レース展望

レース直前展望
秋が深まってきました。
群馬県の赤城山も寛仁親王牌世界選手権記念トーナメントの頃は紅葉と思いましたが、ちょっと早いようですね。
さて、本大会は自転車競技に直結している大会でもあります。
全プロ自転車競技大会の結果で出場が決まる大会です。
と書きながら、今回の注目は若手!
脇本は別格として、活きのいい若手選手をピックアップしました。さらに注目のベテラン選手も!
上昇気流に乗れば一気に駆け上がりそうですよ!
脇本雄太選手
脇本雄太 福井 94期
「先行日本一」の称号は勝手に付く称号ではありません。全競輪ファンが認めるから付く称号なのです。その称号を手にしたのが脇本雄太です。徹底先行を貫いてGIタイトルを勝ち取ったオールスター競輪は見事でした。本当は捲りのほうが脇本の更なる持ち味だと思いますが、それは封印してレースに臨む姿勢がいいですね。今回は続々と出てくる若手選手を先行で撃破して魅せてほしいと思います。
とはいえ、東京2020出場につながるワールドカップシーズンがスタートします。この辺りは考慮したいところですね。
清水裕友選手
清水裕友 山口 105期
徐々に力をつけてきて、ここにきて一気に伸びてきたのが清水です。先行、捲りが主体ですが、何でもやって勝ちにこだわるレーススタイルは、競輪ファンも唸っているのではないかと思います。中国四国の若手選手が今競輪界の中心になりつつある一翼を担っている清水の活躍に期待したいですね。共同通信社杯の決勝は本当に惜しかったですね。
山崎賢人選手
山崎賢人 長崎 111期
本当に強いんだけど、どこかふわっとしているのが山崎です。ちなみにヤマサキです。アフロヘアーがトレードマークとなりつつあります。レースは一気にパワーを爆発させて持続するタイプ。押し切れる力もあるので豪快ですよね。速い展開の333バンクでどのようなレースを見せてくれるのか楽しみです。同期の松本貴治、南潤も山崎の活躍に刺激が入っていると思います。
平原康多選手
平原康多 埼玉 87期
5月の京王閣記念以来の優勝となった共同通信社杯の優勝でした。優勝後の表情もちょっと硬かった感じが見受けられましたが、またちょっとほっとした感じも見受けられました。なかなか優勝という結果が出なかったですがこれで、親王牌はリラックスして臨めるのではないかと思います。関東で今年初のGIタイトル獲得に邁進してほしいですね。
第27回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメントが昨年に続き前橋競輪場で開催される。今年のGI戦線の流れからGI連覇の三谷竜生とGI初制覇の脇本雄太を擁する近畿勢が今大会も中心になりそうだが、平原康多と武田豊樹の地元・関東コンビや深谷知広と浅井康太中部コンビの反撃や昨年覇者の渡邉一成の連覇にも期待が集まる。今年のGIも残るは2大会となり、グランプリ出場権を懸けた争いもますます激しさを増してくるだろう。
南潤を目標に三谷竜生が王者の走りを見せる
 状態上向きの浅井康太が自在戦で勝機を掴む
三谷竜生選手
三谷竜生 奈良 101期
初日12Rに実施される日本競輪選手会理事長杯は北日本が1名、関東が3名、中部が1名、近畿が2名、中国が1名、九州が1名の組み合わせとなった。地元・関東は平原康多、武田豊樹、諸橋愛とS級S班が3人揃ってライン的には堅固だが、機動力の面ではおそらく南潤―三谷竜生で連係すると思われる近畿コンビが強力だ。5月の全プロの1kmタイムトライアルで優勝した南潤が強力地脚で主導権を奪いにいけば三谷にとっては絶好の展開となる。三谷は日本選手権、高松宮記念杯と脇本雄太の先行を目標にGI連覇を飾っているだけに番手戦もお手の物だ。南が気っ風よく逃げてくれればしっかりと勝利をものにするだろう。
