レース直前展望
猛烈に暑かった夏が過ぎ、秋の気配が漂い始めました。
秋といえば共同通信社杯(GII)が始まります。
今回の舞台は高知競輪場です。高知といえば、坂本龍馬にカツオのタタキなどメジャーなものがたくさんあります。競輪と高知を一緒に楽しみましょう!
共同通信社杯は若手選手の登竜門と言われ、競輪界を代表する若手選手が多数出場します。
若手選手を楽しむのも、共同通信社杯の魅力です。
S級2班の100期台の選手たちに注目ですよ!
注目選手
浅井康太 三重 90期
久々に浅井康太の真骨頂のレースを見ました。富山記念決勝です。先行するラインを読んで、その後ろから捲り追い込む。切り替えの早さ、タイミングは競輪界随一だと思います。単騎戦だったからもありますが、見事でした。その好調を今回も魅せてくれるでしょう。
三谷竜生 奈良 101期
一時期の絶好調の時と比べ、成績がピリッとしていない三谷。競走も空いてここはしっかり調整ができてきていると思います。初日の競走をしっかり見たいですね。強い競走を見せてくれるなら、優勝候補になってくるはず。さすがは三谷!という競走をみせてほしいですね。
古性優作 大阪 100期
近況、優勝こそないものの、決勝まではめちゃ強いですね。共同通信杯でも、その強さを発揮してくるでしょう。とにかく、先行、捲り、番手、飛びつき何でもできる特性は安定感がありますね。あとは優勝のみが足りていないところ。ここはしっかり狙っていくことでしょう。
原田研太朗 徳島 98期
地元高知からは佐々木則幸、山中貴雄が出場しますが、四国全体を地元とするなら、そのけん引役は原田になります。四国の若手、ベテランを引っ張って四国を盛り上げてほしいと思いますし、またその心意気でこの大会には臨んでくるでしょう。まずは決勝戦進出を目標に頑張ってほしいですね。
第34回共同通信社杯競輪が高知競輪場で開催される。先のオールスターで待望のGI初制覇を達成した脇本雄太を始めとするナショナルチームのメンバーが今回は不参加の上に、勝ち上がり方式もシードレースがなく、一次予選と二次予選が自動番組編成のために激戦は必至だ。格付けはGIIだがグランプリ出場を目指すトップクラスの選手たちには落とすことのできないシリーズで、獲得賞金ランキングにも大きな注目が集まる。
自動番組編成による勝ち上がり方式が見どころ
グランプリ出場権を懸けた賞金争いにも注目
共同通信社杯は自動番組編成による勝ち上がり方式が特徴のひとつとなっている。初日は特別選抜予選などのシードレースがなく、全レースが一次予選で選考順位によって自動的に番組に振り分けられる。そのため、地区的や戦法的に偏った組み合わせになるケースもあり、優勝候補のトップクラスの選手たちが思わぬ苦戦を強いられることもある。昨年の大会では三谷竜生が二次予選Bで、浅井康太が二次予選Aで敗退しており、今年も優勝の行方は予断を許さない。
諸橋愛 新潟 79期
また、昨年の大会ではデビュー20年目のベテラン・諸橋愛がビッグレース初優勝を達成、獲得賞金ランキングが7位にジャンプアップし最終的には6位でグランプリ初出場を決めている。そのため。グランプリ出場を目指す選手たちにとっては絶対に負けられない大会となる。その諸橋は昨年8月の地元・弥彦記念を初優勝して勢いに乗ったが、今年も弥彦記念を連覇、オールスターでは準決勝進出と昨年同様に調子を上げてきており、今大会も連覇が十分に期待できるだろう。
平原康多 埼玉 87期
平原康多はオールスターではドリームレースこそ武田豊樹とワンツーを決めたが、準決勝では6着と破れている。あれは勝負どころでの判断ミスというよりも、自身が思っていた以上に体がうまく反応できなかったと見ていいだろう。近況の平原はさすがにトップレーサーだけあって成績はうまくまとめているが、本調子とはいえない状態が続いているのは間違いなく、オールスターから1ヶ月でどこまで立て直してくるかに注目してみたい。
三谷竜生 奈良 101期
三谷竜生はオールスターではまさかの二次予選敗退となり、GI3連覇はならなかった。今年はGI優勝が2回、GIII優勝が3回と王者の走りを見せている三谷だが、近況は好位からの捲り追い込みが主戦法で、踏める距離が短くなっているのは事実だ。それでも、今年の近畿には勢いがあるし、グランプリ出場が確定しているアドバンテージがあるだけに、今大会では近畿ラインを連れての積極的な走りが見られるだろうし、それが三谷にとっても好結果へとつながっていくだろう。
古性優作 大阪 100期
