだ。
山中秀将選手
山中秀将 千葉 95期
 南関東では山中秀将の捲りが切れ味がいい。日本選手権の一次予選は7番手から早めに巻き返し、最後は番手に切り替えてきた坂本亮馬に差し込まれたものの2着、二次予選も7番手からの早めの仕掛けできれいに捲り切って1着、準決はさすがに脇本雄太の驚異の逃げを捲れなかったが、3着に滑り込んで昨年の競輪祭以来の2度目のGI優出を決めている。同県の和田健太郎も準決では6番手からの鋭い突っ込みで2着に入り2度目のGI優出を決めており、今大会でも千葉コンビの活躍が期待できそうだ。
柴崎淳選手
柴崎淳 三重 91期
 先行で仕上がりのよさをアピールしたのが柴崎淳だ。2月のウィナーズカップでは二次予選で敗れたが3勝を挙げ、4月の四日市FIで今年初優勝と波に乗っている。日本選手権の一次予選では渡邊雄太の逃げを早めに叩いて主導権を奪い取り3着、二次予選では3番手に入った平原康多にゴール前で差し込まれたが、根田空史とのもがき合いを制しての逃げで2着、準決は8着に沈んだが浅井康太の決勝進出に貢献、今大会も中部勢を引き連れての先行勝負で見せ場をつくってくれるだろう。
思い出の大会
2012年 第63回大会 武田豊樹
北海道出身の武田豊樹が函館でGI制覇
 武田豊樹-神山雄一郎の関東コンビが前受け、3番手に柏野智典が続き、以下は深谷知広-山口幸二、脇本雄太-村上義弘、井上昌己-合志正臣の並びで周回を重ねる。青板の2センターから井上が上昇開始、武田はすんなり3番手に下げ、井上が誘導の後ろに入るが、打鐘前2コーナーからバンクの上にあがった脇本が一気に仕掛けて主導権を奪う。深谷が脇本を追うが、脇本の仕掛けに合わせて武田も前に踏み、近畿コンビの後ろは外に深谷、内に武田で併走となり、柏野が7番手、井上が8番手で最終ホームを通過する。最終2角から外併走の深谷が捲りにいくが、村上が深谷を牽制しながら外を踏む。すかさず武田が村上の内をすくって2番手に入り、脇本が先頭のまま最後の直線に入る。武田は4コーナーで村上を弾くと脇本を猛追、逃げ粘る脇本をゴール前で4分3車身追い込んで3度目のGI制覇を達成、粘った脇本が2着、神山が3着。
表彰
表彰
決勝ゴール
決勝ゴール
バンクの特徴
カントは若干緩いが、タイムの出やすい高速バンク
直線は長いが、うまく駆ければ先行は粘り込める
 岸和田は標準的な400バンクで、走路もクセがなくて走りやすくどんな戦法でも力を発揮できる。直線は比較的長いが、タイムの出やすいスピードバンクなので自力選手がやや有利だ。
 岸和田での高松宮記念杯は昨年に続いての開催となるが、昨年の決勝で新田祐大が8番手からの大捲りを決めて別線を粉砕、上がりタイムも11秒0と高速バンクらしい決着となっている。
 昨年の大会の決まり手を見てみると、全47レースのうち1着は逃げが6回、捲りが17回、差しが24回、2着は逃げが8回、捲りが6回、差しが16回、マークが17回となっている。
 やはり捲りがよく決まっている。捲りは中団が取れれば400バンクの定石どおりに最終2角からの仕掛けが有効だが、昨年の大会では中団からの捲りよりも後方の7、8番手からの捲りのほうがよく決まっている。捲りの1着の17回のうち、後方からの捲りが10回となっている。
 昨年の決勝の新田祐大のように後方の7、8番手となっても、最終ホームの手前から早めに巻き返していけばきれいに捲れるし、中団待機の自力選手は後方からの捲りに被せられて仕掛けきれず終わってしまうケースがよく見られる。
 直線は長めだが、先行選手もかなり健闘している。岸和田は海岸に近い平地にあるため、大阪湾からの浜風と南東の山から吹き下ろす山風のせいで全国でも有数の風の影響を受けやすいバンクとなっている。ただ、通常はバック追い風が強いので、先行選手は打鐘から仕掛けて一本棒に持ち込み、バックでうまく追い風に乗っていけば粘り込める。昨年の大会では先手ラインの選手が1着を取った回数が21回となっている。
 直線ではとくに伸びるコースがなく、3、4番手の選手が直線一気に突き抜けるというケースも少ない。昨年の大会ではラインの選手同士で決まるスジ決着が21回で、後方からの追い込みは2着までが精一杯というケースが多かった。

 周長は400m、最大カントは30度56分00秒、見なし直線距離は56.7m。通称は浪切りバンク。かつては直線が長めで追い込み有利のバンクだったが、02年のバンク改修で滑り止めのウォークトップを手塗りにしてから軽いスピードバンクに生まれかわった。カントが若干緩めなので、捲りは遅めの仕掛けになると4角過ぎの直線立ち直りのところで牽制を受けて不発になりやすい。14年7月にフランスのフランソワ・ペルビスが5番手からの2角捲りで上がりタイム10秒3をマーク、400バンクの日本記録を更新している。