河端朋之選手
河端朋之 岡山 95期
南潤に対して先行争いを挑んできそうなのが河端朋之だ。河端は3月の世界選のケイリンで銀メダルを獲得、日本人としては同種目で25年ぶりのメダル獲得となり、理事長杯の出走権利を手に入れた。昨年の大会では特別選抜予選からのスタートで、単騎だったために最終バック9番手の展開となったが、そこから捲っていって3着とスピードバンクの前橋とは相性がいい。現在は落車が続いて長期欠場中だが、西日本連係で中川誠一郎が後ろについてくれれば先行勝負に出てくるだろうし、そうなれば全プロのスプリントで優勝した中川にチャンス到来で、中川の一発が十分に期待できる。
浅井康太選手
浅井康太 三重 90期
南潤と河端朋之の徹底先行タイプの動向を見極めながら勝機を狙ってくるのがオールラウンダーの浅井康太と平原康多の2人だが、近況の勢いからいえば浅井のほうがやや優勢か。8月の富山記念決勝では片折亮太の先行で平原は番手絶好の展開となったが、4番手から捲った浅井に合わせて平原も踏み込むも浅井が先着して優勝、平原は2着だった。浅井は6月の久留米記念も優勝しており、グランプリの優勝のみだった昨年と比べると今年しっかりと勝ちグセがついていて状態は良好だ。今回も好位置を奪取してからの捲りを決めてくるだろう。
平原康多選手
平原康多 埼玉 87期
平原康多は8月のオールスターでは準決敗退、最終日には落車とツキがなかったが、富山記念の走りを見る限り、決して万全とは言えないまでも状態には問題はなさそうだ。初日特選では打鐘から一気に前団を叩いての先行策に出て3着、2日目優秀と準決はいつもどおりの平原マジックで3番手を確保して連勝している。もちろん今回も平原らしい巧みな位置取りをみせてくれるだろう。ただ、関東は唯一の3人ラインで、武田豊樹がオールスターでの落車の影響で状態に不安があるので、もしかすると平原が思い切っての先行策に出てくる可能性もありそうだ。
諸橋愛選手
諸橋愛 新潟 79期
侮れないのが諸橋愛と成田和也の追い込み勢だ。スピードバンクの前橋はもちろん自力選手が有利だが、自力選手たちが外へ外へと踏んでいくために最後の直線で内のコースがぽっかり空いてしまい、追い込み選手が内をすくってから長めの直線を利して一気に差し切るというケースがしばしば見られる。諸橋は7月の地元・弥彦記念を連覇して好調で、イン突きを得意技のひとつにしているので、今回も混戦になれば一発がありそうだ。成田も全プロ記念ケイリンを3連勝で優勝と強さを見せており、昨年は決勝3着と本大会との相性はいい。
先行日本一の脇本雄太が力強く押し切る
 渡邉一成が得意の大捲りで連覇に挑む
脇本雄太選手
脇本雄太 福井 94期
初日の特別選抜予選2個レースでは脇本雄太と深谷知広の2人が軸となるだろう。脇本雄太は8月のオールスターで念願のGI初制覇を達成した。それも逃げ切りで、2着の浅井康太に3車身の差をつける圧勝劇だった。5月の日本選手権、6月の高松宮記念杯の決勝も優勝こそはならなかったが完全に脇本がレースを支配して三谷竜生のGI連覇に貢献しており、今や文句なしの先行日本一だ。昨年の大会では準決で敗れたが初日特別選抜予選はしっかり逃げ切っており、昨年より格段にパワーアップした脇本ならば無傷の4連勝での優勝も夢物語ではないだろう。
村上義弘選手
村上義弘 京都 73期
村上義弘は8月のオールスター決勝では痛恨の失格に終わってしまったが、シャイニングスター賞では前を任せた古性優作が3番手を取ってくれたおかげで2着に突っ込み、準決では脇本雄太の先行から離れてしまったが辛くも3着で突破と44歳のベテランになってもまだまだ健在だ。9月10日時点で獲得賞金額が7千万円を超えており来年のS級S班復帰はほぼ確実だが、もちろん村上がそれで満足するわけがない。目標はGIを勝ってのグランプリ出場で、今回も村上らしい一走入魂の走りを見せてくれるだろう。