古性優作はオールスター決勝では残念ながら脇本雄太から離れてしまった。しかし、勝負どころでの判断ミスが原因で、決して脚力不足ではないのが唯一の救いか。特別選抜予選はまくって1着、準決勝は北日本ラインの3番手を奪って2着と古性らしい自在な走りで強さを見せていた。大舞台での失敗が必ずや次のステップへとつながる大きな糧となっているはずで、今大会もなんでもありの古性らしい走りを存分に見せつけてくれるだろう。
四国のエース・原田研太朗が決勝進出を狙う
完全復活の竹内雄作が徹底先行で押し切る
原田研太朗 徳島 98期
地元地区のビッグレースで意気上がるのが四国のエース・原田研太朗だ。3月に松山で開催されたウィナーズカップでは二次予選は逃げて渡部哲男とワンツー、準決勝は小川真太郎の逃げに乗って1着で決勝進出、決勝も優勝こそならなかったが3着で表彰台に上がっている。オールスターでは準決勝で敗れたが、脇本雄太相手に先行勝負を挑む気迫あふれる走りを見せており、今大会も中四国の豊富な若手機動力型とうまく連係して決勝進出を果たしてくるだろう。
竹内雄作 岐阜 99期
竹内雄作が完全復活だ。オールスターの一次予選は逃げ切り、二次予選も逃げて浅井康太とワンツー、準決勝では新鋭・山崎賢人を相手に先行勝負を挑み、結果的には山崎の番手にハマって1着で突破している。決勝では脇本雄太に力負けしたが、昨年のオールスター決勝では落車・失格に終わっているだけに、GI決勝の大舞台でしっかり先行できたのは大きな自信になったはずで、もちろん今大会も500バンクを物ともせずに先行一本で決勝進出を目指してくる。
浅井康太 三重 90期
浅井康太はオールスター決勝では脇本雄太の反撃を止めることはできなかったが、近畿ラインの3番手の村上義弘をどかして古性の後ろにスイッチ、渡邉一成の捲りに合わせて踏み込んで、脇本とは3車身の差ながら2着と健闘した。あのハイスピードの流れの中であれだけの動きができるのだから、さすがは浅井と言いたいし、体調も万全の状態に近いと見ていい。今大会も浅井らしい変幻自在の走りで勝機を掴み、グランプリ覇者の貫禄を見せつけてくれるだろう。
新山響平 青森 107期
オールスターでは決勝進出はならなかったが、連日素晴らしい逃げっぷりを披露したのが新山響平だ。オリオン賞では脇本雄太を相手に打鐘先行を敢行、諸橋愛とワンツーを決めて脇本を不発に終わらせている。シャイニングスター賞も先行して渡邉一成の1着に貢献、準決勝も深谷知広相手に先行して渡邉が1着になっている。一時は壁にぶつかった印象のあった新山だが、徹底先行に戻してからは以前にも増してパワーアップしている。
菅田壱道 宮城 91期
北日本では菅田壱道も急上昇中だ。6月の高松宮記念杯、7月のサマーナイトフェスティバルとビッグレースで連続の決勝進出、続く7月の弥彦記念も決勝4着と充実の走りを見せている。オールスターは準決勝で敗れたが、予選は2連勝とチャンスを逃さずにしっかりと仕掛けきれている。とりわけ二次予選は三谷竜生を破っての大金星だからその強さは本物だ。今大会でもトップレーサーたちを相手の一発が十分に狙えるだろう。
中川誠一郎の大まくりに期待
111期の新鋭が旋風を巻き起こす
中川誠一郎 熊本 85期
九州ではやはり中川誠一郎の一発に期待したい。オールスターでは一次予選が6着、3日目選抜が4着で以後は途中欠場となり体調面にやや不安が残るが、6月の宇都宮記念決勝では7番手からの捲りで優勝、8月の松戸記念決勝ではなんと9番手からの捲りで優勝と圧倒的なスピードを見せつけている。自分でレースをつくれる器用さがないのが唯一の欠点だが、今大会も展開さえ向けばアッと驚く大捲りを披露してくれるはずだ。
近藤隆司 千葉 90期
南関東では近藤隆司が好調だ。3月の落車で右手親指を骨折して長期欠場を余儀なくされた近藤は6月から実戦に復帰。まだ右手に痛みが残る状態ながらも以前どおりに勝ち星を量産しており脚力的には問題ない。8月の松戸記念は準決勝で敗れたが3勝をマーク、オールスターでも二次予選で敗れたが、1着2回、2着1回と好成績を挙げており、ビッグレースでは苦戦続きの南関東だが、決して侮ることのできない1車であることはまちがいない。
山崎賢人 長崎 111期
共同通信社杯には若手選手育成の登竜門的な大会という一面もあり、若手選手が多数出場してトップレーサーたちに真っ向勝負を挑むのも見どころのひとつになっている。とりわけ今大会で注目したいのが山崎賢人、南潤、松本貴治の111期の3人だ。
山崎賢人はオールスターの準決勝では繰り上がりの3着だったとはいえ、GI初出場で見事に初優出を決めている。決勝は単騎だったうえに初の大舞台でいつもどおりの走りというのはさすがに難しかったようで見せ場をつくれずに終わったが、GI決勝を経験したことは大きな自信につながったはずで、今大会でもオールスターのときと同様に旋風を巻き起こしてくれそうだ。
南潤 和歌山 111期