深谷知広選手
深谷知広 愛知 96期
深谷知広はなかなか結果につながらないが、先行パワーは完全に全盛期の強さが戻っており、8月のオールスターでは準決で敗れたものの二次予選で逃げ切り、最終日特別優秀は捲って1着と調子はいい。昨年の大会では理事長杯からのスタートで、理事長杯は後ろに新田祐大に入られながらも逃げ粘って3着、準決も渡邉一成に捲られながらも逃げ粘って2着で決勝進出を果たしている。前橋は11年に開催された高松宮記念杯でGI初優勝を達成した思い出の地でありバンクとの相性が悪いわけはなく、今大会も先行主体の競走で決勝進出を果たしてくるだろう。
渡邉一成選手
渡邉一成 福島 88期
渡邉一成は昨年の大会で新田祐大の捲りを差して優勝している。今年は新田祐大が不在だが、昨年の準決では深谷知広の逃げを捲って1着で突破しているので問題はない。8月のオールスターでもシャイニングスター賞と準決を新山響平の逃げを目標に連勝して決勝進出、7月のサマーナイトフェスティバル決勝ではやはり深谷知広の逃げを捲って優勝と体調は万全だ。今回の特別選抜予選でも早坂秀悟や小松崎大地という絶好の目標がいるし、仮に彼らが脇本雄太や深谷知広相手に力負けしても、渡邉は自力に転じて大捲りを放ってくるだろう。
木暮安由が今年こそはの好走を披露する
 根田空史が積極的な仕掛けで勢いに乗る
木暮安由選手
木暮安由 群馬 92期
前橋といえば忘れていけないのが地元の木暮安由だ。16年の大会では特別選抜予選で落車して二次予選Bで敗退、昨年の大会では特別選抜予選を2着と好スタートを切るが準決で敗退とホームバンクでなかなか結果を残せていない。しかし、今年の木暮はひと味違う。6月の高松宮記念杯では二次予選、準決を連勝で突破、決勝では吉澤純平の番手で武田豊樹と競り合いを演じて見せた。8月の小田原記念も決勝3着と好調をキープしており、今回も貪欲なまでに勝利を目指す強い気持ちで地元ファンの期待に応える走りを見せてくれるだろう。
原田研太朗選手
原田研太朗 徳島 98期
原田研太朗は今年は2月の全日本選抜で決勝7着、3月のウィナーズカップで決勝3着、7月の高松宮記念杯でも決勝3着と活躍、輪界屈指の捲りの破壊力で今やタイトルに最も近い男の1人といっても過言ではないだろう。戦法的には短走路の前橋は合っていない印象だが、16年の大会では二次予選Aで敗れたものの一次予選は捲りで1着、3日目特選は逃げ切りと2勝を挙げており苦手意識はなさそうだ。現時点では9月の共同通信社杯の結果はわからないが、今年2度目の地元地区でのビッグレースに向けて集中的にトレーニングした成果が今回も発揮されるにちがいない。
根田空史選手
根田空史 千葉 94期
南関東では根田空史に勢いがある。成績的には大きな着が多いが、6月の高松宮記念杯では3走で主導権を取りきって逃げ切りが1回、8月のオールスターでも3走で先行して2着が1回、捲りで1着も1回あり、GI戦でも積極的な仕掛けが光っている。昨年の大会でも3走で逃げており二次予選Aで9着と敗れているが、一次予選は岡村潤が1着、根田が2着の南関東ワンツー、3日目特選も逃げ粘って2着になっている。今回と特別選抜予選タートと相手は厳しいが、昨年同様に逃げまくってくれるだろう。
松本貴治選手
松本貴治 愛媛 111期
一次予選スタート組の注目選手は111期の新鋭・松本貴治だ。GI初出場のオールスターでは4走すべてで主導権を取って2着1回に3着が1回の成績で、渡部哲男と橋本強の四国勢の勝利に貢献と鮮烈なデビューを飾った。次場所の小田原記念でも3走で先行し、準決では5着に敗れたが井上昌己の1着突破に貢献、一次予選は逃げ切り、二次予選は2着で湊聖二とワンツー、4日目特別優秀は捲りの2着で池田憲昭とワンツーと期待以上の走りを見せている。2度目のGIとなる今回ももちろん徹底先行を貫いていくだろう。
思い出のレース
金子貴志が師弟連係からGI初優勝
第22回大会ではGI決勝で金子貴志と深谷知広の師弟連係が初めて実現、飯嶋則之が分断を宣言していたが金子が番手を守りきってGI初優勝を飾った。レースは深谷が前受け、後ろは初手から金子と飯嶋で取り合いとなり、4番手以降は岡田征陽、浅井康太、井上昌己と単騎の選手が続き、7番手に川村晃司―成田和也―木暮安由となる。赤板前から川村が上昇開始、川村が並びかけると深谷はすんなり車を下げ、同時に上がってきた岡村が木暮をどかして3番手を取り、深谷が5番手、浅井、井上は8、9番手となって打鐘を迎える。すかさず深谷が好ダッシュで反撃開始、あっさりと前団を捕らえて先頭に立つ。金子と飯島の2人は踏み出しで離れてしまうが、最終ホームで金子が追いついて深谷の番手を守りきる。最終2角から川村が捲っていくが金子の横までで一杯となり、成田が3番手に切り替える。直線に入ると金子が深谷を抜きにいくが、成田が両者の中を割り3車が横一線でゴールイン、結果タイヤ差で踏み勝った金子が優勝、逃げ粘った深谷が2着、同じくタイヤ差で成田が3着。
表彰
表彰
ゴール
ゴール
バンクの特徴
前橋は日本一のカントを誇る小回り走路で、屋内バンクのために風の影響も皆無なのでスピードに乗りやすく、積極的な自力選手向きの超高速バンクとなっている。
ただ、基本は先手ライン有利と言われているが、1周335mの短走路ながら直線は400走路並に長く、風の影響を受けない代わりに追い風によるアシストも期待できないので必ずしも先行選手にとっては好条件とは言えない。
選手の脚力や直にスピードに反映されるのでごまかしがきかず、とりわけドームバンクに不慣れな若手選手などは屋外バンクよりも重くて走りづらいと感じることもある。
昨年9月に開催された寬仁親王牌の決まり手を見てみると、全48レースのうち1着は逃げが8回、捲りが17回、差しが23回、2着は逃げが9回、捲りが10回、差しが10回、マーク19回となっている。
さすがに短走路だけあって逃げの連絡みは多いが、それでもやはりGI戦となれば捲りが優勢だ。先手ラインの選手が1着になった回数も全体の3分の1の16回なので、先手ライン有利とは言い難い結果となっている。前橋は短走路だが、GI戦に限って言えば、仕掛けどころがやや早めの400バンクと考えたほうがもしかしたら正解かもしれない。
先行は主導権争いに巻き込まれないように早めに先頭に立ち、打鐘から仕掛けて一列棒状で最終ホームを通過できればゴールまで粘り込める。
昨年の大会の準決では10Rは深谷知広が逃げ粘りの2着、11Rは新田祐大が逃げ切り、12Rは竹内雄作の先行に乗った吉田敏洋が1着、金子貴志が2着の中部ワンツーで、3個レースとも先手ラインが健闘していた。
捲りも早めの仕掛けが肝心で、最終ホームを目標にトップスピードに乗せ、最終2角までに先手ラインを交わす勢いで踏み込んでいけば、7、8番手からの巻き返しも可能だ。ただし、最終2角までに決着をつけないと、中団からの仕掛けでも不発の可能性が高くなってしまう。

周長は335m、最大カントは36度、見なし直線距離は46.7m。直線ではイエローラインのやや外寄りがよく伸びるので、最終バックで後方に置かれていても、内や外へ車を持ち出し、36度のきついカントを使ってイエローラインを目標に中割気味に仕掛けていくと連絡みが可能だ。追い込み選手の場合は最終4角で4、5番手なら直線で内に切り込むのも有効だ。先手ラインの番手の選手が外からの巻き返しを警戒しているスキを突いて内に潜り込み、番手選手をどかしてから直線一気というケースがよく見られる。
前橋バンク
前橋バンク