南潤は怪我の影響があったのか、3走でしっかり主導権を採ったものの末脚を欠いての大きな着が続いてしまった。それでも、力を出し惜しみせずに積極的に動いていたのは好印象で、ビッグレース初出場だったサマーナイトフェスティバルよりもレース内容はよかったし、今大会でも主導権取りにこだわってオールスター以上の成績を挙げてくれるだろう。
松本貴治 愛媛 111期
松本貴治はオールスターがビッグレース初出場だったが、やはり4走で主導権を取りきっている。一次予選では松本の番手から同県の渡部哲男が1着、3日目選抜では師匠の濱田浩司が3着、4日目一般では橋本強が1着、松本が2着のワンツーと先輩たちの連絡みに大いに貢献している。今大会も四国地区でのビッグレースだけに連日の逃走劇で先輩たちを大いに盛りあげてくれるだろう。
第27回共同通信社杯 秋本番
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小野俊之が7年ぶりのビッグレース優勝
武田豊樹-飯嶋則之-岡田征陽、友定祐己-岡部芳幸、松岡貴久-小野俊之、深谷知広-浅井康太の並びで周回。残り2周の赤板から深谷がゆっくり上昇するが、前受けの武田はこれを突っ張り、打鐘で深谷を弾いてから先行態勢に入る。深谷は3番手のアウトに後退するが、最終1センターから再び踏み込んでいく。しかし、深谷の車は伸びず飯島の横まで。すると今度は、最終バックから浅井が踏み込み、飯島と深谷の間をこじ開けて捲り追い込んでいく。浅井を追って松岡-小野の九州コンビが続く。最終4角で武田が浅井をブロックするが、浅井はそれを乗り越えて武田を捲り切る。直線に入ると浅井と九州コンビの力比べとなり、松岡がイエローライン上、小野が中バンク、浅井が外帯線上でもがき合うが、ゴール前で絶妙なハンドル投げを見せた小野が1着でゴールイン、2着に浅井、3着に松岡が入る。
第27回共同通信社杯 秋本番 決勝ゴール
表彰
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カントが緩く直線も短めのお皿バンク
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500バンクだが先行選手が残りやすい
高知は周長が500mのバンクだが、全体的に丸いイメージのバンクで500バンクの中では直線が最も短く、カントも緩いので先行選手が逃げ残りやすい。
昨年4月に開催された記念競輪の決まり手を見てみると、全48レースのうち1着は逃げが8回、捲りが19回、差しが21回、2着は逃げが4回、捲りが9回、指しが14回、マークが21回となっている。
さすがに捲りがよく決まっているが、500バンクにしては逃げもかなり健闘している。3日目の準決勝3個レースを見ても、10Rは逃げが2着、11Rは逃げ切り、12Rは先手ラインの番手の選手が1着になっている。
捲りはカントが緩く直線が短いので、他の500バンクのような遅めの捲り追い込みは決まりにくい。勝負どころで4、5番手の中団を確保していないと苦しい。
しかも直線が短いとはいえ500バンクなので、レースの流れは全体的にスローペースである。先行選手の仕掛けは最終ホームからと遅めなので、押さえられたラインは引くに引けずに先手ラインの後ろで別ラインと併走というパターンが多くなる。最終ホームを一列棒状で通過というレースはほとんど見られない。
それで、先手ラインの後ろで併走となったライン同士が中団の取り合いでやりあっていると、先手ラインがそのまま押し切ってしまう。先手ラインの後ろで外併走となった選手が最終3角まで我慢してへばりついていければ、そこからの捲りがズバッと決まるというパターンが多い。そのため打鐘から最終ホームまでの位置取りが勝敗の分かれ目となり、引くに引けずに内に詰まってしまったラインは不発の可能性が高い。
直線はとくに伸びるコースがなく、他の500バンクのような後方からの直線強襲もあまり見られない。最終4角で悪くても4、5番手にいないと連絡みは難しい。3、4番手ぐらいならば4角立ち直りから外に踏んでいけば頭に突き抜けも可能だが、内に切り込んでいくとうまくコースが開かずに伸びきれない。
周長は500m、見なし直線距離は52.0m、最大カントは24度29分51秒。通称は「りょうまスタジアム」。カントが緩いのでセリはイン有利で、先行や捲りの自力選手も仕掛けのボイントを誤ると外に浮きやすい。風はそれほど気にならないが、バック向かい風の日が多い。全国の競輪場の中で唯一、打鐘を知らせる合図に銅鑼が使われている。
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